リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2007年7月~その2

2007年07月31日 | 昔語り(2006~2013)
ボケ日和

7月15日。何となく久しぶりだなあと思ったら、あら2日ほど空白。どうやら仕事にしっかり集中していたらしい。週末に重なっていた仕事のひとつがドタキャンされて万々歳。おかげでやたらとしちめんどうくさくてイライラするExcelとPowerPointのファイルの仕事にちょっと気持の余裕。早めに終わらせて納品してしまえば、2、3日はのんびりできそう。あれ、なんだかもう休みが欲しくなってきたような・・・

日本は三連休だというのに、台風やら地震やらと何だか大変らしい。こちらは急な猛暑が一段落?して、ごくあたりまえの7の気温に戻ったようだ。カレシはきゅうりとトマトが急に大きくなり出したと大喜び。涼しいのが好きなはずのほうれん草も、たっぷり水をやってさえいれば、どんなに暑くても董が立たない。10センチほどに伸びた葉を摘み取ってサラダにすること4目。若葉を食べていたビーツはそろそろ葉が固くなってきたから、好きにさせるんだとか。大きなビーツが取れたら、ローストにしようか、カルパッチオにしようか。それにしても、人間やモノには完璧を要求するカレシが庭の植物にだけは「ま、いいか」主義らしいからおもしろい。もっとも、昔はちょっと育ちがわるかったりすると「非協力的」と怒ってポイッと捨てていたんだから、よけいにおもしろい。ひょっとして年のせいで気が長くなったのかな・・・?

時差ぼけと風邪ですっかり狂っていた私たちの生活時間も2週間かかってやっと「標準時」に戻ったようだ。朝の8時、9時なんて私たちの標準時ではまだ夜中も同然なのに、そんな時間に起きて朝の光なるものを浴びて妙に感動したり、しかも昼前から仕事を始めたりして、ほんとに変な暮らし。

カレシはまだガンコな咳が続いていて、目が痒いとぶつぶつ。まあ、私が先に罹ってしっかり培養したウィルスをもらったんだから、私より回復が遅れてあたりまえなんだけど、土曜日にはクリニックに行って、点眼薬と鼻づまりの薬を処方してもらってきた。いつもなら医者にかかろうとせずに愚痴ばかり言っているカレシが自分からクリニックに駆け込むんだから、よっぽどなのかな。でも、今日はきのうよりもずっとエネルギーがあると言っているから、後は気の持ちよう。

先週、末弟夫婦と食事に行った時に出てきたコース料理のひとつが冷たい「トマトのエッセンス」。無色で透明なスープなのに強烈にトマトの味がした。お皿の底にはボール形にくりぬいたトマトが2つ。夏らしくて、すごく、すごくおいしかった。どうやってトマト色のないトマト味スープを作るんだろう。ここはひとつレシピを探して、どうしても一度作ってみなくっちゃ!

あ~あ、時差ボケ、風邪ボケ、仕事ボケを早く解消した~い。

天気図を読む

7月16日。何もしないと決めた月曜日。いつのまにかニューヨークタイムズの日曜版クロスワードパズルが1ヵ月分もたまっていた。のんびりするにはこれが一番。このパズルのとりこになってたぶん20年くらい。地元新聞の土曜版に1週間遅れで転載されるのをわざわざ買いに行っていたけど、この分だけに年間購読料を払ってダウンロードできるようになってからは旅行に行っていても逃さずに済むようになった。けっこう大きなのを全部埋めるのに1時間かからないときもあれば、3日くらいウンウンと知恵を絞るときもある。あっとひざを打つような言葉のお遊びがあったりすると、もううれしくて夢中になる。

何もしないはずだけど、食料の買出しという仕事はある。野菜が底をついて来た。私が料理に使うものはキッチンの冷蔵庫の野菜ボックスに、カレシが使うものはセカンドキッチンの小さい冷蔵庫、と分けてあるけれど、二つともほぼ空っぽなのだ。そういえば、シリアルもストックがないから、スーパーにも行き、お酒もなくなりかけているものが多いから、酒屋へも行かなければならない。青果屋に、スーパー、酒屋と回遊ということになる。

それぞれ近いのだから、三ヵ所を一気に回ればいいものを、カレシはとにかく野菜だけ買うことにして、スーパーと酒屋は夜になってから閉店時間近くに行くのだという。(青果屋とスーパーは同じモールにあるのに・・・。)何となくエネルギーがないからだそうな。それだったらなおさらのこと、一回の外出で買い物を全部済ませて、後はのんびり昼寝でもしたほうが良さそうなものだけど、カレシは「話を聞かない男」だ。

風邪が抜けなくて調子が悪い・・・つまりは、日常と違う状態に苛立って、無意識的に自分が支配者であることを確認したい心理になっているらしい。ある意味で、自分の体がマニュアル通りに機能していないことでストレスになって、不安神経症が高じてくるらしい。それが私のレーダーに雨雲になって引っかかる。どう考えても一回で全部回った方が効率的ではあるんだけど、そういう心理になったときは効率もへったくれもないのだ。まあ、今日は仕事はしない日だから、午後と夜と二回のショッピングに付き合った。

地図が読める女は話を聞かない男の天気図も読まなければ・・・。

雨上がり

7月17日。明け方に雨が降ったらしく、今日は朝から涼しい。午後の気温が18度と、7月としてはちと涼しいけれど、この天気は週末まで続くというから、かけっぱなしだったエアコンもしばしお休み。室温がせいぜい25度でエアコンというのも環境にやさしくないぜいたくだけど、何しろ寒冷地育ちのホッキョクグマなもので・・・

バンクーバーは西岸海洋性気候地域にあるから、冬は温暖で雨ばっかりだけど、夏は涼しくて乾燥する。冬には1週間、2週間と降り続いたりする雨も、夏には1ヵ月くらい降らないことがある、降雨量に関してはけっこう極端な気候だ。そんなバンクーバーで生まれ育ったカレシは「高温高湿」の夏が何よりも苦手。(道産子の私も湿度は大の苦手だけど・・・。)その昔、連邦政府官僚のキャリアを捨ててオタワから帰ってきたのも、高温高湿の夏に耐えられなかったからなのだそうだ。

