[6月14日14時30分 天候:曇 静岡県富士宮市某所 国道469号線・林道交差点]
愛原公一「あー、もしもし。ワシぢゃ。状況を教えてくれ」
車に戻って、状況を整理していると、公一伯父さんから私のスマホに掛かってきた。
愛原学「伯父さん……。少しは、甥っ子の心配してくれないの?」
公一「何を言うとる?主人公のオマエが死ぬわけなかろうw」
学「主人公って……」
公一「高野から聞いたぞ。オマエ達も騙されたらしいな?」
学「どこで間違えたんだろう?高橋が騙すような奴には見えなかったのに……」
公一「恐らくは、コハクが連絡を取って来た時点で、騙されたということじゃろう」
学「どういうことだ?」
公一「こちら側の見立てでは、偽者じゃということじゃよ」
学「偽者!?じゃあ、本物はどこに!?」
公一「知らんよ。とはいえ、ワシらの方は大ハズレでも、オマエ達の方は大ハズレというほどでもないじゃろう。何か、収穫はあったかね?」
学「取りあえず、アンバー……偽者のコハク?から、鍵を分捕ってきた」
公一「でかした!して、その鍵とやらは?」
学「あんまり大きくないね。恐らく、どこかのコインロッカーの鍵だと思う」
公一「フム。タグは見えんのか?」
学「あ……だいぶ落ちかかってるね。……富士宮駅かな?」
公一「フム。富士宮駅なら、コインロッカーがあるぞ」
学「西富士宮駅は?」
公一「そっちは見たこと無い。いいから、富士宮駅のコインロッカーを見てくるのぢゃ」
学「分かったよ」
私は電話を切った。
愛原「どうもこの鍵は、富士宮駅のコインロッカーの物らしい。ちょっと見てこよう」
パール「分かりました」
尚、パールは車から降りてタバコを吸っている。
車は禁煙車なので、車内で吸えないのだ。
リサ「でも来た道の方は、通行止めでしょ?どうするの?」
愛原「迂回すれば大丈夫だろ。通行止めになったのは国道だけ。他の道まで通行止めになったわけじゃない」
リサ「なるほど」
幸いこの車にはカーナビがある。
迂回などの機能もあるので、それを駆使して……と。
〔実際の交通規則に従って、走行してください〕
愛原「よし。あとはこの通りで頼む」
パール「かしこまりました」
愛原「……あっ、待って。その前に、善場係長に電話してみる。ここから離れてもいいかどうか」
パール「はい」
私は善場係長に電話を掛けた。
愛原「ん?」
だが、何度掛けても係長は出なかった。
愛原「出ないな……」
パール「どうされますか?」
愛原「いいや。取りあえず、ここから離れよう。富士宮駅に向かおう」
パール「かしこまりました」
国道は突然発生した土砂崩れによる通行止めで、渋滞が発生している。
大石寺の方向が通行止めになってしまったわけだが、車がUターンして戻って来ている。
2車線の比較的広い国道ではあるが、乗用車などは難無くUターンできても、大型トラックなどは難儀している。
それが渋滞を発生させているのだ。
私達はそれを横目に、富士サファリパーク方面の道に出た。
愛原「少し行くと、右に逸れる道がある。そこに入って、県道と合流すればいいようだ」
パール「分かりました」
リサ「ねぇ、途中にコンビニとかあるかな?」
愛原「県道に入れば、あるかもしれないな。うん、途中でコンビニを見つけたら立ち寄ろう」
リサ「やった!」
私は途中、何度か善場係長と音声通話を試みたが、どうしても繋がらない。
メールで報告しようかとも思ったが、揺れる車の中、しかもナビを設定しているとはいえ、パール1人に土地勘の無い所を走らせるのは不安だ。
取りあえずコンビニか、もしくは富士宮駅まで行ってからもう1度連絡しようと思った。
[同日15時00分 天候:曇 静岡県富士宮市小泉 セブンイレブン富士宮橋戸店]
県道158号線(大坂富士宮線)を市街地の方に向けて走っていると、ようやく他の県道との交差点の角にコンビニを見つけた。
リサ「あっ、あった!」
リアシートに座るリサが、助手席と運転席の間から顔を出す。
愛原「あそこで一旦、休憩にしよう」
パール「かしこまりました」
車はコンビニの駐車場に止まる。
パール「はい、到着です」
愛原「ありがとう」
リサ「トイレトイレ!」
リサは車から降りると、小走りに店の中に入って行った。
パール「善場係長から御連絡は?」
愛原「いや、まだ無いな」
車の揺れも無くなったことだし、私はスマホでメールを打った。
パール「私も降りて宜しいですか?」
愛原「いいよ。俺もメール打ったら降りるから」
パールは車から降りると、店の前の吸い殻入れに向かう。
先に一服したいようだ。
メールで報告すると言っても、長文はあれなので、概要だけ作成し、詳しいことは後ほど報告書を作成して報告するか、あるいは対面で報告したい旨を打った。
あと、アンバーから奪った鍵は富士宮駅のコインロッカーの物らしいので、それを今、確認に向かっていること、そして今は途中のコンビニで休憩している所まで報告した。
