とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「日本美術の傑作」日比野秀男氏

2010-10-08 08:36:34 | 社会人大学
9回目の社会人大学は、常葉学園大学造形学部長「日比野秀男」の講演だった。講演の内容は、美術品を見るに当っての心構えをいろいろ話してくれた。美術品を見るにはよい作品を知ること、自分の目で見ること、目を養うことだという。今回は、スライドを見ながらいろいろな作品の見方を教わった。

日本の美術の傑作は仏像である。仏教が始まったのが今から2500年前のインドである。それが500年かかって中国に伝わり、さらに500年かかって日本に伝わったという。日本の仏像で一番古いものは1500年前のものであるということだ。

日比野氏によると、美術品はよい作品を知ると事だというが、よい作品の中でも特に好きなものを見つけるのがいいと言う。同じような作品でも、どこか違うところがありその違いを見つけることによって、自分は何処が好きかというのが見えてくるというのだ。また、前はここが好きだったが、今見てみると別の所が好きになるということがあってもいいと言う。それだけ、見ることに関心を持てば、目が養われ美術品が好きになってくるという訳である。

仏像の例で見ていくと、作られた年代によって、表情や体つきが変わっていることが面白い。飛鳥時代の仏像は、やせ細って不思議な微笑(アルカイックスマイル)を浮かべているが、天平時代では、肉付が良くなって着物の皺が刻まれている。鎌倉時代になると、かなり写実的になり、普通の人のような表情と姿かたちに作られている。このように一つの仏像をとっても、時代によって違いが判るのである。

たしかに細かいところに興味を持って見比べていくと違いが判って面白い。その中から、自分の好きな所が出てくるはずである。みんな、同じようにしか見えなかった仏像だが、そんなふうに視点を変えれば、好きになってしまうだろう。美術館に行ったら、新たな視点で見ていきたいと思う。

また、仏像を見るときは、下から仰ぎ見るのがいいという。大きな仏像もあるが、小さな仏像は下から見たほうがいいそうだ。これはいいことを聞いた。今度、奈良に行ったら興福寺に行くつもりである。夏目雅子似の目を持ちゴムゾーリを履いた阿修羅像を見るのが楽しみになってきた。