たかだか25度でエアコンをかけたまま寝ると主張するカレシを見ていると、日本へ行って英語教師をやると騒いでいたあの頃に望み通り行かせていたら、どうなっていたかなあ、とちょっぴりイジワルなことを想像してしまう。まあ、ジャパニーズガールにもててもててウハウハという夢は叶った(かどうかは怪しい)としても、東京のような何もかもが高密度で詰まっているところで「生活」するとなれば、ウルトラ高温高湿の夏が来たとたんに夢のシャボン玉が一気にパッチン。極度のストレスで日本の何もかもがイヤ。イライラのキレまくりでロマンスも行き詰まり、ホームシックになって逃げ帰って来たら、離婚訴訟を起こされていて、戻れる家も職もなし、という何ともしょぼい成り行きだっただろうなあ。人生の夢には逆夢でこそ正解というものもあるってことなのだ。

もっとも、カレシが正解だったと思っているかどうかはわからない。家庭も経済基盤も保持して安穏な退職生活を送っている今、「あのときに何もかも捨てて行かなくて良かった」と思っているかもしれないし、あるいは逆に、何かの折につけて「あのとき思い切って行っていたら、今頃は」という思いが心をかすめるかもしれない。まあ、私だって、「あのときに捨て身で止めてよかった」と思っているけど、時には「あのときさっさと日本へ送り出して、彼のものを全部まとめてママのところに送って、きれいさっぱり離婚していたら、今頃はどうしていたかな」と、ふっと想像してみたりするのだから。

何ごとも軽く「水に流して忘れる」ことを美とする文化もあるけれど、人間の心は良くも悪くもハードディスクじゃないのだ。第一、何でもかんでも簡単に水に流して済ませるから、歴史から何も学ばずに同じ失敗を繰り返しているのではないのか。それじゃあ、トラブルがあるたびに「ゴメン、許せ」という形だけのお辞儀で、後はさっぱり水に流して忘れるどこやらの国の企業経営者だちと同じ。喉もとを過ぎればどうせ同じことを懲りもせずに繰り返すだけ。もちろん、過去のぬかるみに足を取られていても進歩はない。だから人間は、一歩進めば岐路に当たり、一歩進んだらまた岐路という、あみだくじみたいな道程を、記憶を地図代わりにして、ぬかるみを遠回りしたり、埋めたりしつつ歩いているんだと思うけど。

市役所はストだって

7月18日。今日も雨模様で涼しい。お昼の気温は15度。おいおい、ほんとうに7月なのかいといいたくなるような天気。週明けまではこの調子らしい。天気のせいかどうか知らないけど、10時間も寝てしまった。カレシまでがエアコンがかかってないほうがよく眠れるなどといっている。

市役所の組合はいよいよ明日の朝からスト入りらしい。月曜の朝にスト決行の72時間予告が出たときにあちゃ!と思った。1週間分のゴミを出すその日の朝からスト入りになる勘定。でも、ごみ収集カレンダーを見たら7月いっぱいは水曜日が収集日。スト入りの前日だ。とたんにラッキー、ラッキーとばかりゴミ容器をいっぱいにして出しておいた。バンクーバーのゴミ収集は1週間に一度だけど、祝祭日があると収集日が移動するので毎月くるくる変わる。金曜日から月曜日に移るときは9日、イースターやクリスマスのときは10日も間が空くことになるから、出し忘れたら大変。

こっちのストライキは、日本でよくある「○時間スト」と違って、いったん始まったら妥結するか政府が介入するまで延々と続く「無期限スト」だ。ずっと昔には郵便が1ヵ月半も止まったし、バンクーバーではバスが2ヵ月近くストップしたこともある。公共事業や公共性の高い産業の場合なら、長引けば政府が介入して、Back-to-work order(職場復帰命令)を出すこともあるけど、そうなると次に協約が切れたときに交渉が難航してまた長期スト入りなんてことにもなるからやっかいだ。

市役所のストでは何年か前にゴミ収集が1ヵ月半ストップしたことがあった。そのときは政府がゴミ収集を「基本サービス」に指定して強制的に再開させたのはいいけれど、怒った組合がトラックの出庫を阻止してしまったので初日のはずの我が家の地区は1週間後になってしまった。ゴミ収集がまだ「基本サービス」に指定されたままなのかどうかわからないけど、今日が収集日だったのはラッキー。野菜くずはコンポストにするし、ビンや紙類はリサイクルするので、問題はキッチンのゴミだけど、市が支給したゴミ容器を一杯にするのにふだんは2週間以上かかるから、ゴミ袋をぎゅっと圧縮して入れておけば、3週間くらいは何とかなるだろう。

カナダに来たばかりの頃、スーパーの組合がストをして、二つしかないスーパーが揃ってシャットダウン。車を持っていなかったから歩いて行ける範囲で食料品を買うしかない。でも、あるのは小さな雑貨屋程度。肉屋や魚屋があっても貧乏暮らしの財布には手が出ないから、缶詰料理で何とかしのいだ。政府が職場復帰命令を出して不自由は2週間ほどで終わったけど、当時はまだ始まったばかりの異国生活で辺りをきょろきょろ見回していたときだったので、うまく対応できるだけの知恵もなくて途方にくれたものだった。

スト中はもちろん給料は出ないから、ストが長引けば実質的には賃上げ以上の賃金カットになってしまう。なんだか無意味な気もするんだけど、組合としては将来の賃上げ交渉のベースになる数字を嵩上げしておきたいということだ。それに、共働きが一般的だから、一人暮らしでもなければ生活に困窮するケースも少ないだろう。私自身も公務員時代に2度ストを経験した。カレシも同じ組合だったから収入はゼロ。初めてのストは1週間で終わったけど、2度目のときは長期化の予想。家のローンの支払もあったから、無収入はたまらんと、スト中に転職先を探して、スト明けに退職願を出したのだった。

出る釘は声高で高慢

7月19日。今日の新聞に短いけれども考えさせられる特別寄稿が載っていた。企業の上層部にvisible minorityが少ないのはなぜかという記事が最近あって、その中で「人種差別」によるものだと説明されていたらしい。Visible minorityというのは、見た目でヨーロッパ系でないとわかる、つまり白人以外のカナダ人や永住者を指す言葉だ。かって何かと差別の対象になった「少数グループ」だけど、バンクーバー圏では次の国勢調査年までに人口の過半数を占めるようになるといわれているから、そうなったら逆に白人が「目に見える少数グループ」になるわけで、そのときはこんな言葉も死語になるかもしれない。

