ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC2.0 車両運行管理支援サービスって需要あるのか?

2015年12月25日 | ITS
国交省はETC2.0を用いた商業車運行管理支援サービスの社会実験についてアナウンスした。
ETC2.0車両運行管理支援サービス

リリースを読むと、路側機を通過した際に通過情報並びにETC2.0車載器に保存されている運行情報が国交省のデータベースに入り、それを公募する民間サービス提供者が加工して同じく公募する車両運行業者に渡す、というようなものだ。
しかし、今時大手の運送会社ならGPSを使った運行管理や到着時間予測による配車等は行われているし、急ブレーキ等の運行情報も最新式のデジタルタコグラフで既に管理されている。

ETC2.0で今までできなかった画期的なことができるわけでは無い。本当に「お付き合い」ではなくこの社会実験に参加する企業が出てくるのだろうか?

運送業界ではETC2.0関連でそれよりも注目されているのは特車申請の簡素化だ。
通常の大型車両の寸法を超える車両はその運行ルートを都度届け出なければならないが、ETC2.0搭載車でかつ許可された道路であれば申請を簡素化するという内容。これは運送業界にとってはありがたい話だろう。

また、来年から商業車を対象に1万円の助成金をだすとの報道があった。まだ公表されていないが多分そうなるのだろう。しかし、ETC2.0に助成金をつける明確な理由が示されていない。ETCの助成は料金収受コスト低減という明確な理由があったのだが、2.0への助成は私には車載器メーカーさんへの補償のようなものにしか見えない。

一向に普及が進まないETC2.0に対して、この社会実験と合わせ技でなんとなく公共的なムードを醸し出しながら批判をかわしていく、ということなのかもしれない。

1998年電気通信技術審議会101号 2015年の答合わせ

2015年12月22日 | ITS

一時世間を騒がせた「ITS」。2015年までに累計60兆円、全産業には100兆円の経済波及効果があるという1998年の電気通信技術審議会諮問第101号に色々な企業が踊らされた。

電気通信技術審議会諮問第101号

気が付けば、この諮問のゴールである2015年が終わろうとしているので簡単に答え合わせをしておこう。

話を単純にするために累計ではなく2015年単年で結果を採点すると以下の通りとなる。

ますはDSRCによりもっとも成長し主たる市場を形成すると書かれている「サービス市場」

1.カーマルチメディアサービス 7330億円 → 統計ないがきわめて小さい。Carwings等か?
2.車上オンラインショッピング 6218億円 → ゼロ
3.DSRCガソリンスタンド決済  10635億円 → ゼロ
4.DSRC駐車場料金徴収     3806億円 → ゼロ
5.DSRC各種ドライブスルー決済 1920億円 → ゼロ
6.ETCサービス        10635億円 → これは全道路会社の統計が見つからない
                       が、おおむね計画通りだろう。
                       ただしこれは現金収受からETCに変わった通行料
                       を合算してるだけで経済効果と呼ぶべきではない。
7.DSRCカーフェリー決済     439億円 → 資料ないが、ゼロではない、数億円?。
8.歩行者経路誘導サービス   1346億円 → ゼロ

ということで、ほぼETCは「高速道路料金ノンストップ支払い器」でしかない。
これはこのブログの最初のころに散々警告していた。

次に車載器等の端末機器市場の「2015年時点での普及台数」

1.カーナビゲーション   4199万台 → 概ねあっている
2.ETC車載器        5332万台 → 概ねあっている
3.歩行者用端末       516万台 → ゼロ

これは、ナビもETCもほとんどの車両に普及するという読みが当たったということになる。
しかしETC車載器は2015年にはすべてDSRC対応(今でいうETC2.0)になっているはずだが
実態はご存じの通り。

また、カーナビの市場規模を2015年単独で7258億円としているが、実際は4000億円程度
だろう。これは単価の下落による。

歩行者用端末はスマホの出現を予測できなかったから当然だが、スマホアプリとしても
ITSがらみでの安全支援などというビジネスは出現していない。

まあ、当然といえば当然の結果であるが、これを作成した人間も実は相当な大風呂敷だ
と自覚していたはずだ。その罪は大きいとおもう。

結果として、DSRC関連事業はこの誰も使わない仕組みに対して路側機だけは粛々と整備
されている。この諮問にある2015年で8470億円という額には到底達していないが、それ
でも税金から数百億円は出ているのだろう。(これは調べきれませんでした)


Apple Watch、すぐに引き出し行でした

2015年12月13日 | モバイル・ウエアラブル
以前からApple Watchはカッコ悪いから全然ほしくないといっていたが、某取引先のパーティーの景品でいただいた。
実際、中国での需要はこうした贈答用がメインなのではないかと思う。

せっかくなので数日使ってみた。
まず、時計としてはやっぱりカッコ悪いし、私の好きなクロノグラフ的な盤面も用意されているがクロノグラフが好きな人はこんなおもちゃのような表示には耐えられないだろう。

使いがってだが、たしかにメールやSMS等が受信のたびに通知されるのは便利だ。だけど男の場合は大抵はすぐ出せるポケットに入れているのでどうしても必要なものではない。
それ以外の連携アプリも日本のもの、中国のものといろいろ使ってみたけどほとんど実用性はなかった。

中国では支付宝というソフトが表示するバーコードでいろいろな場所で簡単に支払い決済ができ、腕時計で支払えるというのは便利なようにも感じるfが、致命的なのはアプリを立ち上げてから時間がかかること。その時間があればポケットからiPhoneが取り出せる。
しかもWatch上に表示されるのは限定された内容で、正直あまり使いようがない。致命的なのは、いじっていて全然楽しくないということ。

ゴルフアプリだけは使えるかと期待したが、結局はグリーンまでの距離しか表示せず、詳細内容はiPhoneを取り出して確認する必要があるのでほとんど使わずに終わった。

また、これは慣れの問題かもしれないが、WatchのHMIはまだ直感的に操作できるものではないと感じた。

カエルの卵のようなアイコン表示と選択方法はあの画面の中での操作操作方法としてはよく考えたとは思うが、それでも使いやすいとは言えない。

フィットネスに活用する人にはいいのかもしれないが、私にはほとんど使う意味のないガジェットだった。