らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

コンマス

2007年11月28日 23時52分08秒 | 音楽
 コンマスですよ。コンバスではありません。オーケストラの1stヴァイオリンの一番前の客席側で演奏している人のことをコンサートマスター(女性の場合コンサートミストレス)と言います。コンサートマスターというのは、(舞台上で指揮者が脚本家の役目なら)現場監督の役目です。ただのヴァイオリン弾きではありません。オーケストラのいわば「顔」です。チューニングの時、立ってオーボエからAの音をもらってみんなに提供するだけの職業ではありません!!

 良い指揮者(良い脚本)ならコンマス(現場監督)はそれを他の団員(役者)達にわかりやすく説明したり、自分の演奏でもってそれを伝えなくてはなりません。良いオーケストラなら指揮者よりコンマスの方が力を持っていることもあります。

 悪い指揮者(どうしようもない脚本)ならコンマス(現場監督)はそれをお客様に提供できる最低限の商品にするために大きい役割を担うことになります。

 時としてその脚本を書きかえるように言わなければならないでしょう。その時のコンマスの判断は重大な責任を持つし、判断を間違えれば商品は不良品になってしまいます。

 それだけの重要な立場ですからたいていの場合、他のオーケストラの団員より待遇は良いです。控え室の個室をあてがってもらえたり、給料が良かったり、拘束日数も一般団員より少ないのが普通です。

 日本でもオーケストラの数だけコンサートマスターを職業にしている人達はいます。大抵どのオーケストラも複数のコンマスを抱えているので、その数は50人以上はいるでしょう。

 彼らは、常にどんなときでも冷静な判断と技術力が必要なため、日頃の努力や本番中の全体への集中力は我々には想像もつかない事です。ヨーロッパでは、まれにヴィオラやチェロ奏者にコンサートマスター待遇が与えられている人もいます。現に私の先生がそうだったそうです。

 他のTutti(トゥッティー)奏者から突っ込まれるようでは、次年度から契約を切られるということも、どのオーケストラでもよく聞く話です。それだけ厳しい職業なのです。選ばれた人達にしか出来ないスーパープロフェッショナルと言ってもいいでしょう。技術&人柄全てを持っていないと出来ない職業なんです。コンサートマスターは。

 我々Tutti奏者の努力の成果を数倍にすることも出来るし、すべてぶち壊すことも出来る演奏会の成功は彼らにかかっている比重はそうとう大きいと言えます。

 
コメント (5)
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