5か月前、最後に買ったレコードはこれでした。


Duke Pearson / Hush ! ( Jazz Line 3302 )
内容については以前からCDで聴いていて知っていたのですが、世評の高さに反して私にはあまり良さが感じられませんでした。 ただ、それは
CDの音質のせいなのかもしれないな、と自分の感想に自信が持てませんでした。 そう思った理由は、どこかでオリジナル盤は音がいいという話を
読んだ記憶があったからで(どこだったか思い出せませんが)、ちゃんとした音で聴けば印象も変わるのかもな、とぼんやり思っていました。
こういうのは如何にもコレクター的な発想です。
でも、実際にオリジナルを聴いてみると、音は別によくありませんでした。 いや、正確に言うと、録音自体がプアなんです。 でも、その貧弱さを
そのまま再現してくれているので、そういう意味では盤の音鳴り自体は悪いとは言えないのかもしれません。 うーん、わかりにくい。
全体的に薄いベールで覆ったようなくすんだ録音で、全体の音圧も低く、特にベースやドラムは音が小さすぎてよく聴こえない。
だから、演奏の躍動感が全く伝わってこない。 実際の演奏にはあったのかもしれませんが、それを伝えないような音です。
ドナルド・バードとジョニー・コールズの2トランペットという珍しい構成ですが、2人の違いがよくわからないという声が聞かれるのも
これでは無理もないと思います。
じゃあ、内容はどうかというと、1962年のニューヨーク録音ということがちょっと信じられないような軽やかで清潔な感じの演奏です。
これは全てデューク・ピアソンという人の稀有で得難い個性の賜物です。 "Childs Play" の最後で見せる印象的なアレンジを聴けば
この人が後年ビッグバンドの編曲を手掛けるようになるのも頷けるし、"Angel Eyes" で見せるピアノトリオのクリスタルのような響きも
この人にしかできないもの。 そういうこのアルバムにしかない美質を、プアな録音が台無しにしているような気がします。
つまり、CDで聴いてもオリジナルで聴いても、どうも本当の良さがよくわからない、ということです。
このレーベルを興したFred Norsworthyは英国から渡米後、最初はパシフィック・ジャズでプロモーションの仕事をしながらレコードビジネスを学び、
出資者を集めて夢であった自身のレーベル "Jazz Time"を設立、有名な3枚を3日間で録音しますが、これが全く売れなかった。 だから、レーベルは
すぐに活動不能となります。 そこへドラマーのデイヴ・ベイリーが共同出資者となり、名前も"Jazz Line"と変えて"Bash"とこのレコードを
創りますが、これも全く売れず、すぐに倒産しました。 だから、録音がプアなのは仕方ないのだと思います。 とにかく、金が無かった。
1962年のニューヨークと言えば、その数ヶ月前にコルトレーンはヴィレッジ・ヴァンガードで"Impressions"を録音し、マイルスは自身の音楽の
根本的な見直しを図るためにスタジオには一切入らなかった時期。 そういう時代が大きく変わろうとしている最中に、こんな牧歌的で
覇気のない音楽が評価されるはずがない。 明らかに、KYです。
どこかであるレコードのオリジナル盤の音がいいという話が出ると、それがあっという間に流布します。 でも、稀少盤だから音がいい、
オリジナルだから音がいい、稀少盤だから内容が素晴らしい、オリジナルだから内容が素晴らしい、というような幻想や思い込みが
拙い文章表現力と相俟って、稀少盤を買った喜びと内容の評価がごちゃ混ぜになって語られていることが多い。 でも、高額盤は簡単には
手に入れられないし、そもそも手にできる人は限られてくるから、大抵の場合、真実を確かめようがないというのが実情でしょう。
結局は真実を知るには自分で確かめるしかない世界ですが、このブログはあまり風説には惑わされず、ありのままを書いていこうと思います。
誰かがいいと言ったから私もいいと言う、そんなことはないように。


Duke Pearson / Hush ! ( Jazz Line 3302 )
内容については以前からCDで聴いていて知っていたのですが、世評の高さに反して私にはあまり良さが感じられませんでした。 ただ、それは
CDの音質のせいなのかもしれないな、と自分の感想に自信が持てませんでした。 そう思った理由は、どこかでオリジナル盤は音がいいという話を
読んだ記憶があったからで(どこだったか思い出せませんが)、ちゃんとした音で聴けば印象も変わるのかもな、とぼんやり思っていました。
こういうのは如何にもコレクター的な発想です。
でも、実際にオリジナルを聴いてみると、音は別によくありませんでした。 いや、正確に言うと、録音自体がプアなんです。 でも、その貧弱さを
そのまま再現してくれているので、そういう意味では盤の音鳴り自体は悪いとは言えないのかもしれません。 うーん、わかりにくい。
全体的に薄いベールで覆ったようなくすんだ録音で、全体の音圧も低く、特にベースやドラムは音が小さすぎてよく聴こえない。
だから、演奏の躍動感が全く伝わってこない。 実際の演奏にはあったのかもしれませんが、それを伝えないような音です。
ドナルド・バードとジョニー・コールズの2トランペットという珍しい構成ですが、2人の違いがよくわからないという声が聞かれるのも
これでは無理もないと思います。
じゃあ、内容はどうかというと、1962年のニューヨーク録音ということがちょっと信じられないような軽やかで清潔な感じの演奏です。
