[8月10日17:30.天候:雨 宮城県仙台市若林区某所 愛原の実家裏庭・物置小屋]
ゲリラ豪雨による雷鳴と稲光、そして強風が吹き荒ぶ裏庭を進む。
今度は通路上に蜘蛛の巣が張っているということはなかった。
このゲリラ豪雨と強風で吹き飛ばされたか、或いはリサに捕食されていなくなったのかもしれない。
但し、物置小屋の中に入ると……。
愛原:「………」
天井からぶら下がって来たオニグモが、私の顔にペトッ……。
愛原:「ご乗車ありがとうございましたー!那田蜘蛛山ぁ~、那田蜘蛛山ぁ~。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。4番線の列車は、中央本線急行“無限”号……」
高橋:「先生、しっかりしてください!色々と著作権的にマズそうな用語が出て来てます!」
リサ:「ぱくっ!」
リサ、私の顔についたオニグモを掴んで食べた。
リサ:「黄色い蜘蛛よりビターテイスト」
愛原:「た、助かったよ。ありがとう」
リサ:「エヘヘ……」(*´σー`)
リサに食べられた蜘蛛はその後、リサの体内の寄生虫の餌にもなるのである。
愛原:「それより、金庫の中だ」
私はもう1度金庫を開けた。
どうせ中には何も入っていないからと、扉に鍵は掛けていなかった。
扉を開けて、中を懐中電灯で照らす。
リサ:「ほら、引き出し!」
愛原:「本当だ!」
しかし、引き出しには鍵が付いている。
まさか、施錠されているのではあるまいな?
愛原:「いや、大丈夫だ」
鍵は掛かっていなかった。
引き出しを開けると、鍵とメモ用紙が1枚入っていた。
しかも、鍵というのは……。
愛原:「これ、どこかのホテルの鍵じゃね?」
鍵が2つあって、どちらも棒状のキーホルダーに付いている。
小さな鍵と大きな鍵だった。
そのキーホルダーには、『雨傘園 113』と、書かれていた。
雨傘園という名前のホテルか旅館の113号室の鍵ということだろうか?
何でこんなものが、こんな所に?
高橋:「先生。メモには、『リサ・トレヴァーのカードキーを忘れるな』とあります」
愛原:「リサのカードキー?もしかして……」
リサ:「これのこと?」
リサはゴールドカードを取り出した。
日本アンブレラが発行したアクセス権限の強いカードキーで、これで日本アンブレラのカードキーで開けるタイプの鍵なら大抵開けられる。
愛原:「なるほど。雨傘とは、アンブレラのことか。でも、雨傘園ってどこにあるんだ?」
そもそも、日本アンブレラ無き今、現存しているのだろうか?
愛原:「とにかく、戻ろう。戻って、善場主任に報告だ」
高橋:「はい!」
私はもう1度、他に仕掛けが無いか確認してから物置を出ることにした。
リサ:「あっ、先生の背中に蜘蛛が付いてるー」
愛原:「ええーっ!?」
リサ:「ほら」
今度は何の種類の蜘蛛だ?!
しかし、それを確認する前に、またリサがバリボリ食べてしまった。
愛原:「さっさと出よう。こんな那田蜘蛛山みたいなところ、さっさとおさらばだ」
高橋:「そこそこの鬼一匹倒して下山するんですね?分かります」
愛原:「そこそこの鬼……?」
リサ:「ん?」
私はリサを見たが、彼女はそこそこ以上の鬼である。
ので、該当しない。
愛原:「さっさと行くぞ」
リサ:「あ、ちょっと待った!」
愛原:「何だよ!?」
リサ:「んー」
リサは口をモゴモゴさせると、ペッと体内にいた寄生虫を数匹吐き出した。
それは白い芋虫のような姿をしていた。
リサ:「先生、蜘蛛嫌いみたいだから、駆除しておくね」
愛原:「今の虫達にできるのか?」
リサ:「もちろん」
大きな芋虫のような物体は、素早い動きで、まずは天井に大きな網を張っているコガネグモの所に向かった。
だが、その網に引っ掛かってしまう。
愛原:「おい、引っ掛かったぞ!?大丈夫か!?」
リサ:「大丈夫、大丈夫」
獲物が掛かったと、喜んで芋虫の所に向かうコガネグモ。
しかし、いざその獲物に食らい付こうとした瞬間だった。
愛原:「おおっ!?」
網に引っ掛かったのはフェイクで、芋虫は網を引きちぎると、蜘蛛に逆に食らい付いた。
不意を突かれた蜘蛛は抵抗する間もなく、頭を食い千切られた。
そして、網からボトッと床に落ちると、あとは芋虫がゆっくり食べ始めたのである。
他の巣でも似たような状況であり、この物置内に巣くっていた蜘蛛達には、阿鼻叫喚の地獄が待ち受けていたのであった。
リサ:「明日には全滅だね」
愛原:「こういう使い方もできるのか。さすがだな」
リサ:「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
私達は物置を後にして、家に戻ったのだった。
[同日17:30.天候:曇 愛原の実家1Fリビング]
家に戻った私達はレインコートを脱ぐと、早速善場主任に連絡した。
善場:「“雨傘園”ですか?」
愛原:「はい。名前の通り、アンブレラに関連した施設の名前だと思うのです。主任、何か心当たりはありませんか?」
善場:「そうですね……。確かに所長の想像通り、日本アンブレラが運営していた保養施設である可能性があります。あとは、老人介護施設とか、或いは児童養護施設とかですね。すぐ、お調べしましょう。場所によっては、このまま所長方に調査を依頼することになるかもしれません」
愛原:「よろしくお願いします」
善場主任の退勤時間まで、あと30分。
果たして、見つかるだろうか?
