万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮のテロ予告による映画公開中止事件-悪の滅亡は人類共通の願い

2014年12月20日 15時10分27秒 | 国際政治
公開中止で論争…「臆病」いや「内容が挑発的」(読売新聞) - goo ニュース
 北朝鮮の金正恩氏暗殺を描いた映画「The Interview」。北朝鮮は、テロ予告によって公開中止に追い込みましたが、何故、このような映画が作成されたのか、その理由を考えたことがあるのでしょうか。

 北朝鮮の独裁体制とは、通常の人であれば誰もが嫌悪する政治体制であり、自ら北朝鮮の住みたいと願う人は殆どいないことでしょう。”金王朝”とはいっても、わずか三代前に怪しげな人物がソ連邦をバックにトップの座に就いたに過ぎず、世襲を正当化できる根拠は皆無です。にも拘わらず、その子孫たちが権力と特権を独占すると共に、他の国民を隷従状態に置いているのですから、不合理と不条理に満ちた体制なのです。ハリウッドがこの映画を作製した理由は、人間社会に存在する”悪”を描き出すことにあったのではないでしょうか。独裁者が暗殺されるというストーリーであるならば、それは、”悪は滅びるべし”とする人類共通の願いを表現したことになります。人間一般には、ミラーニューロンが脳内の存在していますので、他者の苦しみを自分のことのように感じるものです。映画やドラマなどには勧善懲悪ものが多いのですが、おそらく、悪が滅びる時、すなわち正義が実現する時に、快感物質であるドーパミンが脳の内部で大量に分泌されるからなのではないでしょうか。他者を害する悪の滅亡は、古今東西を問わず、人類の切なる願いであり、人間は、本質的に悪を嫌うのです。

 北朝鮮を舞台とした映画が作成されたことは、多くの人々が、滅亡すべき北朝鮮を悪の体制と見なしている証拠でもあります。実際の北朝鮮が、誰もが称賛する善き国家であれば、トップ暗殺のシナリオなどはあり得なかったはずです。北朝鮮に、自国民、並びに、人類のために貢献する意思があるならば、それは、自らの体制の幕引きを決断することではないでしょうか。

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コメント (2)
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