そのあたりに放置されているから、少し虫食いもあるみたいでした。大事にしよう、もしよかったら、自分もしてみようと、実家から持ってきたものなのに、この扱いです。
ああ、私ったら!
必要もないし、うまく利用もできないのに、ふくらませるだけふくらんで、無駄なものをため込んでいます。
他にもたくさん無駄なものはあるはずです。
でも、見て見ないふりをしています。
このマフラーは歴史の古いものだと思われるのです。
確か、父と母が冬の装いで立っている写真がありました。昔だから、父は帽子もかぶっていました。母は女優さんみたいなたたずまいをしていた。
その写真の中で、オシャレした父の首のまわりにあったのがこのマフラーではなかったかな。
ということは、半世紀かそれ以上昔のものです。そういう格好をするわけはないのだけれど、気取ってみたかったし、父たちの雰囲気を自分の家の中に取り込みたかったわけなのかなあ。
写真も撮ったから、あとはこの冬でも、いつかチャンスがあったら、一回でも巻いてみて、あとはタンスの中にしまってあげようと思います。
いつか朽ちていくし、虫食いは広がることでしょう。私が存在する限りキープして、いつか誰かが処分するのかな。物って、意外と長持ちです。人間はもっともっと早くいなくなってしまうものなんです。
それは少し悲しいけれど、ごくどこにでも、そういうことはあるみたいです。自分の番なんて、簡単に来てしまう。
でも、ブルハーツが言ってました。「生まれたからには生きてやる」って、そうです。「ロクでなし」「頭うす」「ちっちゃいオッサン」……、何て言われたって、毒を吐き散らして生きてやろうと思うんです。
でも、すぐ父みたいに、チンマリといい人然としてしまう。父だって、時々はお酒飲んで家族(母に)わめき散らす時もあったんだけど、あとはコロリといいオジイチャンでしたからねえ。困っちゃうなあ。クソジジイになりたいのに、なかなかなれないです。
いや、ジジイじゃなくて、オッチャンで頑張ろう!