北京訪問の要人は金正恩氏
米朝首脳会談を間近に控えたこの時期にあって、北朝鮮要人が中国を訪問しているとする情報が、目下、関心を集めています。同国の要人とは、共産党当局者の談によりますと、金正恩委員長本人とされていますが、この訪中、果たして何を意味するのでしょうか。
メディアによる凡その見立ては、米朝首脳会談でのトップ解決に向けた中朝間の事前調整であり、北朝鮮は、遂に核放棄を決意したと言うものです。中国側は、以前より、金委員長訪中に関しては、非核化に向けて取り組む姿勢を示すことを、受け入れ条件として付してきたからです。訪朝が実現した以上、北朝鮮が中国側の条件を満たしたと見るのが自然であり、同条件については中国の共産党当局者が説明している点も、北朝鮮の核放棄を前提とした中朝打ち合わせ説を補強しています。
仮にこの推測が正しければ、北朝鮮は中国に対して幾つかの要請を行った可能性があります。第一に考えられるのは、アメリカが要求している“検証可能な核放棄”に応えるために、中国に対して核査察の実施国となるよう要請したとする説です。中国による核査察は信頼性に欠けるため、アメリカが同案を承認するとも思えませんが、北朝鮮としては、中国が最も望ましい査察国なのでしょう。第二にあり得る要請は、中朝友好協力相互援助条約を締結している中国に対する核の傘の提供です。朝鮮半島全域を非核化するとしても、韓国が米韓同盟に基づいて米軍の核の傘にある以上、北朝鮮も、“丸腰”は望まないはずです(もっとも、交渉の結果、韓国から在韓米軍が撤退するならば、この線は消える…)。そして、第三に可能性として挙げられるのは、仮に米朝首脳会談が決裂した場合の対応です(もっとも、第4として、米国による軍事攻撃を怖れた金正恩の事実上の中国亡命であり、“替え玉”を帰国させるためであるという可能性も指摘できます)。
上述した“共産党当局者”は、北朝鮮が非核化に舵を切った、即ち、アメリカに対して事実上降伏したかのような口ぶりですが、北朝鮮と同様に、虚偽の発言を常とする中国が事実を述べているとは限りません。戦略や謀略に長けた中国のことですから、北朝鮮が核放棄に応じたとする説明は、自国、並びに、自国陣営を有利な立場に導くための策略の一環であるかもしれないのです。となりますと、上述した推測の内、第三の可能性が、俄然、高まります。
第三の可能性についても、あり得る想定は一つではありません。そもそも、中国共産党が嘘をついているならば、北朝鮮の要人が“金正恩委員長”であるとする説明をも疑わなければならないのです。また、米朝決裂への備えであるならば、昨今、中国が習主席独裁体制を固めた点を考慮すれば、米朝首脳会談に先立って中朝首脳会談が設けられたこととなりましょう。そして、同トップ会談で話し合われた内容としては、(1)中朝友好協力相互援助条約の発動による人民解放軍の介入、(2)ロシア等に対する参戦要請による自陣営の拡大、(3)日本国や韓国における戦時テロ・破壊活動に関する協力、(4)中国が不介入とした場合の金一家の亡命受け入れ等が推測されます。
突然の訪中であっただけにその内容は詳らかではありませんが、中国側からの公表であった点を考慮しますと、中国側が、何としても米朝会談を出し抜くための一手を打とうしているようにも見えます。日本国政府もまた、あらゆる事態に対応できるよう、同盟国であるアメリカとの十分な事前調整を進めると共に、有事への備えも怠ってはならないと思うのです。
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米朝首脳会談を間近に控えたこの時期にあって、北朝鮮要人が中国を訪問しているとする情報が、目下、関心を集めています。同国の要人とは、共産党当局者の談によりますと、金正恩委員長本人とされていますが、この訪中、果たして何を意味するのでしょうか。
メディアによる凡その見立ては、米朝首脳会談でのトップ解決に向けた中朝間の事前調整であり、北朝鮮は、遂に核放棄を決意したと言うものです。中国側は、以前より、金委員長訪中に関しては、非核化に向けて取り組む姿勢を示すことを、受け入れ条件として付してきたからです。訪朝が実現した以上、北朝鮮が中国側の条件を満たしたと見るのが自然であり、同条件については中国の共産党当局者が説明している点も、北朝鮮の核放棄を前提とした中朝打ち合わせ説を補強しています。
仮にこの推測が正しければ、北朝鮮は中国に対して幾つかの要請を行った可能性があります。第一に考えられるのは、アメリカが要求している“検証可能な核放棄”に応えるために、中国に対して核査察の実施国となるよう要請したとする説です。中国による核査察は信頼性に欠けるため、アメリカが同案を承認するとも思えませんが、北朝鮮としては、中国が最も望ましい査察国なのでしょう。第二にあり得る要請は、中朝友好協力相互援助条約を締結している中国に対する核の傘の提供です。朝鮮半島全域を非核化するとしても、韓国が米韓同盟に基づいて米軍の核の傘にある以上、北朝鮮も、“丸腰”は望まないはずです(もっとも、交渉の結果、韓国から在韓米軍が撤退するならば、この線は消える…)。そして、第三に可能性として挙げられるのは、仮に米朝首脳会談が決裂した場合の対応です(もっとも、第4として、米国による軍事攻撃を怖れた金正恩の事実上の中国亡命であり、“替え玉”を帰国させるためであるという可能性も指摘できます)。
上述した“共産党当局者”は、北朝鮮が非核化に舵を切った、即ち、アメリカに対して事実上降伏したかのような口ぶりですが、北朝鮮と同様に、虚偽の発言を常とする中国が事実を述べているとは限りません。戦略や謀略に長けた中国のことですから、北朝鮮が核放棄に応じたとする説明は、自国、並びに、自国陣営を有利な立場に導くための策略の一環であるかもしれないのです。となりますと、上述した推測の内、第三の可能性が、俄然、高まります。
第三の可能性についても、あり得る想定は一つではありません。そもそも、中国共産党が嘘をついているならば、北朝鮮の要人が“金正恩委員長”であるとする説明をも疑わなければならないのです。また、米朝決裂への備えであるならば、昨今、中国が習主席独裁体制を固めた点を考慮すれば、米朝首脳会談に先立って中朝首脳会談が設けられたこととなりましょう。そして、同トップ会談で話し合われた内容としては、(1)中朝友好協力相互援助条約の発動による人民解放軍の介入、(2)ロシア等に対する参戦要請による自陣営の拡大、(3)日本国や韓国における戦時テロ・破壊活動に関する協力、(4)中国が不介入とした場合の金一家の亡命受け入れ等が推測されます。
突然の訪中であっただけにその内容は詳らかではありませんが、中国側からの公表であった点を考慮しますと、中国側が、何としても米朝会談を出し抜くための一手を打とうしているようにも見えます。日本国政府もまた、あらゆる事態に対応できるよう、同盟国であるアメリカとの十分な事前調整を進めると共に、有事への備えも怠ってはならないと思うのです。
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