〈隠岐4日目〉―7月31日(最終日)
三々五々、隠岐を発ちます。私の便は15時ということで、午前中は川舟に乗りました。13人定員の小さな舟で湾を一周、川も巡りました。 川沿いの家々の裏に、小さな桟橋があるのが、この町ならでは。物資の輸送に船が何より重要な役割をしていたことがわかります。北前船の寄港地だったことで栄えたことなど、実感することいろいろでした。
舟をつけないとお詣りできない小さな祠 湾に舟が出ると、島の岩肌が間近に見えます。小さな洞がいくつも。
舟遊びも、夏の季語です。
ホテル近くの漁港から遊歩道を歩いて行くと、 こじんまりした海水浴場があります。ほんだわらや天草がすぐそこにゆれていて、透明度抜群のきれいな浜辺でした。泳いでいるのは、1家族と1カップルだけ。
さて、あとはホテルで飛行機までの時間をまったり。としていたら、海蛍を見に連れていってくださったり、隠岐の歴史をいろいろお話をしてくださった支配人がご挨拶に来てくださいました。そこでせっかくだからこの4日間で作った俳句を書いていきましょうということになり、そこにいた8人が、 こんな感じで。俳句はそれぞれのものですが、書は辻桃子です。主宰は書でも手島右卿賞を受賞を受賞したほどの腕前なので、俳句がぐんとひきたちます。しかも支配人までそこでいきなり「隠岐旅人」という俳号をつけ、一句作ったというおまけつき。嬉しい締めくくりでした。
やいとばな遠流の島に降り立ちて あぶみ
「やいとばな」は、「灸花」、へくそかづらのことです。初日に〈麻シャツや遠流の島に降り立ちて〉と作った句ですが、こうして土地に置いてくる場合は、その土地の人(送る相手)が喜んでいただけるような季語を使う。できるだけ花などの季語に置き換えてと主宰に言われ、「やいとばな」にしました。小さくて地味ですが、かわいい花です。花を逆さにすると、お灸をしたときの形から「灸(やいと)花」とも。実に匂いがあるため「屁糞葛」なんていうかわいそうな名がつけられていますが、支配人は隠岐の動植物にとても造詣の深い方でしたので。主宰の句も、句会では「夏潮」ではなく別の季語でした。(たぶん)二ヶ月後の「童子」では、もともとの方で発表されると思いますので、そのときにまたどんな季語だったかをお伝えします。(俳句をやっている方、興味のある方は、ここにどんな季語があったらいいか、よかったら考えてみてください。花ではありません) 待ちきれない方は、メールしてください。
今回の旅中、目についた花は、灸花のほかは、小鬼百合、合歓(ねむ)、かわら撫子など。