それはともかく、「人種差別」という説明に対して、寄稿の筆者は「アジア人の文化と学業成績偏重に答があるのではないか」という、違う角度からの説明を提示している。アジアではひたすら黙って勤勉に働けば成功するかもしれないが、西洋文化では声高でかつ高慢な人間の方が高く評価される。でも、アジア系の子供たちは人との交流を通じてコミュニケーションのような社会的技能を磨けるスポーツや芸術を疎かにしてまで、学校で良い成績を取るようにプレッシャーをかけられているというのだ。本とコンピュータゲームに鼻を突っ込んだままの毎日では、ソーシャルスキルは身につかないというわけだ。

なるほど、「声高で高慢」とはよくいったものだ。要するに、自己表現、自己主張ができなければ人に話を聞いてもらえない。話を聞いてもらえなければ、どんなに能力があっても注目してもらえないから、リーダーシップを発揮することもできない。特に日本文化は元々「黙って謙虚」を美徳とするところへ、戦後日本は学歴偏重で子供は「遊んでないで勉強、勉強」。「声高で高慢」どころか、どうも対面でのコミュニケーションスキルが退化して来ているようにさえ見える。これではリーダーシップは育たないだろうに。

そこへもってして、自分の考えや信条を主張する人を「自己中」とか「我が強い」とか「自慢屋」とか、まるで反社会的性格の持ち主のようにいう社会では、コミュニケーションを取ろうとする意欲まで沈黙してしまう。まあ、自分が太刀打ちできないから沈黙させようというところかもしれないけど。ローカル掲示板を見れば沈黙へのプレッシャーは一目瞭然。カナダに住んで、カナダ流コミュニケーションスキルを習得した日本人女性となると、「気が強い」、「勘違い」、「嫌味」、「変な人」と非難ごうごうになる。そうして「声高で高慢」な釘を叩いてばかりでは、若い日本人移民の中からカナダ社会でリーダーシップを発揮する人材が生まれる可能性は残念ながらまずなさそうだ。でも、日本文化を守るためだからというのなら、それもしょうがないか。せめて、出る釘は自由にさせておこうという太っ腹くらいは見せてほしいけど・・・

医者通いして、それからが

7月20.相変わらず降ったりやんだりで寒々とした日。何だかアイルランドの天気がここまでついて来たみたい。電力会社が地下鉄関連の送電容量増強のためとか称して我が家のそばの道路を掘るというので、すわ早朝から騒音か、と思ったら、10時に目が覚めてもし~んとしている。雨のせいなのか、掘った穴を週末放置しておけないからなのか、市役所が全面的ストにはいったせいなのか、とにかく今日の作業はないようだ。カレシがせっかく掘らない側に止めてあったトラックをどかしてあげたのに。(まあ、トラックのエンジンがかかることがわかっただけでもいいか。)

カレシの風邪がどうしても抜けならいらしくて、まだ喉や耳が痛いからもう一度ドクターに診てもらうといいだした。コリアンスーパーに行くチャンスだぞというのは、私について来てほしいという意味。私の方はさっと治ってしまったのに同じ風邪で3週間も不調が続いているのは、ひょっとしたら隠れた感染症があるせいかもしれない。ドクターのオフィスまでついて行くつもりでいたけど、カレシは二人で待っていても時間のむだだから、私はコリアンスーパーで買い物をしていろという。予約が2時半ならどっちみち帰りはラッシュにぶつかるのになあ。

ドクターの診断は確かに頑固な感染症が残っているようだけど、細菌かウィルスかは検査をしてみないとわからない。ということで、採取したサンプルをダウンタウンにある検査センターに届けて、時計を見ると3時半。金曜日はなぜかラッシュアワーの始まりが早い。どうする?Rodney’sのスペシャルは何時から?4時。じゃあ、デイヴィーの中古レコード屋で時間をつぶして、それからRodney’sで夕食をして帰ろうか。そういえば土曜日はまだどこにも予約を入れていなかった。車はパーキングメーターに止めてあるけれど、市役所がストということはチェッカーもスト中で回ってこない。早く言えば、スト中はダウンタウンの駐車はタダでおまけに時間制限なし。そうしよっ!

デイヴィーストリートは昔からちょっと変わった雰囲気がある通りだ。私たちがこの辺りに住んでいた頃は派手に露出した売春婦がぞろぞろ歩いていたけれど、今はゲイやレスビアンのたまり場がたくさんあって、おじさんが二人睦まじく手をつないで歩いていたりして、別の意味でまたちょっと変わった雰囲気がある。お目当てのレコード屋は穴ぐらみたいな小さな店で、古いLPがどっさりある。その筋の通が掘り出し物を狙って集まるらしいけれど、いつまでも買い手がなくて埃をかぶっているものもたくさんある。ビートルズやリバプールサウンズ全盛時代の懐かしいレコードもどっさりあるから、大音響で流れる60年代のロックを聞きながら、乱雑に陳列してあるレコードを1枚1枚見て行くと、青春花盛りの頃のときめきみたいなものが蘇ってきて何だか楽しくなって来る。カレシはCD版がないジャズの古レコードを2枚見つけて買って、少し元気が出たようだった。

結局2時間もダウンタウンを歩き回ってすっかり腹ぺこの二人。Rodney’sのいつものテーブルでビールを傾けながら、3ダースの生牡蠣を平らげ、カレシはシーフードたっぷりのサラダ、私は丸々とした蒸しハマグリで仕上げ。ついでに「Sea Witch(海の魔女)」というおもしろい名前のRodney’s特製ソースまで買って、すっかりいい気分になった。ミルクがないからと帰りに寄ったいつものスーパーではチョコレートのかかった大きなドーナッツまで買ってしまったカレシ。どうやら回復に向かい始めたのかな。コリアンスーパーではしゃぶしゃぶ用のビーフを買ったから、明日はうちにいてのんびりとしゃぶしゃぶにしようね。大豆もやしも買ったからナムルも作るね。

夏よ、さよなら

7月21日。今日も朝からどんよりと暗い。午後3時でやっと17度。平年並みの気温は23なんだから、これで本当に7月下旬なのかなあ。おいしいものを食べに行こうという意欲さえ何となくしぼんでしまう。もっとも、きのうたっぷりと堪能してきたから、今日は行きたくなくても別にいいんだけど。いくら食道楽だからって、毎日が道楽三昧だったらくたびれるはず。たまにはマクドナルドのハンバーガーを食べたくもなるというもの。

