万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ようやく中国政府を信じなくなった日本国政府

2020年03月30日 11時38分07秒 | 国際政治

 中国政府の公式見解によれば、中国国内での新型コロナウイルスの新規感染者数の殆どは海外からの入国者となり、同ウイルスの国内での抑え込みに成功したそうです。他の諸国が非常事態に直面する中、中国政府は、早々に経済活動の再開に踏み出しており、日系企業を含め、同地での工場の稼働も平常時に戻りつつあります。

今や立場が逆転し、中国側が同ウイルスの逆流を防ぐべく海外からの入国者を制限する側に転じたのですが、報道によりますと、日本国政府も、同ウイルスの国内流入を阻止するための入国制限をさらに強化する方針を明らかにしています。中国全土に対しても、先日、同国からの入国者に対して14日間の待機措置を要請する措置をとりましたが、全面的な入国禁止という最高レベルの制限を課すこととなったのです。遅きに失するとはいえ、ようやく日本国政府も、発生現地である中国からの感染ルートを遮断する運びとなりました。

従来の措置では、中国人団体旅行者、チャーター便で帰国した在中邦人、ダイアモンド・プリンセス号の下船乗客といった人々の移動経路や接触範囲等は追跡できましたが、ビジネスマンや個人旅行客についてはこれらを把握することは困難でした。日本国内において‘感染経路不明’と公表されているケースについては、おそらく、個人レベルで中国から来日した人々からの感染であったことは想像に難くありません。公共交通機関、商業店舗、飲食店、イベント、あるいは、ビジネスマンであれば社内の会議室など、感染現場と推定される場所は多々あります。中国全域からの入国が禁止されれば、少なくとも今後については、‘感染経路不明’による感染リスクは格段に低下することとなりましょう(もっとも、この効果は一次感染のみに限られますが…)。

そして、ここで注目すべきは、日本国による中国全土を対処とした全面入国禁止の効果は、実のところ、上述した中国政府の公式見解の否定の上に成り立っている点です。日本国政府は、同時にアメリカ、イギリスを含む欧州全域、韓国全土、並びに、東南アジアやアフリカの一部からの入国も禁止しますが、これらの国や地域は、現在、感染が拡大過程にあり、危機的な状況にあります。入国禁止には、感染ルートの遮断というれっきとした理由があるのです。

その一方で、中国については、仮に上記の公式見解通りに新型コロナウイルス禍が終息しているのであれば、入国規制をさらに厳格化して入国禁止措置を採る必要は然程にはないはずです。表向きの数字を信じれば、中国国内では新たな感染者は発生していないのですから。しかしながら、中国政府発の情報発信については、同ウイルスによる感染症が最初に発生した時点から疑義を呈されており、公表された数字は全く当てにならないことが判明しています。

今般の事実上の‘終息宣言’についても、最早、誰もがそれをそのまま受け止めてはいません。そもそも、新型コロナウイルスは未発症でも感染力を有しますし、完全に回復したとされる人の中には、退院後に再発したり、再検査した結果、陽性の判定を受ける人も報告されています。医科学的見地からも疑問が呈されている段階での‘終息宣言’は、本来、あり得ないのです(‘政治的宣言’に過ぎない…)。それとも中国は、‘終息宣言’を出せるような新型コロナウイルスの特性について、他国では知られていない情報を独占的に隠し持っているのでしょうか(中国政府は、アメリカ軍起源説を主張していますので、この立場に立てば人工ウイルスに関する詳細な情報を有しているはずはない…)。

何れにしましても、日本国政府による中国からの入国全面禁止措置は、ようやく日本国政府が、中国政府の呪縛を解き、忖度することなく自らの判断で対応措置を決定したことを意味します。おそらく、中国政府を迂回して収集した情報やデータに基づけば、中国の現状は未だに予断を許さず、感染リスクに満ちているのでしょう。今般の措置に見られる日本国政府の方向転換は重要であり、それは、中国政府に対する不信任の表明として理解されるのではないかと思うのです。

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