これが上田ワールドなのですね
評判通りの美しい舞台でした。
プロローグの星逢の場面、2階席からは光の点滅が素晴らしく綺麗に見えて背中がゾクゾクっとしましたよ。
暗闇に浮かぶ光の渦の中で踊る三人、寄り添い引き裂かれるそれぞれの運命が象徴的に描かれていて秀逸でした。
チギさん、だいもん、ゆうみちゃんの三人がとてもはまり役で素晴らしい演技でした。
子供時代の皆の可愛いこと!ゆうみちゃんの負けず嫌いで男勝りの女の子がとっても上手かった。だいもんの無邪気でお人好しの感じもキャラにピッタリ。チギさんは他の子よりもちょっと大人びててさすが殿様の子って雰囲気。
星を見るために建てた櫓の上で無邪気に遊んだり泣いたり喧嘩したり・・・
そんな楽しい子供時代に別れを告げ江戸へ。そこで紀之介は初めて自分のことを認めてくれた将軍吉宗の為に身を捧げる事決心をする。
享保の改革を推し進めようとする晴興と圧政に苦しむ農民たちのリーダー源太。
この立場の違いが悲劇を生むことに。
自分たちの窮状を何とか救って欲しいと直訴する源太。国を強くするためには小を捨て大を取ることはやむなしと考える晴興。
同じ星を見ていたはずの二人の心のすれ違いが切ない。
そして一揆の首謀者として裁きを受ける源太と真剣勝負する晴興。
二人が背中合わせになってニヤッと笑いあった後、源太は晴興の刀で絶命する。
このシーン、言葉を発していなくても二人の心が通い合った瞬間だと思いたい。
その後、夫の敵討をしようとするのだが果たせず泣き崩れる泉に言った晴興の一言。「私が愛したのはお前だけだ。」一緒に逃げてくれるか?と聞かれ絶句する泉だったが子供達の声で我に返る。
それに気づいた晴興は「お前はここで生きる。稲を育て子供を育て源太の菩提を弔いここで生きろ。」と。
ラストは櫓の上に子供時代の紀之助、源太、泉。渾天儀を持ち皆で星を眺めている。
私の涙腺はなんとか持ちこたえましたが、近くですすり泣きしてる人がいて危なかったです。
立場が変わると人はあんなにも冷徹になれるものなのかしら・・・と思えないことは無いのですが。
あの時代の武士と農民の身分差からいったら仕方ないのかもしれませんね。
源太一人を成敗して他の者はお咎め無し、その代わり自分がその罰を受ける、これが紀之介にできる精一杯のことだったのでしょう。
源太を斬る直前の二人の微笑にはそんな思いが通じあったのかな~と思わずにはいられません。
子供達・農民達はみんな生き生きしてて楽しそうでした。侍組では彩凪翔さんと月城かなとさんが際立ってカッコ良かったです。
ショーの「ラ・エスメラルダ」は何となく構成が「フェニックス」に似てるような気がしました。
勿論、全然違うんですけどね。こちらは「昭和」の香りプンプンで我々世代には懐かしい~曲も。
エメラルドの伝説とか。テンプターズですよ!今どきの子たちは知らないよね~
今日の席は2階の10列目上手だったので場末感を醸し出してると評判の「ラ・エスメラルダ」の看板のラが隠れて見えませんでした
それ以外は、舞台全体が見渡せて良かったです。勿論オペラグラスは必需品よ。
やっぱりショーでも、若手の彩風咲奈ちゃん、彩凪翔君、月城かなとさん、永久輝せあちゃんがかなり目立ってました。
お芝居が悲しい分、ショーでは皆弾けてキラキラ輝いて楽しかったです。