報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「愛原のお使い」

2022-10-27 20:14:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月13日15:30.天候:晴 宮城県仙台市若林区木ノ下 ファミリーマート]

 高橋は愛原家近所のコンビニで、紙の資料をコピーした。
 案外枚数があったのだが、幸いにも先客も待ち客もいなかった。
 そして、原本は送ることになるのだが、あいにくとレターパックはここでは売っていなかった。
 また、土曜日なので、近所の郵便局も閉まっている。

 リサ:「どうするの?」
 愛原:「しょうがねぇから、宅急便で送るしかねーだろ。先生にもLINEしておく」
 リサ:「そうかぁ……」

 レターパックは売っていないものの、ヤマト運輸の宅急便の取り扱いはしている。
 また、小さな梱包材(宅急便コンパクト)も販売していた。

 高橋:「『というわけで、料金高いですけど、宅急便でもいいですか?』っと」

 すぐに、愛原から既読が付いて返信が来る。

 高橋:「『いいよ。領収証はもらっておいてくれ』か。さすが先生」

 高橋はまず店内で、宅急便コンパクトの梱包材を購入した。
 薄型の段ボール型の他、まるでレターパックのような梱包材もある。
 で、後者の物で良かった。
 それに資料を詰めて、最後にSDメモリーカードを入れる。

 リサ:「このプチプチ、潰したいねぇ……」
 高橋:「気持ちは分かるが、今はやるなよ」

 緩衝材のあれ。
 伝票に記入する高橋。

 高橋:「ん?送り主の住所、事務所の住所でいいよな?」
 リサ:「いいんじゃない?デイライトの事務所は?」
 高橋:「姉ちゃんの名刺に書いてある」

 高橋は善場の名刺を取り出した。

 リサ:「ファミチキとファミコロください」

 高橋が伝票に記入している間、リサがホットスナックを購入する。

 高橋:「なにオメェ、さりげなく食い物買ってんだ?」
 リサ:「3時のおやつだよ~。……あ、支払いはPasmoでお願いします」

 リサ、イートインコーナーに行って、揚げ物をバリボリ食べる。

 高橋:「これでよしっと。サーセン」

 伝票を書き終わった高橋、レジに荷物を出した。

 高橋:「……あ、はい。なるべく早く届くようにオナシャス」

 高橋は料金を払うと、控えの伝票とレシートを受け取った。
 この伝票は領収証代わりになる。

 高橋:「レシートとセットで取っておきゃいいだろ。……おい、行くぞ」
 リサ:「ふぁい……」

 リサ、残ったファミチキとファミコロを一気食いした。

 高橋:「一気食いしたら太るぞ?」
 リサ:「この体を見て、そんなこと言える?」
 高橋:「……悪い。ちんちくりんのままだったな」
 リサ:「そこまで言っていいとは言ってない!」
 高橋:「ンだよ、メンドくせぇ」

 2人は兄妹のようなやり取りをしながら、コンビニを出た。
 再び夏の暑い太陽が照り付ける。

 高橋:「暑ぃ、暑ぃ。さっさとホテルに戻るぞ」
 リサ:「夕飯はどうする?」
 高橋:「あぁ?ネカフェのあるビルに、色々と食う所があっただろ?サイゼもペッパーランチもあったぞ」
 リサ:「おー!」

 テンションの上がるリサだった。

 高橋:「オメーも『サイゼで喜ぶ彼女』かよ」
 リサ:「肉があればOK!」
 高橋:「あー、そーかよ」

 2人の兄妹……もとい、愛原の事務所のバイト2人は地下鉄の駅に向かった。

[同日15:52.天候:晴 同区内 仙台市地下鉄薬師堂駅→東西線電車(列番不明)最後尾車内]

