万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日米”核密約”は違法行為?

2009年09月12日 15時42分10秒 | 日本政治
核密約解明へ第三者組織 民主幹部が意向(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党は、日米の核密約について、第三者組織を設置して調査を開始するそうです。しかしながら、調査を始めるに先立って、”核密約は違法行為であるのか”、あるいは、”批難される点は何処にあるのか”、という基本問題を先に論じる必要があると思うのです。

 そもそも非核三原則は法制化されているわけではなく、いわば、政府の基本方針を示す”宣言”としての効果しかないはずです。この点から見ますと、もし、密約があったとしても、違法行為としては断罪はできませんし、また、司法に訴えることもできないはずです。そこで、批難される点があるとすれば、非核三原則を掲げながら、黙って核の持ち込みを認めたという、政府の自己欺瞞と言うことになります。しかしながら、日本国の防衛を考慮しますと、ソ連が北方の脅威であった当時にあっては、米軍の核は抑止力と働いたわけですし、また、現在でも、中国が南方の脅威として台頭してきていますので、”核の傘”は必要です。政府が核の密約を結んだとしますと、その動機は、自由主義陣営の一員として協力するとともに、日本国及び日本国民を守るためであったと考えられるのです。

 自国の防衛を考慮しますと、民主党が、いたずらに過去の政権の失点を暴くことで、何を得ようとしているのか疑問なところです。もし、密約は悪い、だから、”核の傘”はいらない、という結論を導くとしますと、国民の多くは、安全保障に不安を抱くことになりましょう。再発の防止を目的としているならば、日本国を危うくしている非核三原則こそ見直すべきですし、もし、”核の傘”を外すことが真の目的で密約の調査を行おうとしているのならば、民主党政権こそ、目的を隠したことにおいて、国民を騙していることになるのではないでしょうか。調査を開始する前に、もし密約が確認された場合、民主党政権は、どのような対応をおこなう予定であるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
 
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コメント (6)
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