報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「松島中央ホテル」

2019-09-15 15:44:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日15:00.天候:晴 宮城県宮城郡松島町 松島中央ホテル(架空のホテル)]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は旅行2日目。
 遊覧船に乗ったり、瑞巌寺(臨済宗)へ行ったりした。

 愛原:「少し早いが、ホテルのチェックインの時間になったし、ホテルに入ろうか」
 高橋:「そうしましょう」

 もっとも、ホテルの名前からして嫌な予感しかしない。

 斉藤:「リサさん、ロビーに大きな水槽が!」
 リサ:「おー!」

 熱帯魚ではなく、本当の海水魚が泳いでいることから、あれが生簀代わりなのかもしれない。

 愛原:「じゃあ、ちょっとチェックインしてくるから」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「勝手にしろ」
 リサ:(あのお魚さん、美味しそう……)
 カツオ:Σ(゚Д゚)
 斉藤:「リサさんは魚の種類とか分かるの?」
 リサ:「分かんない。全然分かんない。でも、あれは美味しそう」
 斉藤:(食べる気満々!?)

 リサのギラリとした眼力に、水槽の魚達が一斉に水槽の片隅に逃げ出したという。

 愛原:「お待たせ。それじゃ、行こうか」

 チェックインをして鍵をもらってきた私達は、その足でエレベーターに乗り込んだ。

 愛原:「またもや最上階だ。高橋、5階押してくれ」
 高橋:「はい。うちの事務所と同じ階ですね」
 愛原:「建物の建っている場所が違う」

 うちの事務所は周りにもビルやマンションがそこかしこに建っているが、このホテルは同じ高さのホテルが周りに建っているだけだ。
 景色を遮るものは無い。

 愛原:「昨日のホテルは山しか見えない部屋だったが、今度はちゃんと海が見えるかな?」
 高橋:「どうですかねぇ……」
 高野:「海を取るか、街を取るかですね。逆に街側の部屋だったら、それはそれで街並みが臨めていいかもしれません」
 愛原:「なるほどな」

 エレベーターを降りて、501号室と502号室に向かう。
 今度の部屋は向かい合わせになっていた。
 街側か海側かだ。

 愛原:「街を見下ろす景色がいいか、或いは海を臨む方がいいかってか」
 高野:「先生はどちらになさいます?」
 愛原:「いや、もう決まっちゃってるんだよ、これが」

 私と高橋が街側だった。

 愛原:「キミ達は海の景色でも堪能してくれ」
 高野:「本当にいいんですか?」
 愛原:「もち」

 海側といっても海水浴場ではなく、港といった方がいいかな。
 遊覧船が発着する所が見える部屋ってな感じだ。
 比べて私と高橋の部屋は国道や鉄道の方を向いているといった感じだし、何より……。

 愛原:「海水浴場の方を向いていたら、俺はそっちの部屋を選んでいた」
 高橋:「やっぱり……」

 私は街中を歩く観光客のギャルとかを楽しく合法的に眺められるこの部屋を選んだわけだ。

 愛原:「早速着替えて、一っ風呂浴びてこようかな」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「なぁ?こういうのは着替えてナンボだろう」
 高橋:「そうですね。寛がせてもらいましょう」

 私はクロゼットを開けて、浴衣を取り出した。

 愛原:「! 短くね、これ?」
 高橋:「あっ、ちょっと短いです……ね」

 やたら裾の短い浴衣だ。

 愛原:「何かポンチョみてーじゃん!?」
 高橋:「あっ、長いのもありますよ?」
 愛原:「長いのあんの?何で短けーのあんだよ?」
 高橋:「子供用……ですかね?」
 愛原:「つったって、肩幅は俺とピッタリだったぞ?」

 私が着るのは大人用のMサイズ。
 私よりも背が高い高橋はLサイズを着る。

 愛原:「どれ、女性陣は着替えたかな?」

 私は部屋の内線電話を取った。

 リサ:「もしもし」
 愛原:「おっ、リサか。俺達、風呂入りに行こうと思ってるんだけど、そっちはどうだ?」
 リサ:「偶然。私達も一緒に行こうとしてた」
 愛原:「やっぱり考えることは一緒だなー。俺達、浴衣に着替えたんだ。そっちはどうだ?」
 リサ:「今着替えたところ」
 愛原:「よし、今そっちに行くから部屋のドア開けてくれ」
 リサ:「うん、分かった!」

