[2月4日21:30.天候:雪 廃ペンション1F]
再び姿を消してしまったシンディ。
エミリーと萌はその後を追うべく、廊下の先へ進んだ。
途中、左側にドアがあり、入ってみるとそこはバスルームになっていた。
ユニットバス形式だが、ホテルのそれと違い、かなり広い。
だが、そこは血の海になっていた。
エミリーでさえ、顔をしかめたくらいである。
バスルームに沈められた死体。
白人風の男の死体で、苦悶の表情を浮かべて死んでいた。
頭にメモが貼り付けられていて、『用済み』とだけ書かれていた。
エミリー:「ここにも武器は無い……か。ん?」
その時、エミリーのスキャンに金属反応があった。
それは洋式便器の中。
そこにも血が溜まっている。
レバーを引くと、水が流れて血だまりも流れていった。
その中から現れたのは、1丁のハンドガン。
マグナムではなく、普通のハンドガンだった。
元から銃弾は入っているようで、壊れてもいないらしい。
エミリー:「あのロボットにこれが効くだろうか?」
エミリーが体術で倒す方が強いだろう。
だが、あの時はたまたま1機しか現れなかったからそれでも良かったが、もし複数で現れて来たら、武器無しではキツいかもしれない。
一応、持って行くことにした。
人間のテロリストが生きて現れたことは無い。
あの黄色いジャンパーの男が何者なのかは分からないが、敵だとしても、どうして襲って来ないのかが分からなかった。
バスルームを出て、先に進む。
今度は右手にドアがあったが、何故かここは鉄の板が貼り付けられ、更に有刺鉄線まで張られて入れないようになっていた。
ドアノブを回してみても、開く様子が無い。
もう少し先へ行くことにした。
突き当たりを右に曲がると、もう1つドアがある。
だが、こちらも鍵が掛かってて開かない。
鍵が掛かっているだけなので、力づくでこじ開けようか。
そう考えた時、後ろから大きな音がした。
エミリー:「なに?」
萌:「さっきの階段の所から聞こえたよ!」
エミリーが、さっきの地下室へ向かう階段の所まで走った。
エミリー:「シンディ?」
スキャンすると、シンディの反応があった。
いつの間にエミリー達は、シンディを追い越してしまったのだろうか。
数段ほど階段を下りる。
シンディ:「フーッ!フーッ!フーッ!」
エミリー:「!?」
シンディが階段を這い上がって来た。
エミリー:「シンディ?どうした?」
シンディ:「ウアアアアアアッ!!」
シンディの両目は赤色に光り、物凄い形相になってエミリーに掴みかかってきた。
エミリー:「シンディ!?」
シンディはマルチタイプ持ち前の腕力でエミリーを投げ飛ばした。
1階の廊下に叩き付けられるエミリー。
エミリー:「シンディ、何をする!?」
シンディは鬼のような形相になって、包丁のようなものを取り出した。
それでエミリーに襲い掛かって来る。
近接戦ならエミリーの方が上回っていたのだが、銃火器を取り外した際に、シンディもエミリーと近接戦の能力を高めに設定し直されている。
エミリー:「シンディ、やめろ!」
シンディ:「ウアアアアッ!」
シンディは包丁をエミリーに振り下ろす。
もちろん、頑丈なマルチタイプのこと、そんなものはほとんど効かない。
それを知ってて包丁で襲い掛かってくるのだから、今のシンディには自我が無いのだろう。
エミリーはわざと包丁の攻撃を受けつつ、シンディに接近すると、ヘッドバットを食らわせた。
だが、シンディも体当たりを食わらしてくる。
エミリーが倒れると、シンディが包丁を落とした。
シンディ:「が……あ……!声が聞こえる……!私に……命令してくる人がいる……!い……嫌です……!私……姉さんと……」
シンディは頭を壁に叩き付けた。
シンディ:「姉さんを……壊したくない……!」
シンディが何度も頭を叩き付けると、安全装置が働いたのか、シンディが強制的にシャットダウンしたようだ。
