報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「学校の七不思議ツアー」

2024-07-13 20:20:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日15時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1階西側・新聞部室]

 リサ「こんにちはー」

 リサは放課後、新聞部の部室に招かれた。
 今年は夏休み前に行われる“学校の七不思議”特集の前に、それまで取り上げられた“七不思議スポット”を巡るツアーというのが新聞部で企画されたのだ。
 そしてそのアテンド役に、リサが選ばれたというわけだ。
 今や、リサ自身が七不思議の1つだというのに……。

 上坂「おっ、お見えになりました。こちら、当学園屈指の七不思議のエキスパート、3年生の愛原リサさんです」
 リサ「愛原です。2年生になった上坂君だね?部長から話は聞いてるよ」
 上坂「よろしくお願いします」

 上坂は2年生の男子。
 リサの正体は知らない。
 この学園でリサの正体を知る者は、担任や副担任を含めて少数だけだ。
 『魔王軍』メンバーですら、リサのことを、『不思議な超能力または霊能力を持っている人』程度の認識でしかない。

 上坂「この方は中等部の時から、七不思議のことに関してはエキスパートです。この学園の怪談のことだったら何でも知っています」
 リサ「まあ、一応……。(今や、わたしが引き起こす側だからなぁ……)」
 上坂「かつてこの学園は七不思議どころか、百不思議ほどありました。その理由は、かつてこの学園に赴任していた科学講師、白井伝三郎が持ち込んだE型特異菌の蔓延によるものです。皆さんもニュースなどで知っての通り、E型特異菌というのは……【中略。ウィキペディアを参照のこと】。白井伝三郎はアメリカのアンブレラ本社から、創業者がルーマニアの菌根から持ち帰り、保管していたものを、アンブレラ崩壊の混乱に紛れて国内に持ち込んだとされています。この特異菌が放つ胞子を吸い込んだ人は、幻覚症状に見舞われるということです。僕も去年は、そういうことだったということです」

 因みに話を聞いているのは、ほぼ全員が新入生達である。
 新聞部への新入部員が多数だが、それ以外にもオカルトに興味があったり、リサの監視役としてレイチェルもいた。

 レイチェル(まさか、この学園もまたバイオハザードの舞台だったとはね。BSAAも盲点だったわけだわ)
 上坂「さすがにそれまで特集された七不思議の舞台を全て回っていたのでは、時間が全く足りません。2週間くらいは欲しいくらいです。また、いわゆる『ヒトコワ系』は特異菌とは関係無いので、対象外とします」

 『ヒトコワ系』とは、登場人物が全員生身の人間のみで織り成された怪談話のことをいう。
 怪談というと幽霊とかお化けとか妖怪とかが登場する話をイメージするが、それ以外にも頭のおかしい人間やサイコパス人間が展開する怖い話も存在する。
 それが『ヒトコワ系』である。
 東京中央学園には、そのような『ヒトコワ系』も存在するが、特異菌による幻覚作用で起きたものではない為、今回の集まりの趣旨に外れる。
 その為、それ系の話は今回除外とする。

 上坂「それ以外の中から、特にとびきりと思われる7つの話を用意しました。そしてそれは、全てこの愛原さんが御存知です。今日はその愛原さんにアテンドをお願いしようと思っています。それでは愛原さん、よろしくお願いします」
 リサ「了解……」

 リサは上坂の隣に立った。
 そして、そっと耳打ち。

 リサ「わたしがやらかした話は、別にいいんだろ?」
 上坂「あ、愛原さんお任せします……」
 リサ「この野郎……」

 リサは1年生達の前で言った。

 リサ「改めて自己紹介します。わたしの名前は愛原リサ。3年3組です。この学園には、中等部の1年生の途中から入りました。中等部は校舎が違うので省きますけども、中等部の方はただのデマが多かったです。でも、こっちの高等部はガチでした。1番のとっておきは、旧校舎ですね。あそこには“トイレの花子さん”がいたんですけども、それは一先ず後にして、先にこの現校舎であった怖い話を紹介します。それでは皆さん、ついてきてください」

 まず向かった先は、1階東側の女子トイレ。

 リサ「今はもう洗浄されて無くなりましたけど、この女子トイレの1番奥の個室の壁には、人の顔のような染みがありました。正体は特異菌のカビだったんですけど、胞子は放たれていて、この個室を利用した人はそれを吸い込んで幻覚を見るようになったそうです。幻覚といっても、生徒の間で何か見えたというわけじゃないんですけどね」

 この話をしたのは、実は当時2年生だった男子生徒。
 同級生の女子生徒達が、彼に霊感があるという噂を聞いて、相談に来たのが始まり。
 その男子生徒が実際に調べてみると、確かに染みはあり、そこから霊気を感じたとのこと。
 実際は霊気ではなく、特異菌の胞子だったのだが。
 そこで男子生徒達は職員室に行き、そこにいた若い男の先生に相談したという。
 恐らく、年齢が近いし、明るく朗らかな先生という評判だったので、相談しやすかったのかもしれない。
 ところが、確かにその先生は親身になって男子生徒達の相談を聞いてくれた。
 そこまでは良かったのだが、その日、宿直だという先生は、よせばいいのに、宿直中にその染みをきれいに消しておくという。
 翌朝、染みは消えず、先生は特異菌に感染し、それが体に合わずにアレルギー反応を起こしており、特異菌の特徴である黒カビまみれになって死んでいたという。

 リサ「今はBSAAが除染したので、染みは全くありません」

 その言葉にレイチェルも大きく頷いた。

 リサ「ここまでいいですか?それじゃ、次の場所に移りたいと思います。次は、体育館です」
 上坂「もしかして愛原さん、トイレに始まってトイレに終わる予定ですか?」
 リサ「一応そのつもり。それとも、間にもう1話、トイレの話挟む?」
 上坂「愛原さんにお任せします」
 リサ「人任せだなぁ……」

 リサは体育館に行った。
 体育館にも、色々な怪奇現象の話がある。
 ただ、どちらかというとヒトコワ系の方が多い。

 リサ「不細工な男の先生にベタ惚れした美人生徒が、逆にここで刺し殺されたなんて話もあったみたいだねぇ……」
 レイチェル「す、凄い学園ですね……」
 リサ「美味しそうな血だったろうに……」
 上坂「え?」
 レイチェル「リサ。ジョークが過ぎますよ」
 リサ「サーセン。次なる舞台は、この体育館そのものではなく、その上です。1年生達はまだ知らないだろうけど、この体育館の上って、合宿所みたいになってるの」

 リサが言うと、1年生達は意外そうな声を上げた。

 リサ「そして、何故かその合宿所。やたら、怪奇現象の話が多かったのね。まあ、これも特異菌による幻覚症状で、今はそんなことは無いみたいだけど。これから、それを見に行きます」
 上坂「また出たらどうします?」
 リサ「出ないって」
 レイチェル「私がハンドガンで蜂の巣にしますけど?」
 リサ「効くのかなぁ……?」

 リサ達一行は、宿泊施設に向かう階段を上った。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵” 愛原学” 「我那... | トップ | 物語の途中ですが、ここで大... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事