 私は電話を切ると、鍵と貴重品を持って部屋の外に出た。
 そして、すぐ向かいの部屋のドアをノックする。

 愛原:「おーい、開けてくでー」
 リサ:「はーい」

 ガチャとリサがドアを開けた。
 確かにリサと斉藤さんは浴衣に着替えていたが、高野君の姿が見えない。

 愛原:「ん?高野君はどこだ?」
 リサ:「あっち」

 リサはバスルームの方を指さした。
 どうやらそこでトイレに行きがてら着替えているようだ。
 ドアを開けると脱衣所を兼ねた洗面所があり、左右にトイレと浴室が別れて設置されている。

 リサ:「只今着替え中。見る?」
 高橋:「なにさらっと先生をトラップに掛けようとしてんだ!」
 愛原:「後でトンプソン撃ち込まれそうだから遠慮しておくよ」

 私は肩を竦めた。

 リサ:「じゃ、私の着替えで我慢して」
 高橋:「なにさらっと先生を誘惑しようとしてんだっ!あぁ!?」
 愛原:「ていうかもう着替えてんじゃんよ」
 高野:「あー、もう、うるさい」

 浴衣に着替えた高野君が脱衣所から出て来た。

 愛原:「迎えに来たよ」
 高橋:「てか、先生を待たせるとは。何モタついてたんだ?」
 高野:「女は色々と準備が忙しいの」
 高橋:「ちっ。【ぴー】か」
 高野:「あぁ?あんだって?」

 高野君、トンプソンを高橋の後頭部にグリグリと押し付けた。
 本物でないことを祈る。

 高橋:「わ、分かったよ……」

 高橋と高野君は事務所では姉弟のような関係だ。
 血が繋がって無くても、やはり弟は姉に頭が上がらないか。

 愛原:「準備ができたら、早く行くぞ。夕飯の時間に間に合わなくなる」
 高橋:「そうですね!」
 高野:「早く行きましょう」

 私達は大浴場へと向かった。

 愛原:「夕飯は鯛の活け造りの船盛が出るらしいからな、今から楽しみだ」
 高野:「高くないですか、それ?」
 愛原:「何か知らんが、そういうプランになっていたんだよ。夕飯はまたホテルのレストランになるから、18時にそこで夕飯な?」
 高橋:「はい!」
 高野:「分かりました」
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某ブログでは功徳の体験発表がされているようなので、こちらは一転して罰の体験発表を致します。

2019-09-14 16:04:33 | 日記
 先日、所属している結婚相談所から連絡があり、行ってみると成婚退会まで考えていた交際相手より、「交際中止の申し入れがあった」とのことだ。
 理由を聞いみると、「『宗教をやっている人はちょっとムリです』とのことです」と、言われた。

 懸念した通りだった。

 私が法道院を辞めた理由はいくつもあるが、そのうちの1つがそろそろ始めようと思っていた婚活に当たり、日蓮正宗の信仰は活動の足枷に間違い無くなると考えたからだった。
 もちろんどの結婚相談所もそうだろうが、私の所属する相談所も所属中の宗教勧誘は一切禁止となっている。
 私も御多聞に漏れず、その規約はしっかり守っていたつもりだったが、やはりボロは出るものである。

 今月の始め、確かまだ台風15号が来る前のことだった。
 例の彼女と一緒に都内を散策したのであるが、その際にとある神社仏閣を訪れた。
 最近、女性に流行っているらしいな。
 神社仏閣巡り。
 恐らくガチ勢は、『折伏目的でもないのに、そういった謗法の地を踏むことはケシカラン!そこで彼女を折伏しろ!』と考えることだろう。
 しかし私は傍観勢。
 観光目的で入るくらいなら大丈夫だろうと思った。
 もちろん、大石寺には逆にそんな気持ちで入ってはいけない。
 当然ながら私はその境内の神体や本尊には拝まなかったのだが、そこが怪しまれたようだ。
 多分ガチ勢は何が何でも交際相手の邪宗参拝を止めるのだろうが、別に私は止めはしなかったよ。
 ただ、私自身がやらなかっただけ。
 それでも怪しまれるようで、理由を聞かれたので、正直に答えただけだ。
 それが、『地雷を踏んで大爆発した』ということだ。

 鉄道趣味も合い、生活の価値観もまあまあ合っていたのに、たかが特定の宗教信仰だけで物凄くNGになるのだと担当者からは言われた。
 もう1度来週から、新たな交際相手探しが始まる。
 いつまで掛かるか分からないが。
 もしかして、ガチ勢を中心に当宗でも晩婚化・非婚化の波が押し寄せている……どころか、モロ被りしているのはその為だろうな。

 担当者:「逆に雲羽さんの宗教コミュニティで、お相手を紹介してくれるようなことは無いのですか?」
 雲羽:「してくれたら、こちらのお世話にはなっておりません」

 なんてやり取りもあった。
 顕正会は独り身であることを良しとするような団体だし、創価学会も大変らしいな。
 いや、その担当者、創価学会員の担当もしたそうなんだ。
 で、やはり創価学会員というだけで相当の足枷になったというんだな。
 てか、『創価学会に入れば嫁と仕事には困らないと学会員に勧誘された』と、昔お世話になっていた警備隊のオジさんが言っていたのだが、今は創価学会でも嫁に困る時代のようだ。
 何でも、公明党支持の是非を巡り、それで相手の家族とケンカになって破局になったとか……。
 うん、私も公明党支持者ではないから、この辺もまたモメる原因になりそうだ。

 ガチ勢を中心に晩婚化・非婚化の波が押し寄せている……どころか、モロ被りしている。
 そして、その波は傍観勢にも降り掛かっているわけだ。
 エンジョイ勢は、家族持ちに多いかな。
 家族ぐるみでガチ勢というような所は例外としてもね。

 担当者:「1番良いのは同じ宗派の人なんですけどね」
 雲羽:「まあ……そうですね(棒)」

 同じ宗派でもガチ勢・エンジョイ勢・傍観勢と信仰姿勢が分かれるような所だぞ?
 同じ傍観勢が来てくれたらいいんだろうが、まず傍観勢同士は平行線で交わらないし(そもそも傍観し過ぎて大石寺に登山参詣しようとすらしない)、ガチ勢は明らかにケンカになる。

 あ、そうそう。
 昨年だか一昨年だか、同じ相談所内で自分で相手を探すシステムを利用したことである。
 大抵は担当者が会員に合いそうな相手を見繕って紹介するシステムなのだが、それとは別に有料で会員専用サイトに掲載されている名簿から探すこともできるわけだ。
 で、その中に『お寺で信仰しています』と、わざわざ自己PR文に書いていた女性会員がいた。
 そのプロフィールを詳しく読んでみると、日蓮正宗とは書かれていなかったものの、どうも信仰のスタイルが法華講員っぽく見えたので、交際を申し込んでみた。
 まあ、けんもほろろに断られたわけだが。

 もし仮に私が申し込んで断られた相手が日蓮正宗法華講員なのだとしたら、やはり外部機関に婚活の場を求めないと結婚相手が見つからない宗派であるということが露呈したというわけだ。
 法統相続の大事を伝えている以上、宗門におかれてはそういったサポートも求めたいものである。
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“私立探偵 愛原学” 「松島観光」

2019-09-12 21:04:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日13:00.天候:晴 宮城県宮城郡松島町 松島湾遊覧船]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 日本三景の1つ、松島に到着した私達は昼食を終えると遊覧船に乗ることにした。
 300人か400人は乗れる、湾内を航行する遊覧船の中では大型船に部類するタイプだ。
 1階と2階の二層構造になっており、2階席はグリーン席になっているという。
 私達は1階席になったが、2階席は団体さんが乗るようだな。
 やはり、金のある年配者の団体か。