今日のカレシはしごく機嫌が良い。喉の痛みが消えたとかで、声もあまり鼻声でなくなった。ドクターに行っただけで具合が良くなることもあるんだな、という。それは「安心効果」というものじゃない?我が家のホームドクターは気休めを言わないし、必要だと思わなければ薬もくれない。わからなければ、あっさりとわからないと言い、臨床検査で消去方式に原因を調べる。全部ネガティブだったら「心配ないよ」の一言で終わり。絶対的な信頼がなければ不安になってしまいそうだけど、先生の洞察眼はすごい。腰痛が前面に響いて下腹部から膝まで疼痛がして困ると訴えたら、「内科の原因かもしれないから薬はやめておこう」と言われた。卵巣嚢腫が破れて緊急入院したのはそれからわずか数ヶ月後で、先生曰く、「やっぱりそうか」。だから、心配なしといわれれば、それだけで元気になってしまう。まるでドクター・プラセボじゃないの。

夜でかけないとなれば、今夜が期限の小さい仕事をちょっとのんびりとやれる。週明けには中くらいのが入ってくることになっているけど、その後がてんやわんやになりそうなので、猫が忍び寄ってこないうちにねずみはひと遊びしよう、というわけ。というのも、木曜の「終業時間」間際に緊急マークのついたメールが飛び込んできた。仕上がり語数が推定6桁にもなりそうなメガ仕事を短期でやれるかという。おもしろそうな内容だし、エージェンシーにとっても大きな実績になりそうな仕事だから、一瞬、う~んと絶句。ひとりでも無理すればできないことはないけれど・・・。

メールが早飛脚みたいに行ったり来たりして、結局は二頭(人)立て体制で話がまとまった。それでも私の分は6割だから9月の声を聞くまではねじり鉢巻の毎日になりそうだ。これだけに週7日専念してまじめに1日のペースをこなせば1ヵ月以内に完成させられそうだけど、どっこいそうは問屋が卸してくれないから、一人ぼっち稼業は辛い。これで、大学の課目の取り直しも当分はお預けだなあ。延長の申請期限を逃して結果的に良かったということで、またまた塞翁が馬。缶詰めになってしまえば、夏の天気も、雨続きだろうが猛暑だろうが、どうでもいいや。それよりも、なによりも、もう3ヵ月も手を変え品を変えして「納期はいつ頃になるか」と見積もり依頼ばかり送って来ているダラダラ客に、「作業開始は2ヵ月先で、それから1ヵ月半」と返事をしたら爽快だろうなあ。何だかこっちの方が楽しみのような・・・

世の中をサイバー観光

7月22日。ほんとうに仕事のない日曜日。珍しいなあ。まあ、夕方は日本が週明けになって、何が飛び込んでくるかわからないけれど。それでも、とにかく今日は久々の「日曜日」。いつもそうだけど、急に何も仕事がないと何だか手持ち無沙汰になる。外は相変わらず雨空で寒々。ひまにあかせてあっちこっちとサイバー世界を観光客してみると、世の中っていろいろとおもしろい。

へえ、ケータイって電話じゃなかったのか: 日本ではケータイでリアルタイムに会話をする人が減っているらしい。ふ~ん、顔が見えないといえ、「電話」は向こうに生身の人間がいるもんなあ。電話で話すってことはその場で考えなくちゃということか。テニスマッチみたいに予期しないところへボールが飛んで来たりするから、受動態の他力本願じゃあ勝負にならない。ケータイメールを送って返事が遅いとやきもきする方が精神的に楽なのかなあ。それもヘンな話だけど・・・。

幸せな結婚の鍵は貞節: ニューヨークでの調査の結果。回答者の97%が「貞節」を一番にあげた。次に重要なのが充実した性生活、次いで家事分担だって。日本で同じ調査をやったら、トップはきっと「(男の)収入が多いこと」じゃないのかな。何しろ、彼氏の収入が少なくて結婚に踏み切れないと嘆くお嬢様たちがぞろぞろいるらしいから。どっちみち貞操観はバブルと共に消えたんだから、そんなに男に依存したいなら金持ちの愛人になった方が取替えも楽だし、いつまでも「恋愛モード」でときめいていられるだろうに。まあ、お金で幸福は買えなくても、お金があれば幸福感も高まるのは確か。もちろん、どっちがそれを稼ぐかが問題なんだろうけど・・・。

ダンナが毎日早く帰ってくるのでうっとおしい: へぇ、まだ「亭主、元気で留守がいい」という奥サマたちが健在なんだ。こんな人はどうして結婚したんだろう。やっぱり、いつまでも働くの疲れるから、早く結婚してダンナに養ってもらって・・・?そんなこといったら、ほぼ毎日24時間いっしょにいるうちはどうなんだろう?うっとおしいどころじゃないと思うんだけど、うっとおしいとは思わないなあ。だって、カレシはあばたもえくぼも全部ひっくるめて、私のダーリンなんだもん!

今のうちに旦那を厳しく教育します: うへぇ、今どきの日本人妻って教育ママみたい。あたしの仕様通りに家事をやってね、ベッドが汚れて気持悪いから毎日シャワーしてね、ちらかさないでね、おかたづけしてね、あなたの親兄弟とは仲良くしないでね・・・あたしの理想の夫にたたき直してあげるわねって?まあ、今どき日本人妻志向の男はお子さま風が多いらしいから、ミスマッチというわけでもないだろうけど、「おとなしくて従順」な日本人妻が「ダンナの教育」について情報交換してるの、知ってるのかな?それにしても、ママがやり残したしつけをなんで妻がやらなきゃならないの・・・?

友だちをやめようと思うんですけど: おいおい、「随時入会、随時退会」のフィットネスクラブの話じゃないでしょうが。「はい、あなた、今から私のお友だちね」・・・「今日であなたとは友だちやめるね。さよなら~」なんて、自分の意思ひとつで「友だち」を作ったりやめたりできるとは。それじゃあ友情を育てるヒマもないでしょうに。今どきの人の友だちって何なんだろう・・・。

まあ、社会文化は時代と共に、世代交代と共に、政治や経済の情勢に合わせて変わって行くのは、どこの国でも同じ。恋愛観、結婚観、道徳観、世界観、歴史観、人生観・・・人の価値観も常に変わって行くけど、それが前進なのか後退なのかはまた別の話で、人それぞれ・・・

夏、再デビュー?

