報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「民宿に到着」

2022-10-02 20:15:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月30日15:00.天候:晴 静岡県富士宮市(旧・上野村)某所 民宿さのや]

 チェックインの時間になり、私達は予約していた民宿へ向かった。
 栗原姉妹は後で迎えに行くことにする。

〔目的地周辺です。音声案内を終了します〕

 愛原:「えーと……ここだな」

 それはとある県道沿いにあった。
 大石寺からも程近い場所にあるが、富士宮市郊外にあるのは間違いない。
 路線バスも走っているようだが、明らかに車が無いと不便な場所ではあるようだ。
 県道も道が狭いせいか、地元の車は軽自動車やコンパクトカーが多い。
 宅配便やコンビニ配送の2トン車が大型車に見えてしまうほどだ。
 元々走り屋の高橋なら、狭い道でも難無く走行していたが。
 そうして、民宿の駐車場に車を止める。
 他に車は2~3台ほど止まっていた。
 それが他の宿泊客の車なのか、或いは関係者の車なのかは判別できない。
 1台は地元の富士山ナンバーだったし、もう1台は静岡ナンバーだったからだ。
 もう1台は他県ナンバーだったが、トラックなので、よく分からない。

 愛原:「木造2階建てか。まあ、奥行きは広そうだな」

 車から荷物を降ろし、正面玄関のガラス戸を開けた。

 愛原:「こんにちはー」

 私が声を掛けると……。

 愛原公一:「いらっしゃ~い。旅館さのやへ~」

 奥から紺色の法被を着た公一伯父さんがやってきた。

 高橋:「爺さん、バイトなう!?」
 公一:「おお!キミは確か、学の腰巾着だったな!よく来たのー!」
 高橋:「こしぎんちゃく……!」
 絵恋:「どっちかというと、金魚の糞じゃない?」
 リサ:「太鼓持ちとも言う」
 高橋:「オマエら、後で潤井川に叩き落す!」
 愛原:「狸祭りでもやる気か。それより伯父さん、今日から1泊で予約入れてるんだけど?」
 公一:「うむうむ。部屋が2つじゃったの。しかし、ワシの記憶が確かなら、6人のはずじゃが?」
 愛原:「あとの2人は、大石寺にいるよ。夕方までいるから、その時に」
 公一:「なるほどなるほど。おおかた、御開扉を受けた後で、六壺の夕勤行に出る算段なのじゃろう」

 さすがは大石寺の近所。
 大石寺の行事には詳しいわけだ。

 愛原政子:「あんた!何をそこでくっちゃべってんだい!?」

 すると、帳場の奥から恰幅の良い女将がやってきた。
 私の伯母さんで、愛原政子である。
 公一伯父さんより年下であるものの、70代の老婆とは思えないマッチョなオバハンだ。
 離婚した元旦那には厳しいが……。

 政子:「あらぁ~、学、久しぶりねぇ!」
 愛原学:「お、お久しぶりです、伯母さん」
 政子:「どうしたの、急に?」
 学:「ちょ、ちょっと今日は伯父さんに話があって……」
 公一:「うむうむ。大事な話じゃ。お茶の用意をせんとなぁ……」
 政子:「何言ってんだい?これから他にもお客が来るってのに、のんびりお茶しばいてる場合じゃないよっ!ここに置いといてやってるんだから、きりきり働きな!」
 公一:「学、このブラック民宿をホワイトホテルに変貌させてくれんかの?」
 学:「そ、それは探偵の仕事じゃないな~……」

 そういうのは経営コンサルタントにでも相談するべきであろう。

 政子:「何がブラック民宿だい!いいから、さっさとこのお客様達にお茶の用意をするんだよっ!」
 公一:「へいへーい」

 公一伯父さんは、逃げるように奥へと引っ込んで行った。

 政子:「ゴメンねぇ、うちの元ヤドロクが……。宮城の方でも、随分と迷惑を掛けたみたいだねぇ……」
 学:「いや、まあ、宮城県ではいい農学者だったのにね……」
 政子:「ニュースで観たけど、どこかの製薬会社に札束チラつかされて、欲が出たんだろ?あのヤドロクには、いい薬さ。製薬会社なだけにね」
 学:「ははは……なるほど」
 政子:「それじゃ、こちらに書いてくれないかい?」
 学:「はいはい」

