万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

臨時休校措置の評価は事実に依存する

2020年03月01日 14時08分11秒 | 国際政治

 中国やWHOが発信する情報を100%信じるとすれば、日本国内において小中高等学校を一斉に休校とする措置を採る必要はなかったかもしれません。両者の説明によれば、新型コロナウイルスは、幼年や若年層には感染しにくい上に、たとえ感染したとしても軽症で済むからです。この説が正しければ、致死率が高いとされる高齢者や持病のある人の保護に重点を置く政策を実施すべきであり、日本国政府の対応はどこかちぐはぐな観を受けます。

 新型コロナウイルス若者安全説が表の公式見解とされる一方で、ネット上には、衝撃的な動画が拡散されています。それは、武漢の病院内の監視カメラで撮影されたとされる動画であり、同映像には、小さな子供たちを乗せた担架が次々とフロアに運び込まれ、3人の遺体が一つの遺体袋に詰め込まれて運び去られてゆく痛ましい光景が映し出されていたのです。映像に映る人々の動作や表情、そして混乱した院内の状況を見ますと捏造されたものとは考えられず、真実は、このネット上の動画にあるように思えます。そして、この動画から幾つかの推測が浮かんできます。

 第一の推測は、公式見解とは異なり、現実には多くの幼少の子供たちも新型コロナウイルスに感染したのではないか、ということです。動画では、短時間の間に3人もの子供たちが亡くなったと推測され、死亡者数は一人や二人といった数ではないはずです。しかも、遺体を扱う医療スタッフの人たちは慣れた手つきで作業に当たっており、動画が撮影された時点にあって、相当数の子供たちが既に命を落としていたと考えられるのです。子供たちの体は小さいので、大人用サイズの遺体袋に三人を一緒に納めたのかもしれませんが、あるいは、死亡者が準備していた遺体袋が不足するほどの数に上ったのかもしれません(中国政府が大量に遺体袋を発注したとする情報も…)。

 同動画には子供たちの親や親族が一切映っていない点から第2に推測されるのは、一家全員が感染するほどの新型コロナウイルスの感染力の強さです。直近の報道では、中国並びにWHOは‘人から人への感染は家庭内において起きた’とする新たな見解を示したそうですが、新型コロナウイルスの感染力は、両者が公表している数字よりも相当に高い可能性があります。隔離状態にあったとも推測されますが、動画では、愛しい我が子との最後の別れに涙する親や親族の姿はなく、子供たちの遺体はスタッフの手によって粛々と事務的に‘処理’されて行っているのです。家族をばらばらにし、誰もお葬式さえ挙げることができないほど、同ウイルスは猛威を振るったことになりましょう。

 上記の2点から推測される第3点は、子供たちへの感染拡大は、学校で起きたのではないかというものです。上述したように、武漢では、短期間に多くの子供たちが犠牲になったものと推測されます。中国やWHOは人から人への感染は家庭内で起きたと主張していますが(もっとも、急速な感染拡大からすれば、家庭内のみではないはず…)、一人あるいは少数の感染した生徒が学校に同ウイルスを持ち込んだことで、教室内で同ウイルスの他の生徒たちへの爆発的な感染が起こり、この感染した子供たちが学校から家庭に持ち帰った可能性もありましょう。何れにしましても、生徒たちが机を近距離で並べ、比較的長時間密封空間となる教室が、感染拡大の場となった可能性も否定はできません。しかも、第一の推測で述べたように、子供たちも重症化し、相当高い率で死亡するのであれば、小中高等学校の休校措置も頷けます。

 中国政府はこの動画の存在を認めようとはしないでしょうが、安倍首相が突然に学校休校を決断したとしますと、同動画が示唆する武漢の惨状を現実のものと認めたと考えざるを得ません。あるいは、同動画ではなく、中国やWHOとは別ルートから同様の情報を入手したとも推測されます。つまり、中国やWHOが発信する公式の情報ではなく、ネット等で拡散されている、あるいは、他の政府から入手した非公式の情報に事実がある場合には、後者を前提とした措置を採る方が的確、かつ、効果的な対策を講じることができることを意味するのです。

 かくして日本国政府は、最悪の事態を想定して学校を休校としたのでしょうが、さらにその先の最悪の事態にも備えておく必要があるように思えます。その先の最悪の事態とは、学校が再開される新学期に至っても、新型コロナウイルス禍が終息しておらず、かつ、有効な治療法や予防法も未だに見つかっていない事態です。この状態で休校措置が解除されますと、今般の政府の決断も元の木阿弥となりかねません。感染リスクゼロを実現する教室環境の整備に取り組む、あるいは、遠隔学習システムや自宅学習などの長期的な休校をも睨んだ対策も考案しておくべきなのではないかと思うのです。

コメント (2)
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