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Herbie Hancock / Takin' Off ( Blue Note 4109 )
ハービー・ハンコックの初リーダー作ということで「フレッシュな感覚」と書かれることが多いですが、実際はフレッシュとは程遠い質感があります。
収録された6曲のうち、半分はファンキーを偽装してはいるがまったく新しい肌触りの戦略的な楽曲で、残りは余計な飾りのないストレートで
これまたまったく新しいムードが漂うハービーの本領が発揮された楽曲、と計算され尽くした感のある、恐るべき完成度です。
この1歩先を行く曲想を持った楽曲たちを、フレディとデックスが本当に見事に支えているのに感心します。 特にフレディの曲想把握の適切さは
素晴らしく、おそらく他のトランぺッターではこの役割は務まらなかったはずです。 見た目で損をしている感が否めませんが、実は賢い人です。
ただ、私がこのアルバムを聴くのはデックスがいるからです。 新しいムードに触発されたのか、デックスは力のこもったフレーズを連発していて、
このアルバムを1つ上の次元へと押し上げています。 これがショーターやコールマンだったら、締まりのないぼやけた印象で終わっていたかも
しれません。 このアルバムにおける最大の功労者は間違いなくデックスだと思います。 アルバム最後の "Alone And I" が心に沁みます。
ハービーのブルーノート作品はなぜか全般的に音質が冴えなくて、モノラルだステレオだの議論も虚しく、せっかくの名作も台無しなんですが、
どうやらハイレゾの音質は一皮むけた素晴らしさだそうです。 今はまだ機器の値段が高くて導入する気になれないのですが、そちらの値段が
こなれてきたら、まずはハービーの諸作を聴いてみたいと思っています。 これが一般に普及すれば、オリジナル盤の値段も下がるでしょうね。