 愛原:「大丈夫か?プロムナードの倉庫から、『メーデー、メーデー』言いながらドアをドンドン叩いていたら要注意だぞ?」

 2005年に起きたクイーン・ゼノビア号のバイオハザード事件のネタを私は言ったつもりだったが……。

 高野:「先生!記憶が戻られたんですか!?」
 愛原:「えっ?いや、別に……。2005年に地中海で起きた豪華客船クイーン・ゼノビア号に、そういうクリーチャーが現れたって言うじゃないか。愛称は『メーデーさん』」

 その船の通信長が船内に蔓延したウィルスに感染したのだが、ヘタに抵抗力を持っていたせいで素直にゾンビになれず、別の化け物に変化したもの。
 正式名称は『スキャグデッド』という。
 素直にゾンビになった部下を何匹も呼び寄せて、突入したBSAAの職員を翻弄したという。

 高野:「顕正号にも出たんですよ、それ」
 愛原:「そうなの!?」
 高橋:「アネゴが何発もライフルぶっ放しても、なかなか死んでくれなかったんです。先生は意識を無くしてるもんだから、なかなか戦えなくてですね……」

 誰かを守りながらの戦いは至極不利だ。
 これは私も知っている。
 本当に大きな迷惑を掛けてしまったな。

 高橋:「取りあえず近くにあったガスボンベ爆発させて、ようやくブッ殺しましたよ」
 愛原:「相変わらず無茶するなぁ……」
 斉藤:「本当に時々難しい話をする先生達だね」
 リサ:「探偵さんだから」

 そんなことを客席で話しているうちに、遊覧船は出航した。
 だいたい所要時間は50分くらいだという。

 愛原:「船尾甲板に出てもいいらしいぞ」
 リサ:「おー」
 愛原:「2階はグリーン席だから、2階には行くなよ」
 リサ:「はーい」

 JC達は初めて乗る遊覧船に大盛り上がり。

 愛原:「ちょっとトイレ行ってくる」
 高野:「もう酔いましたか?」
 愛原:「違う違う。昼飯ん時に飲んだビールで、トイレが近くなっただけだ」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「せんでいい」

 調子に乗ってビールを一杯だけ飲んだのだが、それだけでトイレに行くほど私は酒が弱いのか。
 それとも、ただ単に歳を取ってトイレが近くなっただけか?

 愛原:「ん?」

 用を足してトイレから出た私は船尾甲板の方を見た。
 直接潮風に当たる乗客達の姿があり、その中にリサ達の姿もある。
 だが、そこから上空を見ると、まるでこの船を監視するかのように飛んでいるヘリコプターが1機飛んでいるのが分かった。

 愛原:「高橋、高橋!」
 高橋:「どうしました、先生?」

 私は急いで船室に戻った。

 高橋:「まさかウーズでも出ましたか?」

 ウーズとはクイーン・ゼノビア号に跋扈したゾンビの名前である。
 あの船に蔓延したウィルスに感染し、素直にゾンビ化するとウーズになる。
 普通のゾンビと違うのは、普通のゾンビが腐乱死体のようになり、生きている人間の肉を食い求めるのに対し、ウーズは水死体のようになって、生きている人間の血を求めるというものだ。
 そして、まるで蛭のような触手を伸ばし、生きている人間の体に噛みついて生き血を啜るのである。
 もっとも、『メーデーさん』は肉を欲したようだが。

 愛原:「違う!ちょっと双眼鏡貸してくれ」
 高橋:「あっ、いいアイディアですね!うん、いいアイディアだ」
 愛原:「別に景色を見るんじゃない」

 私は高橋から双眼鏡を借りると、再び船尾甲板に出た。
 そして、それでヘリコプターを見た。

 愛原:「! BSAAだ!どういうことだ?」

 そのヘリコプターは対国際バイオテロ組織BSAAのものだった。
 発足当初はただの民間NGO団体だったが、度重なる功績が称えられ、今では国連直轄団体になっている。
 要は国連軍の一派ということだな。
 『青い』アンブレラも似たような仕事をしているが、あれは民間企業なので。
 日本で言えば青いアンブレラは警備会社で、BSAAは警察のようなもの。

