とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「CoCo壱番屋」ビーフカツ不正転売問題

2016-01-21 19:30:10 | ニュース
「CoCo壱番屋」のビーフカツの不正転売問題は、日本の食の安全性を根底からひっくり返すような事件だ。一部の社員の意図的な異物混入事件はあったが、流通過程において悪意を持った不正が行われたという事は、かつてないほどの重大で悪質だといえる事件である。製造業者、流通業者、小売店と流通するうえで不正が行われたとあっては、消費者としては確認するすべもない。

事件の発端は、「CoCo壱番屋」のビーフカツ製造過程でナイロンを主成分とする合成樹脂性の部品が混入した可能性があるため全ロットを廃棄することが決まった事による。廃棄は、廃棄物処理業者の「ダイコー」に委託する。「ダイコー」は一部だけ正規に廃棄したらしいが、残りの大半を小売業者に転売し、一般の小売ルートに乗せてしまったという訳だ。しかし、悪いことはいつかばれるものだ。「CoCo壱番屋」のパートの人が、たまたまスーパーで、廃棄されたはずのビーフカツを発見し、本部に通報する。その二日後には、「産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ」というリリースを発表し、対応は迅速だった。できるだけ早めに事態を公表し、安全でない食品を流通させないようにとった同社の対応は、賞賛に値するものだ。

ただ、産業廃棄物処理法においては、排出元が最後まで廃棄物の処理が行われたかどうかを確認する義務が規定されている。産業廃棄物は、業者に委託した時点で、排出元の責任がなくなったわけではないのだ。本来は、処理場まで見に行って処理が適正に行われたかを見届けることになっているわけだが、実際問題としては、全て確認することは無理だろう。やはり、善人説をとると、ある程度の確認がとれば、残りも大丈夫だと思ってしまう。そこに付け込んで、残りを不正転売ルートに回した廃棄物処理業者は悪質である。今後、「CoCo壱番屋」としては、不正転売できないような処理をしてから廃棄する対策をすでに考えているそうで、今後の管理体制の強化を期待したいところだ。

しかし、この問題はこれだけにはとどまらないだろう。産業廃棄物処理業者「ダイコー」は、今回見つかったビーフカツ以外にも、いろんな廃棄食品を横流ししていたことが発覚している。廃棄物処理よりも横流しで儲ける方が旨味があるということだろうが、横流しされた方も、知っていて買っていたらしい。まったく一度悪事に手を染めると抜け出せなくなるというのは、人間だれしも変わらないようだ。このような事件は、中国辺りでは良くありそうなことだと思っていたが、日本人も変わらないというのは残念なことだ。そして、もう一つショックだった事は、食品廃棄物が今回のように大量に廃棄されているという現実である。

日本は世界最大の食糧輸入国であり、食糧輸入額は世界全体の10%を占めているそうだ。食料自給率は、生産額ベースで70%、カロリーベースで39%とされ、自給自足できる国ではない。そんな日本で、こんなにも食品を廃棄しているというのは、決していい事ではない。安全でない食品ができてしまう事はやむを得ないが、大量に出ないようにする事や、有効に再利用出来るような手段を考えることが必要だと強く思い知らされた。