 地下ホームで電車を待っていると……。

 高橋:「おっと、いけねぇ!」
 リサ:「なに?」
 高橋:「先生に宅急便送ったっつーこと、報告してなかった。ヤベェヤベェ」
 リサ:「もー……」

 高橋がスマホを取り出し、LINEを送っていると……。

〔1番線、2番線に、電車が到着します〕

 電車の接近放送が響いた。

 リサ:「お兄ちゃん、電車来るよ?」
 高橋:「分かってるって」

 そして、4両編成の電車がやってくる。
 ワンマン運転なので、後部乗務員室を見ても、そこから顔を出す車掌の姿は無い。
 ホームドアと電車のドアが開き、2人は電車に乗り込んだ。
 青いシートに腰かける。

〔1番線、2番線の電車が発車します〕

 短い発車サイン音が鳴り響くと、電車のドアとホームドアが閉まる。
 それから電車は発車した。

〔次は連坊、連坊。仙台一高前です〕

 高橋:「あー、そうか」
 リサ:「ん?」
 高橋:「いや、姉ちゃんが急いでるだろうから、『なるべく早く』って言ったんだけど、姉ちゃんとこの事務所もお盆休みだから、そんなに急がなくてもいいんだったな」
 リサ:「あー……」

[同日16:15.天候:晴 仙台市宮城野区榴岡 東横イン仙台駅東口2号館]

 地下鉄で仙台駅まで行った2人は、そこから歩いて宿泊先のホテルに向かった。
 ロビーで夕刊が無料で配られていたので、リサはそれを手に取った。
 地元の新聞社の夕刊だった。

 高橋:「何だ?オマエも新聞読むのか?」
 リサ:「もちろん普段は読まないけど、これが気になって……」

 リサは一面記事で掲載されている、日本アンブレラの秘密施設についての記事を指さした。

 高橋:「なるほどな。そういえば今朝の朝刊でも、トップだったな」
 リサ:「あー、それ見てなかった」
 高橋:「ネットニュースとかではあっただろ?」
 リサ:「うん。それは見た」

 昼間までいたネットカフェ。
 リサはマンガを読み漁ったが、ネットサーフィンもした。

 リサ:「一応、これもらっておく。続報が書いてるはずだから」
 高橋:「まあ、勝手にしな」
 リサ:「で、ついでにジュースも買っておく」
 高橋:「全く……」
 リサ:「ホテルの自販機の割には安いからね」
 高橋:「……なるほどな」

 リサはロビーの自販機で飲み物を購入してから、エレベーターに乗り込んだ。
 そして、宿泊しているフロアで降りる。

 高橋:「いいか?18時になったら、夕飯食いに行くからな?それまで出歩くんじゃねーぞ?」
 リサ:「分かってるよ」

 リサは頷いて、自分の部屋に入った。
 室内は清掃されていて、ベッドメイクがきれいにされている。
 また、バスルームに入ると、タオルやアメニティが交換されていた。

 リサ:「むふー!」

 リサは飲み物を冷蔵庫の中に入れると、バスルームに入って、そこのトイレで用を足した。
 それから、ベッドに寝転がると、スマホでWi-Fiに接続した。
 リサのスマホのプランだとギガ数が少なく、あまりパケット通信ができない。
 そこで、こういうWi-Fiに接続できる所は有り難かった。
 そして、ロビーでもらった夕刊を広げた。
 カプセルの中に入っていた少女達がどこの誰だったのか、気になったからである。
 まだ身元は判明していないが、何十年も昔に行方不明となった少女とかもその中にいる可能性が高いと記事に書かれていた。

 リサ:「わたしは……どうなんだろう?」

 今のところ、リサの存在に関しては公式には秘密である。
 リサに与えられている戸籍は、仮の戸籍に過ぎない。

 リサ:「……ん?サイ……違う。エレンからのLINE」

 リサは深く考えるのはやめて、このタイミングでLINEしてきた我那覇絵恋とのやり取りをすることにした。

 ※冒頭の日付に誤りがありましたので、修正しました。失礼しました。
コメント (3)
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“私立探偵 愛原学” 「盂蘭盆の愛原家」

2022-10-27 14:46:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月13日12:30.天候:晴 宮城県仙台市若林区連坊小路 曹洞宗福現山保寿寺]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は親戚一同が集まって、お盆の法要を行った。
 それが終わり、今は大広間で昼食を御馳走になっている。
 曹洞宗は禅宗であり、食事も仏道修行の1つとされていて、精進料理が美味い。
 もっとも、私達が口にしているのは来客用としての贅沢な内容らしいが。
 リサよりもやかましい甥っ子や姪っ子の面倒を押し付けられ……もとい、頼まれながら、私はその合間に高橋に電話をした。

 愛原:「あー、もしもし。高橋か?」
 高橋:「先生、お疲れさまです!」
 愛原:「あー、こっちは大変だ。リサも順当に人間として育てば、こんな感じになっただろうってな子供達ばかりだ」
 高橋:「それはお疲れさまです。ガキの相手は、ガキにやらせますか?」
 愛原:「リサのことだから、寄生虫でも寄生させて操るくらいのことはするかもしれん。やっぱりいい」
 高橋:「それもそうですね」
 愛原:「そっちはどうだ?」
 高橋:「取りあえず時間潰しに、駅前のネットカフェにいます」
 愛原:「ネカフェ?もっと楽しい所、行ってもいいのに」
 高橋:「いえいえ。先生がお忙しいのに、弟子の俺が遊ぶわけにはいきませんから。化け物の監視役は、俺に任せてください」
 リサ:「化け物言うなって言ったじゃん!」

 電話の向こうから、リサの声が聞こえた。

 愛原:「何か、ダーツバーのような音が聞こえるが?」
 高橋:「あー、ダーツもあるんです」
 愛原:「そうなのか。料金は後で立替ておくよ」
 高橋:「あざっす」
 リサ:「あのね、先生!わたし、おとなしくしてるからね!?」
 愛原:「ああ、分かった分かった。ネカフェだと、あれだろ?マンガもいっぱいあるだろ?それでも読んで、時間潰しててくれ」
 リサ:「分かったー!」
 愛原:「俺はまだやることがあるから」
 高橋:「親戚付き合いですね。お疲れさまです」
 愛原:「それもあるんだが、あれだよ」
 高橋:「あれ?」
 愛原:「昨日、奥新川で見つけた資料さ。お盆明けにデイライトさんに届くよう、資料だけでも送ってくれって言われてるんだ」
 高橋:「そうなんですか」
 愛原:「一応、こっちでもコピーだけは取っておきたいんだが、何しろ忙しいからなぁ……」
 高橋:「それ、俺がやりますよ」
 愛原:「やるって?」
 高橋:「俺が先生の御宅に伺います。それから、コピー取りますよ」
 愛原:「そうか。じゃあ、頼むよ」
 高橋:「弟子にして助手の俺に任せてください」
 愛原:「午後には実家に戻るから」
 高橋:「御親戚の方々は?」
 愛原:「夕食食べてから帰るそうだ。だから、もう一泊、ホテルで我慢してくれな?」
 高橋:「先生の御命令は絶対ですから。お気になさらないでください」
 愛原:「そこのリサにも、よろしくな?」
 高橋:「分かってます。こんなアホでも、先生の御命令は絶対ということくらい……」
 リサ:「誰がアホやねん!」
 愛原:「あはは……」

 うちの事務所スタッフは本当に賑やかだ。
 高野君がいなくなって以来、本当に……。

 姪っ子A:「おじちゃん!おじちゃん!遊ぼ!」
 姪っ子B:「今度はおじちゃんが鬼!」
 愛原:「わっ、ととと!わ、悪い!昼休み、強制終了だ!また後でな!」
 高橋:「は、はい!」
 リサ:「本物の鬼とやらを見せてやr……」

 何だか電話の向こうで、リサが変な怒りを出していたような気がしたが、知らなかったことにしておこう!
 だいたい、姪っ子なんだから、別に問題無いだろ!

[同日同時刻 天候:晴 宮城県仙台市宮城野区榴岡 BiVi仙台駅東口3Fアイ・カフェ仙台店]

 リサ:「先生!女と遊んでる!」
 高橋:「先生の親戚だろ?なにジェラってんだよ?」
 リサ:「だって!」
 高橋:「まあ、確か……あのくらいの離れた親等だったら、結婚できるって聞いたことあるなぁwあぁ?w」
 リサ:「ちょっと今からお寺行って来る!」
 高橋:「オマエみたいな鬼が行ったら、坊さんに滅されるぜ?」
 リサ:「鬼斬り先輩みたいなのじゃなければ大丈夫!」
 高橋:「先生が実家にお戻りになったら、俺は資料を取りに行く。オマエはここに残ってマンガでも読んでな」
 リサ:「ヤダ!一緒に行く!」
 高橋:「オマエなぁ……!」

 高橋はまた電話した。

 高橋:「あー、先生。お忙しいところ、サーセン。実はリサの奴……かくかくしかじか」
 愛原:「あー、分かったよ!連れて来ていいよ!」
 高橋:「了解っス!」
 姪っ子A:「休みなのに仕事してる叔父ちゃんは、どーん!」
 姪っ子B:「どーん!」
 愛原:「わああ!」
 高橋:「何やってんスか?」
 愛原:「姪っ子達に馬乗りにされた!早く帰りたい!」
 高橋:「お疲れさまっス」

 高橋は電話を切った。

 高橋:「先生の大慈大悲に感謝しな。オマエも来ていいってよ」
 リサ:「おー!……でも何か、電話の向こうが騒がしかったけど?」
 高橋:「先生は今、お忙しい。今、『ロリ姪っ子2人に騎乗位されてイかされた僕』を実演されているところだ」

 馬乗り≒騎乗位

 リサ:「! 先生の秘蔵動画に入ってたアレ!」
 高橋:「というわけで、先生が帰還されたと同時に行くからな?じゃ、頼んます!」
 リサ:「うぅ……私も交ざりたい……!」

[同日15:00.天候:晴 仙台市若林区某所 愛原の実家]

 親戚達と両親を交えた長話のせいで、私はなかなか帰れなかった。
 しかもその間、唯一の独身者である私が子供達の面倒を見なくてはならなくなったのだ。
 そして、ようやく帰れた時には3時のおやつの時間になっていた。
 姪っ子や甥っ子達が3時のおやつに夢中になっている間、私は急いで自室に籠り、まずはSDメモリーカードのコピーだけを行なった。
 紙の資料については、コピー機が無いので、どこかでコピーしなくてはならない。
 それはコンビニでもいいのだが、いかんせんコンビニに行くヒマすら無いのだ。
 と、そこへ私のスマホにLINEの着信があった。
 それは高橋からで、どうやら実家前に着いたらしい。
 私は早速、原本のSDメモリーカードと紙の資料を持って玄関に向かった。

 高橋:「先生、お疲れさまです!」

 家の外には高橋と、帽子を深く被って角は何とか隠しているものの、エルフ耳と長く鋭い爪は隠せていないリサがいた。

 リサ:「先生に騎乗位しやがったクソバカガキ共はどこ!?」
 愛原:「はい!?」
 高橋:「ハーッハッハッハ!」

 リサの見当違いの怒りに高橋、大爆笑。
 高橋の奴、リサに何か変なこと吹き込んだな?

