Cedar Walton / Cedar ! ( Prestige PRST 7519 )
未知の音盤を物色していて、これは聴いてみようと思うポイントはいくつかありますが、その中の1つにピアノを誰が弾いているか、というのが
あると思います。 近年の録音であればホーン奏者が未知の場合が多いのですが、その時にピアノがケニー・バロンだったらまず間違いないだろう、
と思うように、古い録音の場合はシダー・ウォルトンなら間違いないな、と思うことが多いです。
ピアノトリオのレコードがたくさん作られた最初のピークは50年代ですが、この人の名前がレコードで見られるようになるのは60年代に入ってからで、
デビューがあと5年早ければ代表作と言われるようなピアノトリオのレコードがどこかのレーベルで作られていたのになあ、と残念に思います。
ピアニストにとっては名刺代わりになるので、そういうのがあれば仕事がしやすかっただろうに、いささか気の毒になります。
コルトレーンのジャイアント・ステップスやショーター時代のジャズ・メッセンジャーズへの参加でグループサウンドへの貢献を学んだ後で
録音された本作は、これ以上ない極上の2管クインテットを聴かせてくれます。
レコーディングはRVGではなくリチャード・アルダーソンですが、ドーハムのトランペットのナチュラルな音やジュニア・クックの二枚目なテナーの音色も
素晴らしくて、レコードを聴く快楽を与えてくれます。 これは67年の録音ですが、この頃のプレスティッジやリヴァーサイドにはこういういいレコード
がザクザクあって、値段も安いし、もう最高だよな、と思います。 昔レコード漁りをしていた頃はプレスティッジといえばN.Y.Cラベルの若い番号の
ものばかり欲しがっていましたが、音楽の深みが見えてくると、欲しいと思うレコードの対象がこのあたりへと完全にシフトしてしまいました。