fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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句集『松前帰る』(三上冬華)-フランス堂

2015年09月25日 | 日記
       

 冬華さんが亡くなられて、もう何年経つでしょうか。
 私が初めて「童子」の句会へ出かけたとき、火曜会の幹事をされていました。それからずっと私にとっては姉弟子のような存在で、妥協を許さず、厳しく、凜として・・・、こう書いただけでも、(ああ、生きていてほしかった)と思います。
 何十年も病院に行ったことがないとおっしゃっていた冬華さんは、あっという間に向こうの世界へと行かれてしまったのです。
 
 句集を開かなくても暗唱している句がいくつもあります。

 厚物の針金に首あづけをる
 春窮や抽斗何となく開けて
 噴水に雌伏の時のありにけり
 鎌研ぐや陰暦八月十五夜の
 スポットライト人におくれて九月かな
 みづからも歩みて蟻に曳かれゆく
 過ぎてゆくものばかり見て花見舟
 お雛様しまふやもとの開かずの間
 八月の飲食に手をあはせたる
 ちんちろりんちんもうこれがせいいつぱい   三上冬華


 そういえば、冬華さんは今の時期になると、必ず栗の渋皮煮を作って句会に持っていらしたのでした。立派な栗だったなあ。一度真似をして作ったけれど、あまりの手間のかかりように、その後は断念。食べたいなあ。

 *俳句仲間では、こうして亡くなられた方ばかりではなく、高齢になり続けることができなくなりました。ということでやめられる方もいらっしゃいます。そういう方の句集もあります。こっちも紹介しようかな。どうしようかな。