 愛原:「高橋!BSAAがこの船を追尾しているぞ!?」
 高橋:「何ですって!?」
 高野:「今更リサちゃんが狙われてるわけじゃないですよね?」

 リサのことはBSAAも把握済みのはずだ。
 日本政府が責任を持って監視するからと、今は『退治』しないように申し入れているはずだ。
 もっとも、最近のBSAAの権限は強くなってきている。
 その政府が国家ぐるみでバイオテロを起こそうとしていると判断した場合、国会議事堂や総理官邸に遠慮無く突入するくらいのことはするらしいからな。
 ということは、北朝鮮は今のところその気は無いということになる。

 愛原:「善場さんに連絡してみよう」

 私がスマホを取り出した時だった。

 高橋:「あ、先生。ヘリが離脱して行きました」
 愛原:「マジか」

 確かにヘリが遠ざかっていった。
 一体、何だったんだろう?
 JC2人はそんな私達のことなど露知らず、ヘリとは別にこの船を追尾しているウミネコなどに歓声を上げていた。

 斉藤:「しっかりついて来ちゃって、可愛いね!」
 リサ:「うん。あのプクッとしたお肉、美味しそう……」
 斉藤:「えっ?」

 リサはじゅるっと涎が出るのを我慢していたが、口からは牙が覗いていた。

 愛原:「リサ、BSAAに誤解されるから船室に入りなさい」
 リサ:「えー?」
 高橋:「リサ、先生の言う通りにしろ!マジでこの船、拿捕されるところだったぞ!」
 リサ:「はーい……」
 斉藤:「何かあったんですか?」
 愛原:「いや、何でもない」

 まさか、たまたまリサが食欲を出していたのを見つけたから追尾したってわけじゃ……ないよなぁ……。

[同日同時刻 天候:晴 松島湾上空・BSAAヘリ機内]

 パイロット:「αチームからHQ!松島湾上空を検索するも、タイラントの姿確認できず!」
 HQ:「了解。HQよりαチーム、他に気づいたことがあれば報告せよ」
 パイロット:「了解。松島湾内を航行中の船舶にて、微弱なBOWの反応あり!地上部隊に至急確認願う!」
 HQ:「了解。αチームの捕捉した反応は、現在日本政府の監視下にある『リサ・トレヴァー』のものと思われる。危険度は低いので、αチームは引き続きタイラントの検索に当たれ」
 パイロット:「了解!」
 βチーム:「βチームよりHQ、仙台湾において第三のBOW反応を捕捉。これより直ちに調査に入る」
 HQ:「了解。βチームの捕捉した反応はHQにおいてもアンノンである為、調査は細心の注意を払え」
 βチーム:「了解」

 ザバァッ!(海の中から顔だけ出すタイラント。その目は遊覧船の走り去った方向を見ている)

 タイラント:「御嬢……様……!」
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“私立探偵 愛原学” 「松島遊覧」

2019-09-12 15:09:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日12:00.天候:晴 宮城県宮城郡松島町 JR松島海岸駅→松島玉手箱館]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は一転して山から海へと移動した。
 トンネルをいくつも通って、やっと車窓に海が見えて来る。
 座席が通勤電車のロングシートであるのが残念だ。

〔「まもなく松島海岸、松島海岸です。お出口は、右側です」〕

 トンネルを抜けると、電車は1面2線のホームに滑り込んだ。
 この辺りはもう単線区間である。

 高橋:「先生、そろそろですよ」
 愛原:「ん、そうか……」

 またもや寝落ちし掛かっていたらしい。
 何しろ、長閑な海辺の町を走っているからなぁ……。
 もっとも、ここで降りたのは私達だけではない。
 過半数の乗客がここで降りて行った。
 その風体は、私達と同じ観光客である。

 高野:「風が気持ちいいですね」
 愛原:「さすがは快速“うみかぜ”が走っていた所だな。さて、ここからどうしよう?ホテルへのチェックインにはまだ時間があるが……」
 高野:「ちょうどお昼の時間ですし、食べてから考えるというのはどうでしょう?」
 愛原:「そうするか」