 私は宿帳に所定事項を記入した。
 宿泊者カードではなく、宿帳である。
 さすがは民宿。
 一気に昭和時代に戻ったかのようだ。

 学:「後から2人、来ますんで。大石寺の参拝が終わったら」
 政子:「あー、何かさっきそんなこと言ってたね。まさか、学も入信したのかい?」
 学:「いや、俺はしてないよ」
 政子:「そうかい。まあいいけどね。こっちも商売だしね。それじゃ、これが鍵だよ」
 学:「ありがとう」

 鍵番号を見ると、『201』と『202』と書かれていた。
 2階の部屋らしい。
 帳場には階段があるので、それで上がって行くのだろう。

 リサ:「『エレベーターはこの奥です』だって」
 学:「! エレベーターあるの!?」
 政子:「後付けで造ったホームエレベーターさ。昨今のバリアフリー化に乗ってみてね。駐車場にも、車椅子マークのスペースがあっただろ?」
 学:「そういえば……」
 政子:「車イス用のトイレも、1階の奥に造ったさ」
 学:「よくそんなお金あったねぇ……」
 政子:「その金が無きゃ、あんなヤドロクうちに置かないよ」
 学:「ええっ!?」

 どうやら民宿のバリアフリー改造化の費用は、伯父さんが持ったらしい。
 確かに伯父さんには被害者がいないから、被害者からの賠償請求は無い。
 警察に逮捕された時に弁護士は雇ったようだから、それに関する費用が掛かったくらいか?

 学:「でもまあ、ちょうど良かった。後から来る2人のうち、1人は片足が義足なんだ。もしかしたら、利用させてもらうかもね」
 政子:「そうなのかい。それは良かったね」

 というわけで試しに乗ってみたが、定員は3名という小ささだった。
 まあ、ホームエレベーターなら妥当だろう。
 確かに車椅子と、その介助者1人がすっぽり入る程度の大きさだった。

 高橋:「先生、この民宿、地下があるんですか?」

 エレベーターに乗ってみて、ボタンを見ると、1階と2階の他、B1階のボタンがあった。

 学:「そ、倉庫か何かだろ?」

 伯父さんの住んでた宮城の元公民館には何故か地下室があって、そこは伯父さんの秘密の研究室だったらしいが……。
 2階に着いて、201号室と202号室に行ってみる。
 赤いカーペットの敷かれた絨毯を進み、擦りガラスの引き戸になっている扉が客室の入口だった。

 学:「それじゃ、俺達は201にするから、キミ達は隣の部屋な?」
 リサ:「はーい。じゃあ、エレン、また後で」

 リサは私達と一緒の部屋だと思ったようだ。

 学&高橋:「オマエはあっち!」
 絵恋:「リサさんはこっち!」
 リサ:「ええ~?」

 リサは残念そうな顔をした。
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“私立探偵 愛原学” 「再・月まで届け不死の煙」

2022-10-02 15:35:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月30日09:30.天候:晴 静岡県富士宮市上条 日蓮正宗大石寺・登山事務所前]

〔目的地周辺です。音声案内を終了します〕

 新富士駅からおよそ40分ほどで、私達は大石寺の駐車場に到着した。

 愛原:「ここでいいのか?」
 栗原蓮華:「はい。ありがとうございます」

 この姉妹、ここで行われた中等部講習会や高等部講習会には参加したようだが、また改めて来たようである。
 私達に誘われたのがきっかけだったらしいが……。

 愛原:「それじゃ夕方、また迎えに来ればいいのかな?」
 蓮華:「はい」
 リサ:「禍々しい霊気を感じる……!」
 蓮華:「鬼から見れば、そうだろうね。……夕方は、こちらの新町駐車場に迎えに来てもらえますか?」

