冬華さんが亡くなられて、もう何年経つでしょうか。
私が初めて「童子」の句会へ出かけたとき、火曜会の幹事をされていました。それからずっと私にとっては姉弟子のような存在で、妥協を許さず、厳しく、凜として・・・、こう書いただけでも、(ああ、生きていてほしかった)と思います。
何十年も病院に行ったことがないとおっしゃっていた冬華さんは、あっという間に向こうの世界へと行かれてしまったのです。
句集を開かなくても暗唱している句がいくつもあります。
厚物の針金に首あづけをる
春窮や抽斗何となく開けて
噴水に雌伏の時のありにけり
鎌研ぐや陰暦八月十五夜の
スポットライト人におくれて九月かな
みづからも歩みて蟻に曳かれゆく
過ぎてゆくものばかり見て花見舟
お雛様しまふやもとの開かずの間
八月の飲食に手をあはせたる
ちんちろりんちんもうこれがせいいつぱい 三上冬華
そういえば、冬華さんは今の時期になると、必ず栗の渋皮煮を作って句会に持っていらしたのでした。立派な栗だったなあ。一度真似をして作ったけれど、あまりの手間のかかりように、その後は断念。食べたいなあ。
*俳句仲間では、こうして亡くなられた方ばかりではなく、高齢になり続けることができなくなりました。ということでやめられる方もいらっしゃいます。そういう方の句集もあります。こっちも紹介しようかな。どうしようかな。