goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北核実験の事前説明を受けた中国ー止める義務があったのでは?

2016年09月13日 15時00分21秒 | 国際政治
北朝鮮、核実験を中国に事前説明「米韓軍事計画に対抗」
 先日の北朝鮮による核実験に際して、中国は、事前説明を受けていたと報じられております。北側の説明によりますと、核実験の意図は、”米韓軍事計画”への対抗のようですが、この一件、中国にも責任がありそうです。

 NPT(核兵器不拡散条約)では、核保有が特別に認められる代わりに、核保有国には、非核保有国に核が拡散することを防ぐ義務があります。条約名が示すように”核拡散の防止”こそ本条約の主たる目的なのですから、核保有国は、あらゆる手段を講じ、全力で核の拡散を防止しなければならないのです。しかしながら、北朝鮮への対応を見る限り、中国は、条約上の核拡散防止義務を果たしてはおりません。否、北朝鮮から事前に説明を受けながら、みすみすその実施を許しているのです。おそらく、北朝鮮としては、中国の”お墨付き”を得た上での実験であるならば、国際社会から批判を浴びても、中国に庇ってもらえると踏んだのでいたのでしょう。実際に、中国の対北批判のトーンは低く、制裁強化にも消極的です。北朝鮮が非核保有国としてのNPT違反国であれば、北朝鮮の核実験を止める義務を怠った中国も、核保有国としてのNPT違反国なのです。この点に鑑みれば、アメリカが北朝鮮の核施設を破壊しても、核保有国の義務を果たしたことになり、中国も、批判はできないはずです。

 如何なる特権も、それに見合った義務が付随するものであり、その義務を果たさないとなりますと、特権剥奪の根拠となります。NPTについては、非核保有国のみならず、核保有国の違反にも関心を払うべきであり、中国の核保有国としての地位は見直されて然るべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする