[1月4日06:38.天候:晴 JR大宮駅・新幹線ホーム]
敷島:「今日から仕事始めか。今年もいいことあるといいなぁ……」
シンディ:「その為の初詣では?」
敷島:「まあ、そうなんだけどなぁ……」
〔14番線に6時39分発、“なすの”252号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、上野に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から8号車と10号車です。まもなく14番線に、“なすの”252号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
結局、小切手は返せずじまいだった。
後で電話してみると、
「ワシの好意が受け取れんのか!」
と、逆ギレされた。
仕方が無いので、本当にトニーの為に使うことにした。
〔「14番線、ご注意ください。“なすの”252号、東京行きの到着です。お下がりください。黄色い線の内側をお歩きください。グリーン車以外は全部自由席です」〕
東北新幹線では古参のE2系と呼ばれる車両がホームに滑り込んできた。
シンディ:「社長、今思ったんだけど……」
敷島:「何だ?」
シンディ:「好決算なんだから、社長もこのまま新幹線通勤にしたら?その方が、ワンルームマンション借りるより安くつくと思うけど?」
敷島:「元も子もないこと、言うなァ……」
大仰なエアの音と共にドアが開く。
〔「おはようございます。大宮、大宮です。お降りの際はお忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕
敷島達は1号車に乗り込んだ。
もっと遅い時間になると、新幹線通勤客で自由席は満席になるが、始発列車はまだ空いていた。
シンディと2人席に座る。
すぐにホームから、発車ベルの音が僅かに聞こえてきた。
敷島:「俺がワンルームマンション借りてるのは、会社に何かあった時の為、すぐに駆け付けられるようにってことなんだ。何しろ、ボカロは大事な財産だからな」
シンディ:「新幹線なら東京まで25分しか掛からないし、そこからタクシー飛ばせば15分で着くでしょ?」
敷島:「40分じゃ遅いな」
シンディ:「アタシが一っ飛びすれば駆け付けられるよ。緊急用だから片道の燃料しか無いけど、大宮から豊洲までは持つと思う」
敷島:「いや、それでもダメだ。東雲なら、車で10分から15分で着ける。それでいいんだ」
シンディ:「うーん……」
敷島:「本当は都内に住めたらいいんだろうが、それだとアリスの通勤が大変になるからな。ただでさえあいつ、車通勤だし」
アリスの勤務先は、さいたま市の郊外である。
芸能プロダクションは、どうしてもテレビでの収録やイベントの数からして、都内に事務所を構えないと不利になる。
シンディ:「そうねぇ……」
敷島:「つまりだ。今の状態でいいってことだ」
シンディ:「アリス博士も単独で通勤されてるから、護衛という意味では姉さんを呼んだ方がいいかもね。私が博士の護衛をして、姉さんに社長の護衛をしてもらうの」
敷島:「やはり、そうなるかぁ……」
シンディ:「そんなにボーカロイド達のことが気になるなら、アタシも一緒に泊まり込んで、あのコ達の警備をしてもいいしね」
敷島:「そうだなぁ……」
因みにエミリーに記念館暮らしをさせているくらいだから、平賀については自分の警護は必要無いのだろう。
平賀には七海というメイドロイドの試作機があるが、護衛としても十分に機能することが数々のデータから証明された。
エミリーやシンディのように、敵を殲滅するほどの攻撃力は持たないものの、主人を銃撃から守ることはできる。
だから、エミリーを護衛として使うつもりは無いようである。
エミリー:「姉さんも、もっと働きたいのよ。プロフェッサー南里相手なら、介護ロイドでも良かっただろうけど、今はもう絶大的な存在の南里博士はもういないんだから」
敷島:「そうだな。前向きに考えよう」
シンディ:(聞いた?姉さん、前向きに考えてくれるってよ。だから、もう少し待っててね)
シンディは300km以上離れた場所に住んでいる姉の所にこっそり通信した。
姉のエミリーからはご機嫌な様子の返事があった。
敷島:「だが、やっぱりネックがある」
シンディ:「何が?」
敷島:「エミリーはアリスの言う事は聞かないだろう?」
シンディ:「あ……!」
敷島:「アリスにとっては、言う事を聞かないロイドは要らないと思うだろう。あいつにとって、使い勝手がいいのはやっぱりシンディなんだよ。エミリーは使い勝手が悪い」
シンディ:「姉さんに、アリス博士の言う事も聞いておくように伝えておくね」
敷島:「頼むよ」
シンディは即座にエミリーに送信した。
だが、エミリーからの返信は無かった。
列車が東京駅に到着する頃にやっと返信があったが、ただ単に、『了解』の一言だけであった。
[同日08:00.天候:曇 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]
敷島:「おはよう、井辺君。今年もよろしくー」
井辺:「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します」
敷島が出勤してくると、既に井辺が出勤していた。
敷島:「どれ、ボーカロイド達に会ってくるか。正月番組とかも頑張ってたもんなぁ……」
敷島がボーカロイドの控え室に向かった。
初音ミク:「たかお社長!明けまして、おめでとうございます!」
敷島:「よう、正月特番の歌、良かったぞ。今年も頑張ってくれな」
ミク:「はい!」
敷島がミクの頭を撫でてやると、
ミク:「えへへ……」
満面の笑みを浮かべて喜ぶのだった。
鏡音リン:「あっ!みくみく、いいなーっ!ねぇ、社長!リンもナデナデしてー!」
鏡音レン:「こーら、リン。いきなり社長に失礼だろ。先に新年のご挨拶をしなきゃ」
ボーカロイドの双子機といえば、この鏡音リンとレン。
リンは相変わらずのおきゃんぶりだが、レンはもう少ししっかりしている。
だが同じ設定年齢14歳ということもあってか、たまに無邪気なところも見せる。
敷島:「最近は仕事別々になることが多いけど、今年もよろしくな」
敷島は双子機の頭を両手でナデナデした。
リン:「わーい!(*´▽`*)」
レン:「はい、頑張ります!」
さらに奥に行くと、ボーカロイド年長組がいた。
KAITO:「あ、社長。明けましておめでとうございます」
MEIKO:「今年もよろしく。社長なんだから、もう少し遅くてもいいのに……」
敷島:「はははっ!皆の顔を早く見たくてなぁ!年末特番、ご苦労さんだったな」
KAITO:「いえいえ」
MEIKO:「早いとこ、紅白に出たいね」
敷島:「頑張って営業するよ。ルカは?」
巡音ルカ:「おはようございます。今年もよろしくお願いします」
敷島:「ああ、よろしく。お前が1番、堅実な仕事をしてくれてるからな。このままこの調子で頼むよ」
ルカ:「はい、お任せください」
敷島:「花柄模様の着物のポスター、よく似合ってたよ。1番、売れ行きが好調らしいじゃないか」
MEIKO:「アタシと僅差だったんだよ」
敷島:「そうだったな。MEIKOの場合は、酒瓶片手にほろ酔い状態のグラビアが大人気だったっていうじゃないか」
MEIKO:「ありがとう」
あと、敷島はMEGAbyteとも会った。
敷島:「少しずつ名前が知られているようになっている。この調子で頑張ってくれよ」
結月ゆかり:「はい!」
Lily:「了解しました」
未夢:「頑張ります!」
敷島はボーカロイド達と会うと、社長室に向かった。
敷島:「どれ、皆が出勤してくるまで待つか。ボーカロイド達、調子が良くて良かった」
敷島:「今日から仕事始めか。今年もいいことあるといいなぁ……」
シンディ:「その為の初詣では?」
敷島:「まあ、そうなんだけどなぁ……」
〔14番線に6時39分発、“なすの”252号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、上野に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から8号車と10号車です。まもなく14番線に、“なすの”252号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
結局、小切手は返せずじまいだった。
後で電話してみると、
「ワシの好意が受け取れんのか!」
と、逆ギレされた。
仕方が無いので、本当にトニーの為に使うことにした。
〔「14番線、ご注意ください。“なすの”252号、東京行きの到着です。お下がりください。黄色い線の内側をお歩きください。グリーン車以外は全部自由席です」〕
東北新幹線では古参のE2系と呼ばれる車両がホームに滑り込んできた。
シンディ:「社長、今思ったんだけど……」
敷島:「何だ?」
シンディ:「好決算なんだから、社長もこのまま新幹線通勤にしたら?その方が、ワンルームマンション借りるより安くつくと思うけど?」
敷島:「元も子もないこと、言うなァ……」
大仰なエアの音と共にドアが開く。
〔「おはようございます。大宮、大宮です。お降りの際はお忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕
敷島達は1号車に乗り込んだ。
もっと遅い時間になると、新幹線通勤客で自由席は満席になるが、始発列車はまだ空いていた。
シンディと2人席に座る。
すぐにホームから、発車ベルの音が僅かに聞こえてきた。
敷島:「俺がワンルームマンション借りてるのは、会社に何かあった時の為、すぐに駆け付けられるようにってことなんだ。何しろ、ボカロは大事な財産だからな」
シンディ:「新幹線なら東京まで25分しか掛からないし、そこからタクシー飛ばせば15分で着くでしょ?」
敷島:「40分じゃ遅いな」
シンディ:「アタシが一っ飛びすれば駆け付けられるよ。緊急用だから片道の燃料しか無いけど、大宮から豊洲までは持つと思う」
敷島:「いや、それでもダメだ。東雲なら、車で10分から15分で着ける。それでいいんだ」
シンディ:「うーん……」
