市村正親さんの「市村座」を観てきました。とっても面白かった~
来年は古希だそうですが、とてもそうは思えないほど物凄くエネルギッシュなステージでいっぱい元気を貰って帰ってきました。
市村さんは私がミュージカルに嵌るきっかけを作ってくれたお方。劇団四季時代に「オペラ座の怪人」(勿論ファントムは市村さん、ラウルは山口祐一郎さん)を初めて観た時の衝撃たるや・・・終演後、腰が抜けたようになり席を立てないほどでした。凄い
の一言でした。
それからは四季が東京や横浜でやる舞台は欠かさず観るほどの四季ファンになりましたが、市村さん、山口さん、石丸さんと四季の黄金時代を築いた方々が辞めてしまってからは殆ど観に行かなくなってしまいました。
最近(といっても2年位前?)観たのが「アラジン」でこれは凄く面白かったですけど。
四季は宝塚や東宝と違ってスターシステムではなく作品至上主義。だから私が観に行ってる頃はダブルとかトリプル、又はそれ以上でキャスティングされてる中の誰がどの役をやるのかも当日までわかりませんでした。(最近は事前にわかるようになったらしいですけどね。)
だから出演する予定のキャストとして名前が載ってるにも拘わらず一度も出なくて変だな?と思ってたらいつの間にか退団してたり・・・ということもあり、あの人が出るからとチケットを買ったのにぃ~とガッカリしたことも度々ありました。
1幕では日生劇場の怪人のオークション場面から始まり、市村さんが日生で出演した数々の舞台と共にその時々の思い出を歌い継いでいくといった展開でした。
四季で不遇だった頃の辛かった思い出やライバル鹿賀丈史さんへの嫉妬、エビータで準主役になり曲数も増えてミュージカル俳優冥利に尽きると喜んだもののとても大変で、それ迄羨んでいた鹿賀さんの苦労が分かり尊敬するようになったこと、四季を辞めてからも色々な舞台で活躍しているけれど四季にいた時間は決して無駄ではなかった・・・という様なことを自分が出演した作品の替え歌にしながら面白可笑しく聞かせてくれました。
ビックリしたのは、四季のジュリーとマスコミにもてはやされ「青い鳥」で主役に抜擢され調子に乗って受け狙いでアドリブを言ったりしてたら浅利さんにもうお前とは一緒に仕事をしない!とこっぴどく叱られたという話。この時にお前はステーキ(鹿賀丈史)の横のクレソンだ!と言われたんですって。市ちゃんは自分の気持ちを長い手紙に書いて浅利さんに会いに行き和解できたそうですが。
この時から演出家って何?俳優って何?と両者の関係について悩むことが多かったみたいです。
そしてファントムにキャスティングされていながら一度も出ることができなかった時に退団しようと決意したのだとか。
色々な確執があったのですね。
あんなに四季の為に貢献した人気も実力もある俳優さんたちに対してなんて酷い仕打ちだろうと悲しくなりました。
だからだんだんと私の心も四季から遠ざかってしまったのですが。
もう一つ面白かったのは日下武史さんから女優さんと芝居する時には目を見てするのがいいと教わった市ちゃん。それを実践して上手くいっていたのですが、越路吹雪さんのドラマティックリサイタルでエディット・ピアフ(越路さん)の恋人のテオを演じていた時、越路さんに、「ゾクゾクするから目を見ないで!」と拒否られたという話。越路さんは目を見つめられるのが嫌いだったそうです。
2幕では立体落語「芝浜」、オランピア劇場のイヴ・モンタン、俵星玄蕃。
最後は客席から大量におひねりが投げ込まれスタッフと可愛らしい市ちゃんジュニア達が集めてました。
市村さんの元気な姿が見られて嬉しかったです。お客さんの熱気も凄かったですね。いつまでも元気で活躍してくださいますように。
それにしても日生劇場って本当にいい劇場ですよね。一番好きな劇場かも。
綺麗で品があってロビーも広く椅子も沢山あるしトイレも使いやすい。客席は壁や天井がキラキラしてて深海の底にいるみたいでまさに非日常の空間。
いつか大好きなあの方にもここの舞台に立って戴きたいなあ