[8月12日15:00.天候:不明 宮城県仙台市青葉区新川某所 愛原公一邸(旧宅)地下→地上]
私達は地下2階からエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターは手動式で、壁に取り付けられたレバーで操作するものだ。
エレベーターが上昇すると、まずは地下1階を通過する。
地下1階の通路は、1階から侵入してきた化け物達が闊歩していた。
通過する時に私達の姿を見つけたハンターαが駆け寄って来たが、その頃には通過した。
愛原:「ん?」
上昇を続けるエレベーター。
しかし、私は首を傾げた。
いつまで経っても、1階に着かない。
もう4階くらいの位置まで上がってないか???
と、思うと、エレベーターが止まった。
どうやら、最上部に到達したようである。
だが、鉄格子の前には扉が無かった。
愛原:「これはどういうことなんだ???」
リサ:「先生……これ……」
まだショックから立ち直りきってないリサが、後ろの壁を指さした。
愛原:「ん?」
すると後ろは壁だと思っていたのだが、引き戸の取っ手があった。
しかも、それが僅かに開いている。
愛原:「こっち!?」
試しに私が開けてみると、出口は反対側だった。
愛原:「紛らわしいな!」
高橋:「本当っスね!」
しかし、地上どころか、4階くらいまで昇ったような気がしたのに、出口は真っ暗だった。
愛原:「???」
私達は首を傾げざるを得なかった。
高橋:「先生、多分、これ、山ん中っスよ」
愛原:「あっ、そうか」
家の裏手は山になっていた。
エレベーターの位置的に、昇り続けると山の中に入るのだ。
しかし、どうして???
答えは通路を突き進んで分かった。
愛原:「トロッコだ!」
進んだ先には、トロッコがあった。
線路もその先に伸びている。
高橋:「何スか、これ?ケーサツに見つかった時の脱出用ですか?」
リサ:「どこかで見たような……」
リサが虚ろな目をしながら呟いた。
まあ、明らかに日本アンブレラが造ったものだろうから、リサも見たことがあるのだろう。
そういえば、アメリカのラクーンシティにも、研究施設からの脱出用に列車が走っていたのを見聞きしたことがある。
愛原:「ということは、これは外に繋がってるってことじゃないか。これで脱出しよう」
高橋:「はい!」
私達はトロッコに乗り込んだ。
愛原:「えーと……このレバーを引けばいいのか?」
さすがに電車のハンドルとは構造が違う。
多分、ブレーキと加速くらいの操作しかしないのだろう。
ブレーキを解除すると、トロッコは一気に加速した。
愛原:「おおおーっ!?」
高橋:「ヒャッハーッ!!」
リサ:「!!!」
坂を下り行くトロッコ。
しかし、どこまで繋がっているのだろう?
リサ:「思い出した!」
リサがポンと手を叩いた。
愛原:「な、何だよ!?」
リサ:「霧生市の研究所も、物資を鉄道で運んでたの!」
愛原:「知ってるよ。霧生電鉄のトンネルの中だろ?引き込み線を作って、その先にアンブレラ専用の貨物駅を造ったんだよな?」
リサ:「そうなんだけど、基本的に、日本アンブレラの研究施設ってそういう鉄道があるの」
愛原:「と、いうことは……」
高橋:「このトロッコも、どこかの鉄道に繋がってるってことっスか?」
愛原:「仙山線かよ!?」
えぇえ!?
JRの線路に繋がってるの!?
いいの、それ?!
私が頭を抱えた時、トロッコが大きく揺れた。
どうやら、線路の保守をロクに行っていないらしい。
田舎のローカル線のように、ガタガタでよく揺れる。
愛原:「いてっ!」
私はトロッコの揺れに体を取られ、反対側の壁に体を打ち付けてしまった。
その衝撃で、トロッコが右に傾く。
と!
リサ:「あれ!?」
何と、途中に分岐があった!
私のせいでトロッコが右に傾いたからなのか、それとも、元々ポイントが右に向いていたのかは不明だが、トロッコが右の線路に入って行った。
リサ:「分岐があったよ!?」
愛原:「なにっ!?」
左側には何があったのだろう?
ただ、方向的に左に行くと仙山線の線路があったのかもしれない。
じゃあ、今向かってる右方向は……?
愛原:「仙山線の線路に出られても困るが、こっちはこっちでどこに繋がってるのか不安だな……!」
私はいつでも止まれるようにブレーキレバーを握っておいた。
愛原:「んんん!?」
高橋:「うわっ!?」
リサ:「きゃーっ!」
何だか、おかしい。
トロッコが急勾配を何度も通過している。
急降下したと思ったら、急上昇を始め、また急降下を始める。
宙返りが無いところを除けば、まるで遊園地のジェットコースターみたいだ。
[同日15:30.天候:晴 同区作並某所 廃ホテル解体工事現場]
トロッコが止まった所は、これまた真っ暗な所。
しかし、何だか騒がしい。
まるで、工事現場のような……?
