万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国はIT型統制経済へ回帰?

2020年03月02日 14時46分35秒 | 国際政治

 日本国内では、消費者がマスクやペーパー類の買いだめ行動に走ったためか、品薄状態が深刻となっています。お米さえも店頭での入手が難しくなっており、日常生活にも新型コロナウイルスの影響が及んできています。

 日本国内では、生産活動が中国のように停止しているわけではなく、日本国政府も、紙製品の原料となるパルプは中国に依存しておらず、かつ、マスク等については需要の急増に十分に対応できるとしています(なお、ペーパー類については、マスク生産に原料が優先的に向けられるため、不足するという理屈らしい…)。国民に対しては、パニックに陥らないように懸命に呼び掛けているのですが、何時になりましたらこの状態が解消されるのか、国民の不安は募るばかりです。

 感染者数が1000人をかろうじて下回っている日本国でさえこの状態なのですが、それでは、中国の人々は、どのようにして生活を維持しているのでしょうか。中国の情報統制の徹底ぶりは驚くばかりであり、中国人の日常生活に関する情報が国外に漏れ出ることはめったにはありません。目下、首都北京をはじめ、多くの都市において市民の外出に厳しい規制が設けられている上に(許可なくして買い物にも出られない…)、一部は再開されているものの、出稼ぎ労働者が職場に戻らないために工場での生産なども滞っています。常識的に考えれば、日本国以上に深刻な物不足に直面しているはずなのです。

 ところが、不可解なことに、中国の人々がどのようにして日用品等の不足に対応しているのか、全く不明なのです。新型コロナウイルスの脅威が及んでいない農村部では、例年通りに農作物を栽培し、封鎖状態にある都市部に政府機関を介して供給しているのでしょうが、マスクやペーパー類といった工場生産製品の品不足は深刻なはずです。あるいは、もとより災害等の危機に備えて大量に備蓄されていたのかもしれませんし、‘世界の工場’として輸出用に生産していた製品を国内に振り向けた可能性もありましょう。しかしながら、こうした措置では急場を凌ぐことはできても、長期的には品不足となります(アリババ等の通販でさえ、生産がストップしたのでは供給できないのでは…)。既に、封鎖から一か月が経過しており、一定の備蓄や在庫があったとしても、そろそろ底をついていてもおかしくはりません。にもかかわらず、中国から国民の不満の声は一切聞こえてこないのです(あるいは、日本国内の品不足は、中国の富裕層向けに転売するために起きているのでしょうか…)。

 中国政府が封鎖措置を強行した理由の一つは、中国国民が日本国以上に酷いパニック状態となり、人々が店頭に殺到してモノを奪い合うカオスと化すのを恐れたのかもしれません。しかしながら、その一方で、仮に習近平政権が、新型コロナウイルス禍を政治的に利用しようとするならば、それは、改革開放路線以前の統制経済への回帰である可能性も否定できないように思えます。

とりわけ習主席は、毛沢東体制を理想としている節がここかしこに見られます。習主席にしてみますと、新型コロナウイルスを理由とした都市封鎖は、‘第二の文化大革命’を起こすチャンスなのかもしれないのです。ウイルス対策を口実とすれば、全ての国民の行動をチェックすることができますし、生産活動から消費行動までのすべてを当局の監視下に置くことができます。その理想を実現するための先端的なITを、中国当局は既に手にしているのです。

仮に、新型コロナウイルスが武漢の研究所で作成された人工ウイルスであったとしますと、外国や戦場ではなく、中国国内で散布された理由は、習独裁体制の盤石化にあったとする説も信憑性を帯びてきます。謎に包まれている新型コロナウイルスの出現は、果たして、習主席への国民の批判噴出により中国を自由で民主的な国家体制へと導くのでしょうか、それとも、逆の全体主義の強化の方向へと引きずり戻されてしまうのでしょうか。2020年は、中国のみならず、人類にとりまして試練の年となるように思えるのです。

コメント (10)
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