さすがに、公一伯父さんから連絡があった所は内緒にしておいた。
送信には成功したが、すぐに返信があったわけではない。
段々心配になってきた。
重要な会議や打ち合わせが入って、それで電話できないのだと思っていたのだが……。
私はスマホを持って、車を降りた。
私もトイレを借りるついでに、飲み物とかを買うことにした。
愛原「おっ、リサ」
リサ「トイレなら空いてるよ」
愛原「それは良かった」
リサ「お腹空いたから、食べ物とかも買っていい?」
愛原「いいよ。昼抜きだったもんな」
リサ「そうだよ!」
私もトイレを済ませると、缶コーヒーや水のペットボトルを買い足した。
既に空になった缶やペットボトルは、ここのゴミ箱に捨てさせてもらう。
まだ緊張している為か、私自身はそんなに食欲は無かった。
パンを何個か買うに留まったが、リサは違った。
レジに陳列されているフライドチキンやフランクフルトなどは、当たり前のように何個も買っている。
こりゃ、夕食もガッツリ食うだろうなと思った。
愛原「ただいま。パールも何か食べ物とか買ったら?」
パール「ありがとうございます」
買い物を終えて駐車場に出ると、パールが車のボンネットなどを覗き込んでいる。
愛原「どうした?」
パール「いえ、アンバーのヤツ、車を傷つけやがりましたね……」
見ると、ボディにはあちこち、アンバーが付けたと思われる血の跡や引っ掻き傷ができていた。
血の跡は洗車すれば落とせるだろうが、引っ掻き傷は……誤魔化せないだろうな。
鋭い爪を生やしていて、それで車にしがみ付いて来たものだから、それで傷が付いたのだろう。
愛原「しょうがない。『山道を走っていて、野生動物に遭遇した』とでも、言っておくしかないだろう」
私はスマホで傷を撮影すると、レンタカーショップに連絡した。
まあ、山道を走っていたのは事実だから。
店側の回答としては、返却時に直接傷を確認したいとのことだった。
パール「あ……」
愛原「どうした?」
パール「いえ。ドラレコにしっかり映ってるでしょうから、誤魔化せますかね?」
愛原「あっ、忘れてた!……まあ、いいや。その辺も後で善場係長と相談してみるよ」
パール「分かりました。私もちょっとお店へ……」
愛原「ああ、行ってこい。リサは食べるのに夢中だから」
先に車に乗り込んだリサは、リアシートで肉系をガツガツ食べていた。
愛原公一「あー、もしもし。ワシぢゃ。状況を教えてくれ」
車に戻って、状況を整理していると、公一伯父さんから私のスマホに掛かってきた。
愛原学「伯父さん……。少しは、甥っ子の心配してくれないの?」
公一「何を言うとる?主人公のオマエが死ぬわけなかろうw」
学「主人公って……」
公一「高野から聞いたぞ。オマエ達も騙されたらしいな?」
学「どこで間違えたんだろう?高橋が騙すような奴には見えなかったのに……」
公一「恐らくは、コハクが連絡を取って来た時点で、騙されたということじゃろう」
学「どういうことだ?」
公一「こちら側の見立てでは、偽者じゃということじゃよ」
学「偽者!?じゃあ、本物はどこに!?」
公一「知らんよ。とはいえ、ワシらの方は大ハズレでも、オマエ達の方は大ハズレというほどでもないじゃろう。何か、収穫はあったかね?」
学「取りあえず、アンバー……偽者のコハク?から、鍵を分捕ってきた」
公一「でかした!して、その鍵とやらは?」
学「あんまり大きくないね。恐らく、どこかのコインロッカーの鍵だと思う」
公一「フム。タグは見えんのか?」
学「あ……だいぶ落ちかかってるね。……富士宮駅かな?」
公一「フム。富士宮駅なら、コインロッカーがあるぞ」
学「西富士宮駅は?」
公一「そっちは見たこと無い。いいから、富士宮駅のコインロッカーを見てくるのぢゃ」
学「分かったよ」
私は電話を切った。
愛原「どうもこの鍵は、富士宮駅のコインロッカーの物らしい。ちょっと見てこよう」
パール「分かりました」
尚、パールは車から降りてタバコを吸っている。
車は禁煙車なので、車内で吸えないのだ。
リサ「でも来た道の方は、通行止めでしょ?どうするの?」
愛原「迂回すれば大丈夫だろ。通行止めになったのは国道だけ。他の道まで通行止めになったわけじゃない」
リサ「なるほど」
幸いこの車にはカーナビがある。
迂回などの機能もあるので、それを駆使して……と。
〔実際の交通規則に従って、走行してください〕
愛原「よし。あとはこの通りで頼む」
パール「かしこまりました」
愛原「……あっ、待って。その前に、善場係長に電話してみる。ここから離れてもいいかどうか」
パール「はい」
私は善場係長に電話を掛けた。
愛原「ん?」
だが、何度掛けても係長は出なかった。
愛原「出ないな……」
パール「どうされますか?」
愛原「いいや。取りあえず、ここから離れよう。富士宮駅に向かおう」
