[7月31日11:07.天候:晴 静岡県富士市 JR新富士駅→東海道新幹線710A列車1号車内]
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、11時10分発、“こだま”710号、東京行きが入線致します。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に停車致します。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車までと、13号車から16号車です。……〕
通過線を最高速度で通過していた通過列車に対し、停車列車は時速70~80キロほどでやってくる。
それでも、最後尾となる車両の位置で待っていると速く感じる。
新富士駅にはホームドアが無いので、尚更だ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
降りてくる乗客はいなかったが、予想通り、車内は空いていた。
自由席の通り、自由な場所に座る。
と、轟音を立てて通過列車が通過していった。
私と高橋は2人席に隣り合って座り、リサと絵恋さんはその後ろ。
栗原姉妹は私達の席の、通路を挟んで隣のまるっと空いている3人席に座った。
まあ、この乗客の数からして、通路側に別の乗客が座ることは無いだろう。
というか蓮華は、通路側に荷物や麻袋に入った刀剣を置いているし(今更だが、ちゃんと許可は取っている)。
仕込み杖で許可を取ろうとしたら、却って却下されたらしい(左足が義足なので、本当の杖としても兼用するつもりだったという)。
〔「この電車は11時10分発、“こだま”710号、東京行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
尚、復路の列車はN700Aである。
こっちの座席の方が、しっくり来る感じではある。
尚、この車両の場合、充電コンセントは普通車では窓の下。
ホームから、発車ベルが聞こえてくる。
東京駅では発車メロディだったが、新富士駅では発車ベル。
〔1番線、“こだま”710号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください〕
〔「ITVよーし!……1番線、“こだま”710号、東京行き、まもなく発車致します。……乗降、終了!」〕
けたたましい客扱い終了ブザーの音がして、ドアが閉まるのは東京駅と同じ。
ドアチャイムの音が聞こえて来て、ドアが閉まる。
音色は在来線のそれは甲高く響くような感じだが、こちらはもっとソフトな響き方である。
同じ2点チャイムでも、色々と違うものだ。
エアーの抜ける音がしたかと思うと、インバータの音が響いて来て列車が発車した。
復路のN700Aの方が、走行音が響く感じだ。
列車は通過列車が最高速度で走行する本線へと進出した。
高橋:「取りあえず、ミッション終了ですね」
愛原:「まだだよ、高橋君。例の物を善場主任に渡してからだ」
高橋:「報酬をもらうまでが仕事でしたね」
愛原:「そういうことだよ」
私は大きく頷いた。
その時、私のスマホに着信が入る。
善場主任からのLINEだった。
愛原:「明日、主任が朝イチで事務所に来るらしい。帰ったら、報告書を仕上げよう」
高橋:「事務所に行きますか?」
愛原:「いや、書類の作成だけなら家でもできるから、取りあえずは帰ろう。元々日曜日は事務所も休みだし」
高橋:「了解っス」
事務所は朝9時に開けているから、そのタイミングで来るといった感じか。
それなら明日は、少し早めに開けておくか。
[同日12:18.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東海道新幹線乗り場]
〔♪♪(車内チャイム。JR西日本車“いい日旅立ち・西へ”イントロ)♪♪。まもなく終点、東京です。【中略】お降りの時は、足元にご注意ください。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
新幹線は至って順調に走行している。
品川駅を出ると、在来線と並行して走る。
1964年、東海道新幹線開通の日、新大阪発の上り1番列車は、かなり余裕時分を持たせたダイヤ設定となっていたが、担当運転士が飛ばし過ぎた為、東京駅にかなり早着しそうになった。
東京駅には定着を厳命されていた為、品川から先はかなりの徐行運転を行って時間調整を行い、その速度は山手線に抜かれるほどだったという。
私は並走する山手線を見て、そう思った。
〔「15番線に到着致します。お出口は、左側です。お降りの際、電車とホームの間が広く空いている所がございます。お足元には、十分ご注意ください。……」〕
東海道新幹線ホームの14番線と15番線は、他の東海道新幹線ホームと比べても湾曲している。
隣のJR東日本新幹線ホームと並行していることもあり、『旧国鉄時代、東海道新幹線と東北新幹線が相互乗り入れしようとした名残』という噂もあるが、これはデマである。
相互乗り入れ計画など、最初から無かった(構想はあったもよう)。
これは東海道新幹線の列車本数が増大してホームが足りなくなった為、東北新幹線用のホームを東海道新幹線用に融通した名残というのが真相である。
旧国鉄時代だからこそ、できたことだろう。
もっとも、JR化後、北陸新幹線の開通に伴って、今度はJR東日本側のホームが足りなくなって、結局は増設することになるのだが。
愛原:「2人とも、降りるよ」
私は後ろの席に座るリサ達に声を掛けた。
2人は仲良くうたた寝していた。
リサ:「お……。もう到着?」
愛原:「そうだよ。降りる準備しろ」
この時、列車は既に有楽町駅の横を通過していた。
リサ:「ん、分かった。サイトー……じゃなかった。エレン、もう降りるって」
絵恋:「あ……はい」
一方、栗原姉妹の方は寝てなくて、大石寺の売店(仲見世商店街)で購入したという本を読んでいた。
機関紙や機関誌の類なら所属寺院でも手に入るが、それ以外の資料とかとなると、そういう所でしか手に入らないという。
〔とうきょう、東京です。とうきょう、東京です。ご乗車、ありがとうございました〕
列車が湾曲したホームに到着し、乗客達がぞろぞろと降り出す。
〔「……15番線の電車は折り返し、12時33分発、“ひかり”643号、新大阪行きとなります。……」〕
愛原:「こっちも暑いな!」
高橋:「東京の暑さはパねぇっスね!」
愛原:「なあ!」
高橋:「涼しい先生の御実家に、早いとこお邪魔したいっス」
愛原:「……仙台も仙台で、夏はクソ暑いんだよなぁ……」
列車を降りた私達は、まずは八重洲南口改札に向かった。
栗原蓮華:「愛原先生、お世話になりました」
栗原愛理:「ありがとうございました」
2人の姉妹は礼を言って、そこの改札口から外に出た。
そして、都営バスの発着する八重洲南口の駅出口に向かったのを確認した。
愛原:「それじゃ、俺達は別の駅に行こう」
菊川に帰るには、都営地下鉄新宿線に乗り換える必要がある。
まずは秋葉原駅に向かうことにした。
リサ:「先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。アキバで何か食おうか」
リサ:「おー!」
私達は乗り換え改札口から在来線コンコースに出た。
そこの自動改札機では特急券が回収され、乗車券だけが手元に残る。
秋葉原駅では、そのキップを自動改札に突っ込んで出る形になる。
私達は、3番線・4番線ホームに向かった。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、11時10分発、“こだま”710号、東京行きが入線致します。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に停車致します。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車までと、13号車から16号車です。……〕
通過線を最高速度で通過していた通過列車に対し、停車列車は時速70~80キロほどでやってくる。
それでも、最後尾となる車両の位置で待っていると速く感じる。
新富士駅にはホームドアが無いので、尚更だ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
降りてくる乗客はいなかったが、予想通り、車内は空いていた。
自由席の通り、自由な場所に座る。
と、轟音を立てて通過列車が通過していった。
私と高橋は2人席に隣り合って座り、リサと絵恋さんはその後ろ。
栗原姉妹は私達の席の、通路を挟んで隣のまるっと空いている3人席に座った。
まあ、この乗客の数からして、通路側に別の乗客が座ることは無いだろう。
というか蓮華は、通路側に荷物や麻袋に入った刀剣を置いているし(今更だが、ちゃんと許可は取っている)。
仕込み杖で許可を取ろうとしたら、却って却下されたらしい(左足が義足なので、本当の杖としても兼用するつもりだったという)。
〔「この電車は11時10分発、“こだま”710号、東京行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
尚、復路の列車はN700Aである。
こっちの座席の方が、しっくり来る感じではある。
尚、この車両の場合、充電コンセントは普通車では窓の下。
ホームから、発車ベルが聞こえてくる。
東京駅では発車メロディだったが、新富士駅では発車ベル。
〔1番線、“こだま”710号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください〕
〔「ITVよーし!……1番線、“こだま”710号、東京行き、まもなく発車致します。……乗降、終了!」〕
けたたましい客扱い終了ブザーの音がして、ドアが閉まるのは東京駅と同じ。
ドアチャイムの音が聞こえて来て、ドアが閉まる。
音色は在来線のそれは甲高く響くような感じだが、こちらはもっとソフトな響き方である。
同じ2点チャイムでも、色々と違うものだ。
エアーの抜ける音がしたかと思うと、インバータの音が響いて来て列車が発車した。
復路のN700Aの方が、走行音が響く感じだ。
列車は通過列車が最高速度で走行する本線へと進出した。
高橋:「取りあえず、ミッション終了ですね」
愛原:「まだだよ、高橋君。例の物を善場主任に渡してからだ」
高橋:「報酬をもらうまでが仕事でしたね」
愛原:「そういうことだよ」
私は大きく頷いた。
その時、私のスマホに着信が入る。
善場主任からのLINEだった。
愛原:「明日、主任が朝イチで事務所に来るらしい。帰ったら、報告書を仕上げよう」
高橋:「事務所に行きますか?」
愛原:「いや、書類の作成だけなら家でもできるから、取りあえずは帰ろう。元々日曜日は事務所も休みだし」
高橋:「了解っス」
事務所は朝9時に開けているから、そのタイミングで来るといった感じか。
それなら明日は、少し早めに開けておくか。
[同日12:18.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東海道新幹線乗り場]
〔♪♪(車内チャイム。JR西日本車“いい日旅立ち・西へ”イントロ)♪♪。まもなく終点、東京です。【中略】お降りの時は、足元にご注意ください。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
新幹線は至って順調に走行している。
品川駅を出ると、在来線と並行して走る。
1964年、東海道新幹線開通の日、新大阪発の上り1番列車は、かなり余裕時分を持たせたダイヤ設定となっていたが、担当運転士が飛ばし過ぎた為、東京駅にかなり早着しそうになった。
東京駅には定着を厳命されていた為、品川から先はかなりの徐行運転を行って時間調整を行い、その速度は山手線に抜かれるほどだったという。
私は並走する山手線を見て、そう思った。
〔「15番線に到着致します。お出口は、左側です。お降りの際、電車とホームの間が広く空いている所がございます。お足元には、十分ご注意ください。……」〕
東海道新幹線ホームの14番線と15番線は、他の東海道新幹線ホームと比べても湾曲している。
隣のJR東日本新幹線ホームと並行していることもあり、『旧国鉄時代、東海道新幹線と東北新幹線が相互乗り入れしようとした名残』という噂もあるが、これはデマである。
相互乗り入れ計画など、最初から無かった(構想はあったもよう)。
これは東海道新幹線の列車本数が増大してホームが足りなくなった為、東北新幹線用のホームを東海道新幹線用に融通した名残というのが真相である。
旧国鉄時代だからこそ、できたことだろう。
もっとも、JR化後、北陸新幹線の開通に伴って、今度はJR東日本側のホームが足りなくなって、結局は増設することになるのだが。
愛原:「2人とも、降りるよ」
私は後ろの席に座るリサ達に声を掛けた。
2人は仲良くうたた寝していた。
リサ:「お……。もう到着?」
愛原:「そうだよ。降りる準備しろ」
この時、列車は既に有楽町駅の横を通過していた。
リサ:「ん、分かった。サイトー……じゃなかった。エレン、もう降りるって」
絵恋:「あ……はい」
一方、栗原姉妹の方は寝てなくて、大石寺の売店(仲見世商店街)で購入したという本を読んでいた。
機関紙や機関誌の類なら所属寺院でも手に入るが、それ以外の資料とかとなると、そういう所でしか手に入らないという。
〔とうきょう、東京です。とうきょう、東京です。ご乗車、ありがとうございました〕
列車が湾曲したホームに到着し、乗客達がぞろぞろと降り出す。
〔「……15番線の電車は折り返し、12時33分発、“ひかり”643号、新大阪行きとなります。……」〕
愛原:「こっちも暑いな!」
高橋:「東京の暑さはパねぇっスね!」
愛原:「なあ!」
高橋:「涼しい先生の御実家に、早いとこお邪魔したいっス」
愛原:「……仙台も仙台で、夏はクソ暑いんだよなぁ……」
列車を降りた私達は、まずは八重洲南口改札に向かった。
栗原蓮華:「愛原先生、お世話になりました」
栗原愛理:「ありがとうございました」
2人の姉妹は礼を言って、そこの改札口から外に出た。
そして、都営バスの発着する八重洲南口の駅出口に向かったのを確認した。
愛原:「それじゃ、俺達は別の駅に行こう」
菊川に帰るには、都営地下鉄新宿線に乗り換える必要がある。
まずは秋葉原駅に向かうことにした。
リサ:「先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。アキバで何か食おうか」
リサ:「おー!」
私達は乗り換え改札口から在来線コンコースに出た。
そこの自動改札機では特急券が回収され、乗車券だけが手元に残る。
秋葉原駅では、そのキップを自動改札に突っ込んで出る形になる。
私達は、3番線・4番線ホームに向かった。