初瀬街道 朝の八太宿

　参宮街道の市場庄から近鉄大阪線に沿って、長谷寺経由で桜井まで出て行く道が、初瀬街道です。ところどころつまみぐいで昔の宿場町を歩くチャンスに恵まれたりします。

　それで、先日、たまたま名松線を撮ろうと思っていたら、看板を見つけて、にわかに街道心がわき起こって、写真を少しだけ撮りました。

　場所的には、名松線の一志駅、近鉄大阪線は川合高岡駅が再接近しているところで、歩いたら150メートルくらいかもしれません。そこから２つの路線はそれぞれに、名松線は本来なら山の中を通って名張まで貫通するつもりであったものが、山の途中の伊勢奥津で止まっています。近鉄は青山高原を貫いて大阪まで通じています。



　宿場の入り口にちゃんと表示板がありました。けれども、手作り感がありますし、公のものではなくて、地域で用意をした感じです。中学生とすれちがいましたが、どの生徒も「オハヨウゴザイマス」と言ってくれます。

　男の子の集団なら、ノリで言ってくれるでしょうけど、女の子が１人でも、すかさず言ってくれるので、これはなかなか教育されているようです。小学生の集団には合わなかったのは、まだ早かったからでしょうか。

　いや、一志町は、津市に合併されてから、小学校の統廃合が進んで、５つほどあった小学校が２校に減らされたということです。何事も経済優先の世の中だから、田舎は遠い距離をバスで通学させたりするようです。自分の足で自分の小学校に通えない子供たち、仕方がないんでしょうね。



　意気込んで宿場に入りました。とっかかりのこの蔵のおうちはなかなかいい雰囲気です。もっと古いおうちはないのでしょうか。

　古いおうちを探して、ということは写真がメインで歩いているので、町の空気をなかなか吸えていませんでした。でも、ちゃんとそれなりに町歩き気分なので、すれちがう人がいたら、きれいなお姉さんともすれちがいましたが、朝のあいさつをしました。びっくりするくらいうれしかったんです。

　そうです。彼女はこれから近鉄に乗ってお仕事へ出て行くはずですが、小さい頃から町では挨拶するように指導されてきたので、町ですれちがう知らないオッサンにも、一応挨拶はするのです。たいしたもんだ。

　電車の時間が迫ってきたので、一志駅に戻ることにしました。



　スーパーニッカ、昔、オーソン・ウェルズがコマーシャルに出ていた、あのウイスキーです。もう３０年以上前のウイスキーです。今もあるでしょうか。とにかく昭和な感じのお店を見つけました。


　一志は、レスリングの吉田さおり選手の地元なのか、彼女がメインのイベントも行われるようです。地元の偉人なのですね。すごいなあ。レスリングでそのうちスポーツ大臣になるかもしれません。自民党に入らなきゃ、大臣になれませんね。入ってもらわなくちゃ。東京オリンピックまでに大臣になるのは無理かもしれないし、彼女は東京においても現役にこだわるかもしれない。たいしたものです。



　橋の上におじいさんがいました。熱心に川面をみつめています。何が見えるんだろう。孔子さんと同じで、時の流れを見つめていたのかなあ。釣りする前の下見だったのかなあ。



　そして、名松線です。ワンコさんと一緒に撮りました。私は、この飼い主さんには挨拶しましたが、コミュニケーションを取りたかったのはワンコさんでした。ワンコさんも怪しい動きをする私が気になったようですけど、私は電車を撮らなきゃいけませんでした。そのわりに、大したものは撮れてませんけど……。


１　八太宿　朝のあいさつ　ススキの穂

２　白い犬　秋の街道　パトロール

３　老爺見る　川面に秋の　光りかな

　ああ、すれちがったお姉さんを詠みたかったですね。難しいなあ。