万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ウイグル問題は60年前に戻って解決を

2009年09月06日 15時34分31秒 | 国際政治
チベットだけじゃない中国の誤算(ニューズウィーク日本版) - goo ニュース
 中国政府は、”新疆ウイグル自治区”に莫大な投資を行い、生活水準も向上させながら、何故、ウイグルの人々が不満であるのか理解に苦しんでいるようです。イスラム教徒に対する宗教上の制限なども不満の一つでしょうが、根本的な解決には、この地域の領有権問題に踏み込まざるを得ないのではないかと思うのです。

 中国政府は、東トルキスタン政府との合意によってこの地を併合したと主張していますが、チベットと同様に、領有権まで中国政府に移譲したとみなすことには疑いがあります。国家間では、地方政府に主権と領有権を認めた上で、両者合意の上で連邦制を敷くという方法もありますが、中国政府は、共産党と人民解放軍を介した一元的な支配と一方的な併合という強引な方法をとりました。この方法は、明らかに国際法に違反した”侵略行為”と見なされますので、この問題を解決するには、まずは一旦、時計の針を戻し、交渉の出発点である60年前の最初の時点に帰る必要があると思われるのです。

 日本国とて、日韓併合時代にはかの地でも経済が成長し、人々の生活水準も向上しましたが、韓国や北朝鮮の人々は、”植民地支配”として糾弾し、経済的恩恵は決して認めようとはしません。中国が、満州事変や日中戦争を非難するのも、同様の理由です。他民族による支配への反感は、人類共通の心理であるのですから、中国は、漢民族に自らの地を占領されているチベットやウイグルの人々の気持ちを理解し、速やかに交渉に応じるべきと思うのです。

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