ユタが人形達に連れて行かれた部屋は、いかにも拷問部屋といった感じの部屋だった。入口は1階にあって、ドアを開けると地下に続く階段がある。そこを降り切ると、“鉄の処女”とか、ギロチンなんかが置いてあった。つまり、1階からの吹き抜けになっているのである。
「死にたいのなら、ここで死ね」
「な、何故だ!?」
「ここで死んでも、お前の死体は見つからない。つまり、行方不明のままだ。永久に、ずっと……。お前の周りの人間は、北朝鮮に拉致されたとでも思うだろう。もしくは、あの妖怪が疑われるだろうな」
「そんな……!」
ユタは人形達によって吊るされた。
「では、実験を始める。人形にされたいか、人形にバラバラにされたいか、好きな方を選べ」
「どっちも嫌だ!」
ユタが叫び声を上げると、
「待てーっ!」
威吹が飛び込んできた。
「ユタを返せ!」
持っていた刀をマリアに向けて振るうが、素早く移動してきた人形に妨げられた。
「いいタイミングでやるなぁ……。妖怪の分際で」
マリアは意外そうな顔をした。
「ほざけ!」
威吹は人形の攻撃を交わしながら、ユタを吊るしているロープを切り落とした。
「ちょうどいい。では、そこの妖怪。お前も実験台になるか?2人一緒なら怖くないだろう?」
「バカ言うな!」
「そうか?私なら、どんな辛いことでも2人一緒なら大丈夫だったけどな」
「それって、アンジェラさんって人のこと?」
ユタが言うと、マリアの顔色が変わった。
「僕の身の上話を聞いたんだ。今度はマリアさんの身の上話を聞かせてくださいよ!」
「黙れ!」
「オレはお前の弱点を見切ったぞ。そこを突かれる前に、降伏したらどうだ?」
「行けっ。殺していい」
マリアは憮然とした顔で、人形達に命じた。人形達が威吹に向かっていく。
「威吹!」
「はぁッ!」
威吹は素早い動きで人形達の攻撃を交わした。
(分身の術!?)
というより、残像を残す妖術といった方がいいか。人形達は残像に惑わされ、威吹本体を攻撃することができない。
そして、マリア本人に近づく。
「ぐっ……!」
そして、刀の切っ先を喉元に当てた。
「あんたが男の魔法使いだったら、殴り飛ばすところだが、女は殴れない。だけど、オレの勝ちだな」
人形達が遠巻きにして威吹に武器を向けるが、それ以上何もできなかった。
「こりゃ一体、どういうことなんだ?」
ユタも慣れたもので、威吹から離れていると逆に人形達に人質にされかねない為、威吹に近づいていた。
「この女は魔術で人形達を操っているのは知ってるだろう?」
「ああ」
「魔術を使っている間、この女は何もできないんだよ」
「……どうして分かった?」
「あんたが強い魔道師だというのは分かった。でもその割には、人形達があんたを物々しい雰囲気で護衛してるのが気になったんだ。これはもしかしたら、あんた自身には戦う力も守る力も無いんじゃないかって思った。だから、人形に護衛させてたんじゃないかなって……。当たったようだ」
「ちっ。ご名答。それならこの刃物で、早く首を刎ねろ。妖狐達の掟にあるんだろう?『負けた者は全てを失う』と」
「確かにそうだが、それは命を賭けた男同士の戦いでのこと。女にはそれは適用されん」
「ふん……」
「それに、あんたが悪い魔道師だとも思えないんだ。あんたがユタを殺そうしたのは、ユタがコソ泥をしようとしたからで、それ以外に理由は無いんだろう?」
「そうだが……」
「いい加減、ユタの望む通りにしてやってくれ。頼むよ」
「ふっ……ふふふふふ……ははははははははは!」
すると、マリアが笑い出した。
「何がおかしい?」
「おかしいに決まってるだろう。お前も所詮、そこの人間を殺すつもりだとはな……」
「何だと?」
