[6月14日21時30分 天候:曇 埼玉県さいたま市中央区上落合某所 斉藤家]
私は何度か善場係長のスマホに掛けてみたが繋がらなかった。
コールはしているが、出ない状態である。
よほど何か忙しいのだろうか?
静岡で、新たな何かが見つかったのかもしれない。
愛原「電話に出ない。しょうがないから、また後で掛ける。取りあえず一旦、ここを出よう」
パール「はい」
ところがだ。
家の前を車が止まる音がした。
それも普通乗用車の類ではなく、大型車の類。
それも、何台もだ。
愛原「ん?」
私がカーテンの隙間から外を覗くと、家の前の細い道を何台もの装甲車が占拠している。
その車体には、BSAAの表記が見て取れた。
愛原「BSAAだ!……そうか!彼らも、斉藤社長の足跡を嗅ぎ付けて来たんだ!」
と、この時はそう思っていた。
なので私は、ここで手に入れた情報をBSAAに提供してあげようと思った。
……のだが!
BSAA隊長「開けろ!BSAAだ!ここにいることは分かっている!無駄な抵抗はやめて出て来い!従わない場合は、安全の保障はできかねる!」
愛原「んん!?」
まるでここに、BSAA手配犯がいるかのような言動だ。
まさか、この家の中に誰か隠れているのか!?
だが、どうやら違うようだ。
BSAA隊長「探偵の愛原学!オマエにはバイオテロ加担の容疑が掛かっている!!ここに潜伏していることは分かっている!無駄な抵抗はやめて……」
愛原「はいーっ!?」
な、何の事だ!?
リサ「せ、先生!?これってどういうこと!?」
愛原「わ、分からん!」
私はもう1度、善場係長に電話を掛けた。
だが、やはり繋がらない。
パール「もしかしたら、ハメられたのかもしれませんね」
愛原「ハメられた!?誰に!?」
パール「それは分かりませんが、このままだと、何の言い分も聞かれずに逮捕されてしまいます。デイライトの人達と連絡が取れるまでは、何とか逃げた方がいいかもしれません」
愛原「ま、マジか……。でも、どうする?1階は包囲されてるぞ?」
パール「大丈夫です。秘密の地下通路を知っています。そこからなら脱出可能かと」
愛原「そ、そんなものがあったのか!」
パール「御主人様は、いずれ逮捕されることを覚悟されておられたのかもしれません。急ぎましょう。こっちです」
私達が書斎を出た時だった。
上空からサーチライトを照らしたヘリコプターまで現れた。
レイチェル「リサの裏切り者ーっ!!」
ズコーッ!!
リサ「わ、わたしまで!?」
ヘリにはレイチェルも乗っているのか、そこのスピーカーからレイチェルの叫び声がした。
パール「すると、私も指名手配ということですね?上等です!」
愛原「ぱ、パール!『切り裂きパール』の目付きに戻ってるぞ!?」
幸いなのは、廊下は真っ暗なこと。
おかげで、外側から私達がどこにいるか分からないということだ。
それにしても不思議だ。
いきなりBSAAが捕まえに来るなんて、一体どういう情報が飛んでいるのだろう?
リサが暴走したというわけではない。
もしそうなら、とっくにアプリがアラームを鳴らしている。
大体、善場係長が電話に出ないなんて……。
パール「このエレベーターで地下まで下ります」
愛原「分かった」
私達は先ほどのホームエレベーターに乗り込んだ。
廊下が真っ暗なだけに、エレベーターの籠内の照明がとても眩しい。
パールはポケットの中から小さな鍵を取り出すと、それでエレベーターのスイッチボックスの蓋を開けた。
それで何かボタンを操作すると、地下1階のボタンの横に、地下2階のボタンが現れる。
パールはそのボタンを押した。
エレベーターのドアが閉まり、ゆっくりと下に下りて行く。
愛原「地下2階なんてあるのか!?」
パール「表向きは倉庫ということになっていますが」
因みに地下1階はガレージと使用人控室(メイドが泊まり込む部屋と、お抱え運転手が泊まり込む部屋)、そして小さなジムやプールがある。
真っ暗な2階を通過すると、たまたまヘリから照射されたライトが窓を通して直撃した。
そして、上昇して行った。
この家にも屋上があり、そこにヘリ隊員がロープか何かで降下するのかもしれない。
そして、1階を通過した時、ついに玄関が破られて、地上部隊が突入してきた。
BSAA隊長「いたぞーっ!!エレベーターだ!!」
愛原「うわ、バレた!!」
隊員達がエレベーターに駆け寄って来てエレベーターのボタンを押すが、既にエレベーターは1階を通過した後だった。
上からドアをドンドン叩いたり蹴ったりする音が聞こえる。
そして地下1階を通過するが、頑丈なシャッターを何とか破ろうと、向こう側で努力している音が聞こえるだけだった。