 蓮華はナビを見ながら言った。
 大きな総本山というだけあって、駐車場もいくつか分かれているようだ。

 愛原:「分かったよ。それじゃ、また夕方に」
 蓮華:「ありがとうございます」

 栗原姉妹は、ここで車を降りていった。

 リサ:「次はどこに行くの?」
 愛原:「お待ちかね、納涼のプールだ。ちゃんと水着は持って来たな?」
 リサ:「おー!もちろん!」
 愛原:「それじゃ高橋、次はプールだ」
 高橋:「はいっ!」

 私はナビをセットした。

〔実際の交通規則に従って、運転してください〕

 そして、高橋は再び車を市街地方面に進めた。

 絵恋:「り、リサさんはどんな水着を持って来たの?」
 リサ:「ん?セパレートタイプ。学校のもあったけど、先生に買ってもらった」
 愛原:「あくまでもスク水は、学校で着るものだよ」
 絵恋:「り、リサさんならどんな水着も似合うわーっ!」

[同日11:00.天候:晴 同市内外神東町 富士宮市民プール]

 リサと絵恋さんは水着に着替えて、プールを楽しんでいる。
 一方、私は麦わら帽子にサングラス、アロハシャツに短パン……。

 高橋:「先生、たまに海水浴場にいる地元のオッサンみたいな恰好ですけど?」
 愛原:「うるせー!」

 私はリサと絵恋に向けて、カメラのシャッターを切る。

 絵恋:「先生、何か怪しい感じなんですけど?」

 絵恋さんは赤とピンクのビキニを着ていた。

 愛原:「しょうがないだろ!善場主任へ提出する報告書に添付する写真は、多い方がいいって言われたんだから!」
 絵恋:「ふーん……?てか、私の写真要ります?」
 愛原:「要るんだよ、それが」
 絵恋:「はあ?」
 リサ:「サイトー……じゃなかった。エレン、一緒に写ろう?」

 リサの場合は、どちらかというとビーチバレーの選手が着るようなタイプの水着であった。
 つまり、上はスポブラタイプである。
 色合いは黒が多い。

 絵恋:「り、リサさんがそう言うならぁ……

 リサは私の方を向いて、軽くウィンクした。
 どうやら、リサが空気を読んで割って入ってくれたらしい。

[同日12:30.天候:晴 同市内外神 たこ焼きゆきち]

 プールは午前と午後の入れ替え制。
 午前の部に入場した私達は、10時から12時まで2時間入ったことになる。
 その後はスポーツ広場を出て、昼食を取ろうと思った。
 道沿いに美味そうなたこ焼き屋があったので、そこに立ち寄ってみる。

 リサ:「ベーコンチーズ、8個入りー!」
 愛原:「はいはい」

 できたてのたこ焼きは美味い。

[同日13:00.天候:晴 同市内同地区 JAふじ伊豆ファーマーズマーケットう宮~な]

 たこ焼きを食べた後は、同じ道すがらにあったJAの施設に立ち寄ってみた。

 高橋:「多分、JAの産直販売所ですよ」

 とのことだが、正しくその通りだろう。
 尚、『富士山駅』とも名乗っていることから、道の駅への昇格を狙っているのだろうか?
 さっきのたこ焼き屋では飲み物を売っていなかったので、何か飲み物でもと思っていたのだが……。

 絵恋:「お手洗い、借りられるかしら?」
 愛原:「それはあるだろう」
 リサ:「美味しそうな匂い」
 愛原:「高橋、リサを食肉のコーナーには近づけるな」
 高橋:「分かっています」
 リサ:「あのねー!」
 高橋:「オマエ、スーパーの肉コーナーに行くだけで、野犬みたいになるじゃねーかよ」
 リサ:「何それ!」
 高橋:「ほれ、ワンと言え、ワンと」
 リサ:「ツー!」
 絵恋:「わ、私はワイルドなリサさん、好きです……
 リサ:「わたしをメス犬にしていいのは、愛原先生だけ」
 愛原:「面白い連中だ……」

 車を駐車場に止める。

 絵恋:「あ、でも、富士宮やきそば売ってるみたいよ?」
 リサ:「おー!富士宮焼きそば、食べてみたい!」
 愛原:「たこ焼き8個も食べたくせに……。まあ、いいけどさ」

