報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「戦いの後で」 2

2024-12-06 20:15:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日15時30分 天候:雨 天候:雨 静岡県富士宮市小泉 セブンイレブン富士宮市橋戸店]

 リサ「雨が降って来た!」
 愛原「普通の雨だとは思うが、傘が無いからなぁ……」

 車の中に戻ると、善場係長から電話が掛かって来た。

 愛原「おっ、やっと掛かって来た」

 私は電話に出た。

 愛原「もしもし!愛原です!」
 善場「愛原所長、善場です!この度は申し訳ございません」
 愛原「えっ、何がですか?」
 善場「情報の真偽を確かめる前に、先走って所長方に危険な仕事を依頼してしまいました。他の探偵業者に死傷者が出まして、その対応に追われていたところです」

 死傷者出たの!?
 ……あ、いや、私達が訪れた廃墟にハンターが出たくらいだから、もしかしたら……。
 他の探偵業者というのは、何もデイライトが契約している探偵は私達だけではないということだ。
 今回みたいに、複数の怪しい施設の情報を得た場合、当然私達だけでは手が回らないので、他の探偵にも依頼することがある。
 ただ、私達は霧生市のバイオハザードなどを経験しているから良いが、他の探偵は銃火器すら使ったことが無いだろう。

 愛原「そうでしたか……!」
 善場「メールは拝見しました。富士宮駅に行かれるそうですね?」
 愛原「そうです」
 善場「何か新たな発見がありましたら、また御連絡ください。資金は足りてますか?」
 愛原「はい、それは大丈夫です」

 そんなやり取りをして電話を切った。

 愛原「よし、行こう」
 パール「はい」

 パールは車を出した。

[同日15時50分 天候:曇 同市中央町 エコロパーク富士宮駅前第1→JR富士宮駅]

 私達は駅近くのコインパーキングに車を止めた。
 駐車場から駅まで、目と鼻の先である。
 そこから徒歩で駅に向かう。
 ホームは地上だが、キップ売り場や改札口は2階にある橋上駅舎である。
 それだけなら、他にも全国的にそのような構造の駅はあるが、富士宮駅の珍しい所は他にもある。
 今では名残しか無いが、1番線ホームと車寄せが直結している。
 これは創価学会がまだ日蓮正宗に所属していた頃、学会専用列車が1番線ホームに到着し、そこから降りた学会員達は、車寄せに横付けされた専用バスにそのまま乗り換え、そこから大石寺に向かっていた事の名残である。
 創価学会が破門されてからは専用列車は1本も運転されず、1番線は無用のホームとなってしまった。
 コインロッカーがあるのは、そんな専用ホームに直結している車寄せから程近い場所だった。
 1階からも駅舎に入ることができ、それは1階の入口にあった。
 ICカードで支払うのが当たり前となった昨今、未だに現金のみで普通の鍵式というコインロッカーも珍しくなりつつある。

 愛原「総当たりだ!」

 とは言っても、そこは地方都市の駅のコインロッカー。
 そんなに数多くのロッカーが設置されているわけでもなく、しかも全部のロッカーが使用されているわけではない。
 鍵が既に付いているロッカーは除いて、鍵の無い、つまり今使用中の所だけ確認すれば良いのだ。

 愛原「これだ!」

 鍵を刺したが、回らない。
 あれ?おかしいな。
 鍵がちゃんと刺さったということは、合っているわけだ。

 愛原「こ、これは……!」

 何の事はない。
 既に1日以上使用されている為、追加料金が加算されていたのだ。
 それで鍵が回らないのだ。

 愛原「そういうことか」

 一応、私のその状態をデジカメとスマホで撮影した。
 デジカメは報告書掲載用、スマホは緊急連絡用だ。
 私は追加の100円玉数枚を投入して鍵を開けた。

 パール「1日分追加料金ということは、アンバーのヤツ、昨日ここに物を入れたということですね?」
 愛原「……か、もしくはその仲間だな。いいか?開けるぞ」
 パール「はい」

 私はロッカーを開けた。

 愛原「……これは!?」

 中には、茶封筒が1つ入っているだけだった。
 中を開けると、またコインロッカーの鍵が入っていた。
 しかし、今度はタグに、はっきりと駅名と番号が書かれている。
 だが、それは……。

 愛原「北与野駅ィ!?」
 リサ「それって……!」
 パール「……私のかつての職場の最寄り駅ですね」

 パールのかつての職場とは当然、斉藤家のことだ。
 今度はそこに行けってか!
 私は善場係長に電話した。
 今度はすぐに出てくれた。
 状況を説明すると……。

 善場「かしこまりました。駐車場代やコインロッカー代は後ほどお支払いしますので、立て替えておいてください。お手数ですが、このまま北与野駅に向かって頂けますか?またコインロッカーに入っているとなると、少々厄介かもしれません」
 愛原「……ですね。分かりました!急ぎます!」

 私は電話を切った。
 そして、2人に係長の指示を伝えた。

 リサ「どうして急ぐの?追加料金分は、デイライトが後で払ってくれるんでしょ?」
 愛原「コインロッカーってのは、長期貸し出ししているわけじゃない。だいたい、3日間くらい……だったかな。入れっ放しにしておくと、管理者に回収されちゃうんだよ。で、その後は遺失物扱いだ。そうなる前に、追加料金払ってでも回収しないと!」
 パール「明日にしてしまうと、その明日が回収日になってしまうかもしれないからですね。承知致しました」
 愛原「よし、急いで戻ろう!」

 私は念の為、コインロッカー内に他に何も無いことを確認すると、急いで駐車場に戻った。

 リサ「北与野駅に行ったら、またコインロッカーの鍵が入ってたりして?」
 愛原「それは困るなぁ……」

 私は苦笑いした。
 そして、パールの言う通り、斉藤家に関する情報が入っているのではないかと思った。
 でなければ、どうしてわざわざ北与野駅なのかが分からなくなる。
 富士宮駅なのは、まあ、例の現場の最寄り駅だからだろう。
 といっても、そこから車で数十分も掛かるような距離ではあるが。
 それが今度は北与野駅なのは、斉藤家に関することなのだろうと思った。

 愛原「また、ナビをセットするぞ。今度は、レンタカー屋にして……」
 パール「先生。その前に、洗車とガソリンを入れませんと。確か前、マサと来た時、駅の近くにガソリンスタンドがありましたよね?」
 愛原「そういえばそうだな。まあ、今入れたナビだと、国道をひたすら行くみたいだから、国道なら途中にスタンドがあるだろう。そこに入って洗車と給油だ」
 パール「かしこまりました」

 パールは車を出した。

〔料金は、100円、です〕

 リサ「安っ!」
 愛原「60分100円か。東京じゃ有り得んな」

 こんなもの、請求しなくても良いだろうが、一応、ちゃんとした証拠を取る為であるという。
 駐車場から公道に出ると、あとはナビ通りに車を進めてもらった。

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