愛原:「このドアかな?……ううっ!開かない!」
鍵が掛かっていて開かないというよりは、ドアが何かに引っ掛かって開かないといった感じ。
高橋:「ちょっと、退いてください!」
高橋はそう言って、ドアを蹴破った。
すると!
ガードマン:「オーライ!オーライ!オーライ!」
そこは工事現場だった。
それも、何か建物の……。
ドアの外には工事資材が散乱しており、外開きのドアは、これのせいで開かなかったのだ!
愛原:「な、何だこりゃあ!?」
ガードマン:「ん?な、何なんだ、アンタ達は!?どこから入った!?」
現場監督:「ちょっとアンタ達!危ないから出て行ってくれ!取り壊しの邪魔だ!」
愛原:「取り壊しーっ!?」
私達は半ば追い出されるようにして、解体工事現場を出た。
工事現場の入口にある案内板を見ると、『仙台雨傘園解体工事』と書かれていた。
雨傘園は日本アンブレラの保養施設である。
仙台にもあったのか!
てか、こっちはガッツリ取り壊されている!!
現場監督:「困るんだよ。勝手に入られると……」
愛原:「ど、どうもすいませんでした。あ、あの……ここの建物って、長らく廃墟だったりしてました?」
現場監督:「ん?ああ、そうらしいね。だけど、新しい買い手が付いたんで、取り壊して、また新しいホテルを建てるんですよ」
愛原:「そ、そうでしたか」
ということは、ここに金庫があったとしても、とっくに運び出されてるか。
現場監督:「じゃ、今度から気をつけてくださいよ」
愛原:「あ、あの、最後にもう1つだけいいでしょうか?」
現場監督:「何だい?」
愛原:「ここから街の方に行く、バスとか電車とか無いでしょうか?」
現場監督:「はあ?何で来たの?まあ……この先に作並温泉の温泉街があって、そこにバス停があったけども……」
愛原:「あ、どうもありがとうございます」
私達は仙台弁交じりの現場監督に礼を言って、工事現場をあとにした。
工事現場に至る小道には、道幅いっぱいにダンプカーが出入りしている。
小道を出ると、国道48号線に出た。
愛原:「作並まで来ちゃったってことか……」
高橋:「あのホテルから繋がってたんですね。でも今は、そのホテルも無くなった……」
愛原:「こっちもこっちで危なかったなー!」
結局、どっちに出るのが正しかったのだろう?
愛原:「えーと、あっちだな……」
オレンジ色のセンターラインが引かれた二車線の地方国道という点では、昨日の国道286号線と同じだが、こちらはもっと交通量があるように思えた。
雨傘園は温泉街から外れた場所にあるらしく、温泉街まで行くのに、少し歩くことになったのである。
私達は地下2階からエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターは手動式で、壁に取り付けられたレバーで操作するものだ。
エレベーターが上昇すると、まずは地下1階を通過する。
地下1階の通路は、1階から侵入してきた化け物達が闊歩していた。
通過する時に私達の姿を見つけたハンターαが駆け寄って来たが、その頃には通過した。
愛原:「ん?」
上昇を続けるエレベーター。
しかし、私は首を傾げた。
いつまで経っても、1階に着かない。
もう4階くらいの位置まで上がってないか???
と、思うと、エレベーターが止まった。
どうやら、最上部に到達したようである。
だが、鉄格子の前には扉が無かった。
愛原:「これはどういうことなんだ???」
リサ:「先生……これ……」
まだショックから立ち直りきってないリサが、後ろの壁を指さした。
愛原:「ん?」
すると後ろは壁だと思っていたのだが、引き戸の取っ手があった。
しかも、それが僅かに開いている。
愛原:「こっち!?」
試しに私が開けてみると、出口は反対側だった。
愛原:「紛らわしいな!」
高橋:「本当っスね!」
しかし、地上どころか、4階くらいまで昇ったような気がしたのに、出口は真っ暗だった。
愛原:「???」
私達は首を傾げざるを得なかった。
高橋:「先生、多分、これ、山ん中っスよ」
愛原:「あっ、そうか」
家の裏手は山になっていた。
エレベーターの位置的に、昇り続けると山の中に入るのだ。
しかし、どうして???
答えは通路を突き進んで分かった。
愛原:「トロッコだ!」
進んだ先には、トロッコがあった。
線路もその先に伸びている。
高橋:「何スか、これ?ケーサツに見つかった時の脱出用ですか?」
リサ:「どこかで見たような……」
リサが虚ろな目をしながら呟いた。
まあ、明らかに日本アンブレラが造ったものだろうから、リサも見たことがあるのだろう。
そういえば、アメリカのラクーンシティにも、研究施設からの脱出用に列車が走っていたのを見聞きしたことがある。
愛原:「ということは、これは外に繋がってるってことじゃないか。これで脱出しよう」
高橋:「はい!」
私達はトロッコに乗り込んだ。
愛原:「えーと……このレバーを引けばいいのか?」
さすがに電車のハンドルとは構造が違う。
多分、ブレーキと加速くらいの操作しかしないのだろう。
ブレーキを解除すると、トロッコは一気に加速した。
愛原:「おおおーっ!?」
高橋:「ヒャッハーッ!!」
リサ:「!!!」
坂を下り行くトロッコ。
しかし、どこまで繋がっているのだろう?