7月23日。夕方になってちょっとだけ青空がのぞいた。さよならしたと思った夏がどうやら戻ってくるらしい。連続7日雨が降ったそうだ。7月は乾期じゃなければならないんだけどに・・・

バンクーバー市役所は今朝から内勤もスト入りで、業務はほぼ全面的にシャットダウン。秋まで続きそうな予想だとか。長く、くさ~い夏になりそうだとマスコミは騒いでいる。ま、夏の盛りに街中がゴミの山になって、健康被害が出そうだということになれば、ごみ収集だけはまた何らかの法的手段で再開させるだろうけど、当面はキッチンのゴミ箱には腐るものだけを入れて、袋をできるだけ小さく圧縮して、外のゴミ容器に保管するようにしなくちゃ。あまり猛暑にならなければ良いんだけど、う~ん、青空が見えたからって、喜んでもいられないような・・・

だけど、イマイチ釈然としないのが、「パーキングメーターにはストの影響がない」というニュース。この前のときはチェッカーもしっかり職場放棄したから、メーターにコインを入れなくても駐車のし放題だったのに、今度は平常通りチェックするというのはなぜなんだ?どうして、駐車料金の徴収がなくてはならない「基本サービス」で、なければ市民が一番困るゴミの収集は「基本サービス」じゃないの?わからないなあ・・・。

イギリスからはまたあちこちで洪水のニュース。エイヴォン川も危ないような話だけど、バスは大丈夫かな。イギリスは島国だから川は短いだろうし、あまり幅の広そうな感じでもないから、何十年とか百年に一回というような雨量だと、外海に排出しきれないで溢れてしまうのだろう。北半球では降雨量が増加しているという話だから、これからもあちこちで洪水は増えるだろうなあ。

そういう我が家もBC州の「母なる川」フレーザー川の北支流の河口からあまり遠くない。ロッキー山脈から延々千数百キロを流れてくる大きな川だけど、この春は冬に積もった多量の雪が急に融け出して、支流も含めて、上流のあちこちで洪水が起きた。バンクーバー郊外のふだんはゆったりして見える下流一帯でも、カレシが5才の年(私が生まれて間もない頃)に2万ヘクタール以上が冠水するという大洪水があったそうだ。この春だって氾濫ぎりぎりの水位まで増水して、避難勧告が出た地区もあった。バンクーバー市も将来は氾濫原にならないという保証はないのだ。

我が家が建っているところは大昔は川底だったから土は粘土質で固く、雨が続くと庭が水たまりだらけになるほど水はけが悪い。もっとも、斜面の中腹にあるから、今のところは側溝が溢れても道路が川になる程度ですむ。だけど、もしも日本で起きるような24時間に数百ミリとかいう集中豪雨があったらどうなるかわからないなあ。半地下にある私のオフィスも水浸しになってしまうかな。まあ、窓はかなり密封度が高いから、じゃぼじゃぼと流れ込んでくることはないんじゃないかなあ・・・と、極楽とんぼは考えるけど、う~ん、地表より低いベースメントドアの外にある排水口だけは泥が詰まらないようにしておこう・・・

ああ、お役所

7月24日。ぐっすりよく眠っていたのに、カレシに鼻づらをなでられて目を覚ました。「あまりすやすやと眠ってるもんでつい」だと。時計は11時。久しぶりにいいお天気。外は静か。仕事があるんだけど、まあ、せっかくいい気分で目が覚めたんだし・・・と、そろそろ起きようかと言い合いながらも、しばしいちゃいちゃ。だけど、20分もしないうちに外でドタン、ドタンと工事の音。あ~あ、せっかくいい雰囲気だったのに・・・。

送電線埋設の工事は、まとめて一気にやればいいものを、何だか小出しにやっている。しばらく大音響が続いて、静かになったと思ったら、道路の舗装が長方形にきれいに剥がされていた。曲がり角でもあるから、そこにジャンクションボックスを埋めるらしい。それにしても、カレシは外で大きな音がするたびに二階に上がったり、外へ見に行ったり。元々外で物音がすると「どこのどいつが~?」と気になってしかたがない性質だからしかたがない。まあ、運動になっていいのかもしれないけども。

郵便の中に私宛の政府の小切手が混じっていた。金額は何と2ドルと81セント(約320円)。ビジネスの関係で返ってくる物品サービス税かなと思ったら、「所得税の還付」と書いてある。ええ、どうして?4月の申告のときには、還付どころか、収入増で税額が前納分では足りなかったから、差額を送ったのになあ。と、首をひねっていて思い出したのが、5月に税務署から来た確定通知。ちゃんと納税期限前に小切手を送ったのに滞納の利子がついていた。その額が2ドル81セント。5月末までに払わないとどんどん利子がつきますよ~なんて脅かすから、たかだか3ドルに満たない金額で税務署とけんかするのも無駄だなあと思って、現金化されていた小切手の額を差し引いた利子分の2ドル81セントを送ったのだった。

ふ~ん、それを税務署は「還付」と称して送り返してきたわけか。つまり、「実は、所得税を2ドル81セントも取りすぎてました~」と。う~ん、2ドル81セントの小切手を送るのに郵便料金が52セント。その小切手を入金処理して、納税記録をアップデートして、そこで間違いに気がついて還付手続き。小切手を印刷して、封筒に入れて郵送・・・やれやれ、いったい何人の手をわずらわせたやら。時給にして合計したらどれだけ経費がかかったやら。おいおい、腕まくりにねじり鉢巻で稼いだお金から払う税金なんだから、取りすぎてもらっては困るけど、チョンボしてムダ使いしてもらっても困るなあ。はあ~~~

夕方のニュースで、郊外で道路工事中の重機が石油パイプラインをぶち抜いて石油が噴出したと報じた。ロッキー山脈の向こう、アルバータ州のエドモントンからバンクーバーの製油所へ原油を送るパイプラインなんだそうな。真っ黒な原油が何十メートルも噴き上がって、近くの住宅地を川のように流れて、バラード入江に流れ込んだという。あたりは並木も家も車も原油をかぶって真っ黒け。入江沿いの幹線道路は通行止めで、避難した住民はしばらく家に帰れそうにないと。ンも~、掘る前に道路の下に何が埋まっているかちゃんと確認しなかったのかなあ。しかるべきところからからちゃんとした図面をもらわなかったのかなあ。それとも、しかるべきお役所がちゃんとしたものを作ってなかったとか・・・?