 私は高野君の意見を採用することにした。

 愛原:「とはいうものの、松島観光なんて初めてだからなぁ……。どこへ行けばいいのやら……」
 リサ:「先生、あれ乗ってみたい」

 リサは駅の広告看板を指さした。

 愛原:「おお、そうだ!松島観光と言えば、松島湾の遊覧船だったな!よし、昼食べたらこれに乗ろう!」
 高野:「リサちゃんは船酔いとか大丈夫なの?」
 リサ:「うん、大丈夫!」
 斉藤:「私もバカンスでよくクルーザーに乗るので大丈夫です」
 高橋:「オマエんち、クルーザーまで持ってんのかよ!どんだけセレブだ!」
 愛原:「海の無い埼玉県に実家があるのに、どうしてるんだい?」
 斉藤:「それはお父さんに聞きませんと……」
 高橋:「先生、そういうのはちゃんと預ける場所があるんですよ。そういう手間も含めてセレブだっつってるんです」
 愛原:「そうなのか」

 この辺は私より高橋の方が詳しそうだな。
 恐らく10代の頃、シャバにいた時はよく海に遊びに行ったりしたのだろう。

 高野:「国道沿いに、色々とお店があるみたいです。もちろん、食べ物屋さんも」
 愛原:「そうか。適当に見繕って食べておこう」

 日差しは暑いが海風は涼しい。
 海水浴には絶好の日和だと思われるが、あいにくとそんな予定は無い。

 愛原:「取りあえず遊覧船に乗ることは決まったから、その乗り場の近くがいいな。変な所に行って、迷子になっても困る」
 高野:「分かりました」

 高野君は手持ちのスマホで国道45号線沿いを進んだ。
 センターラインにオレンジ色が使われた道路で、道幅はそんなに広くない。
 そういう所を団体客を乗せた観光バスがバンバン行き交うものだから、そりゃ観光シーズンの時は渋滞の1つでも起こるというものだ。

 高野:「この辺りなんかいかがでしょう?」

 高野君が指定した場所は、遊覧船の乗り場が本当に目と鼻の先だった。

 愛原:「よし、ここにしよう」

 こういう海辺の観光地で食べられる物といったら海鮮系に決まっている。
 ホテルの夕食もそういうものが出て来るだろうから、今日は海鮮三昧だな。
 ……鳴子温泉の時も、川魚が出て来たような気がするのだが。

 愛原:「観光地の観光客向けの店なだけに、いい値段するな」
 高橋:「先生、予算大丈夫ですか?」
 斉藤:「何でしたら父に言って、もっと出してもらいますよ?」
 愛原:「あ、いや、大丈夫。というか、子供はそういう心配しないように」

 注文し終わった後で、私は高橋に話題を振ってみた。

 愛原:「高橋、そう言えばさっきのクルーザーの話なんだが……」
 高橋:「はい、何でしょう?」
 愛原:「俺より詳しいってことは、お前も乗ったことあるの?」
 高橋:「そうっスね。パイセンが色んな悪どい……ゲフンゲフン!色んな仕事してたもんで、金持ってたんスよ。それに何度か乗せてもらいました」
 愛原:「ほー、それは羨ましい。俺はまだ乗ったことが無いんだ」
 高橋:「パイセンが出所したら、頼んであげますね」
 愛原:「やっぱり服役中かーい!」
 高橋:「上手く行けば、今年の暮れくらいには仮釈放になるみたいなんで」
 愛原:「いや、要らねーだろ、そんな仮釈の情報!何やらかしたんだよ!?」
 高橋:「海でナンパした女をクルーザーに乗せて、『遊んだ』だけです」
 愛原:「あーっ、もういいよ」
 高橋:「俺も誘われてたんですが、その頃にはバカ女の相手するのもアホらしくなって来てたんでドタキャンしました。ヤるだけなら、何もわざわざクルーザー乗る必要無いんで」
 愛原:「良かったな、参加しなくて!先輩さんに、今度はもっと合法的に女遊びをするように言っとけ!」
 高橋:「分かりました」
 斉藤:「先生達、時々難しい話をするね?」
 リサ:「うん。探偵さんだから」

 私は話題の振り先をJC達に変えた。

 愛原:「斉藤さんは遊覧船に乗るのは初めてかな?」
 斉藤:「はい。今度乗るのはどういったものですか?」
 愛原:「さっきボンヤリ調べた所によると、松島湾を一周するクルーズのようだ。リサは?」
 リサ:「……覚えてないけど、船に乗った記憶はある」
 愛原:「あっと……今のは無かったことにしてくれ」

 リサは小学生の頃、『赤い』アンブレラに捕まり、壮絶な人体実験をさせられたという所までは分かっている。
 様々な生物兵器ウィルスを投与された結果、他の少女達は死亡したり、おぞましい化け物に変化する中、リサだけがその力を制御できた『完成品』だと。
 政治というのは残酷なもので、赤いアンブレラが潰れてリサが元気に残ったと見るや、政府はそれを兵器にしようとしている。
 表向きには政府エージェントとして雇用することにしておいて。
 ただ、アメリカ政府にも同じような者(シェリー・バーキン氏)がいるということから、政府高官職に就く者の考えることは同じなのかもしれない。
 それにしても、リサは船に乗った記憶はあるという。
 もちろんそれはバイオハザード豪華客船“顕正号”のことではない。
 赤いアンブレラに捕まる前、まだごく普通の少女だった頃の話なのか、或いは正に赤いアンブレラに捕まり、どこかへ連れて行かれる際に乗せられた船なのか、それは不明だ。

 店員:「お待たせしましたー」

 そこへ注文した料理が運ばれてくる。

 店員:「こちら海鮮丼になりまーす」
 愛原:「おっ、ありがとう」

 ま、とにかく今は観光で来てるんだから、今は観光を楽しむこととしよう。
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“私立探偵 愛原学” 「JR仙石線(『せんごくせん』じゃないヨ)」

2019-09-10 19:23:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日11:05.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 JRあおば通駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 クライアントの斉藤社長の指示で、私達は取りあえず仙台市へと向かった。
 その市街地でJRバスを降りた私に、社長からメールがあった。
 そして、急いで社長に電話した。

 愛原:「も、もしもし?」
 斉藤秀樹:「ああ、愛原さん、お疲れさんです。仙台に着きましたか?」
 愛原:「はい、今しがたバスで到着しました」
 秀樹:「ああ、バスに乗っちゃいましたか」
 愛原:「! 何か、マズかったですか?」
 秀樹:「いえ、この後JRに乗って頂こうと思っていたんですが、まあいいでしょう」
 愛原:「今度はどこへ行けと?」
 秀樹:「いや、なに……。昨日は山に行って頂きましたから、今度は海なんかいかがでしょう?という話ですね」
 愛原:「海ですか。悪くないですね」
 秀樹:「そうでしょう。そこなら電車でのアクセスも可能です。もし何でしたら、今から向かってください」
 愛原:「それにしても、よくそんな有名な観光地の宿が取れましたね?まあ、鳴子温泉もそうでしたが……」
 秀樹:「だからこそ、早めに予約しておきながらキャンセルも出たりするんですよ。そこは私のネットワークを使わせて頂きましたので。ちょうどグループ客のキャンセルが出た所がありましてね、そこを急いで押さえたというわけです」
 愛原:「なるほど。それで宿はどこに?……ああ、なるほど。また、社長の名前を出せばいいんですね?……分かりました。はい、それでは失礼します」

 私は電話を切った。

 高橋:「先生、次のミッションはどこに?」
 愛原:「松島だってさ。仙台市内ではないな」
 高野:「さすが大企業家。会社の保養所か何かですかね?」
 愛原:「かもしれないな」

 私が聞いたホテルは普通の一般的な観光ホテルのようだったが、大企業などはそういう所に福利厚生として社員専用の割引プランを設けていることがある。

 愛原:「電車で行けるから、そこへ行こう」
 高橋:「はい」

 私達はバスが到着した青葉通り沿いにあるJR仙石線の駅、あおば通駅に移動した。
 ここなら始発駅だから、悠々と着席して現地に向かえる。
 もっとも……。

 リサ:「ドアが閉まってるよ」
 愛原:「陸羽東線みたいに半自動ドアなんだよ。ボタンを押して」
 リサ:「ん!」

 ポロロロン♪バッ、ガラガラガラガラ……(ドアチャイム&開扉音)