パール「かしこまりました」
国道は突然発生した土砂崩れによる通行止めで、渋滞が発生している。
大石寺の方向が通行止めになってしまったわけだが、車がUターンして戻って来ている。
2車線の比較的広い国道ではあるが、乗用車などは難無くUターンできても、大型トラックなどは難儀している。
それが渋滞を発生させているのだ。
私達はそれを横目に、富士サファリパーク方面の道に出た。
愛原「少し行くと、右に逸れる道がある。そこに入って、県道と合流すればいいようだ」
パール「分かりました」
リサ「ねぇ、途中にコンビニとかあるかな?」
愛原「県道に入れば、あるかもしれないな。うん、途中でコンビニを見つけたら立ち寄ろう」
リサ「やった!」
私は途中、何度か善場係長と音声通話を試みたが、どうしても繋がらない。
メールで報告しようかとも思ったが、揺れる車の中、しかもナビを設定しているとはいえ、パール1人に土地勘の無い所を走らせるのは不安だ。
取りあえずコンビニか、もしくは富士宮駅まで行ってからもう1度連絡しようと思った。
[同日15時00分 天候:曇 静岡県富士宮市小泉 セブンイレブン富士宮橋戸店]
県道158号線(大坂富士宮線)を市街地の方に向けて走っていると、ようやく他の県道との交差点の角にコンビニを見つけた。
リサ「あっ、あった!」
リアシートに座るリサが、助手席と運転席の間から顔を出す。
愛原「あそこで一旦、休憩にしよう」
パール「かしこまりました」
車はコンビニの駐車場に止まる。
パール「はい、到着です」
愛原「ありがとう」
リサ「トイレトイレ!」
リサは車から降りると、小走りに店の中に入って行った。
パール「善場係長から御連絡は?」
愛原「いや、まだ無いな」
車の揺れも無くなったことだし、私はスマホでメールを打った。
パール「私も降りて宜しいですか?」
愛原「いいよ。俺もメール打ったら降りるから」
パールは車から降りると、店の前の吸い殻入れに向かう。
先に一服したいようだ。
メールで報告すると言っても、長文はあれなので、概要だけ作成し、詳しいことは後ほど報告書を作成して報告するか、あるいは対面で報告したい旨を打った。
あと、アンバーから奪った鍵は富士宮駅のコインロッカーの物らしいので、それを今、確認に向かっていること、そして今は途中のコンビニで休憩している所まで報告した。
さすがに、公一伯父さんから連絡があった所は内緒にしておいた。
送信には成功したが、すぐに返信があったわけではない。
段々心配になってきた。
重要な会議や打ち合わせが入って、それで電話できないのだと思っていたのだが……。
私はスマホを持って、車を降りた。
私もトイレを借りるついでに、飲み物とかを買うことにした。
愛原「おっ、リサ」
リサ「トイレなら空いてるよ」
愛原「それは良かった」
リサ「お腹空いたから、食べ物とかも買っていい?」
愛原「いいよ。昼抜きだったもんな」
リサ「そうだよ!」
私もトイレを済ませると、缶コーヒーや水のペットボトルを買い足した。
既に空になった缶やペットボトルは、ここのゴミ箱に捨てさせてもらう。
まだ緊張している為か、私自身はそんなに食欲は無かった。
パンを何個か買うに留まったが、リサは違った。
レジに陳列されているフライドチキンやフランクフルトなどは、当たり前のように何個も買っている。
こりゃ、夕食もガッツリ食うだろうなと思った。
愛原「ただいま。パールも何か食べ物とか買ったら?」
パール「ありがとうございます」
買い物を終えて駐車場に出ると、パールが車のボンネットなどを覗き込んでいる。
愛原「どうした?」
パール「いえ、アンバーのヤツ、車を傷つけやがりましたね……」
見ると、ボディにはあちこち、アンバーが付けたと思われる血の跡や引っ掻き傷ができていた。
血の跡は洗車すれば落とせるだろうが、引っ掻き傷は……誤魔化せないだろうな。
鋭い爪を生やしていて、それで車にしがみ付いて来たものだから、それで傷が付いたのだろう。
愛原「しょうがない。『山道を走っていて、野生動物に遭遇した』とでも、言っておくしかないだろう」
私はスマホで傷を撮影すると、レンタカーショップに連絡した。
まあ、山道を走っていたのは事実だから。
店側の回答としては、返却時に直接傷を確認したいとのことだった。
パール「あ……」
愛原「どうした?」
パール「いえ。ドラレコにしっかり映ってるでしょうから、誤魔化せますかね?」
愛原「あっ、忘れてた!……まあ、いいや。その辺も後で善場係長と相談してみるよ」
パール「分かりました。私もちょっとお店へ……」
愛原「ああ、行ってこい。リサは食べるのに夢中だから」
先に車に乗り込んだリサは、リアシートで肉系をガツガツ食べていた。
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