円 空 鉈 伝 古田十駕作
江戸時代初期。名主の娘が領主の子を宿しながら暇を出されて男児を生んだ。
6年経った時、藩から母親は出家させ、子供は寺に預けるように言ってきた。
私生児として育った覚念は名を円空と改め、修験僧として南は濃尾、北は蝦夷までの
霊地を巡り、行く先々で請われるままに仏像を木片で彫って寺に納めてきました。
長い歳月をかけ、12万体の仏像に母への想いと情念を彫り込みます。
私は、写真でしか円空仏を見たことがありませんが、あの子供が悪戯で彫ったような木片が
騒がれ崇められるのか分かりませんでしたが、仏像の柔和なお顔に込められた円空さんの信仰心や、
邪気のない無心の境地が、表れているのだろうと思います。
修験の行や難解な宗教用語などに悩まされましたが、大変勉強になった本でした。