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Mary Lou Williams / Piano Panorama ( 米 Atlantic LP 114 )
黒人としてのアイデンティティーを包み隠さず生きた彼女のようなタイプは日本では受けない。彼女のことをまともに聴いていて語れるコレクター
なんていないだろう。ピアニストとして影響力を持っていたわけでもないし、名盤100選に残るような作品があるわけでもないとなると、どこを聴いて
何を語ればいいのか、ということになる。
40年代にピアニストとしての形を作り上げた彼女は、地に足の着いた音楽活動を地道に続けた人だ。単なる演奏家としてだけではなく、当時の黒人ジャズ
演奏家を巡る環境の悪さを共済するために活動したりと幅広い動きをみせた。フランスに渡ってアメリカから逃避していた現地ミュージシャンと共演も
したし、大きなジャズ・フェスにも招かれて演奏した。その活動は現代の我々には何一つ評価されていないように思える。
古い10インチから流れてくる音楽の柔らかな質感は彼女の心をそのまま映し出しているように思える。フレーズは無理なく構成されていて、奇をてらった
ところもなく、打鍵のタッチもちょうどいい。疲れた仕事帰りに立ち寄ったバーでこれが流れていたら、心は癒され、思わず聴き入ってしまうだろう。
現代ジャズが失ったジャズらしいフィーリングに溢れた愛すべき小品だと思う。
女性ピアニストを語る際は、彼女のことも忘れず語ってあげて欲しい。60年代以降の彼女のアルバムに目を付けてスポットライトを当てたのがクラブ
ジャズのDJたちだった、なんて恥ずかしい話ではないか。