 リサ:「おー!」

 JR仙石線で運転されている電車は元々埼京線や山手線で運転されていた通勤電車の成れの果て。
 インドネシアのジャカルタ国電に飛ばされたもの以外に、地方では内需に応えている。
 仙石線では半自動ドアに改造したり、先頭車にトイレを付けたりしている。
 私達が乗ったのは最後尾で、トイレの無い車両だったが。
 それ以外は殆ど埼京線・山手線時代と変わらない為(運転室は209系っぽくなった)、まるでそれに乗っているかのような錯覚に陥る。

 高橋:「先生が暑がるから早く閉めろ」
 リサ:「ん!」

 ポロロロン♪プシューッ、ガラガラガラガラ……バン!(ドアチャイム&閉扉音)

 愛原:「いや、仙台はやっぱり涼しいよ。東京と比べれば」
 高野:「そうですね。今、都内は35度ですが、仙台は30度です。で、カラッとしていて日陰に入ったり、あと風が涼しいですよね」
 愛原:「ましてや、これから海に行くんだからな」
 斉藤絵恋:「愛原先生、海に行くということは水着要りますよね?」
 愛原:「いや、海水浴はせんよ。てか、水着無いし」
 絵恋:「何だぁ、残念」
 リサ:「後でサイトーの家のプール入りに行く」
 絵恋:「家に言って、準備してもらうからね!」
 高橋:「自分ちにプールあるんだったら、別にプールのあるホテルじゃなくてもいいじゃねーか」

 高橋は呆れたように言った。

[同日11:20.天候:晴 JRあおば通駅→仙石線1121S電車最後尾車内]

〔まもなく2番線から、電車が発車致します。ご注意ください〕

 ホームに盛大な発車メロディが流れる。
 地下ホームなだけに、それがよく響く。

〔「11時20分発、仙石線下り、各駅停車の石巻行き、まもなく発車致します」〕

 発車メロディが鳴り終わると、車掌が笛を吹いてドアを閉めた。
 もっとも、半自動ドアで殆どの車両のドアが最初から閉まっていただろうが。
 JR上野駅低いホームに停車している中距離電車みたいに、発車1分前になったら全てのドアを一斉に開けるというようなことはしないようである。
 そして、電車は定刻通りに発車した。

 愛原:「何か、以前乗った埼京線の幽霊電車に似てるなぁ……」
 高橋:「先生、次の駅を通過したら、急いで先頭車に向かうんですね!?」
 愛原:「まあ、そういうことになるな」

 あの時会った『芸能事務所の社長』や『銀髪の剣豪』、そして『魔法使いの青年』の正体を私達は知らない。

〔「お待たせ致しました。この電車は仙石線下り、各駅停車の石巻行きです。まもなく仙台、仙台です。新幹線、東北本線、常磐線、仙山線と仙台空港アクセス線はお乗り換えです。終点石巻へは、この電車が先に到着致します」〕

 隣の仙台駅まではたったの500メートルしか離れていない。
 これは都内で言えば、山手線・京浜東北線の日暮里〜西日暮里間と同じである。
 仙台駅からの乗車は多かった。
 緑色の座席が全て埋まり、吊り革を掴む者が目立って出て来たほどである。
 たったの4両編成で本当に大丈夫かと思ったが、恐らく仙台市を出ると途端に空くのだろうな。
 ましてや、仙石東北ラインという快速線もできたことだし。

〔10番線から、電車が発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 仙台駅の地上ホームや新幹線ホームでは発車メロディが流れるのだが、地下の仙石線ホームではただのベルしか流れない。
 またもや、車掌が笛を吹いてからドアを閉める。
 まあ、ちゃんと隣の駅にも停車したことだし、あの幽霊電車みたいなことは無いのだろう。

〔「本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。仙石線下り、各駅停車の石巻行きです。終点、石巻へはこの電車が先に到着致します。次は榴ヶ岡、榴ヶ岡です。お出口は、右側です」〕

 仙石線内では快速列車の役回りを果たす仙石東北ラインも、この時間帯は本数が少ないのだろう。
 その為、仙石線内をひたすら走る各駅停車が何だかんだ言って早いということか。
 もっとも、所要時間は1時間半近くあるみたいだ。
 トイレが無いとキツいな。
 因みに松島海岸駅までは40分ほどである。
 まあ、通勤電車でも大丈夫なくらいの所要時間か。
コメント
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