「一人前の証として“笑い”を捨てたはずだが、どうやら『バァさん』が甘かったようだ。いいだろう。教えてやる。2人仲良く“幻想郷”で死にな」
「なにっ、幻想郷!?」
「?」
「死にたいのなら、ここで死ね」
「な、何故だ!?」
「ここで死んでも、お前の死体は見つからない。つまり、行方不明のままだ。永久に、ずっと……。お前の周りの人間は、北朝鮮に拉致されたとでも思うだろう。もしくは、あの妖怪が疑われるだろうな」
「そんな……!」
ユタは人形達によって吊るされた。
「では、実験を始める。人形にされたいか、人形にバラバラにされたいか、好きな方を選べ」
「どっちも嫌だ!」
ユタが叫び声を上げると、
「待てーっ!」
威吹が飛び込んできた。
「ユタを返せ!」
持っていた刀をマリアに向けて振るうが、素早く移動してきた人形に妨げられた。
「いいタイミングでやるなぁ……。妖怪の分際で」
マリアは意外そうな顔をした。
「ほざけ!」
威吹は人形の攻撃を交わしながら、ユタを吊るしているロープを切り落とした。
「ちょうどいい。では、そこの妖怪。お前も実験台になるか?2人一緒なら怖くないだろう?」
「バカ言うな!」
「そうか?私なら、どんな辛いことでも2人一緒なら大丈夫だったけどな」
「それって、アンジェラさんって人のこと?」
ユタが言うと、マリアの顔色が変わった。
「僕の身の上話を聞いたんだ。今度はマリアさんの身の上話を聞かせてくださいよ!」
「黙れ!」
「オレはお前の弱点を見切ったぞ。そこを突かれる前に、降伏したらどうだ?」
「行けっ。殺していい」
マリアは憮然とした顔で、人形達に命じた。人形達が威吹に向かっていく。
「威吹!」
「はぁッ!」
威吹は素早い動きで人形達の攻撃を交わした。
(分身の術!?)
というより、残像を残す妖術といった方がいいか。人形達は残像に惑わされ、威吹本体を攻撃することができない。
そして、マリア本人に近づく。
「ぐっ……!」
そして、刀の切っ先を喉元に当てた。
「あんたが男の魔法使いだったら、殴り飛ばすところだが、女は殴れない。だけど、オレの勝ちだな」
人形達が遠巻きにして威吹に武器を向けるが、それ以上何もできなかった。
「こりゃ一体、どういうことなんだ?」
ユタも慣れたもので、威吹から離れていると逆に人形達に人質にされかねない為、威吹に近づいていた。
「この女は魔術で人形達を操っているのは知ってるだろう?」
「ああ」
「魔術を使っている間、この女は何もできないんだよ」
「……どうして分かった?」
「あんたが強い魔道師だというのは分かった。でもその割には、人形達があんたを物々しい雰囲気で護衛してるのが気になったんだ。これはもしかしたら、あんた自身には戦う力も守る力も無いんじゃないかって思った。だから、人形に護衛させてたんじゃないかなって……。当たったようだ」
「ちっ。ご名答。それならこの刃物で、早く首を刎ねろ。妖狐達の掟にあるんだろう?『負けた者は全てを失う』と」
「確かにそうだが、それは命を賭けた男同士の戦いでのこと。女にはそれは適用されん」
「ふん……」
「それに、あんたが悪い魔道師だとも思えないんだ。あんたがユタを殺そうしたのは、ユタがコソ泥をしようとしたからで、それ以外に理由は無いんだろう?」
「そうだが……」
「いい加減、ユタの望む通りにしてやってくれ。頼むよ」
「ふっ……ふふふふふ……ははははははははは!」
すると、マリアが笑い出した。
「何がおかしい?」
「おかしいに決まってるだろう。お前も所詮、そこの人間を殺すつもりだとはな……」
「何だと?」
「一人前の証として“笑い”を捨てたはずだが、どうやら『バァさん』が甘かったようだ。いいだろう。教えてやる。2人仲良く“幻想郷”で死にな」
「なにっ、幻想郷!?」
「?」