報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「最終的に行き着く先は?」

2022-10-20 20:25:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月11日21:00.天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原の実家]

 リサ:「お風呂上がりましたー」

 リサは再び体操服とブルマに着替えていた。

 愛原の母親:「はい。脱いだ服は洗濯カゴに入れておいてね。洗濯しておくから」
 リサ:「ありがとうございます。お義母さま!」
 母親:「は?」
 愛原:「こら!」
 高橋:「おい!」

 リサの奴、油断も隙も無い。

 愛原:「高橋、次はオマエ、入って来いよ」
 高橋:「いいんスか?」
 愛原:「オマエも相当汗かいただろ。さっさと洗って来い」
 高橋:「そういや、変な汗、かきまくりましたからねぇ……。じゃあ、お先に失礼します」
 愛原:「ああ。リサも奥の部屋に行ってろ」
 リサ:「はーい」

 高橋が風呂に、リサが客間に行くと、リビングには私と両親だけしかいない。

 父親:「明日も出掛けるのか?」
 愛原:「思いの外、大掛かりな仕事でね。まあ、半分以上は伯父さんのせいなんだけど」
 父親:「あの人も困ったものだ。義姉さんの所で、しばらくおとなしくしておいた方がいい」
 愛原:「それで、また明日も車を借りられるかな?」
 父親:「いや、さすがに明日はダメだ」
 愛原:「ダメか……」
 父親:「明日は買い物とか、色々出かけないといけないから」
 愛原:「そうか……」

 それなら明日は、電車などで移動しないとダメか。

 父親:「明日は一体、どこへ行くつもりなんだ?」
 愛原:「伯父さんが小牛田に住む前に、住んでいた家だよ」
 父親:「? 何だって、またそこへ?」
 愛原:「俺は子供の頃、その家に連れて行かれたことがある」
 父親:「ああ、あれか。だけど、あの家は今、人手に渡ったんじゃなかったか?」
 愛原:「その家の鍵が、裏の物置にあったんだよ」
 父親:「そうなのか?しかし、勝手に入るのは……」
 愛原:「勝手に入って大丈夫さ。家主の人は、もういないことになっているから」
 父親:「ん?ん?ん?どういうことだ?」
 愛原:「とにかく、お父さんは何も心配しなくていいよ」
 父親:「しなくていいよって、オマエ……」

 今の家主は五十嵐皓貴。
 そう、かつての日本アンブレラの代表取締役社長だった男だ。
 息子の元副社長共々逮捕され、今はドロドロの裁判劇を繰り広げている。
 確か今は、東京高裁で争っているのではなかったか。
 弁護士の見解では、控訴棄却となって、地裁の判決通りの有罪で決まりだろうとのこと。
 だがあの2人のことだから、最高裁へ上告するだろう。
 これまた何年も掛かるというわけだ。
 そして、研究職の最高責任者だった白井伝三郎はとっとと遁走していると。
 もちろん五十嵐はあの家に住むつもりは毛頭無く、秘密の研究所として使用するつもりだったのだろう。

 愛原:「あの家さ……。この家が建て替えられる前の家と、似たような構造だったんだよな」
 父親:「ああ。どういうわけかな」

 私の記憶が曖昧だった理由も分かった。
 伯父さんが私の前で金庫を開け閉めしていたのは、この家ではなかった。
 そして、私にはもう1つ不可解な記憶がある。

 愛原:「あの家にいた時、俺は偏頭痛のような症状に襲われたことがある。薬を飲んで寝ていたんだけど、俺が何十時間眠っていたか覚えてる?」
 父親:「伯父さん曰く、『脳の病気だが、知り合いの医学者から新しい薬をもらったから、それを飲ませた』と言っている」

 その医学者が誰なのかは分からないが、アンブレラの人間だった可能性はある。
 そして、私が飲んだ薬というのは……。

 愛原:「俺は昼間に眠った。そして目が覚めたら、太陽が西に傾いていた。だから昼から夕方まで眠ったんだろうと思った」

 この時、私の頭はスッキリしていた。
 偏頭痛が嘘のように。
 しかし、あの薬はロキソニンという常識的な薬ではなかっただろう。
 とにかく、本来なら脳の病気で死んでいた私は、こうして生きている。

 父親:「だが、オマエが起きたのは、その次の日の朝だったんだ」

 どうしてそのような事が発生したのか。
 私は眠っている間に、伯父さんの家からこの家に戻されただけだったのだ。
 家の構造は同じ。
 そして、部屋の造りも同じ。
 違うのは、家の向きだけ。
 2階の部屋を出た私は、太陽が傾いているのを見て、西と東を間違え、それが更なる体内時計に狂いを発生させた。

 愛原:「そもそも俺は、どうしてあの家で頭痛を起こしたんだろう?」
 父親:「さあな。子供の頃はオマエは、酷い頭痛持ちだった。酷すぎて、何度も吐いたりしただろう?」
 愛原:「ああ」

 偏頭痛の重い症状の1つ。
 吐き気と嘔吐。
 今は頭痛など、飲み過ぎた時くらいしか経験していない。
 それも、リサと会って以来だ。
 恐らく、リサに何か植え付けられたんだと思う。
 だが、それ以上リサは何もしてこない。
 しようものなら、私に嫌われることを知っているからだ。
 そしてそれは、リサにとっては最大の懸念である。

 愛原:「その家に、明日行こうと思うんだ」

 そして、そこで金庫開けツアーは終わるものと信じている。

 父親:「分かった。気をつけて行けよ。……ああ、それと明日からは親戚達がお盆で前泊しに来る。悪いけど、あのコ達は……」
 愛原:「分かってるよ。あの2人には、明日はホテルに泊まってもらうから」
 父親:「すまんね」
 愛原:「いやいや」

[同日23:00.天候:晴 愛原の実家]

 私も風呂に入った後は、奥の客間に向かった。
 2階には私の自室がある。
 恐らくそこに住めば、私も『子供部屋おじさん』になるのだろう。
 しかし今夜は、高橋達と寝ることにした。

 愛原:「明日は電車で出掛けるが、考えようによってはその方がいいかもしれない」
 高橋:「そうですか。そんなに交通の便利な所なんですか?」
 愛原:「都会的な考え方ではな」
 高橋:「ん?」
 愛原:「ま、とにかく寝よう」
 高橋:「はい」

 1階の奥には仏間と客間がある。
 仏間は床の間を兼ねていて、和室8畳である。
 その隣には襖を隔てて、6畳間がある。
 私と高橋は8畳間に布団を敷き、リサはその隣の部屋で寝てもらっている。
 だが……。

 愛原:「リサ、覗くな!不気味だぞ!」
 リサ:「ちっ……!」

 襖の隙間から、赤い瞳を光らせたリサの目が覗いていた。
 心霊写真が写る事、請け合いである。

 リサ:「先生、わたしの布団に、いつでも来ていいからね?」
 高橋:「アホ!さっさと寝ろーっ!」

 明日で探索が終わるといいなぁ……。
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“私立探偵 愛原学” 「逃走」 2

2022-10-20 14:30:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月11日17:30.天候:雨 宮城県柴田郡川崎町 中心街のコンビニ→山形自動車道]

 コンビニには、およそ30分ほど滞在した。
 リサのトイレが長かったので、少し心配したが、どうにか間に合ったという。
 戦いの後ということもあってか、肉を希望した。
 そこで私は、レジ横にあるショーケースからフライドチキンを2本買ってあげた。
 私は私で、ペットボトルの飲み物を買う。

 愛原:「そろそろ行こうか」
 高橋:「はい」

 休憩を終えると、私達は再び車に乗り込んだ。

 愛原:「慌てる必要は無いんだが、急いで帰った方がいいかもな」
 高橋:「と、言いますと?」

 車は宮城川崎インター前の交差点で、信号待ちの為に止まっている。
 この時点で雨は弱くなり、雷も遠くになりつつあった。

 愛原:「あの巨人が何なのかは分からない。恐らく、ロス・イルミナドス教団が用意したエルヒガンテ辺りの仲間のような気がするけどな」
 高橋:「資料によりますと、あれもだいぶ昔のBOWでしょう?」
 愛原:「だからって、今でもいないとは言い切れない。何しろ、もっと昔のBOWの日本式改良版がここにいるんだから」

 私はリサを指さした。

 リサ:「んふ?」

 リサはフライドチキンを頬張っていた。
 もう既に1本は食べ終わり、骨に残った肉を名残惜しそうにしゃぶっている。

 愛原:「まあ、もちろんタイラントの類とも考えられるが、俺はあまり巨人風のBOWにいいイメージは持っていないんだ」
 高橋:「どういうことっスか?」

 信号が変わる。
 前に少し進むが、インターは右折した先にある為、対向車がいると曲がれない。

 愛原:「タイラントにしろネメシスにしろ、その後の時代に登場した奴らにしろ、巨人系BOWは『追跡者』というイメージが強い」
 高橋:「な、なるほど」

 黒幕の命令を受けて、主人公達を執拗に追いかけ回す巨人系BOW。
 ここにいるリサと同様、最初のうちは主人公達の攻撃を殆ど受け付けない。
 アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーは狭義の『追跡者』とは言えないが、主人公達を先回りしていることが多く(但し、本人にその自覚はあったのかどうかは不明。たまたま出先に、同じ主人公が現れただけかもしれない)、広義の『追跡者』に含める事もあるようだ。

 愛原:「俺が言いたいのは、あの巨人もまた『追跡者』型で、そのターゲットが俺達に指定されてやしないかという心配だよ」
 高橋:「そ、そんなことってありますかね?」
 愛原:「いや、分からん」
 高橋:「分かりませんか……」

 信号が変わったタイミングで、高橋はインターへの連絡路に入った。

 愛原:「リサはどう思う?」
 リサ:「追跡者かどうかは分からないけど、わたし達の後を追っていたのは確かだと思う」
 愛原:「だよなぁ……」

 ETCレーンから料金所を通過し、高速道路の上り線に入る。
 この頃には雨は殆ど止んで、西の空からは太陽が顔を出し始めていた。

 高橋:「姉ちゃんからはまだ何も?」
 愛原:「まだだ。今頃はBSAAも駆け付けてるだろうから、追跡者もロケラン一発でKOだと思うんだが……」
 リサ:「ネメシスのクソ野郎は、アメリカではそのロケランの弾を拳で弾き返したらしいよ?」
 愛原:「あ、そうだった!」

 クソ野郎って……。
 リサも汚い言葉を使うこともあるんだな。
 まあ、ネメシスに対しての気持ちは分かるが。

 愛原:「だからネメシスに対しては、レールキャノンぶっ放してようやく倒したんだっけか。後のBSAA創設組とはいえ、まだ当時は婦警さんだったのに、あのジル・バレンタイン氏は凄いな」
 高橋:「さすがは、“オリジナル・イレブン”っスね」

 BSAA創設組の手に掛かれば、ここにいるリサも最終形態への変化を余儀無くされ、しかしそれでも倒されてしまうことだろう。
 幸いなことに、彼らの殆どは欧米人である。
 日本に駐在している者は、誰一人いない。

 高橋:「先生、途中で給油しますよね?」
 愛原:「ああ。オマエのENEOSカード使おう。Tポイントも、それで溜めていい」
 高橋:「あざっス!」
 愛原:「料金は後で俺が立て替えといてやるから」
 高橋:「あざっス!」

[同日18:30.天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 ENEOSスタンド]

 宮城川崎インターから山形自動車道に入り、村田ジャンクションから東北自動車道下り線に入る。
 あとは、元来た道を戻るだけ。
 仙台南ジャンクションで仙台南部道路に入り、長町インターで降りる。
 そこから国道4号線(仙台バイパス)の下り線に入り、その沿道にあるENEOSのセルフスタンドに入った。

 愛原:「リサ、ゴミ捨てて来てくれ」
 リサ:「はーい。ついでにトイレ行って来る」
 愛原:「行ってらっしゃい」

 尿便意が近いのではなく、恐らく今はナプキンを早めの周期で交換しなくてはならないのだろう。

 愛原:「だいぶ、車汚れたな」

 未舗装路を往復した上、帰りはゲリラ豪雨の中を走るハメになり、洗い越しを何ヶ所も通過したからだろう。

 高橋:「洗車します?」
 愛原:「そうだな。そうしよう」

 先に給油を行う。
 それが終わる頃、リサが戻って来た。

 愛原:「! そうだ。リサ、車に乗ろう」
 リサ:「?」

 車は洗車機に移動する。
 セルフスタンドなので、洗車機も車に乗ったまま行う。

 リサ:「おお~!」

 案の定、初めて洗車機を利用するリサには新鮮な体験だったようだ。

 愛原:「父親から借りた車だから、さすがに汚いまま返すのはアレだからな」
 高橋:「仰る通りです」

[同日19:00.天候:晴 同区内某所 愛原の実家]

 こうして私達は、無事に私の実家に到着した。

 母親:「まあまあ、随分遅かったのね」
 愛原:「そ、そうかな」
 父親:「随分と遊び回ったみたいだな?」
 愛原:「いや、一応仕事だったんですけど……。あ、これ、福島のお土産」