そして、バタッと仰向けに倒れる。
エミリー:「シンディ、どうしてこんな……」
萌:「シンディに命令する人がいたみたいだね。エミリーを襲えって。シンディに命令できる人って言ったら……敷島社長とアリス博士?」
エミリー:「敷島社長がそんなことをするとは思えない。だいいち、テロリストに襲われてしまって、それどころじゃないはず」
萌:「でもアリス博士だって、こんな命令する人じゃないよ」
エミリー:「どういうことなんだ?」
エミリーはしゃがみ込んで、倒れているシンディを起こそうとした。
だが、シンディはシャットダウンしたのではなかった。
またもやあの鬼のような形相をして、起き上がった。
シンディ:「私に構うな!」
エミリー:「!!!」
シンディはエミリーの胸倉を掴むと、壁に叩き付けた。
壁をブチ破り、シンディは封印されたドアの奥に放り込まれる。
有刺鉄線がされた部屋の奥は、どうやら書斎になっていたようだ。
やはりここは、ペンションのオーナーの住まいだったのだろうか。
しかし今、そんなことを考えているヒマは無い。
エミリーの目に、手斧が飛び込んで来た。
この部屋に元からあったものだろうか。
シンディ:「エミリーを……姉さんを……壊せと……命令……!ウアアアアアアッ!!」
シンディは今度はサバイバルナイフを振りかざしてきた。
これはシンディの左足に括り付けられていた武器である。
エミリーの左脛の中にも、似たようなものは入っている。
エミリーはそれを使わず、拾った手斧でシンディに対抗した。
互角のようにも見えたが、エミリーの方が先にクリティカルヒットを繰り出した。
シンディの頭に手斧を叩き付けることができ、それで怯んだところを今度は首元に刃を突き刺した。
そこから赤黒いオイルと火花を噴き出す。
エミリー:「シンディ……どうして、こんな……」
シンディは信じられないといった顔をしながら、再び倒れた。
エミリー:「私……妹を壊し……」
萌:「いや、これはしょうがないでしょ!襲ってくるシンディが悪いんだよっ!」
と、その時、どこからか電話が鳴る音がした。
廊下の向こうからだ。
エミリーはそこへ向かうと、階段室から見て左手の廊下の所に電話機があった。
電話を取ると、その向こうから声が聞こえた。
アリス:「シンディの反応が消えたわ。あなたが勝ったのね、エミリー?」
エミリー:「アリス博士ですか?シンディを暴走させたのは?」
アリス:「まさか。そんなワケないでしょ。張本人は別にいる。それより、タカオもテロリストに襲われたらしいね?」
エミリー:「そのようです」
アリス:「あなたが見込んだマスター殿ですもの、そう簡単に死んでるとは思えない。とはいえ、誰かが外部にこのことを伝えに行かないと」
エミリー:「アリス博士はどこにいらっしゃるんです?」
アリス:「それは言えない。私も結局、捕まってる立場だから。まあ、ある理由があって、比較的自由にはさせてもらってるけどね。もっとも、このアジトの中だけでだけど。私の救助は最後でいい。とにかく、タカオを見つけて助けてあげて。私なんかの命令は聞けないだろうけど、でも常識で考えて、いま自分が何をすべきかくらいは分かるでしょ」
エミリー:「分かりました。でも、どこから脱出すれば良いでしょうか?」
アリス:「あなたが今いるのは別館だね。確か、天井裏……天窓は何のセキュリティも入ってないからそこから抜け出せるはずよ」
エミリー:「ですが、2階から上には行けないのです」
アリス:「いや、誰かが階段を作動させてる。……消去法でタカオしかいないけどね。もしかしたら、タカオもそこへいるかもしれないわ」
エミリー:「分かりました。向かってみます」
アリス:「気をつけて行くのよ」
アリスの電話が切れた。
エミリー:「天窓だ。天井裏へ向かうぞ」
萌:「うん」