 尚、この施設、生野菜や肉、魚だけでなく、加工食品も売られている。
 総菜コーナーで売られているチキンカツとかの前で、リサは立ち止まっていた。

 愛原:「あー、もう!買ってやるよ!」
 リサ:「わぁい!」

 因みに静岡と言えばお茶でもある為、冷たく冷やされたお茶のペットボトルも売られており、私はそれで喉を潤した。
 ところで、最近のスーパーでもそうなのだが、こういうJAの産直販売所でも、野菜や果物のコーナーでは、『この野菜は私が作りました!』と、生産者の顔写真や名前などが公表されていることがある。

 愛原:「最近の消費者は、出所のはっきりしない食べ物は受け付けない傾向があるのだよ。それに答える形だな」
 リサ:「ほーほー」

 するとリサ、口をもごもごと動かして、そこから体内で飼育している寄生虫を取り出した。
 白い芋虫のような虫だ。

 リサ:「『この虫は、わたしのです!』って……」
 愛原:「出所がはっきりしていれば、オールOKというわけでもない!」

 一応、ここでも軽食くらいなら済ませられることが分かった。
 店舗外の出店では、富士宮やきそばの他、ソフトクリームも販売されている。

 愛原:「食後にソフトクリームでも食べるか」
 リサ:「んー!んー!」

 リサ、富士宮焼きそばを頬張りながら、大きく手を挙げて主張した。

 高橋:「焼きそば食ってからにしろよ、オメェ……」

 まあ、食欲が満たされているうちは、リサは暴走することはまずない。
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“私立探偵 愛原学” 「再・竹取飛翔 ~Lunatic Princess~」

2022-10-02 11:19:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月30日08:31.天候:晴 静岡県富士市川成島 JR新富士駅]

〔♪♪(“AMBITIOUS JAPAN”サビ)♪♪。 まもなく、新富士です。降り口は、左側です。新富士を出ますと、次は、静岡に止まります〕

 車両基地もある三島駅で5分ほど停車した後、私達は下車駅の新富士駅に接近した。

〔「まもなく新富士、新富士です。ホーム進入の際、電車が大きく揺れる場合がございます。お立ちのお客様、お近くの手すりにお掴まりください。新富士駅では、6分ほど停車致します。発車は、8時37分です。発車まで、しばらくお待ちください」〕

 この駅でも“のぞみ”“ひかり”の通過待ちをするそうだ。
 本当に“こだま”は、のんびりしている。
 しかし、それでも在来線や高速バスよりは確実に速いし、こういうのんびりさ加減も悪くないのかもしれない。
 何より、ここまで来ると空いている。
 品川駅や新横浜駅、小田原駅からはドカドカッと乗ってきたのだが、熱海駅や三島駅でぞろぞろ降りて行った。
 “こだま”には“こだま”の需要があるというわけだ。
 もちろん、私達もその中に入る。
 新富士駅は、“こだま”しか停車しないので。

 

〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕

 新富士駅にはホームドアが無い為、駅に停車すると、すぐにドアが開く。
 ホームに降りていると、早くも後続の通過列車が轟音を立てて通過していった。
 コロナ禍で北に向かう新幹線は悉く減便され、時刻表を見てもスッカスカの状態だが、東海道新幹線においては臨時列車が運転されなくなったくらいで、定期列車の減便は無かった。
 そしてその臨時列車も、連休には運転されるようになっている。

 愛原:「蓮華さん、向こうにエレベーターあるけど……?」
 蓮華:「いえ、大丈夫です」

 エスカレーターは上りしか無い。
 血の滲むような訓練で、左足が義足の状態でも階段の上り下りができるようになっている蓮華さん。
 それでも、駆け上り、駆け下りはできないようだ。

 リサ:「ニヤ……」( ̄ー ̄)

 リサが不気味な笑みを浮かべた。

 リサ:「鬼斬り先輩は、階段が苦手ですか?今ここで義足を蹴り飛ばしたら、どうなりますかねぇ?」
 蓮華:「やってみろ!やった瞬間、全国の鬼斬りがオマエの敵だ!」
 リサ:「ぜ、全国……?」
 蓮華:「今でも鬼斬りの家系は生きていて、特に西日本に多いんだ。オマエの仲間の鬼も、そういう人達の手助けがあったからこそ、追い詰めて斬り倒せたんだよ」
 愛原:「確か、『3番』とか『5番』辺りかな?」

