ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

Galaxy Z fold 4 を買って思ったこと。これがスタンダードになると思う。

2023年06月08日 | モバイル・ウエアラブル

バンコクのハイテク市場でGalaxy Z fold 4 の中古があったので衝動買い。邦貨12万円ほどで程度はすごくいいので、まずまず良い買い物だと思う。

10日ほど使ってみて、これはいずれiPhoneから完全乗り換えしてもいいかなと思っている。Apple watch やApple Payの経済圏に組み込まれてしまっているのですぐには無理だけど。

そもそも中国の銀行口座からの直接引き落としでキャッシュレスをする方法がApplePay を経由してSUICAにチャージするしかないので仕方がなくiPhoneにした、という経緯がある。
これに関しては中国の銀行にお金があって日本に住んでいる日本人以外需要がない話なので聞き流してください。

開くとタブレットサイズで折りたたむことができる携帯電話、というのが理想だと思っていた。
確か前に書いていたよな、と思い探したら10年前に書いている。

7インチタブレットはいずれ携帯機器のスタンダードになる気がする

ここではレノボの7インチタブレットを使ってみて、これが電話になり折りたたんでポケットに入れば最高だ、それがこの先のスタンダードになるだろう、と書いた。
その後タブレットはIpad miniに買い替えたが、その時もずっと「なんでこれで電話ができず、ポケットに入るようにならないのか」と思っていた。

そもそも20年ほど前、PDA (ソニーのClie)を使っていた時になんでこれで電話ができないのか、と思っていた。で、結局そのあとiPhoneが登場しスマホが登場した。
タブレットがたためて電話ができるようになればいい、という直感も多分当たると思う。

今のところGalaxy Z fold 4 のスマホにおけるシェアは1%だが、ハイエンド市場では10%を越えてきている。
中国出張時にHuaweiの折りたたみを触ったが、Galaxy Z4 holdより薄く軽かった。こいつはGoogleが使えないので中国以外では大きな需要はないだろうが、非常にいい端末だと思った。
またGoogle Pixelの折りたたみも近日発売らしい。
どうもAppleは折りたたみには興味を持っていないようだが、もしiPhone Hold がでれば市場はあっという間にこの形がハイエンドのスタンダードになるのではないか、と思う。


AppleのVision Proで感じたメタバースの限界

2023年06月08日 | モバイル・ウエアラブル

ほぼ一年前に「メタバースは線香花火か」というエントリーを書いた。その後の一年間でメタバースに大きな進展があったようには思えない。
むしろ、社名をメタにかえたFACEBOOKがメタバース系事業で大いに苦戦をしている、というニュースが流れてきている。

しかし、まだ始まったばかりであり過度な期待による「幻滅期」に陥っているだけだという主張もある。

本当にそうだろうか?

私が子供の頃の未来予想では、21世紀には電話はすべてTV電話になるというのは鉄板の既定路線であり、おそらく誰もそれを疑っていなかったと思う。
しかしどうだろう。同じく言われていた「車が空を飛ぶ」は技術的・コスト的に不可能だが、TV電話に関してはソフト、ハード的には何ら問題なく、いや実際誰のスマホにもその機能が備わっているにもかかわらず普及していない。

むしろ、音声通話すら衰退し、コミュニケーションの主流はチャット等のテキストになっている。自分の時間を奪われる電話を好まない人が増え、それに配慮する人が増えているということだろう。
電話はTV電話に進化せず、逆に(即時性がある)手紙に退化したともいえる。

ここで注目するべきことは、電話がTV電話にならなかったのは決してハード的な制約からではなく、利用者のニーズによるものだということ。

それを考えると、TV電話よりさらに「濃い」コミュニケーションとなるメタバースに人々ははたして惹かれるのか、はなはだ疑問だとしか言いようがない。

特にメタバースでは知人友人とのリアルなコミュニケーションのほかに不特定多数とのコミュニケーションが言われているが、その需要ってそんなにあるのか?
現実世界の面倒な人間関係を趣味の世界にまで持ち込みたくないという人は多いだろう。だいたい日本人でパーティー等に参加し積極的に参加者に話しかける人がどれだけいるか。
アバターなら気軽にできるという見方もあるけど、そもそもそんなことはしたくないということなら現実もアバターも関係ない。

なんて考えていたら、Appleが2023の世界デペロッパーカンファレンスでVision Proというヘッドセットを発表した。
ここで注目するべきは、Appleは一言もメタバースという言葉を使っていないということ。実際このヘッドセットはVRではなくARヘッドセットで、仮想現実の世界に入るというよりは既存のiPhoneやMacの映像デバイスを拡張した、という位置づけになっている。

これは流行るかどうかはわからないが、すくなくともアップルはVR(メタバース)の方向にはいかない、ということは明らかになったと思う。


Apple CarPlayの使えなさ

2022年10月16日 | モバイル・ウエアラブル

スマホと車両を連動させる仕組みがもう7-8年ほど前から出現している。iPhoneであればCarPlay、AndroidであればAndroid Auto.
これが出現した当時、「カーメーカーはシステムをGoogle/Appleに乗っ取られる」というような勘違いコメントが主にIT系ライターによって語られて爆笑していたのだが、当然そんなことは起きていない。

当ブログ過去記事 2015年5月

そもそもCarPlay、Android Autoはスマホを運転中にいじるのは危険だからアプリ機能を制限したうえで車両のモニターに表示する、というものであって、何かができるようになる仕組みではなく、何かをさせなくするもの。それが全く理解されていなかったようだ。さらにいえば、車と連動といってもエンターテイメント系だけのことで車両操作系へのアクセス(CAN通信)はカーメーカーが一切許可していないので、乗っ取られることはありえない。

さて、そのCarPlayはじっさい使ってどうなのか?
筆者はiPhoneに買い替え、所有車がCarPlay対応なのでここ数カ月使った感想を書いてみる。

先ずなんといってもUIが悪い。筆者の車は液晶がタッチパネルではないので車両のダイヤルやボタンで操作するが、車両のダイヤルは車両のナビを前提に作られてるからCarplayアプリの操作はまどろっこしい
ナビ画面の拡大縮小は運転中にはとてもできない。
ナビに関してはCarPlayはAppleなのでデフォルトがAppleのマップ、ナビ。HeySiriで音声操作ができるけど検索や地図がいまいち。よってGoogleやYahooのマップ、ナビを使うことになるが、AppleナビならHeySiriで音声で拡大縮小できるけど、Googleではできない。

やはりUIに関しては純正車載ナビのほうが圧倒的に使いやすい。

ナビ以外も各種Appが使えるけど、基本的にまともに使える(使う)のは音楽Appくらい。それとてApple系に最適化されていてAmazon Musicでは運転操作阻害の観点からか画面からの検索はできず、結局スマホ画面から操作が必要。(これじゃもっとあぶない)

また、車載器のCarPlay と頻繁にアップデートするIOSの相性もカーメーカー側では徹底的には検証されていないと思われよくバグる。バグったらリスタート必要など、走行中にはもう打つ手がない。SA等駐車場に止めて対応する必要がある。これは致命的。コンビニなどに寄ったときにスマホの接続は解除しなくてはならず(スマホ決済なので)、再接続でバグることも多い。

また、これは私の車だけかもしれないが、CarPlayを接続すると車両のヘッドユニットがCarPlayを外部機器として認識するので車両に挿してるメモリーカードの楽曲再生やTVチューナーの起動ができない。

車両の純正ナビに比べればリアルタイム地図更新および渋滞を加味した経路誘導の面でGoogleナビのほうが優れていると思うが、やはりCarPlayでの使い勝手の悪さは何ともしがたいものがある。
結局Googleナビを使うときはスマホをつながずそのまま架台にひっかけて使う、ということになる。

ということで過大な期待とともに登場したCarPlayだけど、この先なにかブレイクスルーがあるとも思えません。


メタバースは線香花火か

2022年06月05日 | モバイル・ウエアラブル

メタバースがバズワードになって一年くらいたつけど、私はどうにもこのブーム(?)に懐疑的。

メタバースとは、コンピューターネットワーク上での仮想空間、特にVRヘッドセットをつけて入り込む3次元のバーチャル空間。VR3次元でないものはもう15年以上前から存在し、「セカンドライフ」なんて懐かしいものもあるし、アバターになって他者とコミュニケーションする世界はMMOゲームが既に存在する。

メタバースと、それら既存のサービスとの違いは「VRヘッドセットを使う」ことと、「おおむね2021年以降に参入してきたものである」ということくらいだろうか。

なので概念としては全く新しいものではないのに、メディアではなにか革命的なもののように取り扱われている。

ここで、メタバース+流行らない 等のワードで検索をかけるとそれを必死に否定するブログが結構見つかる。
面白いことにどのブログをみても「フェースブックが社名をメタにした」「大手企業が続々参入している」とまるでテンプレートを使っているかのように反論が同じで、なおかつ仮想通貨などの自身のアフィリエイトへのリンクがお約束のように張り巡らされていること。

実は、これが線香花火臭を発散させているのだ。情報商材屋やオンラインサロンのような、儲け話に群がる連中がさっそく目をつけている。
仮想通貨が良い例で、メタバース空間では仮想通貨しか使えないからこの先爆上がりするとか、今のうちにもっておくべし、等の言説もでている。
まあこうした勧誘ならまだいいが、この先詐欺まがいの物も出てくる可能性がある。
結果、焼け野原のようになってしまうだろう。

そうはいってもメタバースそれ自身に将来性があるのなら、こうした立ち上がり時の混乱は時間がたてば収まるだろう。
しかし私にはそうも思えない。

メタバース否定論者は「セカンドライフ」も成功しなかっただろう、といい、推進派はそれはハードの限界があったからで、10年でコンピューター処理速度、通信速度は飛躍的に向上した、という。
「セカンドライフ」をやってみて数回ログインして飽きてしまった私は前者の立場だ。当時でもさほどストレスのない仮想空間だったし、アバターとなってコミュニケーションしたり買い物やビジネスしたりできた。本質的にはメタバース=セカンドライフといって間違いない。
私がすぐ飽きた理由はハード性能が貧弱だったからではない。キラーコンテンツが見当たらなかったから、としか言いようがない。
メタバースも大手企業が参入してビジネスチャンスを窺っているようだけど、それって消費者(参加者?住民?)にとってはキラーコンテンツではない。人は買い物だけに生きているわけじゃない。売り手目線でしか語られてないと感じる。

ショッピング以外のコンテンツはどうか。よく他者とのコミュニケーションがあげられるが、本当にそんなことしたいのか?と思う。仮想の世界にまで面倒な人間関係を持ち込みたいとは、私は全く思わない。(これは人それぞれだろうけど)

ということで、VR にしてもMMO型のコミュニケーション可能な仮想空間にしても、それ専用に企画されたゲームコンテンツが存在し、一定のユーザーを獲得している。
それの発展形としてVRゴーグルを使ったよりリアルな商品をメタバースと呼ぶならそれは正常進化としてまったく有りな話だし、教育等の局所的な場面でのVRは有効だと思うけど、メタバースそれ自身に社会を変革する何かがある、ということではないだろう。


バルミューダフォン値下げ

2022年04月08日 | モバイル・ウエアラブル

いろいろ話題をふりまいてくれたバルミューダフォンですが、3月初めに25%を越える値下げを発表しました。
これは何を意味するのでしょうか?

商品はその総利益が最も大きくなる価格を設定します。総利益は数量x利益で、当たり前の話ですが価格は安い方が数量は出る、ということなので総利益が最大となるようにうまいところでバランスをとって価格は設定されるものです。

おそらくバルミューダフォンの最初の定価10万円+もそうやって決められたんでしょう。一部の人はバルミューダのブランドバリューがあるから高めの価格設定をしたのだろう、といっていますが、多分違います。バルミューダは30億円の開発費をかけた、という話がありました。
それを製品コストに上乗せして回収するためには、10万台販売するとして一台あたり3万円。ハードウェアのコストよりこの開発費の割り掛けのほうが高いのではないでしょうか。

こうした開発コストの割り掛けが大きく乗っかってる商品は、販売が計画を下回ると非常に面倒なことになります。開発費を回収できず、損費を計上しなければならなくなります。

そうした事態に陥ると、まず考えることは「利益は吐き出してもいいから開発費だけは何とか回収しよう」ということでの値下げです。
今回の値下げはそうしたことかもしれません。

さて、ここで一つ考えなければならないことがあります。

バルミューダフォンはすでに27億円を売り上げており、それは実は計画を上回っている、ということです。
あれだけボロカスにいわれている商品が実は販売好調?
いや。そうではありません。この売り上げはソフトバンクへの初期分の卸売り(おそらくは3万台程度)で、消費者への実売ではありません。

もしこの初期ロットが多少計画を下回ったとしてもそれなりにさばけているとしたら値下げなんてするバカはいません。在庫を抱えて相当困っている、と見るべきでしょう。
しかし、定価10万+だったのでソフトバンクはおそらくその8掛け程度で仕入れているのではないでしょうか。スマホ業界の価格建てをしらないのでこれは想像です。
まあ、多少の差はあったとしても、25%定価がさがってしまったら赤字販売を余儀なくされます。通常そんなことは受け入れられるはずがありません。
おそらくはバルミューダからソフトバンクに対して何らかの補償が出ているのでしょう。

しかしバルミューダさんの苦労はこれで終わらないでしょう。
なぜなら、あのスマホは7万円台でもまだ値ごろを外しているからです。10万でも7万でも売れ行きはあんまりかわらないのではないかとおもいます。

おそらく売れ行きを向上させるための値ごろ感は2-3万円ってところではないでしょうか。
好みは人それぞれですが、私個人はあのスマホ、ただでくれるといっても10万円出してiPhone買うほうを選びます。

寺尾社長はバルミューダフォンが発表されて酷評をうけたことに心底驚き、しばらく落ち込んでいたらしいですが、この商品が本当に売れると思っていたとしたら絶望的にセンスがないし、センスというのは先天的なものなのでもうこの先しばらくはトースターに専念したほうが良いのでは、と思いますね。


日本のキャッシュレス、スイカが実は足かせなんじゃないか

2022年04月07日 | モバイル・ウエアラブル

新500円玉が自動販売機で使えない問題というのが発生しているようです。対応するのに費用が掛かるし、それ以前に半導体不足で対応ができないということで結構な自販機が新500円玉使えません、状態のようです。

そうはいっても最近の飲料自販機はたいていスイカなどの交通系キャッシュレス決済機能(以下、Felica)がついていて、この先2024年には新札もでるしいっそ自販機なんかはFelicaだけにしちゃえばいい、という議論もあるかと思います。

日本におけるキャッシュレス決済はFelicaが先行しました。この手の「近距離無線通信」は入門証カード等で一般的で、NFCと呼ばれて世界中で使われています。
FelicaはNFCの一種ですが、日本独自規格で実は日本と香港でしか使われていません。一般的なNFCより高速で信頼性が高いのが特徴です。
実際私も上海では交通カードという一般的なNFCのカードを使っていましたが、読み取り速度、精度ともスイカより劣るものでした。
しかし、日本独自ということが足かせにもなっています。この手の技術で先行するけど、主にコストの問題で世界スタンダードにならない、ってのは日本のお家芸ですね。

でも、ここでお話ししたいのはFelicaがグローバルスタンダードにならなかったということではありません。それはそれで残念なんですが、NFCには限界があるんです。

日本でもQRコード決済が普及してきましたが、中国ではAlipayとWechatpayの2つのQRコード決済が主流です。
これに対して、Felicaのほうが「手軽、早い、セキュリティに勝る」のですぐれている、ということを言う人がいますが、そんな単純なことではありません。

中国のQRコード決済は商店での会計に加え、通販決済、公共料金支払い、自転車、モバイルバッテリ、マッサージ機等のシェア、自動販売機、タクシーの配車から支払い、レストランの予約、注文から支払い、高速道路支払い、駐車場、出前の支払い、友人同士の割り勘等、ほぼ生活のすべてをカバーしてます。完全に「エコシステム」が構築されており、レジでの決済はその中のごく一部に過ぎないのです。
この環境は経験しないとわからないと思います。レジでの支払いだけを切り取ってキャッシュレスを語ってもあまり意味がありません。

Felicaに限らず、NFCの場合はリーダーが必要になります。基本的にはリーダーが設置された設備での支払いにしか使えません。拡張性がないんです。一方QRコードは表示するだけでいい。中国では物乞いがQRコードを表示している、と話題になりましたが、そういうことなのです。

日本はFelicaが先に存在し、レジでの支払いに関しては早く便利だからQRコード決済が普及しない、したがって生活全般に拡張できない、という残念な状況になっています。


さらにQRコードもXXペイが乱立し、エコシステムどころではありません。店によって使える使えない、なんてのは論外です。
単なる顧客囲い込みだけを目的とし、生活のすべてをカバーするエコシステムを構築するというビジョンがないXXペイはさっさと市場から退出するべきでしょう。


バルミューダスマホ失敗に見るマーケティングの勘違い

2021年11月20日 | モバイル・ウエアラブル

一昨昨日発表されたバルミューダのスマート、まだ発売直後だけど大失敗であることは確定といっていいでしょう。

バルミューダは空調やトースター等、従来製品と差別化を図ったランクアップ家電品を企画販売するファブレスメーカーであり、スマホに参入ということで期待されていたが見事にがっかりな商品となってしまった。一体なんでこんなものを市場に出してしまったのかを考えてみよう。

まず、同社はデザインオリエンテッドだということとで、デザイン先行で企画が始まっていると思う。で、そのデザイナーがおそらくスマホという商品を十分に理解していなかったということがあげられるだろう。
このデザイン、誰がどう見たって「らくらくスマホ」か10年前の中華スマホにしか見えない。
デザイナーに与えられた命題は、今あるものから差別化せよ、ということだったんだろう。そこでまず思いついたのが直線を排するということと、ヒット商品のトースターのイメージ何だったんだと思う。
これは発表会でも「どこにも直線がない」と謳い文句にしていたが、はたしてスマホが直線であることが嫌だと思ってる人がどのくらいいるのだろうか?
さらには「河原に落ちている小石」のイメージだそうだが、これは水流で磨かれた曲面といいたいのだろうか、なんで落ちてる小石なんだ、としか言いようがない。

背面がカーブしているのが他社にない特徴ということだが、デザイナーは初代i-Phoneを見たことがないのだろうか?
i-Phoneがその次の世代で背面を平らにしたのは、机に置いた時にくるくる回って使いずらいからだろう。

さらに輪郭を曲線にすることでベゼルが太くなる。これはどう見たって古臭い。

あと、背面のインジェクション成型のプラスチックに打たれている皮シボ。これが高級感出しているというけど、私には安い大衆車のダッシュボードのイメージしかない。

スマホが普及し始めて10年、その間のマーケティングの結論が今のサイズだし縦横比だし形状なわけで、それを否定し商品性を出すには相当なブレイクスルーが必要なんだけど、どうしても差別化しろといわれてむりやり丸くしたとしか思えない。

ネットではスペックに対する価格がありえないといっている。これもそのとおりでスナドラ765、4.9インチ液晶、バッテリ2500mA、カメラに超広角、望遠なしで10万円はありえない。丸くすることで設計的に無理があったのと、販売想定数量が多くないので開発費などの償却がおおきくのっかってるんだろう。
これで本当にデザインがよければ、スペックは別にしても一種のアイコンとしての価値で高価格でも売れるかもしれないけど、バルミューダファンの人にとってもこのデザインはらくらくスマホにしかみえないだろう。

後発でニッチをねらうならバルミューダというブランドならではのUX(ユーザー体験)を提供しなければならないが、専用ソフトを見てもそれができているとは思えないし、それができる体制にはなっていないとおもう。

 

ではなんでこれが世に出てしまったのだろうか?

まず、市場調査結果の読み間違いというのがありそうだ。
今のスマホに対する不満点として、持ちにくいというのがでてきただろう。でも、では画面が小さくなっても持ちやすい方が良いですか?という聞き方をしてるだろうか?
また、おそらくスマホのデザインが画一的だ、という意見もかなりあるだろう。でも、だからといって10年前のスマホのようなデザインが良いという人はいない。

次に、よくある事例は途中で無理筋だと思っても投資をしてしまった以上撤退できない、というケース。いままでいくら投資をしたかと将来の成功には何の関係もないのだから、だめなものはあきらめなくてはいけない。サンクコストとか、コンコルド効果で検索するといろいろでてくる。

あとは、結局の決断は経営者にある。バルミューダの場合、寺尾社長がジーンズ、Tシャツの上にジャケットという「非常にわかりやすい」スタイルで新商品プレゼンをしているくらいだから、社長ご本人はこのデザインをスケッチ提案やモックアップの時点で承認し十分納得してこのデザインで進めたのだろう。
もしかしたらTOPに問題があったのかもしれない。はっきり言ってしまえば、トースターがまぐれあたりだったんじゃね?

後日追記 このデザインと商品コンセプトは100%寺尾社長ご自身の手によるものだそうです。TOPの問題ですね。

結局、スマホへの進出は無理だった、ということじゃないでしょうか。


日本の論調はほとんどトンチンカンなので中国のキャッシュレスと日本のキャッシュレスに関する考察をまとめておく

2019年07月11日 | モバイル・ウエアラブル

もう多くの人はご存知だと思うが、中国ではスマホQRコードによるキャッシュレスがこの数年で急成長しているわけで、ハイテクにからきし弱くやっとスマホを使い始めた日本の50代駐在員のおじさんたちもほとんどキャッシュレスマンになっている。多分日本にいたらコンビニでスイカも使わないような人たちなんだけどね。

これに対する日本のメディアや評論家、有識者の論調は判で押したように以下のポイントに集約されているんだけど、これがまあトンチンカン。

【よくある論調A】 中国でキャッシュレスが急速に発展したが日本では不要な理由

1.中国は偽札が多く、貨幣に対する信頼がないからキャッシュレスが急速に広まった。

2.中国はスリや強盗が多く、現金を持ち歩くのが危険

3.日本のようにコンビニにATMがなく、現金を引き出すのが不便

4.日本では以上のような不便がないからキャッシュレスは必要ない

正直なところ店舗決済に限れば利便性は現金にまさるものはないわけですよ。すべての商店で使えるし、お釣りはお店が計算して渡してくれる。
スマホを忘れても大丈夫だし、電波やバッテリーの心配もない。キャッシュレスは「財布忘れても大丈夫」だけど現金は「スマホ忘れても大丈夫」。どっちもどっちだ。

ではなぜ中国で急速に発展したのか?上記の1~3は、実は在住者の生活感からは全くピンとこないんですね。
確かに偽札は有るけど決して頻繁に遭遇するわけではないし、スリは確かに日本より多いけどそれも理由ではない。スリが怖いのは現金よりパスポートやカードでしょ。
ATMは町中なら銀行が沢山あるからむしろ日本より探しやすいかもね。違う銀行でおろしても手数料取られないし。

急速に発展した理由はまったく違う理由なんです。微信、支付宝という2つのキャッシュレス決済プラットフォームが通販決済、自転車、モバイルバッテリ、マッサージ等のシェア、自動販売機、タクシーの配車から支払い、レストランの予約、注文から支払い、高速道路支払い、駐車場、出前の支払い等、すべての生活の場面で利用できるから。
こればっかりはここで生活してみないとわからないでしょう。

はっきりいって店でのレジ支払いはその生活の中の一部分でしかないんです。おそらく、日本の論調はそれを実感として理解できていないし、XXPAYが乱立するのもそこがわかってないから。
乱立するXXPAYは間違いなくどれも発展せずに終わるし、便利どころか消費者にとっては面倒なものでしかない。ポイントカードと同じ感じだよね。あれ、ビックカメラはポイントカード持ってたっけ?ってなもんで。

【よくある論調B】 日本ではQRコードは普及しない、もしくはフェリカのほうが優れている

1.せっかちな日本人はスマホでソフトを立ち上げる手間を容認しない。まだレジで混乱する。

2.すでに交通カード系フェリカが先行しており、決済スピードやセキュリティはこの方が優れている。

まず、QRコードは手間がかかるというのは実はそうでもない。ホーム画面のショートカットから指紋認証であればあっという間。(実際中国人もかなりせっかちだよ)
レジでも混乱はある程度たてば問題なくなる。実際中国ではすでに確実に現金払いやカード(PINインプットとサイン)のほうが時間がかかる。但し、店によってアプリとその操作が違うんであれば確かにそのとおり。あれ、これはどこ押すんだっけ?ってなっちゃう。だから乱立XXPAYはだめなんです。

交通カード先行は確かに事実だし、決済スピードも速い。でも小売店への機器導入が進んでいないのも事実。交通系カード事業者が腹をくくって読み取りレジをばらまけば間違いなく日本はフェリカのキャッシュレス国になるけど、どうやら交通系の各社さんにはその気がないようで。(これ本気でやったら相当なビジネスチャンスだとおもうんだけどね)
さらに言えば、それをしたところでレジ支払い以外への拡張が期待できない。繰り返すけど、キャッシュレスはレジだけの問題ではないんです。

QRコードならパソコン画面から支払いできるが、フェリカはできない。シェア自転車全部にフェリカリーダーを付けることもできない。読み取り機器投資がある以上は完全な生活に溶け込むエコシステムの構築はできない。

中国のキャッシュレスは生活のすべての局面にシームレスに入り込んでいる、という視点がないとまるでトンチンカンな議論になっちゃう。


i-dioとエフ・エム東京の闇

2019年06月25日 | モバイル・ウエアラブル

V-Lowメディア「i-dio」といってもほとんどの人が知らないだろう。
テレビがアナログからデジタルに変わった後、総務省はアナログテレビが使っていた電波帯を様々な事業に振り分けた。
既に撤退してしまった携帯でみるテジタルTV「Nottv」もその一つ。

i-dioはエフ・エム東京が主たる事業者として2016年に開始されたデジタルラジオ放送だが、知名度がないどころか専用受信機すらまともに販売されておらず、主要チャンネルの一つだったアマネクチャンネルも4月に撤退したという悲惨な状況になっている。当然損失も相当なものだろう。

そのエフ・エム東京、5月の決算を前に「会計、内部統制上の問題があった」として決算報告を延期、第三者委員会を設置して状況を調査するという。また、会長、社長をふくむ役員6人が一斉に退任してしまった。

会計、内部統制上の問題が何であるかは明らかにされていないが、「過年度決算における連結対象範囲の判断など」と、どうやらこのi-dio事業が関係しているらしい。内部統制の問題+第三者委員会という場合、一般的に会計上の不正があったことを意味する。想像できるのは子会社であるi-dio事業の損失が適切に連結処理されていなかったということではないのだろうか。

i-dioはデジタルTV放送のNOTTVが撤退するという「絶妙」なタイミングでスタート。すでにインターネットラジオのRADIKOもあり、デジタルとはいえいまさら電波をつかった放送に誰もが首をかしげた。しかも専用の受信機が必要というハードル。既存のラジオやスマホで音楽が聴けるのにわざわざ専用チューナーを買ってまで聴きたくなるコンテンツを提供できるとは誰も思わないだろう。

この、アナログテレビの跡地の活用は総務省の管轄。当時関わっていたのは櫻井パパ。テレビに続いてラジオもデジタル化、というのは世界的にはそうなんだけど、すでにネットの普及でそれは意味をなさなくなっている。2016年の段階で無理だという判断ができなかったとしたら相当問題だ。

実際にはエフ・エム東京内部では反対論が大きかったようだ。(考えすぎかもしれないが、末尾にtをつけるだけで「愚か者」になってしまうi-dioというネーミング自体、無理だと思ってた担当者の抵抗なのかもしれない)
しかし、総務省の意向をうけてラジオのデジタル化を信じて突き進んだ経営陣がいたということらしい。
今回その経営陣が退陣するわけで、これはある意味撤退への布石かもしれない。

ただし、i-dioは地域別に異なった情報を流せるという特徴から自治体の防災ラジオとして採用されており、それが足かせになってしまう恐れもあり前途は多難だ。


i-dio amanekチャンネル放送休止

2019年05月16日 | モバイル・ウエアラブル

地デジ移行で空いた地上アナログテレビ周波数帯 (VHF-Low帯=99MHz~108MHz)を利用した新放送事業i-dio。VHF-High帯をつかって事業展開したNOTTVが撤退した2016年の時点でいまさら放送?お前バカ (idiot)なの?と言われるのをわかってて付けたような名前だけど、やはり相当に苦戦している。

地デジ移行の際には、アナログ周波数帯が空くのでそれを違うメディアに活用するというのが国の謳い文句だった。筆者には、NOTTVはドコモが、i-dioはFM東京がいやいや国策に協力したようにしか見えない。実際FM東京は最初から地方自治体の協力がなければ黒字化は難しいというコメントを出している。誰が考えてもうまくいくはずのないビジネスなのだ。

i-dio立ち上がりから放送されていた、災害時の車両誘導を目的としたamanekチャンネル。ホンダのテレマティクス、言い換えれば我が国のテレマティクスの第一人者であった今井氏が立ち上げたチャンネルであるが、さる4月21日をもって放送終了となった。今井氏の理念には敬服するが、事業化は厳しかった。

過去記事 V-Lowマルチメディア放送 i-dioとAmanek

i-dio自体、かなりきついはずだ。やはり単純に考えていまさら「放送」はあり得なかった、ということだろう。
また、地上アナログテレビ周波数帯については何一つ有効活用できていないということも国はどこかの時点できちんと説明する必要があるだろう。


huawei Matebook13 日本語化

2019年01月24日 | モバイル・ウエアラブル

2年前に出張用に日本で買ったダイナブックの安いノートパソコンがあまりに使えないので、「今なにかと話題の」Huawei製SSDノートMatebook13(中国国内版)を購入した。

メールとウェブブラウザ程度しか使わないから安いのでいいと思い購入したダイナブックは結局銭失いにしかならなかった。
ちょい乗りだからスポーツカーは要らない、軽自動車でというのは正しい選択だが、パソコンでは事情が違う。単にCPUの処理速度だけの問題ではなく、安いパソコンはメモリー容量やディスクへのアクセス速度などのパフォーマンスが劣るのですぐにヒープする。
クルマに例えれば、スポーツカーは高速道路を走れるが安い軽自動車は町中の酷く渋滞した道しか走れないのでそもそものエンジン性能すら発揮できない、ということになる。

ということで購入したのがHuawei Matebook13。まだ中国でも発売されたばかりの機種で日本未発売。
MacBookに似た名称からも分かる通り、SSD搭載のアルミボディ薄型のMacBook Air 真っ向対向商品。ただしデザインにパクリというほどの類似性はない。

アルミボディは高級感があり、ディスプレイもフレームが狭く13インチといっても筐体はコンパクト。重量は1.3キロほど。盤面右上に配置されたブートボタンは指紋認証付き。キーはストロークはないがタッチは良い。欲を言えばEnterをもう少し大きくしてほしかったが、それ以外ブラインドタッチには支障がない。タッチパッドの感度、使い勝手も良好。
入出力ポートはUSBタイプCが2つのみ。通常のタイプA用アダプターが付属するが、現時点ではたいていの機器に必要となるため常に持ち歩く必要があるだろう。HMDIやVGA端子もついたアダプターも別売されている。(270元程度。アメリカ仕様では同梱)
充電器はUSBタイプCでHuaweiスマホと共用できる。

私が購入したのはi5プロセッサー版の256GB独立グラボ付きモデル。上位にi7版、下位にi5のオンボードグラフィック版がある。
液晶は2K相当ということで、MacBook Airでいえば13インチ非Retinaディスプレイモデルに相当する。これはメモリー128GB、OFFICEソフトなしで税抜き98,800円に対してMatebookは256GB、OFFICE HOMEプレインストールで税込み5300元(85000円程度)。かなり割安。
なお、アメリカ仕様にはタッチ対応液晶が搭載されているようだ。

さて、届いてから予定外だったことはWindows10が家庭版という、システム言語が中国語に固定されていて変更できないOSだったということ。
まあ中文でも良いんだけど直感的に操作できないので日本語化した。
多分世の中で最初の日本語対応Matebook13だとおもう。

マイクロソフトのサイトからWindows国際版をダウンロードし、USB起動ディスクを作成しインストール。もともとの家庭版のプロダクトキーが有効になり特に認証操作なくインストール可能。これはしま氏のブロク「Xiaomi Mi Notebook Pro 日本語化手順」を参考にさせていただいた。
しかしMatebook特有のハードウェアのドライバーがないので、HuaweiのサイトからMatebook13用ドライバーをすべてダウンロードしインストール。このページの軟件下裁を全部インストール。ドライバーだけじゃなく、マネージメントソフト「Matebook管家」も入れたほうが便利。起動したら自動判定で日本語化されていた。
以上でディスプレイ解像度や指紋認証などの機能が正常化した。

ただ、プレインストールのOFFICE HOMEはなくなってしまった。同封の説明書などにもOFFICEのプロダクトキーは記載されておらず、多分復活は難しいかもしれない。
筆者は有料版をダイナブックにインストールしていたので、それの入れ替えということでダイナブックからアンインストール後プロダクトキーを引き継ぎダウンロード・インストールしたので、それ以上は突っ込んで調べていない。また、ウリ文句の一つであるHuaweiスマホとのNFC接続(Huawei Share)は使えていない。なにかソフトダウンロードで行けるのかもしれないがまだ確認できていない。

以上の感じで支障なく使えるようになった。日本語化には多少(とはいっても丸一日はかかる)の作業が必要だが、それを苦にしないのなら中国住在の方は購入の選択肢にいれて損はないパソコンだと思う。

私が思う、日本でキャッシュレスが進まない理由

2018年10月08日 | モバイル・ウエアラブル
海外、特に中国などのキャッシュレス決済普及に伴って、わが国でキャッシュレスが進まないことが話題になっている。その理由がいろいろ挙げられているが、どうも私にはピンとこない。
以下によく言われる理由とそれに対する反論を挙げてみる。

1.日本は偽札がなく現金の信頼性が高い。
これは多くのマスコミを含む日本人が誤解しているが、偽札が多い中国でもそれはキャッシュレス普及の理由ではない。また、特に偽札問題のない北欧などで普及がすすんでいることの説明になっていない。
2.ATMがどこにでもあり、現金で不便を感じない
キャッシュレスが急速に進んだ中国でも、都市部であればATMはどこにでもある。
3.日本はクレカの審査が緩くだれでもクレカを持っているので、新たなキャッシュレスプラットフォームの普及を妨げている。
これも中国の状況を説明できていない。中国では銀行口座を作れば誰でも銀行カード(デビットカード)を持つことができ、それはクレカのようにどこでも使える。その状況下でもQRコードスマホ決済が急速に普及した。
4.日本人はキャッシュレスは使い過ぎやセキュリティが心配と考える人が多い。
たしかにいま使っていない人に理由を聞けばたいていその手の回答が返ってくるだろう。しかし中国在住邦人はみなキャッシュレスを使っている。使い過ぎやセキュリティへの懸念は人種を問わずあるはずで、国民性の問題ではないと思う。

では、真の理由は何なのだろうか?私の考えでは以下の通り。

1.鉄道系Felicaが先行したこと
都市在住の勤め人は大抵の場合定期券と合体したFelicaを使っていて、それは主に交通カードとして使われている。鉄道系クレカをつくりオートチャージにするか、スマホと合体させる等の手間をかけない限り、現金をつかって機械でチャージする手間がかかる。改札通過時にチャージ不足だと面倒なので、オートチャージでない人は一般の買い物には積極的には使わないだろう。
結果、キオスクやコンビニ以外へのレジ導入があまり進んでいない。いや、全く進んでいないのならまだいいのだが、鉄道決済以外に中途半端に普及していることが新しいプラットフォームの参入を妨げている。

2.デビットカードが一般的でないこと
キャッシュレスは使い過ぎが心配というが、デビットカードであればその心配はない。残高がなければ使えない。
中国のスマホ決済は多くの場合デビットカードに紐付けがされており、利用額が銀行の普通預金口座からリアルタイムで引き落とされるため、チャージの必要がない。

3.エコシステムが確立していないこと
中国ではITの巨人テンセントとアリババがWechatPay,AliPayで張り合い、飲食店割引、通販、出前、タクシー、旅行、駐車場、各種シェアリング等様々な生活分野の決済に入り込み、さらにはポイントや優遇をつけて競い合っているため急速に発達した。
多くのキャッシュレスプラットフォームが市場を席捲することなく乱立している状況ではこうしたエコシステムが確立されない。結果、現金で特段の不便がない日本ではキャッシュレスの普及はないだろう。

i-dioの近況 インターネットでも聞けるようになりました、だって。

2018年03月03日 | モバイル・ウエアラブル
NoTTVの事業撤退の後という絶妙のタイミングで登場したアナログTV停波跡地VHF-Low帯を利用したデジタル放送サービス「i-dio」。
撤退は時間の問題という辛口の意見も有るようだが、状況はどうなのだろうか?
事業主体のFM東京にとっては重荷になってるのは事実のようで、昨年の決算書類にもi-dioの初期投資で利益が減少した、と書かれている。
しかし、こうしたコンテンツビジネスは初期投資時点で赤字であることは織り込み済みで、そこからどれだけサブスクライバーを増やしていくかが勝負になる。しかし、残念ながらとても普及しているとは思えない状況だ。
この事業を担当する㈱ジャパンマルチメディア放送は昨年7月にBIC株式会社から社名変更したが、同社HPのニュースリリースは17年6月30日の社名変更以降更新されていない。HPのニュースリリース更新状況でその事業の活気というものは大体想像できる。

しかし、i-dioも決して無策でいるわけではないようだ。
車載器向けにハイレゾ音源放送をするという。いわく、EVなど車内の静粛性が向上しており車載器向けにハイレゾ音源の需要が高まっているという。とても信じられない話だが。ごくごく一部のマニアのことだと思う。というか、それ以前にi-dioは普通の車載オーディオでは聴くことができない。専用チューナーボックス(約1万円)をつけてブルートゥースでカーオーディオから出力されるしかない。ハイレゾ音源以前の問題なのだ。
まあ、コンテンツがなければ誰も専用受信機をつくらないだろうから、ハイレゾ対応は局面打開策としては方向として間違っていないのだが、ハイレゾ音源ということだけではどうしようもないだろう。

さらにi-dioのHPで面白い記載を見つけた。スマホ用i-dioアプリのバージョンアップで「専用チューナーがなくても、インターネット経由で同一の放送サービスを利用することができます」とのこと。いったいどこに向かおうとしてるのだろうか。

有機ELは車載ディスプレイに向くのではないか

2018年01月30日 | モバイル・ウエアラブル
iPhoneXが想定より売れてないらしい。価格が高すぎるというのがもっとも一般的な分析のようだが、商品に本当に魅力があれば高くても売れる。それこそがApple製品だったはずで、やはりアンドロイドのハイエンド機と比べて圧倒的な商品力がないこと、デザイン的にAppleらしい強烈なインパクトがないことが原因だろう。
そんな中、iPhoneXはディスプレイに有機ELを採用したがそれが消費者に評価されなかった、という論調の記事を見たが、それは違うと思う。
そもそも一般ユーザーは液晶と有機ELの違いをよく分かっていないし、iPhoneXのディスプレイにしても有機ELだからこそ実現できたというようなデザインにはなっていない。

前述の記事は、「消費者は有機ELに付加価値を認めていない、よって液晶はまだまだ商機がある」というような結論になっていたが、本当にそうなのだろうか?

有機ELの特徴は画質(特に黒の表現)、視野角、薄くできる、ディスプレイを曲げることができる、省電力といったところだ。
画質のよさを売り物にした家庭用TVも登場しているが、かなり価格が高くこれはまだ趣味的なものだろう。
私は家庭用テレビの画質は2Kで十分だと思っている。TVは離れてみるものなので人間の目の性能が追い付かない。

視野角や省電力といったメリットも、液晶に対してさして大きなアドバンテージではないだろう。

私はポイントは造形の自由度だと思う。

iPhoneXにしてもGalaxyエッジのような(あれが実際良いかどうかは別として)有機ELならではの驚きのあるデザインにしていれば結果は違ったと思う。

そこで私が有機ELの可能性を感じるのが、車載ディスプレイだ。

センターディスプレイに大型17インチ液晶を採用したのはテスラが最初だと思う。これを見た時には正直違和感しかなかった。デザイン的に完全に破綻している。
最近ではプリウスのPHVが縦長大型液晶を搭載している。周辺パネルのデザインを工夫してはいるものの、これもやはり違和感がある。
現代の車のインテリアは微妙な三次曲面でデザインされていて、その中に巨大な平板をレイアウトすること自体デザイン的に無理なのだ。

しかし、有機ELなら違和感のないデザインが可能になる。
多分カーメーカーのデザイナーもそれは十分わかっていて、コストや耐久性などの問題がクリアできていないのだろう。

私はいずれ車載ディスプレイは車両デザインに調和する有機ELになると思うし、場合によってはこれが最大の需要先になるかもしれない。

ASUS TH102 (トランスブック ミニ) 

2018年01月16日 | モバイル・ウエアラブル
MacBook Airが壊れてしまった。サウンドボードのハードウェアトラブルのようで、音声出力が死亡。主に出張時の仕事用なのでそれは構わないのだが、サウンドボードに不良があるとビデオが画像を含めて再生できなくなり実用に耐えない。
一時帰国したので修理に出そうかとも思ったが、たまたま寄ったヤマダ電機でASUSのトランスブックT102Hをみて衝動買いしてしまった。

出張用ということなので性能よりも軽さが優先。そういう意味でキーボード付きで800gはありがたい。また展示品処分ということで税込み3万円台後半という価格も魅力だった。(4+64モデル)
形態的にはタブレットにキーボードがついた形でマイクロソフトのSURFACEと同じ。

実際にいまT102Hで入力をしているが、キーボードは問題ない。小さいのでミスタイプはあるが、キー自体のストロークがありストレスなく入力できる。ただキーボードは剛性がない樹脂製なので、打つたびに微妙に凹む感じが気持ち悪い。これは下にノートのようなものを置くだけでも随分打ちやすくなる。

CPUは非力なATOM。普段使いにはまったくお勧めできないが出先でのウェブ、メール、動画再生などの使用に関してはまあ実用範囲。
バッテリー駆動時間も問題なく、またMINIUSBの携帯充電器で充電可能なので出張時の荷物も減らせる。専用充電器を持っていくとしても携帯充電器と同じようなもので軽い。
通常サイズのUSBも1ポートだけだが装備されており、余計なアダプターは不要。またマイクロSD端子があり、2-3000円の32GBを増設HD代わりに挿しておけばストレージも十分だと思う。

オフィスモバイルがついているので出張先での業務も問題なくこなせる。
タブレットはタッチ対応でスタイラスも標準で付属するがヌルサクとは言えない。またタッチパッドはMacBookを経験してしまってるとやはり不満がある。マウスを使用したほうがストレスはない。
ログインは指紋認証が使えるものの、ノートPC的に使う場合は触りにくい場所となるのであまりありがたくはない。

ipadに純正キーボードカバーでも同じ使い勝手となるが、Appleにはさらに特化したより軽い商品を出してもらういたいと思う。

余談になるけど、最近はスマホが高性能化しているのでスマホを母艦にしてモバイル機器はスマホ接続のキーボード付きディスプレイという考え方もできるのではないか?それならもっと軽くなる。