報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「学校の七不思議ツアー」 2

2024-07-15 14:27:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日15時30分 天候:曇 東京都市台東区上野 東京中央学園上野高校・体育館上宿泊施設]

 宿泊施設に出るというモノ。
 そのモノの内容は、年によって違う。
 幽霊が出るという話もあれば、妖怪逆さ女が出るという話もある。
 年によって出没するモノが異なるのは、偏に、そのモノに遭遇した者が特異菌に感染し、その主たる症状の幻覚を引き起こしていたことによる。

 リサ「直近の話だと、幽霊の話ですね」

 新聞部2年生男子の上坂と、1年生の参加者達は資料を片手にリサの話を聞いている。
 3年生だとレイチェルもいる。

 リサ「いじめられっ子の女子が、捨てられていた子猫を宿泊施設でこっそりと飼っていました。しかし、いじめっ子にそれがバレてしまい……彼女らは……猫を殺したと。猫の死体を見つけたいじめられっ子は、悲しみのあまりに自殺してしまったと。まあ、そんなんだからいじめられるんですね。しばらくして、学校恒例の球技大会があり、合宿で宿泊施設に泊まったいじめっ子たちはいじめられっ子の幽霊に遭い、次の日消えてしまったと。 不思議なことに、消えたいじめられっ子達と同じだけの数の猫がいたが、 やがてその猫は引き取り手がなく実験動物として送られることになりました。今でも夜になれば、猫の鳴き声が聞こえて来るそうですが、何かわたしが来てから聞こえなくなったそうで……」

 それにレイチェルはピンと来た。

 レイチェル「資料には書いてませんけど、『猫食い鬼』の話はしなくて良いのですか?」
 リサ「しーっ!!」
 レイチェル「BSAAの資料では、ここに巣くっていた女子生徒達の亡霊が、BOWの乗り込みにより、殆どが逃げ去ってしまったとのことですが?」
 リサ「あれは“トイレの花子さん”のおかげ!」
 上坂「愛原先輩も、この事件に関わってるんですか?」
 リサ「時系列が違うでしょ!この話は、今から10年以上も前の話!」
 上坂「それはそうですが……」
 リサ「次に行こう!次は無限廊下の話!」

[同日16時00分 天候:曇 同学園3階西側階段~廊下]

 

 リサ「今度の話も、特異菌感染による幻覚が引き起こしたパターンですね」

 3階の教室で補習で遅くまで残された男子生徒が、帰ろうと階段を下りた。
 ところが、階段はいつまで降りても2階に着かない。
 そこで、3階の廊下を通って、別の階段から帰ろうとした。
 ところがその廊下、いつまで経っても反対側に着かない。
 おかしいと思っていると、黒い影が見えた。
 男子生徒が近づいてみると、それは旧制服であるセーラー服を着た女子生徒……の化け物だった。
 まるで死に掛けの老婆のように、体中がしなびており……いや、まだ老婆という表現の方がマシだ。
 ミイラのようにしなびていた。
 それが、奇声を上げて襲い掛かって来た。
 男子生徒は逃げるが、それでも廊下の反対側には着かない。
 また、しなびた化け物は3匹くらいに増える。
 ある程度逃げると、砂のようになって消える。
 が、またどこからか現れる。
 この繰り返し。
 ついに力尽きて倒れた男子生徒のところに、しなびた女子生徒達が群がって……。

 リサ「気が付いたら『朝チュン』」
 上坂「ええっ!?」
 リサ「しなびた化け物達に群がられて『朝チュン』迎えてもねぇ……ククク……!」

 リサは喉の奥で笑った。

 リサ「いや、ほとんど真っ裸の状態で、そこら辺の廊下に転がってたらしいです。体には歯形とか引っ掻き傷とか、キスマークが付いていたりとか……」
 レイチェル「リサの仲間じゃないですよね?」
 リサ「なワケあるか!」

 因みにリサは黒いマスクをしているので、笑っても牙が見えることはない。

 リサ「要はどういうことかというと、彼もまた特異菌の感染者で、幻覚を見ていたということですね」
 1年生男子「質問があります」
 リサ「なに?」
 1年生男子「特異菌というのは、どこで感染するんですか?」
 リサ「最終的に、これから行く旧校舎。今も旧校舎は立入禁止だけど、『教育資料館』になる前までも、こっそり中に入る生徒とかいて、それで感染したみたい」
 レイチェル「私から捕捉させてもらいますと、感染した後、どのタイミングで発症するかはランダムです。なので、感染しても無症状というパターンもあります。だから、全部の生徒や先生達もワクチンを打ってもらったのです」
 1年生男子「分かりました、ありがとうございます」
 リサ「それじゃ次は……トイレ休憩を挟みがてら、トイレの怖い話を1つ……。せっかく今、3階にいるもんでね」

 リサは今度は、3階北側のトイレに向かった。
 ここは特別教室が並んでいるエリアということもあり、利用者はあまりいない。

 リサ「ここの女子トイレは、現在進行形で怖い話が起きています。下校のチャイムが過ぎると、どこからともなく吸血鬼が現れて、血を吸われるという話ですね」

 

 リサ「何か、用を足している音が周りに聞こえるのが嫌だからと、こういうあまり利用者のいないトイレを穴場スポットだと思ってくるコがいたりするんですけど、ここが絶好の狩り場……らしいんですよね。でも、大丈夫。ちょっと血と老廃物を座れるだけなので、命までは取られませんw」
 レイチェル「リサ……」
 1年生女子A「別のトイレ使います」
 1年生女子B「わ、私も……」
 1年生男子「愛原先輩、男子は襲われないんですか?」
 リサ「男子生徒には興味無いから大丈夫」
 1年生男子「そうですか……。あ、あと、図書室でも怪談があったと聞きましたが……」
 リサ「図書室?……知らないな……」

 リサは上坂を見た。

 上坂「確かに、『呪われた本の話』がありますが、詳細は不明です」
 リサ「だってさ」
 1年生男子「いや、本の話は自分も初めてです。『本棚が倒れてきて、下敷きになったのにも関わらず、無傷だった女子生徒』の話です」
 リサ「あ、それ、わたし」
 上坂「それは奇跡の話であって、怖い話ではないでしょ」
 1年生男子「それもそうですね」

 トイレ休憩が終わった後、一行は再び次なる場所に向かうことにした。

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