 蓮華さんは西日本に逃げていた日本版リサ・トレヴァーも、その刀で首を刎ねて倒している。
 なるほど。
 1人でどうやって?と思っていたが、やはり1人ではなく、協力者がいたようだ。

 高橋:「思い出した!」
 愛原:「な、何だよ!?いきなり大声出すなよ?!」
 高橋:「さ、サーセン!その鬼斬りなんですけどね、もしかしたら、俺の知り合いの中にいるかもしれないっス!」
 愛原:「な、何だってー!?」

 改札口を出て、富士山口(北口)に向かう。
 駅前ロータリーの外側には駅レンタカーがあって、そこでレンタカーを借りて目的地に向かうことにした。

 高橋:「この前新潟に行った時、“極東戦線”の連中とバトルしたわけですよ」
 愛原:「知ってるよ。全身チ○ポのBOWが現れて、あやうくオマエのケツがヤバくなるところだったもんな」

 リサをレイプするつもりなのかと思っていたが、どうもLGBTのGだったらしく、高橋に襲い掛かった。

 高橋:「その化け物にばっかり気を取られていましたが、“極東”の敵対団体に、“新潟鬼殺隊”ってのがいまして……」
 愛原:「それも暴走族か?」
 高橋:「まあ、似たようなもんです」
 愛原:「どこかの有名マンガ・アニメのパクリみたいな名前だな?」
 高橋:「いや、名前自体は昔からあるので偶然です。そこの総長が、鬼斬りの家系だってんで、『海の向こうから渡って来る鬼を斬る』とか何とか言ってるんスよ」
 愛原:「“極東戦線”は在日朝鮮人2世・3世が多かったらしいな。ただ単に、その在日達を鬼に見立て、ヘイトスピーチしているだけとか?」
 高橋:「……そうかもしれません。実際奴ら、北朝鮮の工作員もボコしてましたし……」
 愛原:「凄ェな、そいつら!」
 高橋:「『警察が頼りないから、俺達がやっている』んだそうです。頼もしいので俺達、“越後羅洲”もダチにしてもらおうと思ったんですが、『他のチームとつるむ気は無い』と、けんもほろろに断られまして……」
 愛原:「ふーん……。でもまあ、BOWとは関係無さそうだな」
 高橋:「いや、もしかしたら、“極東”がBOWを手に入れた経緯とか知ってるかもしれませんよ?」
 愛原:「え、そうかなぁ?」
 高橋:「もし何だったら、俺から連絡してみますよ」
 愛原:「まあ、期待してないけど、後でな」
 高橋:「はい」

 新富士駅の駅レンタカーは、日産レンタカーに委託されている。
 その為か、借りたレンタカーも日産・セレナであった。
 森下のレンタカーも日産なので、この前、ディズニーランドへの送迎で使用したものと全く同じである。

 リサ:「富士山ナンバーだ」
 愛原:「この辺りのご当地ナンバーは『富士山』なんだな」

 よく見ると、ロータリーを発着しているバスやタクシーも富士山ナンバーが多い。

 愛原:「じゃあ高橋、また運転よろしく」
 高橋:「ういっス!」
 リサ:「免停、気をつけてね」
 高橋:「う、うるせー!」

 高橋は運転席に座り、私は助手席。
 2列目にリサと絵恋さんが座り、3列目に栗原姉妹が乗り込んだ。

 愛原:「じゃあ、まずは大石寺に向かおう」
 蓮華:「大石寺の登山事務所の前に駐車場がありますので、そこまでお願いします」
 愛原:「あいよ」

 私はナビを操作した。

 愛原:「あー、あった。大石寺登山事務所」
 高橋:「はい。じゃあ、まずはここへ行けばいいんスね?」
 愛原:「そういうことだな」
 高橋:「了解っス」

 高橋は車を発進させ、まずは大通りを右折した。

〔しばらく、道なりです〕

 こうして私達は、右前方に富士山を見ながら北に向かった。
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