万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

人質殺害を否定したいのは中国?

2015年02月02日 15時40分42秒 | 国際政治
後藤さん殺害映像 菅官房長官「2人殺害を否定する根拠はない」(産経新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、菅官房長官は、「2人殺害を否定する根拠はない」として、「イスラム国(ISIL)」が公開した殺害映像が本物である可能性が高いとする見解を示したそうです。それでは、何故、菅官房長官は、敢えてこうした発言をする必要があったのでしょうか。

 殺害事件に関する各国の報道を比較しますと、興味深いスタンスの違いを見出すことができます。欧米諸国は、事件の経緯を伝える報道が多いのですが、中国の新華社通信のみが、「映像が本物であれば、日本は拘束された自国民2人の救出に失敗したことになる」と述べております。新華社通信は国営ですので、中国政府の見解ともなるのですが、”映像が本物であれば”、という条件を付けているのは中国のみなのです。確かに、「イスラム国(ISIL)」が作成した動画には合成等の疑いがかけられたものもあり、殺害されたとされる2名の生死も確認には至ってはいません。しかしながら、中国が、動画の信憑性を疑い、偽物へと誘導したい背景には、日本国内の自衛隊派遣論を抑えたい思惑が垣間見られます。

 「イスラム国(ISIL)」が使用している武器には中国製が多いとの指摘もあり、中国は、テロリストの黒幕、あるいは、支援者なのではないか、とする払い難い疑いもあります。陰謀論を自ら持ち出すところに、中国の陰謀の影を感じざるを得ないのです。

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コメント (2)
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