 愛原:「俺は子供達と遊んだだけだよ!?」
 リサ:「アタシにも騎乗位して!」
 愛原:「何がだ!」
 高橋:「先生、それより例のブツを」
 愛原:「資料って言えよ。因みにメモリーカードについては、俺のパソコンでできたから、コピーはこの紙の資料でいい」
 高橋:「お任せください。その後、姉ちゃんとこの事務所に送ればいいんですね?」
 愛原:「ああ。この大きさなら、レターパックで行けるだろう。但し、あれだぞ?必ずハンコかサインの要る赤い方で送るんだぞ?青い方はダメだぞ?」
 高橋:「分かってますって。お任せください」
 リサ:「……わたしはここに残りたいな」
 愛原:「いいからここは俺に任せて、高橋に付いててやれよ」
 高橋:「まあ、俺1人で大丈夫なんスけど……」
 愛原:「口うるさい叔母さんとかいるから、オマエ達がいると説明が面倒臭いんだよ」
 高橋:「『不肖の愛弟子』という説明ではダメっスか?」
 リサ:「『将来のお嫁さん』という説明ではダメ!?」
 愛原:「うん、ダメだね」

 私は2人を何とか家から追い出した。
 それよりリサの奴、正体を隠さないとヤベーだろ。
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“愛原リサの日常” 「悪夢」

2022-10-27 11:38:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月13日01:32.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区榴岡 東横イン仙台駅東口2号館 リサの部屋]

 リサ:「きゃーっ!」

 リサは悪夢を見て目が覚めた。
 夢の中で、記憶が断片的に蘇りつつある。
 暮らしていた家が襲撃され、自分と姉妹(記憶が無いので、姉か妹かは不明)が拘束されるという夢だ。

 リサ:「はぁっ……!はぁっ……!」

 上半身だけ起こすと、第1形態の鬼の姿に戻っており、汗をびっしょりかいていた。

 リサ:「うう……」

 リサは汗を吸ってびしょ濡れになった、ホテルのナイトガウンを脱ぎ捨て、その下に着ていた黒いスポブラとショーツを脱ぎ捨てるとバスルームに入った。
 シャワーを浴びていても、悪夢の余波がリサの意識や感覚を奪おうとする。

 UBCS隊員:「裏切り者の上野達夫を始末した!女家族は3人!全員連行しろ!男は殺して構わん!」

 リサ:「うぅ……」

 銃を構えたガスマスクのUBCS隊員達の怒号が聞こえる。
 UBCSとはアンブレラ直営の軍事会社のことである。
 当然、日本ではもちろん、アメリカの本体でも事業許可を受けていない会社であった。
 事業許可を受けていたのは、USS。
 これはアンブレラ直営の警備会社で、これは事業許可を受けていた。
 本場アメリカでは、更に許可を取って、銃で武装していたくらいである。
 日本では日本の警備業法に従わざるを得ず、普通の警備会社と大して変わらなかったが。

 シャワーを浴びた後は、全裸のままバスルームから出て、冷蔵庫に入れておいたペットボトルの水をガブ飲みした。

 日本アンブレラ主任研究員:「ダメだ!母親に続いて、娘1人もダメか!」
 ヒラ研究員:「大丈夫です!1人は良い数値を示しています!白井本部長の掲げる『最も危険な12人の巫女プロジェクト』の達成には間に合うかと!」


 リサ:「うぅ……!」

 このまま眠ったら、また悪夢の続きを見てしまう。
 だから起きていようと思うのだが、時折、殴られるような頭の激痛は、そんなリサの意識を奪おうとしていた。

 善場:「一家殺人事件の経緯を知ってる!?UBCSの前に、1人の男が忍び込んだんですって!」
 高野:「あいつが何で八丈島に行ったかって?そりゃあ……」


[同日07:00.天候:晴 同ホテル リサの部屋→1Fロビー]

 女魔王:「これではっきりした!ずっと人間が嫌いだったけど、あいつらは敵だ!」

 リサ:「おー……って、あれ……?」

 枕元に置いたスマホのアラームが鳴って、リサは目が覚めた。
 今度は変な夢を見た。
 自分は魔族の一員で、自分より俄然強い女魔王に率いられて人類を滅ぼしに行く側……。