エミリー達は指定された場所へと向かった。
再び姿を消してしまったシンディ。
エミリーと萌はその後を追うべく、廊下の先へ進んだ。
途中、左側にドアがあり、入ってみるとそこはバスルームになっていた。
ユニットバス形式だが、ホテルのそれと違い、かなり広い。
だが、そこは血の海になっていた。
エミリーでさえ、顔をしかめたくらいである。
バスルームに沈められた死体。
白人風の男の死体で、苦悶の表情を浮かべて死んでいた。
頭にメモが貼り付けられていて、『用済み』とだけ書かれていた。
エミリー:「ここにも武器は無い……か。ん?」
その時、エミリーのスキャンに金属反応があった。
それは洋式便器の中。
そこにも血が溜まっている。
レバーを引くと、水が流れて血だまりも流れていった。
その中から現れたのは、1丁のハンドガン。
マグナムではなく、普通のハンドガンだった。
元から銃弾は入っているようで、壊れてもいないらしい。
エミリー:「あのロボットにこれが効くだろうか?」
エミリーが体術で倒す方が強いだろう。
だが、あの時はたまたま1機しか現れなかったからそれでも良かったが、もし複数で現れて来たら、武器無しではキツいかもしれない。
一応、持って行くことにした。
人間のテロリストが生きて現れたことは無い。
あの黄色いジャンパーの男が何者なのかは分からないが、敵だとしても、どうして襲って来ないのかが分からなかった。
バスルームを出て、先に進む。
今度は右手にドアがあったが、何故かここは鉄の板が貼り付けられ、更に有刺鉄線まで張られて入れないようになっていた。
ドアノブを回してみても、開く様子が無い。
もう少し先へ行くことにした。
突き当たりを右に曲がると、もう1つドアがある。
だが、こちらも鍵が掛かってて開かない。
鍵が掛かっているだけなので、力づくでこじ開けようか。
そう考えた時、後ろから大きな音がした。
エミリー:「なに?」
萌:「さっきの階段の所から聞こえたよ!」
エミリーが、さっきの地下室へ向かう階段の所まで走った。
エミリー:「シンディ?」
スキャンすると、シンディの反応があった。
いつの間にエミリー達は、シンディを追い越してしまったのだろうか。
数段ほど階段を下りる。
シンディ:「フーッ!フーッ!フーッ!」
エミリー:「!?」
シンディが階段を這い上がって来た。
エミリー:「シンディ?どうした?」
シンディ:「ウアアアアアアッ!!」
シンディの両目は赤色に光り、物凄い形相になってエミリーに掴みかかってきた。
エミリー:「シンディ!?」
シンディはマルチタイプ持ち前の腕力でエミリーを投げ飛ばした。
1階の廊下に叩き付けられるエミリー。
エミリー:「シンディ、何をする!?」
シンディは鬼のような形相になって、包丁のようなものを取り出した。
それでエミリーに襲い掛かって来る。
近接戦ならエミリーの方が上回っていたのだが、銃火器を取り外した際に、シンディもエミリーと近接戦の能力を高めに設定し直されている。
エミリー:「シンディ、やめろ!」
シンディ:「ウアアアアッ!」
シンディは包丁をエミリーに振り下ろす。
もちろん、頑丈なマルチタイプのこと、そんなものはほとんど効かない。
それを知ってて包丁で襲い掛かってくるのだから、今のシンディには自我が無いのだろう。
エミリーはわざと包丁の攻撃を受けつつ、シンディに接近すると、ヘッドバットを食らわせた。
だが、シンディも体当たりを食わらしてくる。
エミリーが倒れると、シンディが包丁を落とした。
シンディ:「が……あ……!声が聞こえる……!私に……命令してくる人がいる……!い……嫌です……!私……姉さんと……」
シンディは頭を壁に叩き付けた。
シンディ:「姉さんを……壊したくない……!」
シンディが何度も頭を叩き付けると、安全装置が働いたのか、シンディが強制的にシャットダウンしたようだ。
