ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

デルタ航空

2010年08月28日 | 雑記
先週、LAに出張に行っていた。
従来ノースウェストを使っていたが、ノースはデルタと統合したためデルタに変わっていた。

夏休みで非常に混んでいたせいか、行きも帰りもビジネスアップグレードをもらえたのは超ラッキーだったが、やはりアメリカの航空会社はなんというか。

日本からLAXまでの対応は不満ない。しかし、LAXからの帰りはひどかった。
まず、LAXのビジネスクラス用プライオリティカウンターでは男性係員が威圧的に自動チェックイン機を使えという。無償アップグレードの事前申請をしていた関係で有人カウンターに行きたかったので、無視して行こうとしたら、軍の入隊のような感じで叱られた。
これがプライオリティエリアでの出来事。しかも、有人カウンターは空いているんだよ。

で、機内ではビジネスの客室担当の男性パーサーは、私の手前でおしぼりが切れたらもう忘れちゃったのか持ってこない。飲み物の注文は、一度念押ししたにもかかわらず間違える。

食事は和食を選んだが、間違いなく今までの人生でワースト5に入るまずい食事だった。
最初に出された椎茸の煮物とガンモドキは、キンキンに冷たい状態でサーブされた。おそらく電子レンジで温めることになっていると思われるが、指示書を読んでいないのだろう。

メインの一品は最低。竹串にでかいズッキーニとマッシュルームが刺さっていて、何の味もついていない。それとやはり味の付いていない鳥の胸肉。これのどこが和食なのだろうか。
間違いなくエコノミーの機内食の方がまし。

飛行中はずっと、フライトアテンダント同士の私語がうるさい。

日航がスカイチームに入ってくれればよかったんだけどね。

高速道路料金見直し

2010年08月28日 | 高速道路
いままで政治のことは書かなかったけど、民主党の小沢立候補で民主党は確実に「詰み」でしょう。
勝って、国民の支持がほぼない内閣が長く続くわけがない。負ければ党は割れる。
調整役をした鳩山さんって人は将来展開とか、シナリオ分析とか、こういえば世論はこう反応するとかのセンスがないんだろうな。
だから自身の政権もああなったんだろうけど。
この人、モスクワで「私を首相にしてくれた人だから応援するのは当然」って発言したらしいけど、個人的な恩返しで国家問題である首相決定に口出ししたわけ?

まあ、それはそれとして。

民主党の国土交通部門会議は23日、国交省の2011年度予算の概算要求に関する提言で高速道路上限2000円は実質値上げだから見直せ、といったらしい。
具体的な金額などの提案はなかったということは単純に「国民から批判が出ちゃうことはやめろ」という事だろう。

党の専門部会の提言としては、まるでお粗末だ。
今後の建設や渋滞、予算などを総合的に勘案すれば現状の維持ベストとは思えない。いや、ベストなのかもしれないが、きっちりとした科学的な検証のもとでのベストを提示するべきだろう。

個人的には、あくまで直感としてだけど、上限2000円というのはむしろ少し安すぎるように感じる。一方で「早朝深夜」「通勤」「土日千円」「例外地域あり」といった割引の複雑さを改め、割引を一本化することも異論はない。

走り放題2000円と「東京から大井松田60km弱で1850円」を比較すると、近距離の割高感が非常に強くなる。2000円にするなら現在の通常料金は見直すべきだろう。

また、平日2000円上限となると、出張の鉄道からのシフトもかなり増大する可能性があるが、検討されているか?

こうした分析ってされているのだろうか?
この先高速道路料金をどうするのか、誰がキャスティングボードを握って議論をしているのだろうか。

携帯端末向け次世代放送なんて商売になるのか?

2010年08月23日 | モバイル・ウエアラブル
来年7月に終了する(予定の)アナログテレビ放送の周波数帯を活用した携帯端末向けの次世代放送、というのがある。
VHFの207.5MHz~222MHzの14.5MHz帯域が一社に割り当てられる。ここにNTTドコモやフジテレビジョン、日本テレビ、伊藤忠などが出資する「マルチメディア放送」と、KDDIと米クアルコムが出資する「メディアフロージャパン企画」が名乗りをあげている。
前者はISDB-Tmm規格、後者はクアルコムのMediaFLO規格。総務省は8月半ばにも決めるとしてきたが、17日の内定を見送り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に決定を委ね、近々に結論が出るらしい。

しかし、本当にこのビジネスは成立するのか?

携帯端末で映像コンテンツを楽しむ、というシチュエーションはいかなるものか。
家にいて携帯端末を見る必要はない。テレビもPCもある。つまりは、外出している時に観るものだろう。外出して、かつ他人とコミュニケーションをしていない時間が「対象となる市場」になる。
仕事中や友人と食事中に携帯画面でコンテンツを観る人はいない。

ということは、通勤時間や昼休み、待ち合わせの待ち時間などということになる。

はたして24時間中、これに該当する時間は人にもよるだろうが2-3時間というところか。
いずれにしてもマーケットは物理的に有限だ。

この「外出ヒマつぶし市場」には、さまざまなコンペティターが存在していてほぼ飽和市場だ、ということができる。伝統的な雑誌、新聞という紙メディア、携帯メール、携帯ゲーム機から、スマートフォンによるWEB閲覧、ツイッター、そしてワンセグTV、そして電子書籍も最近は市場に参入している。

もはや、楽園のような市場は存在しない。とくにiPhoneが出現してから、ヒマつぶし市場は激変している。

しかし、メディアでは
「無料のワンセグではビジネスモデルを構築できなかった反省から期待が集まっている」
という超楽観論ばかりだ。
無料ですらワンセグが言うほど見られていないのに、なぜ有料コンテンツがビジネスになるのか?
有望なキラーコンテンツのあてもないのに。

実際、米クアルコムはすでに07年から始めているMediaFLOの契約者数を発表していない。
こうしたコンテンツ購読ビジネスで契約者数を公表しない場合、ほぼ100%「ビジネスは不調」と見ていい。

広告代理店、携帯キャリア、放送局など多くのステークホルダーが関係しており、もはや勇気ある撤退なんて選択肢はとれないのだろう。

2社から1社を選定するというが、選定されないほうが幸せかもしれない。
このビジネスに勝算はないと思う。

誤報の伝言ゲーム

2010年08月18日 | 雑記
猪瀬直樹氏の日経BPの記事が面白い。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/inose/080401_35th/
築地市場の競争力が落ちて来て、仕入れ扱い量ではイオンなどの流通グループに負けるかもしれない、もしそうなった寿司屋もイオンから仕入れた方が安くなる、だから築地の競争力をあげなくてはいけないという論旨に対して、「猪瀬直樹は寿司屋はイオンから仕入れればいいといっている、中小卸売業者をないがしろにしていてけしからん」というようなとんでもない方向に話が伝播していく。

マスコミのレベルの低さも問題だけど、最後の部分にある「ゼロか100かの議論しか出来ない」人が多すぎる。

高速無料化に2兆円

2010年08月15日 | 高速道路
国交省の試算によれば、現在社会実験の対象となっている全国37路線50区間を恒久的に無料化する場合、必要な財源は2兆円程度に達するらしい。

政府は年間1200億円をこの無料化で計上した、と理解していたが、この2兆円という数字はこの先何年間の必要経費なのだろうか?その辺が不明確でよくわからない。
また、どういう意図で2兆円という数字を発表(なのか、リークなのか)したのだろうか?

唐突にでてきた2兆円という金額は決して小さくない。無料化にはこんなにコストがかかるんだぜ、と言いたいのか?
国交省が無料化をいう政府に対しジャブをいれたのか?
それとも、本来無料化には疑問を持っていたと思われる前原大臣の意向なのか?

国交省は、しかしこの50区間については今後問題がなければ恒久無料とするという。

要するに、「無料化はこの50区間でおしまいにしましょう、高速道路無料化の公約もこれで一応は実現したしね」という落とし所を提示している、ということなのだろうか。

ハノイ

2010年08月14日 | 雑記
夏休みの休日をベトナムのハノイ、ホイアンで過ごした。
10年前にホーチミンにいって以来のベトナム。

ハノイノイバイ空港から市内へ向かう高速道路料金所をタクシーがノンストップで通過したので驚いた。
帰国後しらべたところ、豪州の会社の赤外線式ETCが採用されているとのこと。車載機は数千円だという。(後日訂正:オーストラリアではなく、オーストリアのエフコン社)

我が国のETCは、ありもしない商業利用を前提にした厳重なセキュリティのおかげで車載機のコストが高い。結果として、海外への売り込みはほとんどできず、ガラパゴス携帯と同じような道をたどってしまった。
ETCでドライブスルーやガソリン代金決済なんて、ちょっとした想像力があれば市場として成立しないことぐらい誰にでもわかる。また、料金収受機能に消費者が出すコストは一万円以下だろう、ということも市場調査なんかするまでもなくわかったはずだろう。
マーケティングセンスがなさすぎる。

結局のところ、我が国のETCはその普及に多大の費用がかかってしまった。
この費用は利用者にはねかえるものだということを忘れてはならない。

昨年、1000円割引で自動車用品業界はETC特需に沸いた。経営的に厳しかったカー用品チェーンもETCで一服したというのが正直なところだろう。
しかし、何とも納得がいかないのはこの業界を潤した普及対策には多大なコストがかかっており、それは結局高速道路利用料とか税金から支払われている、ということだ。

ETCの普及が悪い事だとは思わない。むしろ、ここまで来たら100%普及で料金収受を徹底的に合理化するべきだ。いまさら仕様を落としてコストを下げても意味がない。
しかし、本来はコストミニマムな仕様にし、官による大量一括発注で徹底的にコストを下げて数千円で販売(または貸与でもいい)すればよかったのだ。
実際に今までETC普及のために掛けたコストを計算すれば、廉価の車載機を無償配布だって出来たかもしれない。

いまだにDSRC方式のETCについては、路車間協調の安全運転システムという付加価値をよりどころに海外への販売をもくろんでいるようだが、まず無理だろう。

ベトナムについてもう少し。

この国は電力コストが高く、物価水準に比べて電力料金が高く、国民の省電力意識は異常なまでに高い。(ガソリンも同様。したがって、交通マナーは劣悪だが急発進・急加速は絶対にしない)
ハノイ市内でも冷たい飲料はなかなか購入できないし、クーラーの入ったレストランはよほどの高級店しかない。
エアコンがある家庭は5%。

この国が、新幹線の導入を検討しJR方式の採用がほぼ決まっていたが、先ごろ国会で否決されている。
私には、この国会の判断は極めて正しいと感じられる。新幹線を作る前に整備するインフラはもっとあるだろう。

日経朝刊 高速道路 都市部はむしろ値上げ

2010年08月04日 | 高速道路
今朝の日経に東大 金本教授の論説が掲載されている。
高速道路1000円による渋滞で経済効果は路線によりむしろマイナス、結論としては都市部は値上げして渋滞を緩和し、その収益を環状線整備の財源にせよ、という内容。
全くその通りだと思う。

現在の高速道路料金は、迷走以外のなにものでもない。

民主党は山崎氏の日本列島快走論を前回選挙に引き続き、詳細検討なく取り入れた。ところが、快走論では無料化しても渋滞の心配はない、何故なら料金所渋滞が無くなるからだ、という内容。
これはETCが普及していなかった前回選挙の時から見直されていない。
御承知の通り、料金所渋滞はETCで解消済みであり、問題はトラフィック増加によるボトルネック渋滞。
正直、「とんでも」に近い論理だ。

これに対抗する形で自民党は週末千円に。
結果自民は敗北するが、その後前原氏が打ち出した全日二千円を小沢氏が否定。多分これは選挙のプロとしての肌感覚なのだろうが、事実千円に慣れてしまった消費者にとっては二千円でも高いと言う事だろう。もとの料金には絶対に戻せない。

で、この週末千円やETCやマイレージやら、どうするつもりなのか全く示されない。
圏央道や外環道の整備もほとんど議論されていない。

一体この先どうするつもりなのか。

EUの交通事故死防止アクション

2010年08月03日 | ITS
EUは、2020年までに特定の車種(公共交通など)についてアルコール検知装置の装着を義務付ける。
アルコール検知は法的な強制力がなければ普及しない装置。他の国でも、飲酒運転常習者に強制装着等の方策でしか採用されていない。

EUはこのほか、交通事故死者対策として追突防止の自律システム(レーダー)について、何らかの法制化を進めたい意向のようだ。
通信関連は、緊急通報のみ。我が国が血道をあげている路車間、車車間通信には全く触れられていない。

国際的デファクトスタンダード争いという側面から、日本がリードしている分野を敢えて無視しているのかもしれない。
でも、私は(このブログを始めた時から主張しているが)交通事故死対策に一番現実的な施策は通信ではなく自律の追突防止システムだと思う。
通信は普及が相当に進まないと機能しない。一方、車載レーダーによる追突防止は付ければ効果がある。ユーザーにとって、とてもわかりやすい。
こうした装備が増加していき、コストが下がり、結果ほとんどの車に標準装備となるエアバックのようなパターンでの普及が理想的だ。

言うまでもなく大型トラックの追突事故による死者発生率は非常に高い。
わが国ではトラックへ追突防止装置を普及させようと、政府による補助がでているが、いまだに装着率は0・4%。
装置が技術的に後から装着することができないため新車だけが対象であること、また半額以上補助金がでてもユーザー負担は30万程度発生することが障害になっているらしい。
なぜ、まずこの装置の装着を法制化しないのか。DSRC路車間通信に250億円使うよりはるかにいい。250億円あれば数万台のトラックに装着可能だと思うけどね。

これに比べて、どうしても日本が進めている通信による路車間、車車間協調システムはピンとこない。
この先道に穴があいているよ、と携帯にメールで送信するようなものだ。読んでいるうちに落ちる。
事実、実証実験以来全く普及する兆しもない。


週刊ポスト 「高速道路無料化で渋滞が激減した」 の笑止

2010年08月01日 | 高速道路
週刊ポスト8月6日号に「高速無料で渋滞激減驚愕の現場報告」というぬるい記事が載っている。要旨は以下のとおり。

・高速道路無料が実施された。
・大新聞は、高速無料化は渋滞の原因となるとしてネガティブキャンペーンをしている。
・しかし、実態は高速道路の渋滞はほとんど発生していない。
・逆に一般道路の渋滞が軽減されているが、大新聞はほとんどそれを報道しない。
・大新聞は「経済効果もない」といっているが、経済効果はある(ようだ)
・だから高速道路無料化はやるべきなのだ

で、例の山崎養世氏が登場して、「ほら見たことか」みたいなことを言っている。

民主党にしても、大新聞にしても、このポストにしても、なぜ高速無料化というと皆YESorNOの議論しか出来なくなるのだろうか。

今回の無料化については、最初から無料化しても渋滞しないようなところを選んでいるんだから、渋滞するわけがない。で、一般道の渋滞軽減だって当然事前計画に織り込まれてる。
「驚愕の事実」なんて何一つない。

そもそも、「高いから使われてない高速道路」は、有料道路としてのビジネスケースを誤ったわけだから、価格を見直すか、あきらめて一般道にするかしかない。
自動車のトラフィックは渋滞、安全、環境面から出来る限り専用道路に誘導するべきだ。
今までそれを怠ってきたことが問題だろう。

一方、では幹線の高速道路を無料化できるか、というとこれは完全に別の話になる。
すでにキャパシティの上限に近い幹線を無料化したか何が起きるかなんて、考えるまでもない。また、幹線自体渋滞しなくても、その行き着く先のボトルネックで大渋滞になる。
今回の試行はうまく行っているので、計画通り8割を無料化をするべきだ、というのは全く非科学的だとしか言わざる得ない。

この記事のぬるいところを指摘しておく。

1.経済効果に触れて、高速の出入り口に近い道の駅が「来客が増えて笑いが止まらない」という。しかし、在来国道沿いの道の駅はどうなっているのかな?

2.山崎氏は、「高速道路が無料化されれば、トラックは高速道路を使って都心部を通らずに東名高速にのれる」といっている。圏央道も外環も東名につながっていない現時点で、いったいどうやってそんなことをするのだろうか。誤記なのか、無知なのか。
というか、圏央道や外環ができれば有料でもみんなそちらを通る。
やらなければいけないことは環状高速の整備であり、その財源を危うくする無料をいま進めることには大きな疑問。

3.山崎氏は、「無料化しても車の台数は変わらないから、渋滞が減る分CO2は減るので環境にはやさしい」といっている。が、全面的に無料化すれは公共交通から自動車に相当量がシフトする。特にビジネス出張とレジャーで新幹線からのシフトがある、と考えるべきだ。
この人は、都合のいい面だけを強調する傾向にある。

やるべきことは全面無料化ではない。
料金の適正化と、渋滞解消のための道路整備なのだ。