万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

真珠湾攻撃は両陣営に知られていた?

2014年12月08日 16時05分39秒 | 国際政治
真珠湾奇襲、英MI5は知っていた 証拠の日記見つかる(産経新聞) - goo ニュース
 ”事実は小説よりも奇なり”と称されるように、『007』の世界は決してスクリーンの中の作り事ではないようです。本日12月8日は、真珠湾攻撃の日ですが(日本時間で)、ジェームズ・ボンドのモデルとなった英独の二重スパイであったセルビア人ドシュコ・ポポフが、真珠湾攻撃の情報を4か月も前にアメリカのFBI長官に上げていたというニュースがネット上でも話題となっております。

 実はこの情報、目新しいわけではなく、近年、日本国内では、FBIのフーバー長官に留まらず、ルーズベルト大統領も真珠湾奇襲の情報を入手しいたとする説さえ公表されています。状況証拠による推測ですが、少なくとも日本国民の多くは、”知られていた真珠湾攻撃”については、冷静に受け止めることでしょう。この記事で興味深いことは、ヨーロッパ諸国の政府、あるいは、情報局の間では、日本国の真珠湾攻撃による日米開戦は、1941年夏頃から、既定路線になっていたのではないか、ということです。ポポフはイギリスとドイツの二重スパイですが、ポポフが真珠湾攻撃の可能性に気が付いたのは、ドイツの国防軍情報部の局員から、真珠湾やイギリスによる航空機によるタラント奇襲など、当時の日本の関心事を聞いたことによります。このことは、ドイツもまた、同盟国であった日本国が真珠湾攻撃の構想を持っていることを知っていたことを示唆しています。アドルフ・ヒトラーは、真珠湾攻撃後、迷わずにアメリカに対して宣戦布告しますが、この素早さは、既に情報を得ていたことによるとも考えられるのです。

 残る謎の一つは、何故、ドイツは、アメリカの参戦を望んだのか、ということです。ヒトラーの宣戦布告の決断を聞き、側近たちの顔が青ざめたとも伝わりますが、ドイツが、敢えて自国が不利となる戦いに臨んだ理由が、今一つ、はっきりとはしません。そして、仮に、ドイツがアメリカの大戦を阻止すべく動いたとしたならば、同盟国である日本国に対して真珠湾攻撃を何としても思い止まるよう要請したはずですので、この謎には、日本が第二次世界大戦への道を歩んだ理由を解く鍵もまた隠されていると思うのです。

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コメント (6)
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