これは全てデューク・ピアソンという人の稀有で得難い個性の賜物です。 "Childs Play" の最後で見せる印象的なアレンジを聴けば
この人が後年ビッグバンドの編曲を手掛けるようになるのも頷けるし、"Angel Eyes" で見せるピアノトリオのクリスタルのような響きも
この人にしかできないもの。 そういうこのアルバムにしかない美質を、プアな録音が台無しにしているような気がします。
つまり、CDで聴いてもオリジナルで聴いても、どうも本当の良さがよくわからない、ということです。
このレーベルを興したFred Norsworthyは英国から渡米後、最初はパシフィック・ジャズでプロモーションの仕事をしながらレコードビジネスを学び、
出資者を集めて夢であった自身のレーベル "Jazz Time"を設立、有名な3枚を3日間で録音しますが、これが全く売れなかった。 だから、レーベルは
すぐに活動不能となります。 そこへドラマーのデイヴ・ベイリーが共同出資者となり、名前も"Jazz Line"と変えて"Bash"とこのレコードを
創りますが、これも全く売れず、すぐに倒産しました。 だから、録音がプアなのは仕方ないのだと思います。 とにかく、金が無かった。
1962年のニューヨークと言えば、その数ヶ月前にコルトレーンはヴィレッジ・ヴァンガードで"Impressions"を録音し、マイルスは自身の音楽の
根本的な見直しを図るためにスタジオには一切入らなかった時期。 そういう時代が大きく変わろうとしている最中に、こんな牧歌的で
覇気のない音楽が評価されるはずがない。 明らかに、KYです。
どこかであるレコードのオリジナル盤の音がいいという話が出ると、それがあっという間に流布します。 でも、稀少盤だから音がいい、
オリジナルだから音がいい、稀少盤だから内容が素晴らしい、オリジナルだから内容が素晴らしい、というような幻想や思い込みが
拙い文章表現力と相俟って、稀少盤を買った喜びと内容の評価がごちゃ混ぜになって語られていることが多い。 でも、高額盤は簡単には
手に入れられないし、そもそも手にできる人は限られてくるから、大抵の場合、真実を確かめようがないというのが実情でしょう。
結局は真実を知るには自分で確かめるしかない世界ですが、このブログはあまり風説には惑わされず、ありのままを書いていこうと思います。
誰かがいいと言ったから私もいいと言う、そんなことはないように。
おっしゃる通りだと思います、このMONOはミックスダウンですね。 音が明らかに不自然ですもんね。
そうですか、ドイツ盤・・・・ 音がいいんですか。 ポリドール盤はMONOですら音がいいですか、すごいですねぇ。 さすがは真面目なドイツ人です。
JAZZ LINE盤のSTEREOって、私は縁がないのか、あまり見たことがないような気がします。 MONOは時々見かけますよね。 JAZZ LINEのMONOとSTEREO、ポリドールのMONOとSTEREO、4枚を値段の順番に並べるとどうなるんでしょう?
ただ、もう今さら買い直す気力はもうありません。 探すのが面倒だし、値段だって安くはないんだろうし・・・ 結局、私は一番貧乏くじを引いたのか、と思うとガックリきます。
でも、勉強になりました。 楽しいお話を教えて下さり、ありがとうございます。 また、色々と教えて下さい。
個人的にこのJAZZTIME-JAZZLINEはとてもお気に入りで沢山のレコードを処分した今でも残ってます。(中でもDAVE BAILEYのレコードはとても好きです。FRANK HAYNESのテナー最高です)補足ですが、改めて本日聴き比べてみました。が、STEREOが良い音とは言ってもこの頃の平均的な録音に比べると優秀録音ではけっしてありません。例えてみればatlanticの録音ぐらいといったレベルでしょうか。録音はRCA/NEWYORKとなっており大手のスタジオで録音したと思えるのですが、ぱっとしません。何故かもう一枚のJAZZLINE盤BASH!はpeter indがエンジニアですが、Zootのdown homeなどとは違って結構いい録音してます。(古い録音なので、配置は左右に分かれますが。。。)そんなわけで、特に探すほどの物でも無いかと。。強いて言えばドイツポリドール盤は、あれば数千円なので手に入れても良いかなと思いますが、元々の録音がプアなのでその程度です。「結局、私は一番貧乏くじを引いたのか、と思うとガックリきます。」いえいえそんな事おっしゃらずにのんびり楽しくレコード探していきましょう。そんな事もありますって。「でも、勉強になりました。楽しいお話を教えて下さり、ありがとうございます。」こちらこそ、ルネさんのレビューをみてamazonやらHMVポチッてます。(手を出しかねてたTime Rememberedや、Tim Warfieldはこちらで知って聴きましたがとても気に入ってます。)
私も決して「誰かがいいと言ったから私もいいと言う、そんなことはないように。」
そうですね、このレーベルやEPICのベイリー3部作はジャズの良心の結晶のようなアルバムですよね。 私もどれも素晴らしい作品だと思います。
でも、そこはマイナーレーベル、音質のことなどは過度な期待はできないので、STEREOプレスもそこそこなのはしかたないです。 EPICのように、元々設備投資された大手レーベルに残されたマイナー作品、というのが丁度いいのかもしれません。
いい音楽は多くの人で共有できるのが一番です。 自分だけがこれを持ってる、と満足するコレクターからは早く卒業したいです。 このブログが多くの人の小さな何かにお役に立てればいいですね。