万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

核密約調査―日本側に返されたボール

2009年09月19日 16時05分40秒 | 日本政治
核密約調査「日米関係に影響ない」 米国務次官補(朝日新聞) - goo ニュース
 日米の核密約について、民主党政権の岡田外相は、過去に遡って徹底的な調査を行うよう指示したと報じられています。一方、米国務次官補のキャンベル氏は、この密約の存在を認めたそうですので、調査結果は、密約は存在した、という結果に落ち着くことになりそうです。

 さて、ここで、ボールは日本側に返されたことになるのですが、日本国政府の選択肢は、限られているように思うのです。それは、(1)核の密約を認め、米軍による核の持ち込みを公式に認める、(2)核の密約を咎め、米軍による核の持ち込みを公式に禁じる、というものです。(1)の場合には、”非核三原則”を放棄することになりますし、一方、(2)の場合には、自国を守る”核の傘”を放棄することになります。岡田外相としては、おそらく(2)を選択したいところなのでしょうが、もし、この選択を行いますと、安全保障上の重大なリスクが発生しますので、国民からの反対の声が上がることは必至です。

 中国や北朝鮮からの核の脅威を考えますと、ここはやはり、現実路線をとりませんと、日本国の不安定化を招きます。密約の調査を、日米間の正直でオープンな対話を始める契機とすべきと思うのです。

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コメント (2)
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