あのお、うちの外で道路を掘っている電力会社の下請け屋さん、お願いだから、まちがっても水道本管や下水管をぶち抜くなんてヘマはしないでくださいね。市役所はスト中なんだから・・・

騒がしい一日だこと

7月25日。午後10時。やっと暗くなってきたところで、ドドン、ドドンと盛大な音が始まった。恒例の花火コンペの初日。毎年3ヵ国代表チームが花火と音楽のシンクロを競う。ロックあり、クラシックあり。ラスベガスのベラジオの前でやっている噴水のショーを花火を使って空でやっていると思えばいい。

我が家は南斜面で丘のこっち側、花火を打ち上げるイングリッシュ・ベイはあっち側で、残念ながら、音はすれども花火は見えない。それにしても、今夜のスペインのフィナーレはドドドドドーッと派手だった。まあ、国を代表するコンペの形式だけど、コンピュータと打ち上げ装置を連動してのハイテク演出だから、お雇いチームが多い。イベントの仕事をセールスするためのデモみたいなものだ。さて、終わったあとのゴミの山、市役所の管理職が動員されるらしいけど、大変そう・・・

外の工事、誰かが時計を見ながら、「よーい、ドン」と合図をしたのか、今朝は午前7時きっかりに始まった。だけど、二人ともなぜかまた眠ってしまって、起きたのは10時近かったから不思議だ。あんがい、単調な音なら、飛行機の中でのように、少々の騒音でも眠れるのかもしれない。安眠用の「小川の音」が流れているし、カレシは耳栓をしているから、この分なら明日も大丈夫かも。

ドアを開けるとすごい騒音だけど、家の中は遮音性が高いので私はたいして気にならない。そういえば、札幌にいた頃は、冷房のないオフィスで、オリンピック関連の地下鉄・地下街工事のまっ最中に窓を開け放して仕事をしていたし、10何年か前には、向かいの市営ゴルフ場の大改修工事で、来る日も来る日も重機の轟音と家の外でアイドリングするダンプカーの騒音と猛烈な土ぼこりの中で、家に篭って仕事をしていた。最後にバンカーに砂を入れる時は1週間も毎日低空でヘリコプターを飛ばしたから呆れた。さすがにぶっち切れて、何度か施主である市の公園委員会と大げんかをしたけれど。

カレシは1中、工事現場などで使う聴覚防護用のイアマフをつけていた。産業用のごっついヤツだ。やっぱりどうしてもがまんができないらしい。赤ちゃんのときに、夜昼かまわず隣から聞こえる騒音に目を覚ましては泣き叫んだというから、そのせいで生理的に(他人の)騒音がストレスになるのかもしれない。私は仕事の手が離せないので放っておいたら、午後になって、園芸センターで買い物してくると出かけて行った。そうやって自分でちゃんと対応できるのだからエライ。ふつうの園芸店で売っていない、育苗用の四角いプラスチックポットを見つけたといって、100個も買い込んで意気揚々とご帰館。やれやれ・・・

ああ、やかましい・・・

7月26日。午前7時。ドッタン、ドッタンと家までが揺れるような騒音で、とても寝ていられない。睡眠不足気味もあって、カレシはふくれっつらのむっつり。騒音だけでなく、コンピュータに侵入した正体不明のトラッキングクッキーを駆除できないこともストレス要因らしい。こりゃ、だいぶマグマが上がってきているなあ・・・とじっくり観察している自分がいるから不思議だ。これがひと昔前だったら、「キレるぞ」というカレシのオーラに金縛りになってしまっていたんだから。まあ、今は「キレたらおしまい」という不文律みたいなものがあって、カレシもそれを重々承知でがんばっているということだろう。お互いにだいぶ成長したということだよね。

今日は英語教室の日だけど、とにかく起きるのが早すぎた。騒音と振動に包まれての朝食が終わった後、カレシは時間がありすぎるとぶつぶつ言いながらイアマフをして庭へ出て行った。何するのかなと見ていたら、ガレージからチッパーシュレッダーを引っ張り出して、生垣の剪定くずを粉砕し始めた。この機械、業務用よりやや小型の一般用なんだけど、7.5馬力とかいうエンジンで、マフラーがないので、暴走族のナナハン顔負けの轟音を立てる「ご近所メイワクの花形」的存在。ふ~ん、どうやら「毒には毒」式の対抗手段に出たらしい。カレシにしてみれば仕返しのつもりなんだろうけど、ま、どうせご近所中が大騒音だから、迷惑にならないちょうどいいタイミングでもある。

午後は教室の終わる時間を見計らってモールへ出かけた。カレシは前から庭に引っかけて出られるサンダルを欲しがっていたし、屋内用スリッパがボロボロで、自分で注文できるはずなのに、「歩きにくい」、「足元がすべって危ない」と文句タラタラだった。折りしも外では埋め戻した溝の砂利を機械で叩いて固めるところ。家中にビリビリと振動が伝わって来るから、重機よりもこっちの方が精神に良くない。おでかけはもっけの幸いの逃避行でもある。今日はゆっくりデパートで時間つぶしと行こう。

カレシと落ち合って、ヘアカットの予約を取り、私のも入れてサンダルを3足、スリッパ1足、ついでにカレシのブリーフ6枚パックを買って、ついでのついでに、前から買おうねと言いながら実現しないでいた四角いディナー皿も4買ってしまった。ちょうど5時近いことだし、このまま外で食べて帰ろうということになって、久しぶりにJAPONEへ。まだ開いたばかりだから、がら空き。今日のシェフのスペシャルに「くらげのキムチ和え」がある。カレシが何だと聞くから、「海の中でふわふわ浮いてる、あのくらげ」といったら、「げっ、jellyfishなんかヤダよ~」。でも、おそるおそる一口食べて、ふ~んという顔で、またもう一口食べたからおかしい。あのコリコリした食感がお気に召したのかな・・・?