リサ:「思い出した!」
リサがポンと手を叩いた。
愛原:「な、何だよ!?」
リサ:「霧生市の研究所も、物資を鉄道で運んでたの!」
愛原:「知ってるよ。霧生電鉄のトンネルの中だろ?引き込み線を作って、その先にアンブレラ専用の貨物駅を造ったんだよな?」
リサ:「そうなんだけど、基本的に、日本アンブレラの研究施設ってそういう鉄道があるの」
愛原:「と、いうことは……」
高橋:「このトロッコも、どこかの鉄道に繋がってるってことっスか?」
愛原:「仙山線かよ!?」
えぇえ!?
JRの線路に繋がってるの!?
いいの、それ?!
私が頭を抱えた時、トロッコが大きく揺れた。
どうやら、線路の保守をロクに行っていないらしい。
田舎のローカル線のように、ガタガタでよく揺れる。
愛原:「いてっ!」
私はトロッコの揺れに体を取られ、反対側の壁に体を打ち付けてしまった。
その衝撃で、トロッコが右に傾く。
と!
リサ:「あれ!?」
何と、途中に分岐があった!
私のせいでトロッコが右に傾いたからなのか、それとも、元々ポイントが右に向いていたのかは不明だが、トロッコが右の線路に入って行った。
リサ:「分岐があったよ!?」
愛原:「なにっ!?」
左側には何があったのだろう?
ただ、方向的に左に行くと仙山線の線路があったのかもしれない。
じゃあ、今向かってる右方向は……?
愛原:「仙山線の線路に出られても困るが、こっちはこっちでどこに繋がってるのか不安だな……!」
私はいつでも止まれるようにブレーキレバーを握っておいた。
愛原:「んんん!?」
高橋:「うわっ!?」
リサ:「きゃーっ!」
何だか、おかしい。
トロッコが急勾配を何度も通過している。
急降下したと思ったら、急上昇を始め、また急降下を始める。
宙返りが無いところを除けば、まるで遊園地のジェットコースターみたいだ。
[同日15:30.天候:晴 同区作並某所 廃ホテル解体工事現場]
トロッコが止まった所は、これまた真っ暗な所。
しかし、何だか騒がしい。
まるで、工事現場のような……?
愛原:「このドアかな?……ううっ!開かない!」
鍵が掛かっていて開かないというよりは、ドアが何かに引っ掛かって開かないといった感じ。
高橋:「ちょっと、退いてください!」
高橋はそう言って、ドアを蹴破った。
すると!
ガードマン:「オーライ!オーライ!オーライ!」
そこは工事現場だった。
それも、何か建物の……。
ドアの外には工事資材が散乱しており、外開きのドアは、これのせいで開かなかったのだ!
愛原:「な、何だこりゃあ!?」
ガードマン:「ん?な、何なんだ、アンタ達は!?どこから入った!?」
現場監督:「ちょっとアンタ達!危ないから出て行ってくれ!取り壊しの邪魔だ!」
愛原:「取り壊しーっ!?」
私達は半ば追い出されるようにして、解体工事現場を出た。
工事現場の入口にある案内板を見ると、『仙台雨傘園解体工事』と書かれていた。
雨傘園は日本アンブレラの保養施設である。
仙台にもあったのか!
てか、こっちはガッツリ取り壊されている!!
現場監督:「困るんだよ。勝手に入られると……」
愛原:「ど、どうもすいませんでした。あ、あの……ここの建物って、長らく廃墟だったりしてました?」
現場監督:「ん?ああ、そうらしいね。だけど、新しい買い手が付いたんで、取り壊して、また新しいホテルを建てるんですよ」
愛原:「そ、そうでしたか」
ということは、ここに金庫があったとしても、とっくに運び出されてるか。
現場監督:「じゃ、今度から気をつけてくださいよ」
愛原:「あ、あの、最後にもう1つだけいいでしょうか?」
現場監督:「何だい?」
愛原:「ここから街の方に行く、バスとか電車とか無いでしょうか?」
現場監督:「はあ?何で来たの?まあ……この先に作並温泉の温泉街があって、そこにバス停があったけども……」
愛原:「あ、どうもありがとうございます」
私達は仙台弁交じりの現場監督に礼を言って、工事現場をあとにした。
工事現場に至る小道には、道幅いっぱいにダンプカーが出入りしている。
小道を出ると、国道48号線に出た。
愛原:「作並まで来ちゃったってことか……」
高橋:「あのホテルから繋がってたんですね。でも今は、そのホテルも無くなった……」
愛原:「こっちもこっちで危なかったなー!」
結局、どっちに出るのが正しかったのだろう?
愛原:「えーと、あっちだな……」
オレンジ色のセンターラインが引かれた二車線の地方国道という点では、昨日の国道286号線と同じだが、こちらはもっと交通量があるように思えた。
雨傘園は温泉街から外れた場所にあるらしく、温泉街まで行くのに、少し歩くことになったのである。