敷島:「本当は都内に住めたらいいんだろうが、それだとアリスの通勤が大変になるからな。ただでさえあいつ、車通勤だし」
アリスの勤務先は、さいたま市の郊外である。
芸能プロダクションは、どうしてもテレビでの収録やイベントの数からして、都内に事務所を構えないと不利になる。
シンディ:「そうねぇ……」
敷島:「つまりだ。今の状態でいいってことだ」
シンディ:「アリス博士も単独で通勤されてるから、護衛という意味では姉さんを呼んだ方がいいかもね。私が博士の護衛をして、姉さんに社長の護衛をしてもらうの」
敷島:「やはり、そうなるかぁ……」
シンディ:「そんなにボーカロイド達のことが気になるなら、アタシも一緒に泊まり込んで、あのコ達の警備をしてもいいしね」
敷島:「そうだなぁ……」
因みにエミリーに記念館暮らしをさせているくらいだから、平賀については自分の警護は必要無いのだろう。
平賀には七海というメイドロイドの試作機があるが、護衛としても十分に機能することが数々のデータから証明された。
エミリーやシンディのように、敵を殲滅するほどの攻撃力は持たないものの、主人を銃撃から守ることはできる。
だから、エミリーを護衛として使うつもりは無いようである。
エミリー:「姉さんも、もっと働きたいのよ。プロフェッサー南里相手なら、介護ロイドでも良かっただろうけど、今はもう絶大的な存在の南里博士はもういないんだから」
敷島:「そうだな。前向きに考えよう」
シンディ:(聞いた?姉さん、前向きに考えてくれるってよ。だから、もう少し待っててね)
シンディは300km以上離れた場所に住んでいる姉の所にこっそり通信した。
姉のエミリーからはご機嫌な様子の返事があった。
敷島:「だが、やっぱりネックがある」
シンディ:「何が?」
敷島:「エミリーはアリスの言う事は聞かないだろう?」
シンディ:「あ……!」
敷島:「アリスにとっては、言う事を聞かないロイドは要らないと思うだろう。あいつにとって、使い勝手がいいのはやっぱりシンディなんだよ。エミリーは使い勝手が悪い」
シンディ:「姉さんに、アリス博士の言う事も聞いておくように伝えておくね」
敷島:「頼むよ」
シンディは即座にエミリーに送信した。
だが、エミリーからの返信は無かった。
列車が東京駅に到着する頃にやっと返信があったが、ただ単に、『了解』の一言だけであった。
[同日08:00.天候:曇 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]
敷島:「おはよう、井辺君。今年もよろしくー」
井辺:「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します」
敷島が出勤してくると、既に井辺が出勤していた。
敷島:「どれ、ボーカロイド達に会ってくるか。正月番組とかも頑張ってたもんなぁ……」
敷島がボーカロイドの控え室に向かった。
初音ミク:「たかお社長!明けまして、おめでとうございます!」
敷島:「よう、正月特番の歌、良かったぞ。今年も頑張ってくれな」
ミク:「はい!」
敷島がミクの頭を撫でてやると、
ミク:「えへへ……」
満面の笑みを浮かべて喜ぶのだった。
鏡音リン:「あっ!みくみく、いいなーっ!ねぇ、社長!リンもナデナデしてー!」
鏡音レン:「こーら、リン。いきなり社長に失礼だろ。先に新年のご挨拶をしなきゃ」
ボーカロイドの双子機といえば、この鏡音リンとレン。
リンは相変わらずのおきゃんぶりだが、レンはもう少ししっかりしている。
だが同じ設定年齢14歳ということもあってか、たまに無邪気なところも見せる。
敷島:「最近は仕事別々になることが多いけど、今年もよろしくな」
敷島は双子機の頭を両手でナデナデした。
リン:「わーい!(*´▽`*)」
レン:「はい、頑張ります!」
さらに奥に行くと、ボーカロイド年長組がいた。
KAITO:「あ、社長。明けましておめでとうございます」
MEIKO:「今年もよろしく。社長なんだから、もう少し遅くてもいいのに……」
敷島:「はははっ!皆の顔を早く見たくてなぁ!年末特番、ご苦労さんだったな」
KAITO:「いえいえ」
MEIKO:「早いとこ、紅白に出たいね」
敷島:「頑張って営業するよ。ルカは?」
巡音ルカ:「おはようございます。今年もよろしくお願いします」
敷島:「ああ、よろしく。お前が1番、堅実な仕事をしてくれてるからな。このままこの調子で頼むよ」
ルカ:「はい、お任せください」
敷島:「花柄模様の着物のポスター、よく似合ってたよ。1番、売れ行きが好調らしいじゃないか」
MEIKO:「アタシと僅差だったんだよ」
敷島:「そうだったな。MEIKOの場合は、酒瓶片手にほろ酔い状態のグラビアが大人気だったっていうじゃないか」
MEIKO:「ありがとう」
あと、敷島はMEGAbyteとも会った。
敷島:「少しずつ名前が知られているようになっている。この調子で頑張ってくれよ」
結月ゆかり:「はい!」
Lily:「了解しました」
未夢:「頑張ります!」
敷島はボーカロイド達と会うと、社長室に向かった。
敷島:「どれ、皆が出勤してくるまで待つか。ボーカロイド達、調子が良くて良かった」