帰ってきたら、家の外の工事は道路の仮舗装が始まるところまで進んでいた。穴掘りは角を曲がって、もう2丁くらい先まで進んでいる。この分なら、明日の朝は騒音源も少し遠のいて、目が覚めてもまたひと眠りできるかもしれないなあ・・・

わ~い、静かだ

7月27日。今日こそは静かかなと思ったけど、午前7時、また家の外で、かなり単調だけど工事の機械の音。だけどすぐにまた眠ってしまった。腹ペコのカレシが朝めしのしたくができてるんだけど」と起こしに来たのは8時半。カレシは私より1時間以上も早く寝たのに、5時、6時と目が覚めて、工事の音と共にやけになって起きてしまったとか。外では新しいマンホールの周りをアスファルトで仮舗装中。「これだけ騒々しいのによく眠れるなあ」とカレシが感心するけど、衝撃音でない限りは、「ああ、やってるのか」とナットクするとあまり気にならなくなるらしいから、自分でも不思議。もっとも、家の外に車を止めてカーステレオをガンガンかけられたら、私だってカッと目が覚めて、「どこのアホ野郎だ」とムカつくと思うけど。

10時過ぎには舗装も終わって、2丁先で進行中の工事に専念したらしく、やっと家の中が静かになった。さっそくカレシはオフィスの奥のソファで昼寝。正午まで寝返りも打たずにぐっすり眠っていた。連日の騒音のストレスと寝不足で心身共に疲れ果てていたのだろう。カレシは宵っ張りの夜型人間なのに、夜ベッドに入って眠れないとパニック状態になって、ますます眠れなくなって悶々としているうちに精神的にくたくたになってしまうらしい。そういう寝不足のときは、単なる夜更かしをした結果の寝不足のボケッとした顔つきとは全然違う。やっぱり、赤ちゃんの時に十分に眠らせてもらえなかった苦痛が記憶の奥にしっかり刻まれているのかもしれないと思う。

日本では地震で被害のあった柏崎の原発に関する海外での報道に過剰報道だといちゃもんをつけているらしい。まあ、放射能が絡むことだから世界の注目が集まって当然だろう。中にはいい加減な報道もあるだろうけど、日本のマスコミはアメリカで銃の乱射事件があるたびに、「銃社会アメリカ」ではどこでも日常茶飯事で銃撃戦があるような書き方をするんだから、痛み分けというところ。他人に降りかかる火の粉はニュースになるけど、我が身に降りかかる火の粉はこっそりもみ消したいというのは、どうもねぇ・・・

アリゾナ州で、逃げる車をパトカーが追跡するのを生中継していたテレビ局のヘリコプター同士が衝突して墜落したという。事故のあったとき、上空には警察の他に報道陣のヘリコプターも合わせて、5機も飛んでいたというから呆れる。警察の追跡を空から一部始終実況中継するという狂気の沙汰は、殺人容疑者のO.J.シンプソンの車を警察が(ノロノロと)追跡する様子が中継されてから、放送中の番組を中断してまでやるほど過熱してしまったんだと思う。テレビで追跡の中継が始まったらメールで知らせてくれるサービスまであるそうで、ニュースもリアリティショー化したってことだけど、「おお、逃げる、逃げる。すご~」なんて中継を見ていた人たちは、カメラが捕らえた墜落の模様にも「すご~」と歓声を上げたのだろうか・・・

札幌の高校で、1年生の夏休みの英語の宿題用にと英会話の本からコピーした参考資料に卑猥な表現があって、親に指摘されて慌てて別のと取り替えたとか。宿題のテーマは「男女の出会い」だったそうだけど、市販の英会話の本からコピーしたというのもズボラだけど、「40代の男性」教師は気が付かなかったんだそうな。気がつかなかったって、自分が出した宿題の参考資料として選んだ本なんでしょ?読みもせずに適当なページをコピーしたんで内容に気がつかなったってこと?それとも、読んでみたけど、セックスの話とは知らなかったってこと?でも、年からして長年英語教師をやって来たんでしょ?ほんとうに、ほんとうに先生の「うっかりミス」なのかなあ・・・

ありゃりゃ、大変!

7月28日。土曜日。先に目を覚ましていたカレシがまたぞろラブラブ攻勢で来るから10時半に起きてしまった。朝のうちはけっこう静か。買ったばかりの四角いお皿に、ベーコンと卵とマッシュルームの朝食が何となくハイクラスに見えるからいいなあ。でも、大きなお皿にちょこっとあるように見えるうちがエレガントでいい。丸いお皿と違って表面積が大きいから、これにをいっぱい盛りつけたら、いやでも肥満予備軍だもん。

我が家の周りでの工事が終わって騒音はずっと先に移動したんだけど、前の道路をやたらとダンプカーが10分くらいおきくらいに通る。そのたびにカレシは外へ飛び出したり、二階へ駆け上がったり忙しい。子犬じゃあるまいし、近くで工事してるんだからトラックが通ってあたりまえと思うんだけど、私は知らぬが仏を決め込んで仕事に集中(といっても、退屈だなあ、この仕事・・・)。

でも、さくらんぼのアイスクリームを作るといって、その最中のはずなのに、せわしなく出たり入ったりするからちょっとはキッチンが心配になる。なぜか出るたびにレンジのスイッチをオフにしていたらしく、ダブルボイラーを煮立たせることなく作業が終了したようで、後は庭へ出てまたチッパーシュレッダーでの作業。近所も少しは静かな週末と思っただろうに、何しろトラックの音にムカついているカレシはそれに対抗することで頭がいっぱいで、ご近所のことは念頭になし。すいません・・・

今夜は花火大会があるのでディナーにでかけるのはやめて、サテイとアジア風サラダで夕食。デザートにと、アイスクリームメーカーに仕込む前の最後の段階で、砂糖煮してピューレにしたさくらんぼとクリームをブレンダーで混ぜたところまでは良かったけど、「これはどうやって外すの?」との質問に、「銀色の・・・」と答えかけた矢先に、カレシの手が先に動いて、銀色のベースを押さえたままジャーを外してしまったから、さあ大変!中の液体がどぼ~っ!