 私は国見サービスエリアで購入した土産を渡した。

 父親:「おお、こりゃすまない。で、車は?」
 高橋:「満タンにして、洗車もしておきました」

 高橋はそう言って、キーレスリモコンを父親に返した。

 父親:「おー、洗車までしてくれたのか。悪いねぇ」
 高橋:「い、いえ……」

 未舗装の林道で汚れたからとは言えないか。

 母親:「すぐ、御飯用意するわね」
 愛原:「ありがとう。でも、その前に……」
 父親:「何だい?またどこか行くのか?」
 愛原:「大丈夫。家の敷地内だから」
 父親:「?」
 愛原:「父さん、また物置小屋の鍵、貸してくれないかな?」
 父親:「今から物置に行くのか?」
 愛原:「大丈夫。すぐ戻って来るから」
 父親:「……すぐ、戻って来いよ?」
 愛原:「分かってる」

 私は再び父親から物置小屋の鍵を借りると、裏庭に向かった。
 さすがに19時を過ぎると、真夏でも暗くなってくる。
 今日はお盆期間中でも裏庭で工事は行われたらしく、物置小屋への通路には蜘蛛の巣が張っていなかった。
 仮囲いの位置なども、若干変わっている。
 また、リサの睨みが効いているのか、物置小屋にはもう蜘蛛の巣は張っていなかった。

 愛原:「こういう時、力持ちの2人がいてくれて助かるよ」
 高橋:「お任せください!」
 リサ:「わたしに任せて」
 愛原:「じゃあ、早速頼む」

 私はあのプレハブ小屋の神棚に入っていた御札の裏を見ながら言った。
 高橋とリサが軍手をはめて金庫を持ち上げ、それをひっくり返した。

 愛原:「あー!やっぱりあったよ!チクショウ!」
 高橋:「とんでもない爺さんですね……!」
 リサ:「先生の伯父さんじゃなかったら、爪で引き裂いてやるところ」

 金庫の底には、鍵と筒が貼り付けられていた。
 私達はそれを一先ず回収し、家に戻ったのだった。
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緊急の夢日記20221020

2022-10-20 00:37:46 | 日記
本当は夢日記を書くのは不吉だと聞いたことがあるので、書きたくないのだが、しかしどうしても気になるので、ここに書き記しておく。

ある日の勤務中、私が巡回業務から警備室に戻ると、室内には台車でないと運べない程の大きさの段ボール箱があり、後輩(Y)が1人だけそこにいた。
私がこの荷物は何かと聞いてみると、今年入ったばかりの新人(KR)がメールセンター業務中、宅配業者から間違って受け取ってしまった荷物だという。
伝票を見ると、宛先はこのビルになっていたのだが、名前は本社の重役になっていた。
KRは住所だけを見てしまい、それは合っていたから受け取ってしまったのだろう。
それに、もしかするとこの重役が後にこのビルに来て、先に必要な物を送っただけかもしれないので、KRの対応が一概に間違いだとも言い切れない。
Yの話によると、隊長は総務課に行っていて、暫く戻って来ないらしい。
荷物がここにあるのは、何でも、すぐに業者を呼んで引き取らせる必要があるらしく、地下にあるメールセンターに置いていたのでは間に合わないからだという。
警備室は1階にあるので、正面から堂々と業者を出入りさせるつもりらしいな。
普段なら、有り得ない話なのだが。

そうこうしているうちに、箱の中から変な臭いがしてきた。
何だか生ゴミみたいな臭いだ。
隊長はまだ戻って来ないし、業者も来る様子が無い。
それでも止せばいいのに、何故かYは箱を開けてみようと言い出した。
普段の彼は私よりも冷静な性格なのだが、その割には大胆な事を言うものだ。
私が止めるより先に、彼は箱の蓋を開けてしまった。
ますます臭いは酷くなる。
私とYで中を見ると……何と!

バラバラ死体が入っていたのである。
私はすぐに目を背けたが、Yは冷静に、しかし薄笑いを浮かべながら頭部やら右腕やら左腕やらを確認している。
と、そこへ別のチームの後輩(KD)が警備室に入ってきた。
Yが30代なのに対し、KDは20代である。
何かあったのか聞いてくる彼に、私は無言で箱を指差した。
KDはその箱を興味津々に確認したが、やがて中身を理解すると急に無言になり、箱に向かって合掌し、最敬礼すると、トイレの方に向かって行った……。

という内容の夢だった。
あまりにも具体的過ぎるので、こうして夢日記として書き記しておきたいと思う。
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