そして、バタッと仰向けに倒れる。
エミリー:「シンディ、どうしてこんな……」
萌:「シンディに命令する人がいたみたいだね。エミリーを襲えって。シンディに命令できる人って言ったら……敷島社長とアリス博士?」
エミリー:「敷島社長がそんなことをするとは思えない。だいいち、テロリストに襲われてしまって、それどころじゃないはず」
萌:「でもアリス博士だって、こんな命令する人じゃないよ」
エミリー:「どういうことなんだ?」
エミリーはしゃがみ込んで、倒れているシンディを起こそうとした。
だが、シンディはシャットダウンしたのではなかった。
またもやあの鬼のような形相をして、起き上がった。
シンディ:「私に構うな!」
エミリー:「!!!」
シンディはエミリーの胸倉を掴むと、壁に叩き付けた。
壁をブチ破り、シンディは封印されたドアの奥に放り込まれる。
有刺鉄線がされた部屋の奥は、どうやら書斎になっていたようだ。
やはりここは、ペンションのオーナーの住まいだったのだろうか。
しかし今、そんなことを考えているヒマは無い。
エミリーの目に、手斧が飛び込んで来た。
この部屋に元からあったものだろうか。
シンディ:「エミリーを……姉さんを……壊せと……命令……!ウアアアアアアッ!!」
シンディは今度はサバイバルナイフを振りかざしてきた。
これはシンディの左足に括り付けられていた武器である。
エミリーの左脛の中にも、似たようなものは入っている。
エミリーはそれを使わず、拾った手斧でシンディに対抗した。
互角のようにも見えたが、エミリーの方が先にクリティカルヒットを繰り出した。
シンディの頭に手斧を叩き付けることができ、それで怯んだところを今度は首元に刃を突き刺した。
そこから赤黒いオイルと火花を噴き出す。
エミリー:「シンディ……どうして、こんな……」
シンディは信じられないといった顔をしながら、再び倒れた。
エミリー:「私……妹を壊し……」
萌:「いや、これはしょうがないでしょ!襲ってくるシンディが悪いんだよっ!」
と、その時、どこからか電話が鳴る音がした。
廊下の向こうからだ。
エミリーはそこへ向かうと、階段室から見て左手の廊下の所に電話機があった。
電話を取ると、その向こうから声が聞こえた。
アリス:「シンディの反応が消えたわ。あなたが勝ったのね、エミリー?」
エミリー:「アリス博士ですか?シンディを暴走させたのは?」
アリス:「まさか。そんなワケないでしょ。張本人は別にいる。それより、タカオもテロリストに襲われたらしいね?」
エミリー:「そのようです」
アリス:「あなたが見込んだマスター殿ですもの、そう簡単に死んでるとは思えない。とはいえ、誰かが外部にこのことを伝えに行かないと」
エミリー:「アリス博士はどこにいらっしゃるんです?」
アリス:「それは言えない。私も結局、捕まってる立場だから。まあ、ある理由があって、比較的自由にはさせてもらってるけどね。もっとも、このアジトの中だけでだけど。私の救助は最後でいい。とにかく、タカオを見つけて助けてあげて。私なんかの命令は聞けないだろうけど、でも常識で考えて、いま自分が何をすべきかくらいは分かるでしょ」
エミリー:「分かりました。でも、どこから脱出すれば良いでしょうか?」
アリス:「あなたが今いるのは別館だね。確か、天井裏……天窓は何のセキュリティも入ってないからそこから抜け出せるはずよ」
エミリー:「ですが、2階から上には行けないのです」
アリス:「いや、誰かが階段を作動させてる。……消去法でタカオしかいないけどね。もしかしたら、タカオもそこへいるかもしれないわ」
エミリー:「分かりました。向かってみます」
アリス:「気をつけて行くのよ」
アリスの電話が切れた。
エミリー:「天窓だ。天井裏へ向かうぞ」
萌:「うん」
エミリー達は指定された場所へと向かった。