報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「修学旅行3日目の夜」

2024-09-10 20:22:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日19時00分 天候:雨 沖縄県那覇市某所 那覇中央ホテル1階レストラン]

 

 修学旅行最後の夕食が始まった。
 有終の美を飾る為か、メインディッシュにはステーキが出て来た。

 リサ「おお~!」
 愛原「有終の美を飾る為に、沖縄ステーキだ!」
 リサ「明日の自由行動で食べに行くつもりが、もうここで食べれるとはっ!」

 リサは思わぬ伏兵(という名のステーキ)に、舌鼓を打った。

 愛原「これで明日、わざわざステーキを食いに行かなくて良くなったな」
 リサ「え、何言ってんの?」
 愛原「ん?」
 リサ「それはそれ。これはこれだよ」
 愛原「ええーっ!?」
 リサ「明日はわたし1人だけ米軍キャンプに引き篭もりでしょ?ついでにアメリカの軍人さんが食べる分厚いステーキ食べたいよ」
 愛原「そう簡単に出してもらえるか!」
 レイチェル「い、一応、BSAAのHQには頼んであります」
 愛原「マジか!?」
 リサ「おー!レイチェル、大好き~!!」
 淀橋「おっとここで、魔王様の『大好き』が出ました!」

 私は不安になって、レイチェルに話し掛けた。

 愛原「レイチェル、本当に大丈夫なのかい?」
 レイチェル「私も心配になって確認したんですが、どうも駐留軍によると、『軍用犬用の肉が余ってるから、それでいいか?』と質問されたそうです」
 愛原「そりゃ、自我の無いマジモンの化け物だったらそれでいいかもしれんがね、一応リサは自我があるんだぞ」
 レイチェル「はい。HQもそう思ったようで、『もう少しマシなの用意してやれよ』と、突っ込んだそうです」
 愛原「そしたら?」
 レイチェル「『ハンター用の生餌でいいか?』とのことでした」
 愛原「在日米軍は、ハンターも軍用動物として飼っているのかい?」
 レイチェル「い、いや、そんなことはないと思います。無許可での飼育は、BSAAが禁止していますので。アメリカンジョークですよ」
 愛原「こういうステーキ肉とか無いのか?」
 レイチェル「ありますよ。ただ、駐留軍としては、『何でポッと出の日本人BOWなんかに』という気持ちもあるのでしょう」
 愛原「……何ならリサの昼飯代、日本側に請求してもいいんじゃない?」
 レイチェル「もちろん、そのつもりですよ」
 愛原「え?」
 レイチェル「Huh?」
 愛原「奢りじゃないの?」
 レイチェル「ジャパニーズジョークですか、それ?」
 愛原「マジか。料金請求する癖に、犬のエサ食わせるつもりだったの?」
 レイチェル「まあ、肉は肉ですから」

 因みに日本政府からの『思いやり予算』は、BSAAには割り当てられない。
 あくまでBSAAは国連軍の一派に過ぎず、その予算も世界製薬企業連合からの出資が大きいからだ。

 愛原「なるべく早くリサを回収しよう」
 レイチェル「その方が良さそうですね」
 リサ「なに話してるの?」
 愛原「明日の話」
 高橋「オメーの明日の昼飯、犬のエサだってよw」
 リサ「『今日 はらへったの、いぬ のエサ くう』」
 高橋「お、ゾンビだ、ゾンビ。射殺だ、射殺」
 レイチェル「リサ・トレヴァーは、マグナムでは死にませんよ」
 リサ「そーだよ」

 Gウィルスには損傷した細胞を即座に修復する力があり、今のリサなら脳や心臓が破壊されても、すぐに修復される為に死なないとされる。
 この脅威の修復力は例えワクチンを打ったとしても体内に残り、善場係長やシェリー・バーキン氏もワクチンでGウィルスを排除したが、残ったウィルスが形を変えて遺伝子に深く刺さり、例え瀕死の重傷を負ったとしても、即座に傷跡さえ残さずに自然治癒してしまう。

 坂上「えー、皆さん、夕食中ですが、皆さんに注意事項をお話し致します。皆さんも知っての通り、今、那覇市内には凶悪犯が逃走しています。引き続き、本日はホテルの外から出ないでください。また、就寝時においても、安全の為に窓は開けないでください。窓には鍵を掛けてください。部屋が蒸すようでしたら、空調が使えるとのことですので、空調を使用して構いません。明日のことにつきましては、特に自由行動を中止したりはしません。但し、必ずグループで行動すること、人けの無い裏通りなどには立ち入らないこと、警察の指示には従うことなどを心がけてください」

 坂上先生がマイクを使って、生徒達に呼び掛ける。

 リサ「わたしだけ単独行動……」
 愛原「レイチェルは一緒だから」
 リサ「むー……」
 レイチェル「愛原センセイも一緒だから、3人ですよ」
 高橋「あのー、俺は?」
 レイチェル「許可下りませんでした」
 高橋「おい!」
 愛原「悪いな。オマエ達は、他のコ達の護衛に当たってくれ」
 高橋「そんなぁ……」

 高橋は大きく肩を落とした。
 可哀そうだが、事情が事情なだけに仕方が無い。

[同日20時00分 天候:雨 同ホテル・大浴場]

 高橋「破ッ!この不肖の弟子、高橋正義が!あ?無二の師匠、愛原先生のォ~お!?あ!お背中ぅを~を!?あ!お流し奉り候~也ッ!!あぁっ!?」
 愛原「分かった!分かったら、さっさとやってくれ!」
 男子生徒A「高橋さん……いえ、高橋先生!今のは何スか!?」
 男子生徒B「すげぇ!何かカブキみたいだ!」 
 男子生徒C「カブキもやってたんスか!?」
 高橋「ネンショーや少刑で、何かイベントあった時に、物真似やっただけだよ」
 男子生徒A「おおー!」
 高橋「それより、愛原先生のお背中を流すんだ!ジャマすんな!」
 男子生徒A「じゃあ俺、愛原先生の手を洗います!」
 愛原「えっ?」
 男子生徒B「じゃあ俺は愛原先生の足を!」
 愛原「ん!?」
 男子生徒C「じゃあ、俺は愛原先生の【ぴー】を……」
 愛原「こ、こら、キミ達……!」
 高橋「バカ野郎どもがっ!!」

 バキッ!ドゴッ!ゲスッ!

 男子生徒A「ぎゃっ!」
 男子生徒B「ぐぇっ!」
 男子生徒C「がっ!」

 高橋は男子生徒3人を一気にドツいた。
 C君など、衝撃で浴槽に落ちたくらいだ。

 高橋「それは俺の仕事だ!俺の仕事奪うんじゃねぇ!」
 男子生徒A「す、すいません……」
 男子生徒B「ゴメンナサイ……」
 男子生徒C「ガバゴボゲバベボバボ……」
 愛原「それより、C君溺れかけてるから、早く助けてあげようね」

 よくある修学旅行最後の夜、楽しい一時。
 それがまもなく壊されようとしていた。

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