夕食のしたくが始まったばかりのキッチンは、カウンターもキャビネットの前も床も、ブレンダーも、とにかく何もかも紫色の液体でべとべと。ブレンダー本体を救助した私も、お気に入りのジャンパーは紫色の染みだらけ。カレシは「ボク、知らなかったんだ~」と泣きっ面。う~ん、頭では手順を聞いていても、なぜか手の方が待ちきれずに勝手に次に行っちゃうんだよねぇ。前にも何度かあったよねぇ。また私のいうことを聞いてなかったでしょ、と怒っても、元々人の話を聞かないんだから馬の耳に念仏だろうし。はぁ・・・

私がブレンダーの掃除をしている間、カレシは床やカウンターの後始末。でも、黙って自分で後始末をしてくれていることだから、「アクシデントだった」ということで、ここは優先すべきことを優先ゃ。べとべとの液体をどっぷりとかぶってしまったブレンダーの掃除は、何だか原油流出で油まみれになった海鳥の救助作業みたい。ざぶざぶ洗えるものじゃないから、濡らしたペーパータオルを何枚も使って、細かいところは竹串で清掃。おかげで、ブレンダーは無事だったようだ。フードプロセッサとのコンビなので、液体が入ってショートしたら二つの道具が同時に昇天ということになるから、私も必死だったけど。

ジャンパーの染み取りをして、洗濯機を回して、食事のしたくに戻ったのはほぼ1時間後。ま、さくらんぼのアイスクリームを食べ損なった以外は大きな被害はないんだし、カレシはすっかりしょげているけど、人の話を聞いても損はしないという教訓になれば幸い。だけど、だけど、アスペルガーとかボーダーライン人格とかADDとかいった言葉が、私の頭の中をちらりちらりと浮遊するのはなぜ・・・?

極楽とんぼはつらいよ

7月30日。妙にし~んと感じられる月曜日。二人とも11時近くに目を覚ました。ぐっすりと9時間も寝てしまったわけ。日曜日のカレシは一日中ごろごろ、だらだらで、うたた寝ばかり。それでもこれだけ眠ったということは、やっぱりストレスの極みだったのだろう。わかるなあ、そこのところ。先週は私だってさすがにすごく疲れたもの。これでもかみたいに続けて入ってくる仕事はどれもしちめんどうくさいExcelやPowerPointで、その上に騒音と振動、さらに生活時間の狂いで「仮性時差ぼけ」ときたら、さすがの極楽とんぼだって羽が重くなって来るのだ。

それでも日曜日は一日静かだったから、かなりまじめに仕事に励んだ。もう月末なのに、消費税の申告に必要な帳簿処理をまた3ヵ月さぼったからタイヘン。無理しなくていいといわれても、やっぱり無理してでも月曜日中に終わらせたい。カレンダーをめくったら、大仕事の中に中仕事をはめ込んで、その中にさらに小さいのをはめ込んで、何だかロシアの入れ子人形みたいなことになっている。どうしていつもいつもこういうことになってしまうんだろうなあ。

きのうはストレス解消のつもりで6週間ぶりにトレッドミルを再開した。スピードは普通なら駆け出しの時速8キロで通して、時間は20分に短縮したけど、初めのうちは何となく速すぎるような感じ。ちょっと落ちてるなあと思いつつ、ひと汗かいてタイムアップしたところで脈拍を測ったら180と出た。220マイナス年令が運動後の適正な最高脈拍数だそうだから、180だったらやりすぎたということになる。2分ほどで130まで下がったけど、定期的に走っているときは2分で120まで下るから、かなり遅い。まあ、時差とか風邪とかストレスとかいった要因があったとしても、何年もかけて鍛えたものがちょっと休んだだけであっという間にout of shapeになってしまうんだから、人間は身体も怠けるとすぐにダレるようにできているらしい。

オフィスに下りてきて、いつものようにメールをチェックしたら、日本の超一流企業の子会社だというところからの「お誘い」メールが入っていた。グローバル企業だから翻訳部門もあっておかしくない。財務や法律関係の日英翻訳が主になるらしいけど、なぜか最近はやたらとこの分野の仕事の「お誘い」が飛び込んで来る。公開されているディレクトリから拾って送ってくるんだけど、メールアドレスは親会社のドメインだし、メッセージもスパム風のばらまきメールではなさそうだし・・・と、また食指が動く。おいおい、燃え尽きそうになってクライアントを「大幅削減」したんじゃなかったの?今あるクライアントだけでもてんわわんやなのに、またぞろ「おもしろそうだ」なんて、大丈夫なのかなあ、この極楽とんぼ・・・

くすぶる気持をどうしよう

7月31日。とうとう月末。仕事を1件片付けて、大汗かきかき帳簿の整理。第2四半期分の物品サービス税(GST)を納付する期限なのだ。税率ゼロの「輸出仕事」がほとんどだったので、経費に払ったGSTの方が多くて、今月は差額が戻ってくる。この場合は午後11時までオンラインで申告できるから、小切手を持って銀行に走らずに済むわけ。さて、あとは請求書を書く作業で7月はおしまいということになる。

今週末はまた三連休。近所の家で息子が結婚式を挙げるということで、3日連続でパーティをするそうな。インド系の結婚式は何日もお祝い行事があるそうだから、する方も祝う方も大変だろう。かなりの大音響で音楽をかけるけど、「そこをひとつよろしく」というお願いメールが来た。私の方は「そうか、そういうことなら」という反応になるんだけど、カレシはそんなわけにはいかない。案の定、即刻大むくれ。ごていねいに市の騒音防止条例の一節をタイプして、印刷して、「法律によると・・・」と来た。頭の中で、カテゴリー4級のハリケーン接近!の警報が鳴り響いてしまった。

先週の工事の騒音が相当なストレスだったことはわかるんだけど、ご近所が「すみませんけどよろしく」と挨拶して来ているのに、法律を持ち出して威嚇しようというのはまともな大人の尋常な反応とはいえない。法律を持ち出すといっても、カレシは順法精神が旺盛なわけではない。自分の領域を侵されるという「脅威」を感じた時に、何らかの権威を振りかざして相手を威嚇することで不安を抑えようとするのだと思う。そういう人はどこにでもいるんだろうけれど、カレシの場合は自分と他人の境目がわからないために不安が増幅してパニック状態になるらしい。

私がずっと感じてきた違和感のようなものは、トイレのシートを上げっ放しとか、脱いだものを散らかすとか、後片付けをしないとかといった生活習慣の違いや、楽観的、悲観的といった性格の違いから来るものとはまったく違う。文化や言語の違いで違和感を感じたことはないのに、心の結びつきのようなものを求めると、そこに目に見えない「壁」が立ちはだかっているのだ。率直に言えば、カレシは「普通」じゃないということだ。ボーダーライン人格障害の「傾向」は確実にあると思うし、その原因が幼児の頃の家庭環境にあることは想像に難くない。去年、両親の生活が急変した頃から元のカレシに逆戻りつつあるのではという危惧がいつも私の心の奥の巣食っていたのは事実。いつまでそれを打ち消していられるのか、いつか心を開いて話し合えるのか・・・わからない。