リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

旅の空から~ドゥブロヴニク~伝統と歴史の宝庫

2023年11月08日 | 日々の風の吹くまま
11月5日(日曜日)。🌧☁。無事にドゥブロヴニクに接岸。夜の間それほどひどく揺れなかったので、大した暴風ではなかったらしい。でも、La Terrazzaに朝食に行ったら、いつもは賑わっている船尾のベランダが閉鎖になっていて、あちこちに椅子が散乱して、一部はひっくり返っていたのでびっくり。風に押されてデッキをうろついていたらしい。そういえば、私たちは念のためにベランダのテーブルを逆さまにして、オットマンも逆さまにデッキチェアの上に置いて寝たけど、ときどきどこかでゴトゴトと椅子やテーブルが動いているような音がしていたっけ。




今日のツアーのテーマはクロアチアの伝統。最初はドゥブロヴニクの郊外?のコナヴァレと言う村での養蚕と生糸作り。このあたりでは15世紀から養蚕が盛んで、何でも女性が子供のころから蚕を育てて、繭から取った生糸を紡いで結婚前に自分のアイデンティティを示す刺繍で一生分の胸飾りや衣服を作ったんだそう。でも、女性が亡くなるとそのすべてが埋葬されたり焼かれたりして何も残らなかったのが、収集と保存の運動を始める女性グループができて、私たちが訪れたアントニアさんという画家のアトリエもそのひとつということだった。ギフトショップになっているアトリエの2階で、アントニアさん手作りのハーブジュースやお茶をご馳走になりながら、リーダーの女性が蚕を育てるテクニックを説明して、冷凍してあったという繭を熱湯に入れて糸を取り出して赤い布に巻きつけたのを近くの女性に渡し、それが手から手に渡って室内を一周しても糸は切れることなくポットの中の繭につながったまま。長い時には1個の繭から何と900メートルもの糸が取れると言うからびっくり。


カイコと卵と繭

繭から絹糸を

引っ張っても切れない

黄色いのは精製前の糸



次は農村地帯にある粉ひき小屋。まずオーナーのイヴォさん(40前後?)の自家製のワインとグラッパでのどを潤して、昔は水車を使っていたけど、今はモーターで碾き臼を動かしてトウモロコシの粉を作っていると説明。大きくて平たい臼が回りだすと、トウモロコシの粒がぽろぽろと穴から落ちて行って、縁から大きな箱の中にフワッ、フワッと粉が吐き出されて来るのがおもしろい。さらに森の中の道を怒涛のように流れる小川を渡って上流にある昔ながらの水車小屋を見学。イヴォさんがスイッチを入れると小屋の外で小川の水を流す樋が水車の上に移動して、水しぶきを上げて回りだし、石造りの小さな小屋の中でゴトン、ゴトンと粉ひき。何だかグリムの童話に出て来そうな風景だったけど、やっとのことでユーゴスラヴィアから離れて自立を果たしたクロアチアの民族の伝統を守ろうと言う心意気が伝わって来て感動的だった。



トウモロコシを入れて・・・

挽かれた粉が・・・

森の中の水車小屋

最後はテレビシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で有名になった旧市街をそぞろ歩き。大聖堂に向かって歩いて行く花婿花嫁に遭遇したり、小道を覗いたら急な階段が丘の上に向かっていたり、ドラマは見たことがないけど、コロナの初期にクロアチア生まれのチェロ奏者ハウザーがこの端の城塞の上でひとりでテーマ曲を演奏していた。式を終えて記念写真を撮っていた新郎新婦、お幸せに。帰りのバスではガイドのローザさんが古代ギリシャから古代ローマの支配、そしてその後のヨーロッパの混沌とした歴史にもまれ続け、ソ連の崩壊とともにユーゴスラヴィアから分離しようとしてセルビアとの戦争を経なければならなかった(子供だった彼女も家族とともに安全を求めて避難しなければならなかった)波乱の歴史を語ってくれて、常に覇権を争って来た人類の歴史を凝縮したようなヨーロッパ史に魅せられているワタシにはまるで大きな窓から果てしなく広がる世界を眺めているような、何よりも刺激的なツアーだった。それと同時に、人間は遠い古代から今に至るまで連綿と同じことをやって来ているんだと言う気もして、ある意味で、精神的な「大海原と大空が出会うところ」を見たと言えそうな気がする。




大聖堂に向かう花婿と花嫁


坂道の代わりに階段・・・

お幸せに!



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