 リサ:「いやいやいや……」

 リサは夢の内容を否定して起き上がった。
 今度は大した寝汗もかいていない。
 暑かったし、ナイトガウンは一着しか無かったので、黒いスポブラとショーツだけで寝ていた。

 リサ:「ううーん……!」

 リサは大きく伸びをして、それからバスルームに行った。
 夜中にシャワーを使った為、浴槽内はまだ水滴が付いている。
 今回は顔を洗って、歯を磨くだけにした。

 リサ:「……段々、人間の姿に化けれなくなっているような……?」

 人間と殆ど姿の変わらぬ第0形態になった。
 それまでは牙も隠せたのだが、今は隠せなくなっている。
 もっとも、この程度ならまだ誤魔化せるが。
 そのうち、エルフ耳や角も隠せなくなるのではないだろうか?
 それで、本当の第1形態となる。
 バスルームから出ると、部屋の電話が鳴った。

 リサ:「はいはい」

 ライティングデスクの上の受話器を取ると……。

 高橋:「おう、リサ。起きたか?」
 リサ:「うん、起きた」
 高橋:「準備ができたら、飯に行くぞ」
 リサ:「分かったー」
 高橋:「ホテルを出る前に、洗濯するぞ。服とか汚れてるだろ?」
 リサ:「そうだね」
 高橋:「ホテルのコインランドリーを使うから」
 リサ:「分かったよ」

 リサは電話を切った。
 そして、まだ汚れていない白いTシャツと黒いスカートを穿いた。
 それから、使用済みの下着や汚れた服などをバッグに詰める。

 リサ:「これでよし」

 部屋を出ると、高橋が待っていた。

 高橋:「来たか?鍵、忘れるなよ」
 リサ:「もち」

 エレベーターに乗り込んで1階に降りると、ロビーが朝食会場となっていた。
 そこに行く前に、コインランドリーに向かう。
 長期滞在の宿泊客もいるので、大抵こういうホテルにはコインランドリーがある。

 高橋:「ほらほら、早く洗濯物入れろ」
 リサ:「はいはい」

 洗剤も売っているので、それをドバドバ入れるリサだった。

 リサ:「先生のパンツ、わたしが洗いたいなー」
 高橋:「バカ!それは俺の仕事だ!」

 洗濯を開始すると、2人は朝食会場に行った。

 リサ:「1回200円なんだねー」
 高橋:「先生が警備会社にお勤めだった頃、社員寮のコインランドリーは1回100円だったらしいぞ」
 リサ:「ほんとに!?」
 高橋:「ま、今は200円が相場ってところか」

 朝食はバイキング形式である。

 高橋:「……やると思ったぜ」
 リサ:「むふー!」

 リサは当然の如く、皿に山盛りの量を取ったのだった。

 リサ:「だって昨日の夜、何も食べてないんだもん」
 高橋:「まあ、それもそうか。ま、どうせこっちはタダだからな」
 リサ:「でしょー!」

 リサはドリンクバーから、オレンジジュースを取って来た。
 飲み物に関しては、人並みの量である。

 リサ:「昨日はパチンコ行って来たの?」
 高橋:「まあな」
 リサ:「当たった?」
 高橋:「まあな。当たり過ぎて、先生に怒られたよ」
 リサ:「先生?先生から電話があったの?」
 高橋:「ああ。ちょうど確変リーチ出てた時な」
 リサ:「それでそれで!?」
 高橋:「機械が『リーチ!』って言ってたのに、先生が、『リーチじゃねーよw』って言ってたw」

 高橋はその時のやり取りを思い出し、吹いてしまった。

 リサ:「それでそれで!?」
 高橋:「当たってラウンド曲流れてさ、先生と一緒に歌ったよ」
 リサ:「いいなぁ……」
 高橋:「オマエの歳じゃ、まだパチ屋行けねーからな」

 今はパチンコだけでは大勝ちできないので、スロットの方にも手を出したことは内緒にしていた高橋だった。
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