Curtis Fuller / Blues-stte ( 米 Savoy MG 12141 )
猟盤は変わらず不調で、完全にネタ切れである。しかたがないので手持ちのレコードを細々と聴く日々が続いている。
でも、さすがにどれも耳タコ状態で、もはや新鮮な感想など湧いてくることもないが、ブログを放置するのも何なのでいまさら盤を取り上げる。
間違いなく素晴らしい作品で、非の打ちようがない。メロデイアスで、仄暗いムードで、ハード・バップ芸術の頂点にあるアルバムだろう。
ゴルソン・ハーモニーの究極形が聴けるし、フラナガンのピアノの良さが際立っているし、素晴らしいところは無数にあるが、
そういう個々の要素を超えた全体のあまりに完璧な形が芸術として成立しているのが素晴らしい。芸術性を感じるジャズなのだ。
RVGカッティングの音も完璧だし、未だに何なのかよくわからないジャケット・デザインも見慣れればそれなりに愛着も湧いてくるし、
モノ作りとしての出来も申し分ない。
有名な2曲以外も出来が良くて、私はB面トップの "Minor Vamp" が好きで、いつもB面から聴く。テーマ部がカッコいいのだ。
収録された楽曲がどれも魅力的だし、演奏も高度で圧倒される。
そんな訳で長く聴き続けてきたアルバムだが、唯一の問題は聴き過ぎてしまったことによる新鮮味の無さ。
もう現時点では聴いてもよく知っているその素晴らしさをただ確認するだけの作業になり、アルバムには何の罪もないにもかかわらず、
良さよりもつまらなさが先に立ってしまう。いまさらの名盤の宿命だが、そこがなんともやりきれなく、複雑な気持ちにさせられる。