報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「久しぶりの登校」

2024-12-25 15:11:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 愛原「さあ、着いた」
 リサ「むふー!」
 愛原「俺は職員室に行って来るから、オマエは教室に向かえ」
 リサ「了解」

 リサと愛原が学校の敷地内に入った時だった。

 レイチェル「Hey,frieze!!」

 背後からレイチェルの鋭い声が聞こえた。
 振り向くと、制服姿のレイチェルがリサと愛原に向けて、ハンドガンを構えていた。
 アメリカ陸軍でも使用されているM17だろう。
 9口径のオートマチック拳銃だが、それでリサを殺せるだろうか?

 リサ「……政府から、BSAAは撤退しろと言われたはずだけど?」
 愛原「おい、レイチェル!ここでそういう騒ぎは……」

 するとレイチェルは銃を下ろした。

 レイチェル「フェイク(偽情報)に踊らされた、こちらの負けですよ」
 愛原「俺達が悪魔に魂を売ったなんて、ガッツリ偽情報だからな?BSAAに拘束される謂れは無いぞ?」
 レイチェル「ええ、分かっています」
 愛原「その誤解は解けたようだが、本来は戦闘訓練を受けに行くはずのキミがそれを休んで学校に来るということは、今日は何かあるということだな?」
 レイチェル「軍機です」
 愛原「キミはまだ訓練兵だ。その訓練兵は参加できない作戦が、近いうちに決行されるということだな?」

 愛原の質問に、レイチェルは青い瞳を見開いたが、すぐに元に戻した。

 レイチェル「軍機です」
 愛原「……分かった。それだけで十分だ。それじゃリサ、俺は職員室に行ってくるから」
 リサ「う、うん」
 レイチェル「さすがは、バイオハザードをいくつも潜り抜けたモサです。BSAAの隊員になれるかもしれませんね?」
 リサ「モサ?……ああ、猛者ね!……それは、わたしもそう思う。だけど、先生は探偵の仕事が好きだから、BSAAには入らないと思うよ?」
 レイチェル「BSAAにもスパイの仕事はありますが、ザンネンです」

 リサはレイチェルと一緒に、昇降口に向かった。

 リサ「校舎の修理は進んでるみたいだね」
 レイチェル「夏休み前には終わるみたいですよ。BOW(生物兵器)は破壊が好きですね」
 リサ「いやあ……ハハ……」(←壊した本人)

 校舎の中に入り、教室へと入る。

 淀橋「おー、魔王様のお出まし~!」
 小島「おはよう、リサとレイチェル。リサ、大丈夫?レイチェルに蜂の巣にされてない?」
 リサ「美味しい蜂蜜は取れないからムリ」
 淀橋「魔王様はバズーカでも死なないから」
 リサ「ロケットランチャー食らったら、さすがにマズいけどね」
 レイチェル「訓練生の立場では、非常時以外、ロケットランチャーの使用は認められていません」
 リサ「うん。……いや、それ、そのハンドガンもでしょ!?」
 淀橋「使う前提で話すから、思わず騙されるね」
 レイチェル「Oh,sorry!」

[同日08時35分 天候:晴 同学校1階・3年3組]

 坂上「……というわけで、愛原リサさんが、1ヶ月の停学を終えて今日から復帰致します。皆さん、仲良くしてあげてください」
 リサ「へへ、どうも……。この度は、とんだお騒がせを……」
 男子生徒A「先生!それじゃ転校生の紹介っスよ!」

 さしものリサも、さすがに同級生達には詫びを入れた。

 リサ「今後は2度とああいうことの無いようにしますんで……ドモドモ……」
 男子生徒B「魔王様入場のテーマ、ON!」(自分のスマホから音楽を流す)

 https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI

 リサ「……尚、下校チャイム後の女子トイレの使用に関しては、安全の保障はしないので、ご承知おきを」

 リサ、両目の瞳を赤くボウッと光らせる。

 坂上「いや、下校のチャイム鳴ったら帰れよ?」
 リサ「さ、サーセン」
 坂上「お前もフザけるな!」
 男子生徒B「サーセンw」
 坂上「まあ、いい。愛原は今後、気をつけるように」
 リサ「はい」
 坂上「これ以上停学になったら、留年必至だからな?」
 リサ「はーい」

 リサは席に戻った。

 坂上「続いて、今日の予定をお知らせします。昨日は爆弾騒ぎで授業が中止になりましたが、この埋め合わせは今日はしないで、来週の土曜日に行われるかもしれません」
 淀橋「えー?来週休みだったのに……」
 坂上「今日しないのは、急な事になって皆さんの準備が大変なのと、午後からは臨時のPTA総会が行われるからです。なので、今日は特に授業が終わったらすぐに帰るように。……ああ、生徒会並びに、設営ボランティア志願の人は、残って会場設営の協力をお願いします」
 リサ「多分、それわたしだ」
 レイチェル「私も手伝いますよ」
 リサ「悪いねー」

[同日13時00分 天候:晴 同地区 ウェンディーズ・ファーストキッチン上野浅草口店]

 授業は予定通り、昼までで終わった。
 臨時PTA総会の会場設営の手伝いをしたリサとレイチェルは、それが終わるまで昼食を取りに行った。
 参加者の案内などは教職員や生徒会がやるので、リサ達は一旦御役御免となった。
 総会が終わったら、今度は片付けを手伝うことになる。
 それまで休憩だ。
 土曜日は学食が開いていないので、一旦学校の外に出て昼食である。

 リサ「体育の後で設営って、これは絶対お腹空くよ!」
 レイチェル「それはそうですね」
 リサ「体力自慢のわたし達でないとできないね」
 レイチェル「そう……ですかね」

 カウンター席に2人並んで、ハンバーガーを頬張る。
 結局、何だかんだ言って仲の良い2人である。

 リサ「今日は何があるの?」
 レイチェル「ですから、機密です」
 リサ「ちぇっ、ケチ……」
 レイチェル「仮に何かあるにしても、この日本ではないので安心してください」
 リサ「外国で何かあるんだ?」

 レイチェルはそれ以上答えなかった。
 しかし、レイチェルが片耳に着けているインカムからは、こういう音声が流れていた。
 日本語に訳すると、こう。

 『ヒデキ・サイトウはロシア国内を移動中!尚、移動にはシベリア鉄道を使用していると思われる!列車を捕捉したいところだが、ロシア政府からの妨害を受けている!』
 『プーチン大統領に抗議せよ!……クソッ、日本政府はヒヨって好き勝手にさせてくれるのに!!』
 『さすがの日本政府も、先日の我々の行動には文句言ってきたがなw』
 『ロシアのエージェントは!?エージェントを使え!一般乗客を装って、列車に乗せるんだ!』
 『ダメです!ロシア政府に、軒並みスパイ容疑で拘束されてます!!』
 『なにいっ!?プーチン大統領、何を考えている!?国連の決め事を破る気か!?』
 『一応、ロシアは常任理事国のはずなんですがねぇ……』

 レイチェル「色々とあるんですよ。色々とネ……」
 リサ「ふーん……?」
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“私立探偵 愛原学” 「停学明け」

2024-12-23 20:24:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサ「おはよう……」

 リサが起きて来た。

 

 愛原「おはよう。今日から学校なんだから、早いとこ目ェ覚ましとけよ」
 リサ「久しぶりの早起きだからねぇ……」
 パール「朝食を食べれば、目が覚めますよ」
 リサ「おー」

 

 今日はベーコンエッグだった。
 リサだけベーコンマシマシ。
 玉子よりベーコン派なので、リサは。
 私は玉子2個にしてもらった分、ベーコンはハーフサイズで2~3枚といったところだ。

 リサ「今日は先生も一緒に学校に行くんだよね?」
 愛原「そうだよ。リサが御迷惑お掛けしたこと、俺も保護者として一緒に謝りに行かないとなぁ……」
 リサ「サーセン!」
 愛原「まあ、俺がオマエに心配を掛けたというのも原因だからしょうがない」

 私はパールが持って来た厚切りトーストに齧りついた。

 愛原「午後はPTA総会があるから、多分1日事務所を空けることになると思う。土曜日だから、あんまり顧客からの電話とかは無いと思うが、留守番の方、よろしくな?」
 パール「かしこまりました。今回の出張の経費を全て計算して、精算書を作成すれば宜しいのですね?」
 愛原「そうだ。領収証が発行されている分だけで構わないから」

 コンビニで買った物とか、ただのレシートではダメだということだ。
 善場係長は、掛かった経費全て請求して構わないと仰ってくれたが。
 取りあえず、レンタカー代を含む交通費や大宮での宿泊費などは請求して構わないだろう。
 あとはコインロッカーの費用も、である。
 食費に関しては領収証が無いので、これは請求しないことにする。
 こちらが、事務所の経費として計上すれば良いだろう。

 パール「かしこまりました」
 リサ「あと、もしかしたら、ミキから金棒が届くかもしれないから!」
 パール「さようですか」
 愛原「それに関しては、午後届くんじゃないかな?」
 リサ「どうして?」
 愛原「伝票の控えを見せてもらったが、お届け希望日も、時間指定もしていなかった。で、美樹は郵便局が閉まるギリギリに出したって言ってただろ?」
 リサ「うん」
 愛原「ゆうパックで何も期日・時間指定してない場合、秋田県から東京都まで1日で届く。ただ、午後に出した場合は、午後に届くらしい。郵便局が閉まるギリギリの時間だったってことは、それこそ夕方とか夜に届くかもしれんな……」
 リサ「ふーん……」
 パール「でも、早めに届く可能性もあります。その時は私が受け取りますよ」
 愛原「頼むな」
 パール「おいくらでしょう?着払いでしたよね?」
 愛原「あの伝票の画像に値段が書いてあっただろう?後で精算するから、立て替えといてくれないか?」
 パール「かしこまりました」
 愛原「多分、受け取る時に領収証とかもらえると思うんだな」
 パール「そうですね」

[同日07時30分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線725T電車・先頭車内]

 朝食を食べ終わった後は、学校に行く準備をする。

 リサ「久しぶりだなぁ、この制服」
 愛原「そうか?」
 リサ「何か暑苦しい」
 愛原「そうか!?半袖のブラウスだぞ!?」
 リサ「ポロシャツは無いの?」
 愛原「ポロシャツは盛夏服だから、7月~9月までだろう?」
 リサ「ちぇっ……」

 尚、ポロシャツが解禁されても、ブラウスやワイシャツも着て良いことになっている。

 愛原「今日は体育があるんだろ?ブルマは穿き替えたのか?」
 リサ「大丈夫!ちゃんと緑のに穿き替えた!」

 そう言ってリサは、スカートを捲って見せようとした。

 愛原「見せなくていいから!」

 というやり取りをしながら駅に向かう。
 土曜日なので平日よりは空いているはずだが、それでも駅はそれなりに賑わっている。

 リサ「通学定期を使うのも久しぶりだなぁ……」
 愛原「そのPasmo自体は、普段使いだろうが」

 そういう私は、Suicaで乗る。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 ホームに行くと、ホームに接近放送が響き渡る。
 そして、強風が吹いて来た。
 何故だか知らないが、菊川駅は地下鉄特有の強風にしても、特に風が強いような気がする。
 風の影響を受けにくい先頭車が来る位置にいるが、それでも同じことだった。
 やってきたのは、東京都交通局の電車。
 確かに平日ほどの混雑は無いにせよ、座席は埋まっていて、立ち客もそこそこいる状態だった。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 それでも下車客も、ある程度はいるもよう。
 たまたま空いた席に2人腰かけておく。
 すぐに、発車メロディが鳴った。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアと、ホームドアが同時に閉まる。
 車両のドアチャイムを聞くと、JRの通勤電車を思い出す。
 昨日乗った上野東京ラインや横須賀線と、同じ音である。
 ドアが閉まり切ると、運転室の中から発車合図のブザーが聞こえてきた。
 そして、ガチャッとハンドルを操作する音がすると、エアブレーキが解除される音が響き、電車が動き出した。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは自分の鞄を膝の上には置かず、床に置いて足で挟むようにしている。
 スマホを操作しているもようは、普通の女子高生のよう。
 もちろん、今は人間形態に擬態している。
 本当これが正体になるようにしてやるのが、我々の最終目的だ。
 スカートは短く、白い太ももが視線を落とすとよく見える。

 リサ「ん?」
 愛原「どうした?」
 リサ「いや、今日は土曜日だから、レイチェルは来ないはずなんだけど……」

 毎週土曜日はBSAAも駐留している米軍基地に赴き、戦闘訓練を行うことになっている。
 その為、土曜日は学校を休んでいる。
 だがリサの話によると、今日はレイチェルが登校するのだそうだ。

 リサ「緊急出動を何回もしたから、これが戦闘訓練の代わりになるんだって。その代わり、留学先の学校を休んでいる形だから、今日は戦闘訓練を中止にして、登校しろって指示が出たらしいよ」
 愛原「そうなのか……」
 リサ「わたし、撃たれる?」
 愛原「いや、それは無いだろう。もうBSAAも、政府からの抗議に撤収したわけだし」

 と言いつつ、私も少し不安になってきた。
 一緒に学校に行って正解かな?
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“私立探偵 愛原学” 「帰宅の夜」

2024-12-23 12:20:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日19時15分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 テルミナ3 牛角錦糸町テルミナ店]

 『食べ放題 鬼は笑ひて 店は泣き』
 普通は、どんなに食べても元が取れない仕組みになっている店の食べ放題メニューだが、リサを連れて行くと、だいたい元が取れるという。
 しかし、リサ1人で、店がピリつく騒ぎだで?
 これが何人もだったら、店が潰れるな。
 霧生市ではバイオハザード発生時、まず普通の食べ物が無くなった。
 ゾンビ達が食べ尽くしたのと、リサのようなBOWが食い散らかしたからだろう。

 愛原「すいません、カードでお願いします」
 店員「か、かしこまりました」

 支払いはカードで。
 しかしこれ、食べ放題じゃなかったら、1万円強じゃ済まなかったな……。
 しかもリサのヤツ、後半は殆ど焼かずに食べていた。
 人間なら食中毒ものだが、体内に有しているGウィルスや他のウィルス、寄生虫は『血の滴る』うちに食べるのが好きなのだろう。

 パール「先生、御馳走様です」
 リサ「ごちそーさまー!」
 愛原「いいよ。その代わり、明日の飯は頼む」
 パール「お任せください」
 愛原「リサもこれだけ肉を食べたんだから、人食い衝動は抑えるように」
 リサ「頑張る!」

 会計を済ませて店が出た後、トイレを済ませる。
 帰りはバスに乗る予定だが、あまり本数が少ない為、時間を調整して行く形となる。
 やはり、警察もBSAAもおとなしくなったのだろうか、現時点では彼らの姿を見ることは無い。
 もちろん、制服警官の姿なら駅構内で見ることはあるが。

[同日19時52分 天候:晴 同区内 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 パールの一服も終わってバス停に行く。
 駅前は帰宅ラッシュで賑わっていた。

 リサ「そういえば、“いきなりステーキ”もバス停の所にあったんだっけ」
 愛原「あー、ダメダメ!さすがは今日はもう行かないぞ!」
 リサ「今日『は』!?今日『は』!?」
 愛原「う、うん。また、別の機会にね!」

 バスがやってくるが、亀戸駅前始発なので、既に何人かの乗客が乗っている。
 バスに乗り込み、リサと私は2人席に座った。
 リサが体を密着させてくる。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 乗客を全員乗せると、バスは前扉を閉めて発車した。
 だいたい座席が全部埋まり、立ち客が数名いる感じ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは浜町中の橋、八丁堀二丁目経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀でございます。警備会社の全日警、東京中央支社へおいでのお客様は、菊川一丁目でお降りになると便利です。次は、錦糸堀でございます〕

 リサのスマホが震える。
 どうやら、LINEの着信があったようだ。
 リサが面倒臭そうにスマホを確認する。
 せっかく私に密着できたと思ったのに、水を差されたと思ったのだろうか。
 あと、今の都営バスにはWiFiが無いから、パケットを気にしているのかもしれない。

 愛原「何だって?」
 リサ「ミキから。わたしに新しい金棒送ったから受け取ってだって」
 愛原「もう送ったのか。早いな」
 リサ「今時、金棒使う鬼もあんまいないから、余ってるんだってよ」
 愛原「時代の流れか」
 リサ「どうせ余り物だから、タダでいいって。その代わり、着払いで送るから、受取の代金だけヨロシクだって」
 愛原「あいよ。てか、宅配便で送れるレベルなのか」
 リサ「大きさ的には、野球の金属バットとあんま変わんないでしょ」
 愛原「それもそうか」

 実際、リサが使っていた金棒は、野球部から譲ってもらった金属バットを改造したものだ。
 もっとも、野球のバットだとアルミ製で、そんなに実は耐久性が無いのかもしれないが。

 愛原「……鬼の里で使うものだから、結構本格的な物なんだろうな?」
 リサ「そうかもね。でも、普通にで送れるレベルだよ」
 愛原「俺的には、鬼が棲むような山奥まで集荷できるのが凄いよ」
 リサ「わざわざ山を下りて、出しに行ったんじゃない?だってミキ、学校は寮だけど、たまに帰るらしいから」
 愛原「そうか……。どこの運送会社に頼んだか、聞いてみてくれるか?ヤマト?佐川?」
 リサ「ちょっと待ってね……。ついでに、どんな金棒送ってくれたかも聞いてみる」
 愛原「そうしてくれ」

[同日20時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 菊川駅前バス停→ファミリーマート菊川駅前店]

 バスは無事に菊川駅前のバス停に到着した。
 中扉からバスを降りる。
 まだ、太平山美樹から返信は来ないようだ。

 パール「先生。明日の朝食の材料を買って行っても宜しいでしょうか?」
 愛原「おっ、そうだな。いいぞいいぞ」
 パール「ありがとうございます」

 駅前のコンビニに立ち寄る。

 愛原「明日は土曜日だから、パン食かな?」
 パール「そうですね」
 リサ「わたしもついでに何か買っていい?」
 愛原「いいよ」

 食パンとか卵とか、ハムとかベーコンとか……。

 愛原「リサにはコレな」

 私はパック入りの『鬼ころし』を手に取った。
 もちろん酒なので、未成年たるリサには買えない。
 だが、何故かこれが、リサの暴走を抑える薬として絶大な効果がある為、デイライトからは、特別に少量飲むことを許されている。
 もちろん、購入は私名義で。

 パール「ついでにタバコ買っていいですか?」
 愛原「いいよ。ポイントはパールで貯めていいから」
 パール「ありがとうございます」
 リサ「先生、わたしのポイントは?」
 愛原「オマエのポイントカードは、ナナコとポンタだけだろうが」
 リサ「ぐえー……」

 パールは近所のスーパーでも同じポイントを貯めて、これをバイクの燃料代とかに充てているようである。

 愛原「それより美樹から返信は?」
 リサ「あー、今来た。今北産業」
 愛原「2ちゃんかw で、何だって?」
 リサ「これが金棒のサンプル写真だって」

 

 愛原「うーむ……。頑丈そうだが、大きさが今いち分からん」
 リサ「これが伝票だって」

 

 愛原「ゆうパックか。本当に着払いだ」

 しかし郵便局なら、田舎の……それも山奥にでも田んぼのど真ん中にでもありそうなイメージだ。

 リサ「郵便局が閉まるギリギリに出せたらしいけど、それでも明日には届くんだねー」
 愛原「マジか!?」

 郵便局のある場所だから、最低限の交通手段は確保されているとはいえ、北東北から東京まで何の時間指定をしなくても明日には届くとは……。

 リサ「でもまあ、前使ってたヤツより重そうだね」
 愛原「女の鬼よりは、筋骨隆々の男の鬼が持っているイメージだもんなぁ……」
 リサ「……ちっ、ヤなこと思い出しちゃった」
 愛原「あ、ゴメン」
 リサ「あの鬼の男が、わたしに近づかないように、ミキから言っといてもらおう」

 そう言って、リサは再びスマホでLINEを送るのだった。
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“私立探偵 愛原学” 「帰宅路の夕食」

2024-12-21 21:55:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日16時49分 天候:晴 東京都港区新橋 JR新橋駅・横須賀線ホーム→横須賀線1515F電車・11号車内]

 打ち合わせはとても長引いた。
 それはおよそ3時間弱ほどであったが、善場係長の元に所属の省庁から連絡があり、安全の為、BSAAが完全に撤収するまで待機せよとの指示もあった。
 日本政府からの撤収要請にBSAAは応じた形になるが、本来、国連ではBSAAの活動は当該国の政府によって制限されてはいけないというルールがある為、日本政府はそれに反したことになる。
 ただ、日本は、『条件付きで批准しており、全面的な活動を認めているわけではない』と言い訳した。
 政府としてもその機関の職員の出先を『裏切者』呼ばわりされた上、左傾化しつつある政権としては、軍隊同然の国連機関が好き勝手にやるのは迷惑だということだろう。
 そしてようやくゴーサインが出たのが、16時過ぎということである。
 一応、アプリは再イントールして、リサのGPSもONにすることにした。
 そして、今後の事を話した後、ようやく解散となったわけである。
 善場係長はタクシーで帰っても良いと仰ってくれたが、電車で帰ることにした。
 まずは、新橋駅から横須賀線に乗ることにする。

〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、2番線の電車は、16時49分発、快速、上総一ノ宮行きです。この電車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 リサ「明日、学校に行っていいって」
 愛原「良かったな」

 結局、東京中央学園上野高校からは爆発物は見つからず、また同学校法人の他の学校でもそれらしき物は見つからなかったことから、愉快犯による犯行ということになった。

〔まもなく、2番線に、快速、上総一ノ宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この電車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 品川方向のトンネルから、轟音と共に強い風が吹いてくる。
 15両編成の電車が入って来るのだから当然か。
 ここは先頭車が止まる位置だからそんなに風の影響は受けないはずだが、リサの髪や黒いスカートが揺れている。
 やってきたのは、新型車両の方。
 何だかんだ言って、旧型車両の方は台数を減らしているらしい。

〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、東京に、停車します〕

 

 夕方のラッシュが始まる直前ということもあり、電車にはそこそこの乗客が乗っていた。
 さすがに着席はできなかったが、それでもドアの所に立つことはできた。
 すぐに発車メロディが鳴る。

〔2番線の、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 ドアチャイムが鳴り、ドアが閉まる。
 新橋駅の横須賀線ホームにはホームドアが無い為、車両のドアが閉まり切るとすぐに発車する。

〔次は東京、東京。お出口は、左側です。新幹線、中央線、山手線、京浜東北線、上野東京ライン、京葉線と、地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです〕

 愛原「明日は俺も一緒に学校に行くよ」
 リサ「ホント!?」
 愛原「臨時のPTA総会があるからな。学校の方も色々あったみたいだし……」
 リサ「う、うん。そうだねぇ……」

 リサの暴走に始まり、極めつけは今日の爆発物脅迫騒ぎか。
 明日は土曜日で、授業は午前中に終わり、午後にPTAの臨時総会が行われるとのことだった。
 だが、私は会長として、先生達と先に色々と話をしなければならないと思い、リサと一緒に登校することにした次第。

 愛原「交通費の精算とか、しないとな……」
 パール「私がやっておきますよ」
 愛原「そうか?」
 パール「精算書を作成すれば宜しいのですね?」
 愛原「そう!」
 パール「かしこまりました。私が作成しますので、後ほど確認だけお願い致します」
 愛原「分かった。悪いね」

[同日17時03分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→テルミナ3]

 東京駅で大勢の乗客が降り、席が空いたので、そこに腰かける。
 といっても普通車では、通勤電車同様のロングシートなので、大したことではない。
 ただ、旧型車両と比べれば1人分の幅はやや広められており、クッションも柔らかくなっている。
 新橋発車時よりも多くの乗客を乗せた電車は、再び地下トンネルを走行する。
 そして、ようやく地上に出た頃に、下車駅の錦糸町駅に到着した。

 

〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、新小岩に、停車します〕

 ここもまた、乗降客の多い駅である。
 ここで電車を降り、南口の改札口に向かった。

 愛原「約束通り、夕食は焼肉食べ放題にしよう」
 リサ「わぁー!」
 愛原「その前に、パールの一服タイムだがな」
 パール「申し訳ございません……」

 南口の広場には、喫煙所もあるので。
 これから夕食を取りに行く店は完全禁煙だし、建物にも喫煙所は無い為。

 愛原「同じ墨田区だからか、ここまで来ると帰って来た気になるねぇ……」
 リサ「ホントだねぇ……」

 あまり都心に出たくなくて、大きな買い物や食事をしたい場合は錦糸町駅前が便利なので。
 こうやって駅ビルもあるし、ヨドバシカメラもある。
 パールの一服を待ってから、店に向かった。

 客引き「居酒屋どうっスか?」
 愛原「いや、結構」

 繁華街だからか、居酒屋などの客引きもたまにいる。
 今は条例が厳しいので、興味の無い者に、客引きもしつこく食い下がってはこない。
 そして、ようやくテルミナ3に到着した。
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“私立探偵 愛原学” 「場所を映してミーティング」

2024-12-20 20:31:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日11時30分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所・地下→JR新橋駅→喫茶室ルノアール]

 善場係長はまだ固定電話でどこへ電話した。
 それが終わると……。

 善場「それでは、参りましょう」
 愛原「あ、はい」

 私達は善場係長について、地下通路の奥へと進んだ。
 奥の方は照明が少なく、とても薄暗い所がある。
 しかし、時折聞こえてくる電車の音が段々と大きくなった。

 愛原「これは地下鉄?」
 善場「いえ、横須賀線です」

 地下鉄に限らず、この辺りはJR横須賀線も地下トンネルを走行している。
 途中には鉄扉が何枚があったが、そのうち係長は、『J』と書かれたドア開けた。
 その先には通路が続いていたが、先ほどの通路よりも明るい。

 愛原「ここは……?」

 すると、天井のスピーカーから……。

〔ピーン♪ポーン♪パーン♪ポーン♪ いつもJR東日本、新橋駅をご利用くださいまして、ありがとうございます。JR東日本より、お知らせ致します。……〕

 愛原「ここはもしかして、JRの職員用通路!?」
 善場「そんな所です。その壁の向こうはホームですよ」
 愛原「こんな所に隠し通路があったなんて……」
 善場「もちろん、他言無用ですよ」
 愛原「も、もちろんです!お前達も分かってるな!?」
 リサ「え?」(←タイムライン送信直前)
 パール「え?」(←インスタ投稿直前)
 愛原「コラ、お前ら!」
 善場「いけませんねぇ……」
 愛原「す、すいません!よく言って聞かせますんで!」
 パール「善場係長。もしかして、首都高速に出られる扉なんてのもあったりしますか?」
 善場「ご想像にお任せします」
 パール「かしこまりました」

 通路の先へ行くともう1つ鉄扉があり、それを開けると改札外コンコースに出た。
 ドアの外側には、『関係者以外立入禁止』の表示がしてあった。
 一瞬だが、日常に戻ったような気がする。

 愛原「ここから電車で移動するのですか?」
 善場「いいえ。すぐそこです」

 駅の外に出る。

 リサ「うわっ!BSAAのヘリコプターだ!」

 またもや、デイライトの事務所のビルがある辺り上空にホバリングし、そこからBSAAの隊員がロープを使って降下しているのが見えた。

 愛原「他の職員さん達は大丈夫なのですか?」
 善場「大丈夫です。BSAAも抵抗さえしなければ、普通に拘束するだけですし、今、政府も動くところです。政治的圧力により、まもなくBSAAは動きを止めることになるでしょう。それまでの間、我々は打ち合わせを進めましょう」

 そして移動したのは、駅前の喫茶店。
 貸会議室も併設された店舗で、係長は首尾よくその部屋を押さえていた。
 それとも、これも政治の力なのだろうか?」

 善場「まもなくお昼ですし、昼食を取りながらでもお話ししましょう」
 リサ「やったー!」
 愛原「そんな、いいんですか?」
 善場「構いませんよ。所長とは報酬の話もしたいですし」
 愛原「宜しくお願い致します!」

 貸会議室に入ると、まず係長は窓のブラインドを下ろした。
 それで、外から見えないようにしたわけである。

 善場「先に注文しちゃいましょう」

 フードメニューは主にサンドイッチが多い。
 リサは1番肉の多そうなチキン系を希望し、パールはトーストと玉子、私と善場係長はミックスサンドイッチを希望した。
 ドリンクはリサ以外、コーヒー。
 リサだけオレンジジュース。
 何だか、サンドイッチも久しぶりだ。

 パール「その前に、一服行ってきて宜しいですか?」
 愛原「いいよ。私も、ちょっとお手洗いに行ってきます」
 善場「どうぞどうぞ」

 なのでミーティング開始は、注文した物が来てからということになった。

[同日12時30分 天候:晴 喫茶室ルノアール新橋汐留口駅前店・貸会議室]

 あれから1時間ほど経ったが、BSAAがこちらに気づいて乗り込んでくる様子は無い。
 善場係長の話を聞けば聞くほど、真偽不明の情報が多々出ていたことが分かった。
 まず、私達が探索した斉藤家の隠し別荘は、静岡県だけではないということだ。
 善場係長は熱海の隠し別荘に行ったし、別の探偵業者は千葉県南房総の隠し別荘に行ったそうだ。
 しかし、そこは罠が仕掛けられており、探索者に死傷者が出たという。
 BSAAはBSAAで、独自に何がしかの施設を探索しており、そこで偽情報を掴んで踊らされているのだろうとのことだった。
 それがどういった内容なのか確認したくても、『悪魔に魂を売った組織に見せる情報は無い!』の一点張りだそう。
 埒が明かないので、公安調査庁や上部組織の法務省にも動いてもらって、対策をしているところとのこと。

 愛原「本当にBSAAは大丈夫なんですか?」
 善場「大丈夫ですよ」
 リサ「“青いアンブレラ”の方がマシだなんて?」
 善場「そんなことはありません!」
 愛原「リサ」
 リサ「はぁーい……」
 善場「それより、今度は愛原所長方の動きについて教えて頂けないでしょうか?」
 愛原「はい」

 私は報告書を善場係長のノートPCに送信していた。
 それを見ながら話を進めた。
 やはり係長の関心事は、埼玉の斉藤家での探索だった。

 愛原「リサ、例のカードを」
 リサ「はい」

 リサは『アンブレラのプラチナカード』を取り出した。

 愛原「斉藤家の書斎にて、それまでのゴールドカードがアップデートされたものです。映像の斉藤元社長曰く、『今後はゴールドカードでは開かない扉が出てくる』とのこと」
 リサ「ゴールドカードは金庫に食べられちゃった」
 善場「……かしこまりました。それでは、このカードは一時お預かりします。中に、どんなデータが入っているか解析したいので」
 愛原「分かりました」

 ゴールドカードの時もそうだ。
 本物のカードはリサに返されたので、恐らくゴールドカードは複製に成功したのだろう。

 リサ「ゴールドカードとは色違いだよ」
 善場「そうですね。白金に輝いています」
 愛原「すると、どこかにブラックカードがあるのかもしれませんね?アメックスみたいに」
 善場「そうかもしれません。確かに、アメリカン・エキスプレスをイメージしたものなのでしょうね。実際、アメリカのアンブレラ本体では、このカードキーにクレジットの機能を併せた物もあったそうですから」
 愛原「へえ……」

 ただ、アメックスのプラチナカードがメタル製なのに対し、リサが手に入れたのは、そのままプラスチックのカードであった。
 また、表記を見るに、クレカの機能は無さそうだった。
 それから、斉藤元社長の映像についての話になった。
 斉藤社長はどこかの部屋のソファに座って話をしていたのだが、違和感があった。

 愛原「窓には光が差し込んでいたんですが、光が揺れていたんですよ」
 善場「それはどういうことですか?」
 愛原「微かに、列車が通過する音がしたんです。それに合わせて、窓から入って来る光が動いたので、斉藤社長は鉄道の線路の近くの部屋で撮影したのかもしれません」

 そして、撮影を終えた後ですぐに移動したのだろう。
 残念ながら、映像を録画していたわけではないので、全て記憶に頼っている状態だ。
 それから今回の件での報酬や、交通費や宿泊費などの掛かった費用などの精算法、それから今後の事について話を進めた。
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