[同日18:00.天候:晴 同場所]
ゲリラ豪雨が止んで、夏の日差しが戻って来た。
他の季節ならもうそろそろ暗い時間帯だが、真夏の今はまだ明るい。
こういう時、私の顔に張り付いて来たオニグモが活動を開始するのだ。
夕方に大きな網を張り、朝方には網を片付けて引き上げる、定時制の蜘蛛だ。
ところがこのオニグモ、北の方に向かう度にズボラとなるようだ。
西日本生息の個体は朝までにキチンと網を片付けるのに対し、関東地方くらいまで行くと、枠糸だけ残してその日の夕方にまた使うというようなことをするらしい。
しかし、これが東北地方まで行くと、朝になっても片付けないのである。
母親:「そろそろ、御飯だけど……」
愛原:「あー、ちょっと待ってね。そろそろ……」
その時、善場主任からLINEが来た。
早速確認してみる。
『雨傘園の場所が分かりました。福島県にある、日本アンブレラの保養施設だった場所です。日本アンブレラ倒産後はそのまま放置されて、廃墟となっているようです。住所を送りますので、後ほど確認をお願いします』
とのことだった。
スマホに、雨傘園の住所が送られてくる。
どうやら、車で行った方が良さそうだ。
愛原:「お父さん、明日、車借りてもいい?」
父親:「構わないが……。どこか行くのか?」
愛原:「ちょっと福島県までね」
父親:「福島ぁ?何でまた?」
愛原:「仕事の依頼が入って……」
父親:「せっかく帰省したのに、仕事熱心だなぁ……」
愛原:「ハハハ……。もちろん、日帰りのつもりだよ。レンタル代は、いくら出せばいい?」
父親:「要らんよ、そんなもの。まあ、ガソリン満タンにして返してくれればいい」
愛原:「分かったよ。ありがとう」
廃墟探索か。
また、変なことに巻き込まれないといいなぁ……。
ましてや、またアンブレラの施設だった所だし。
ゲリラ豪雨による雷鳴と稲光、そして強風が吹き荒ぶ裏庭を進む。
今度は通路上に蜘蛛の巣が張っているということはなかった。
このゲリラ豪雨と強風で吹き飛ばされたか、或いはリサに捕食されていなくなったのかもしれない。
但し、物置小屋の中に入ると……。
愛原:「………」
天井からぶら下がって来たオニグモが、私の顔にペトッ……。
愛原:「ご乗車ありがとうございましたー!那田蜘蛛山ぁ~、那田蜘蛛山ぁ~。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。4番線の列車は、中央本線急行“無限”号……」
高橋:「先生、しっかりしてください!色々と著作権的にマズそうな用語が出て来てます!」
リサ:「ぱくっ!」
リサ、私の顔についたオニグモを掴んで食べた。
リサ:「黄色い蜘蛛よりビターテイスト」
愛原:「た、助かったよ。ありがとう」
リサ:「エヘヘ……」(*´σー`)
リサに食べられた蜘蛛はその後、リサの体内の寄生虫の餌にもなるのである。
愛原:「それより、金庫の中だ」
私はもう1度金庫を開けた。
どうせ中には何も入っていないからと、扉に鍵は掛けていなかった。
扉を開けて、中を懐中電灯で照らす。
リサ:「ほら、引き出し!」
愛原:「本当だ!」
しかし、引き出しには鍵が付いている。
まさか、施錠されているのではあるまいな?
愛原:「いや、大丈夫だ」
鍵は掛かっていなかった。
引き出しを開けると、鍵とメモ用紙が1枚入っていた。
しかも、鍵というのは……。
愛原:「これ、どこかのホテルの鍵じゃね?」
鍵が2つあって、どちらも棒状のキーホルダーに付いている。
小さな鍵と大きな鍵だった。
そのキーホルダーには、『雨傘園 113』と、書かれていた。
雨傘園という名前のホテルか旅館の113号室の鍵ということだろうか?
何でこんなものが、こんな所に?
高橋:「先生。メモには、『リサ・トレヴァーのカードキーを忘れるな』とあります」
愛原:「リサのカードキー?もしかして……」
リサ:「これのこと?」
リサはゴールドカードを取り出した。
日本アンブレラが発行したアクセス権限の強いカードキーで、これで日本アンブレラのカードキーで開けるタイプの鍵なら大抵開けられる。
愛原:「なるほど。雨傘とは、アンブレラのことか。でも、雨傘園ってどこにあるんだ?」
そもそも、日本アンブレラ無き今、現存しているのだろうか?
愛原:「とにかく、戻ろう。戻って、善場主任に報告だ」
高橋:「はい!」
私はもう1度、他に仕掛けが無いか確認してから物置を出ることにした。
リサ:「あっ、先生の背中に蜘蛛が付いてるー」
愛原:「ええーっ!?」
リサ:「ほら」
今度は何の種類の蜘蛛だ?!
しかし、それを確認する前に、またリサがバリボリ食べてしまった。
愛原:「さっさと出よう。こんな那田蜘蛛山みたいなところ、さっさとおさらばだ」
高橋:「そこそこの鬼一匹倒して下山するんですね?分かります」
愛原:「そこそこの鬼……?」
リサ:「ん?」
私はリサを見たが、彼女はそこそこ以上の鬼である。
ので、該当しない。
愛原:「さっさと行くぞ」
リサ:「あ、ちょっと待った!」
愛原:「何だよ!?」
リサ:「んー」
リサは口をモゴモゴさせると、ペッと体内にいた寄生虫を数匹吐き出した。
それは白い芋虫のような姿をしていた。
リサ:「先生、蜘蛛嫌いみたいだから、駆除しておくね」
愛原:「今の虫達にできるのか?」
リサ:「もちろん」
大きな芋虫のような物体は、素早い動きで、まずは天井に大きな網を張っているコガネグモの所に向かった。
だが、その網に引っ掛かってしまう。
愛原:「おい、引っ掛かったぞ!?大丈夫か!?」
リサ:「大丈夫、大丈夫」
獲物が掛かったと、喜んで芋虫の所に向かうコガネグモ。
しかし、いざその獲物に食らい付こうとした瞬間だった。
愛原:「おおっ!?」
網に引っ掛かったのはフェイクで、芋虫は網を引きちぎると、蜘蛛に逆に食らい付いた。
不意を突かれた蜘蛛は抵抗する間もなく、頭を食い千切られた。
そして、網からボトッと床に落ちると、あとは芋虫がゆっくり食べ始めたのである。
他の巣でも似たような状況であり、この物置内に巣くっていた蜘蛛達には、阿鼻叫喚の地獄が待ち受けていたのであった。
リサ:「明日には全滅だね」
愛原:「こういう使い方もできるのか。さすがだな」
リサ:「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
私達は物置を後にして、家に戻ったのだった。
[同日17:30.天候:曇 愛原の実家1Fリビング]
家に戻った私達はレインコートを脱ぐと、早速善場主任に連絡した。
善場:「“雨傘園”ですか?」
愛原:「はい。名前の通り、アンブレラに関連した施設の名前だと思うのです。主任、何か心当たりはありませんか?」
善場:「そうですね……。確かに所長の想像通り、日本アンブレラが運営していた保養施設である可能性があります。あとは、老人介護施設とか、或いは児童養護施設とかですね。すぐ、お調べしましょう。場所によっては、このまま所長方に調査を依頼することになるかもしれません」
愛原:「よろしくお願いします」
善場主任の退勤時間まで、あと30分。
果たして、見つかるだろうか?
[同日18:00.天候:晴 同場所]
ゲリラ豪雨が止んで、夏の日差しが戻って来た。
他の季節ならもうそろそろ暗い時間帯だが、真夏の今はまだ明るい。
こういう時、私の顔に張り付いて来たオニグモが活動を開始するのだ。
夕方に大きな網を張り、朝方には網を片付けて引き上げる、定時制の蜘蛛だ。
ところがこのオニグモ、北の方に向かう度にズボラとなるようだ。
西日本生息の個体は朝までにキチンと網を片付けるのに対し、関東地方くらいまで行くと、枠糸だけ残してその日の夕方にまた使うというようなことをするらしい。
しかし、これが東北地方まで行くと、朝になっても片付けないのである。
母親:「そろそろ、御飯だけど……」
愛原:「あー、ちょっと待ってね。そろそろ……」
その時、善場主任からLINEが来た。
早速確認してみる。
『雨傘園の場所が分かりました。福島県にある、日本アンブレラの保養施設だった場所です。日本アンブレラ倒産後はそのまま放置されて、廃墟となっているようです。住所を送りますので、後ほど確認をお願いします』
とのことだった。
スマホに、雨傘園の住所が送られてくる。
どうやら、車で行った方が良さそうだ。
愛原:「お父さん、明日、車借りてもいい?」
父親:「構わないが……。どこか行くのか?」
愛原:「ちょっと福島県までね」
父親:「福島ぁ?何でまた?」
愛原:「仕事の依頼が入って……」
父親:「せっかく帰省したのに、仕事熱心だなぁ……」
愛原:「ハハハ……。もちろん、日帰りのつもりだよ。レンタル代は、いくら出せばいい?」
父親:「要らんよ、そんなもの。まあ、ガソリン満タンにして返してくれればいい」
愛原:「分かったよ。ありがとう」
廃墟探索か。
また、変なことに巻き込まれないといいなぁ……。
ましてや、またアンブレラの施設だった所だし。