〔地下2階です〕
そして、エレベーターは地下2階に到着する。
そこも真っ暗だった。
人の出入りが無いのか、黴臭い。
エレベーターを降りると、パールは籠内にあるエレベーターの操作盤を何やら触っていた。
パール「これで、上でボタンを押していても、しばらくエレベーターは動きません」
愛原「そ、そうか!」
リサ「で、でも階段で追って来たりしたら……」
パール「大丈夫です。こちら側に階段はありません」
愛原「そういうことか……。で、秘密の通路はどこだ?」
パール「こちらです」
倉庫の照明を着けて奥へ進むと、壁の下に通気口のような物があった。
屈めばようやく通れる大きさだ。
パールはそのグレーチングを外した。
パール「こちらです」
愛原「通気口に擬態しているとはね……」
リサ「BOWになった気分……」
愛原「いや、BOWだろ」
リサ「おっと!」
私達は通気口の中に入った。
狭いのは入口だけで、あとは私の身長なら、何とか立って進める程度の高さになる。
幅も大人1人分の幅といった感じだった。
照明も所々に工事現場で使われる『チューリップ』が点灯している。
愛原「どこまで続いてるんだ?」
パール「上落合公園の公衆トイレです」
愛原「おいおい!公園は公共設備だぞ?よくそんな勝手なことできたな!?」
パール「御主人様は地域の名士でしたから、公園整備の費用も自治体に寄付していたそうです。公衆トイレの整備費用も私費で御寄附されていたとのことで、それである程度『お好き』にできたのではないでしょうか?」
愛原「はー……さすがだな」
そんなことを話しているうちに、上に上がる梯子を見つける。
パール「私が様子を見て来ます」
愛原「ああ」
パールが先に梯子を上がり、マンホールに模した蓋を開けた。
パール「……大丈夫です。公園にまでは、彼らは展開していないようです」
愛原「よし!」
私とリサは急いで地上に出た。
公園越しに、住宅街側の道路を見ると、大騒ぎになっているのが見えた。
パール「これから、どうされますか?」
愛原「この様子では、北与野駅に向かうのは危険だろう。この近くに、イオンモールがあったな。取りあえず、そこに逃げ込もう」
パール「かしこまりました」
イオンモールなら、斉藤家とは反対方向だ。
私達はそこに向かった。
私は何度か善場係長のスマホに掛けてみたが繋がらなかった。
コールはしているが、出ない状態である。
よほど何か忙しいのだろうか?
静岡で、新たな何かが見つかったのかもしれない。
愛原「電話に出ない。しょうがないから、また後で掛ける。取りあえず一旦、ここを出よう」
パール「はい」
ところがだ。
家の前を車が止まる音がした。
それも普通乗用車の類ではなく、大型車の類。
それも、何台もだ。
愛原「ん?」
私がカーテンの隙間から外を覗くと、家の前の細い道を何台もの装甲車が占拠している。
その車体には、BSAAの表記が見て取れた。
愛原「BSAAだ!……そうか!彼らも、斉藤社長の足跡を嗅ぎ付けて来たんだ!」
と、この時はそう思っていた。
なので私は、ここで手に入れた情報をBSAAに提供してあげようと思った。
……のだが!
BSAA隊長「開けろ!BSAAだ!ここにいることは分かっている!無駄な抵抗はやめて出て来い!従わない場合は、安全の保障はできかねる!」
愛原「んん!?」
まるでここに、BSAA手配犯がいるかのような言動だ。
まさか、この家の中に誰か隠れているのか!?
だが、どうやら違うようだ。
BSAA隊長「探偵の愛原学!オマエにはバイオテロ加担の容疑が掛かっている!!ここに潜伏していることは分かっている!無駄な抵抗はやめて……」
愛原「はいーっ!?」
な、何の事だ!?
リサ「せ、先生!?これってどういうこと!?」
愛原「わ、分からん!」
私はもう1度、善場係長に電話を掛けた。
だが、やはり繋がらない。
パール「もしかしたら、ハメられたのかもしれませんね」
愛原「ハメられた!?誰に!?」
パール「それは分かりませんが、このままだと、何の言い分も聞かれずに逮捕されてしまいます。デイライトの人達と連絡が取れるまでは、何とか逃げた方がいいかもしれません」
愛原「ま、マジか……。でも、どうする?1階は包囲されてるぞ?」
パール「大丈夫です。秘密の地下通路を知っています。そこからなら脱出可能かと」
愛原「そ、そんなものがあったのか!」
パール「御主人様は、いずれ逮捕されることを覚悟されておられたのかもしれません。急ぎましょう。こっちです」
私達が書斎を出た時だった。
上空からサーチライトを照らしたヘリコプターまで現れた。
レイチェル「リサの裏切り者ーっ!!」
ズコーッ!!
