ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

DENSOのスマートフォン連動型ITSスポット対応DSRC車載器

2012年11月10日 | ITS
先ごろのCEATECで発表されたDENSOのスマートフォン連動型ITS対応DSRC車載器が発売になった。
250億円の公費を投入して整備した高速道路のITSスポットに対応するためには車載器とナビを同時に買い換えなければならず、それが普及の障害(の一つ)になっていたことを考えれば、このDENSOの商品開発、方向としては正しいと思う。

しかし、残念ながら売れないだろう。
そもそも「ITS対応DSRC車載器」の意味を、一般ユーザーがどれだけ理解しているか?
市場認知はほとんどゼロに近い。
しかも、価格はDENSOとしてはそれなりに頑張った値付けなんだろうが、税込27090円と3万円に近い。
初期のETCが3万円程度の価格で普及に難儀をしたことを考えれば、この手の機器の値ごろは外している。
さらに、iPhoneに対応できなかったことも対象マーケットを最初から半分以下に絞り込んでしまうことになる。

ITSスポットそれ自身の有用性については散々言ってきているので触れないが、少なくとも今の状態ではお金を出す価値はほとんどない。

それ以上にDENSOのサイトにある画像を見て感じたことは、果たしてあの画面に書かれた字を運転中に理解できるのか、ということ。
理解するためには「凝視」が必要でこれは非常に危険なのではないか。そもそもITSスポットの表示画面はナビ画面を対象に設計されている。
DENSOのようなキッチリした会社なので十分検討されているとは思うが、事故を減らすためのITSが事故の原因となってしまっては笑い話ではすまない。

試しにサイトの画面をスマートフォン画面サイズに合わせて表示し、1m先に置いてみた。
字で表示される情報は実用の下限で合格といったところだが、簡易道路図を理解するのは厳しいと思う。