リサ「わ、わたしまで!?」
ヘリにはレイチェルも乗っているのか、そこのスピーカーからレイチェルの叫び声がした。
パール「すると、私も指名手配ということですね?上等です!」
愛原「ぱ、パール!『切り裂きパール』の目付きに戻ってるぞ!?」
幸いなのは、廊下は真っ暗なこと。
おかげで、外側から私達がどこにいるか分からないということだ。
それにしても不思議だ。
いきなりBSAAが捕まえに来るなんて、一体どういう情報が飛んでいるのだろう?
リサが暴走したというわけではない。
もしそうなら、とっくにアプリがアラームを鳴らしている。
大体、善場係長が電話に出ないなんて……。
パール「このエレベーターで地下まで下ります」
愛原「分かった」
私達は先ほどのホームエレベーターに乗り込んだ。
廊下が真っ暗なだけに、エレベーターの籠内の照明がとても眩しい。
パールはポケットの中から小さな鍵を取り出すと、それでエレベーターのスイッチボックスの蓋を開けた。
それで何かボタンを操作すると、地下1階のボタンの横に、地下2階のボタンが現れる。
パールはそのボタンを押した。
エレベーターのドアが閉まり、ゆっくりと下に下りて行く。
愛原「地下2階なんてあるのか!?」
パール「表向きは倉庫ということになっていますが」
因みに地下1階はガレージと使用人控室(メイドが泊まり込む部屋と、お抱え運転手が泊まり込む部屋)、そして小さなジムやプールがある。
真っ暗な2階を通過すると、たまたまヘリから照射されたライトが窓を通して直撃した。
そして、上昇して行った。
この家にも屋上があり、そこにヘリ隊員がロープか何かで降下するのかもしれない。
そして、1階を通過した時、ついに玄関が破られて、地上部隊が突入してきた。
BSAA隊長「いたぞーっ!!エレベーターだ!!」
愛原「うわ、バレた!!」
隊員達がエレベーターに駆け寄って来てエレベーターのボタンを押すが、既にエレベーターは1階を通過した後だった。
上からドアをドンドン叩いたり蹴ったりする音が聞こえる。
そして地下1階を通過するが、頑丈なシャッターを何とか破ろうと、向こう側で努力している音が聞こえるだけだった。
〔地下2階です〕
そして、エレベーターは地下2階に到着する。
そこも真っ暗だった。
人の出入りが無いのか、黴臭い。
エレベーターを降りると、パールは籠内にあるエレベーターの操作盤を何やら触っていた。
パール「これで、上でボタンを押していても、しばらくエレベーターは動きません」
愛原「そ、そうか!」
リサ「で、でも階段で追って来たりしたら……」
パール「大丈夫です。こちら側に階段はありません」
愛原「そういうことか……。で、秘密の通路はどこだ?」
パール「こちらです」
倉庫の照明を着けて奥へ進むと、壁の下に通気口のような物があった。
屈めばようやく通れる大きさだ。
パールはそのグレーチングを外した。
パール「こちらです」
愛原「通気口に擬態しているとはね……」
リサ「BOWになった気分……」
愛原「いや、BOWだろ」
リサ「おっと!」
私達は通気口の中に入った。
狭いのは入口だけで、あとは私の身長なら、何とか立って進める程度の高さになる。
幅も大人1人分の幅といった感じだった。
照明も所々に工事現場で使われる『チューリップ』が点灯している。
愛原「どこまで続いてるんだ?」
パール「上落合公園の公衆トイレです」
愛原「おいおい!公園は公共設備だぞ?よくそんな勝手なことできたな!?」
パール「御主人様は地域の名士でしたから、公園整備の費用も自治体に寄付していたそうです。公衆トイレの整備費用も私費で御寄附されていたとのことで、それである程度『お好き』にできたのではないでしょうか?」
愛原「はー……さすがだな」
そんなことを話しているうちに、上に上がる梯子を見つける。
パール「私が様子を見て来ます」
愛原「ああ」
パールが先に梯子を上がり、マンホールに模した蓋を開けた。
パール「……大丈夫です。公園にまでは、彼らは展開していないようです」
愛原「よし!」
私とリサは急いで地上に出た。
公園越しに、住宅街側の道路を見ると、大騒ぎになっているのが見えた。
パール「これから、どうされますか?」
愛原「この様子では、北与野駅に向かうのは危険だろう。この近くに、イオンモールがあったな。取りあえず、そこに逃げ込もう」
パール「かしこまりました」
イオンモールなら、斉藤家とは反対方向だ。
私達はそこに向かった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます