ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

秋刀魚の話

2015年09月05日 | 雑記
いきなり秋刀魚の話。
中国でもサンマは秋刀魚。チゥダオユウ(このままカタカナ発音しても全然通じませんが)という。
食べ方は日本と同じ焼き魚。
結構人気があり、日本料理屋に来る中国人が注文する定番の一つになっている。
台湾でも人気らしく、中華圏での消費量はこの先も増えていく可能がある。

最近、台湾が大型漁船団を組んで公海上の秋刀魚を捕っている。先日のニュースでは今年あまり秋刀魚がとれないという話から、国際的に漁獲量を制限するべきだと、あたかも台湾が乱獲するから取れなくなっているかのようなことを言っていた。
確かに今年の台湾の秋刀魚漁獲高は日本を上回っている。

でもね。このグラフ(産経新聞より)でわかるとおり日本は5年前に今の台湾の漁獲高の倍以上の秋刀魚を捕っていた。これじゃ台湾に乱獲するなとはいえないよね。

オリンピックロゴ騒動で思うこと おまけ

2015年09月03日 | ITS
前回を最後にしようと思ったけど、もう少し思うことを書いておく。

まず、このバッシングは異常だと思う。人間を悪人と正義の味方の二種類に分けて正義の味方の側に立って悪人をたたくというのは確かに気持ちいい。水戸黄門や半沢直樹がヒットするのもそういうことなんだけど、それはドラマの中だけのことで、真の悪人も真っ白な正義の味方もいない。

ここからが本題。
今回の騒動があぶりだした本質的問題はエンブレムの盗用ではない。あれはベルギー人の言いがかりだ。
そもそも私はあのデザイン、真似だの違うだのと大騒ぎするほど貴重なもんじゃないと思っている。
問題は著作権があるWEB素材の無断利用だ。

わたしはクライアントの立場でいままで広告宣伝物や販促キャンペーン、新商品企画など、広告代理店のプレゼンテーションを受けてきた。
その中に必ず出てくる「コンセプトシート」。ターゲットカスタマーの属性とか、商品やキャンペーンの狙いを表すために「ダンスをする若者」「アウトドアする親子」などのイメージ写真が昔はA3のボード、今はパワポの画面にキーワードとともにちりばめられている。

こうしたプレゼンや、あるいは最終製作物のイメージを伝えるラフスケッチはクライアントに見せるだけなので一般には厳格に素材の著作権を確認していない。社内だけの資料ならまだしもクライアントに見せる時点で「商業利用」なんだけど、パブリックに公開されないから現実的には問題にならない。
→実際の製作物の予算説明で「これは実際に撮影するのでXX万円、これはストックフォトから有料で入手するのでXX万円」という説明があるが、プレゼン資料やラフ案にストックフォトを使ったのでXX万円という話は聞いたことがない。

こうした製作物は一般的には通称プロダクションと呼ばれる下請けのデザイン会社が請け負う。代理店はアートディレクターがクリエイティブ面を、アカウントエクゼクティブなどと呼ばれる営業担当が営業面からのチェックをするだけで、実際の仕事は下請け(社員デザイナーが独立して興した会社だったりする)が担当する。

クライアントはすぐ作れとかすぐ直せとか勝手なことをいうので、プロダクションの現場は深夜まで作業することが多い。著作権のある素材を正式な手続きを踏んで入手する時間なんてない。プレゼン資料用であればWEBにある(昔だったら雑誌の切り抜き)素材を無許可で使うということは時間的制約から行われているんだとおもう。

こうした仕事の進め方を日常的にしてきて不感症になっていたのではないか。
もちろん、賞金のかかったコンペに提出するプレゼンに使ってしまうのは完全にアウトなんだけど、それに対するコンプライアンス意識が全くなくなっていたとしか考えられない。

トートバックの件で「まさかスタッフが著作権のある素材を無断で使うとは思っていなかった」と発言したがこれは怪しい。彼に著作権へのコンプライアンス意識がないことはその後証明されてしまった。

またなぜか今回の騒動のなかで他のデザイナーの歯切れが悪い。それはやはり多かれ少なかれ同様にWEB素材の無断借用があるからだと思う。クライアントに見せるだけで外に出て行かない物であっても、それで商売をしている以上は「商業利用」であることは間違いない。

今回の騒動を発端して今後そうしたものまで厳密に著作権をクリアしなくてはならないとしたら、製作の現場は大変だ。個人的にはそれはどうかと思うけど。

中国 差不多の恐怖

2015年09月02日 | 上海生活
中国語に「差不多」という言葉がある。チャブドー、座布団のイントネーションで茶封筒と発音する感じ。

中国語の辞書では「ほとんど同じ」と書かれているが、日常会話では「まあそんなもの」「適当に」「こんなところで」というニュアンスで使われる。
中国は大陸文化なので物事は大抵大雑把であり、生活しているとレストランやホテルなどあらゆるところでこの差不多に出くわすことになる。とくに「こんなもんで」といういい方は日本語と同じに使えるので、「そろそろ行きますか」とか、ウエイトレスに注文の量が適当かを確認する際にも使えて便利な言葉ではある。

私は複数の中国の工場で製品を作っている。そしてその製品を中国国内にも販売しているが、中国国内からの品質クレームはほとんどない。品質がいいからではなく、お客様の品質要求レベルが低いのだろう。ちょっとした傷などは「差不多」で納得してしまうと思われる。こうした市場を相手にしていると品質は上がらない。

また、契約している工場は品質意識をきちんと持っているところに限定している。経営者の意識も高く、QCのルール等はかなり厳格の運用されているのだが、中国は労働者の流動性が高く、いくら教育をしても人の入れ替わりが激しい。現場にひとり「差不多」意識が抜けない人間が入るだけで不良品流出のおそれがある。

中国人と仕事をしていて座布団と茶封筒の中間みたいなコトバが出てきたら要注意です。

オリンピックロゴ騒動で思うこと 最後

2015年09月01日 | 雑記
今日エンブレムの使用中止発表があった。私はあのエンブレムとベルギーの劇場のエンブレムは単なる偶然の一致だと今でも思っている。
しかしそれよりも重大なことが今日の中止発表の中にあった。「使用例の写真を他のウエブサイトから無断で流用したことを認めた」ということだ。
前回も書いたとおり、羽田空港の写真はSLEEPWALKING IN TOKYOというサイトのものだが、このサイトは写真サイトでしかも明確に「著作権があり無断使用を禁ずる」と書かれている。

エンブレム作成は佐野氏個人の仕事だと言っておられるので、この無断採用は間違いなく承知してやっていたということになる。仮にスタッフが探してきた素材だとしても、どこから持ってきたかを聞くはずだ。

ここから透けて見えるのは、こうしたネット素材に対しての知的財産権認識のなさだ。これだけ重要なプレゼンテーションの素材ですら無許可借用をするということは常習と言われても仕方がない。またサントリーの件にしても私はスタッフの教育ができていないと書いたが、そうではなくおそらくトップ以下、事務所全体でそうした体質になっていたのではないか。

重ねていうが、ベルギーの劇場のデザインを盗用したということはないと思う。また原案がヤン・チヒョルト展からのパクリというのも、大いにインスパイヤされたとは思うけど、かろうじてインスパイヤの範囲内だと思う。これについては現在ネットで騒がれている内容は行き過ぎだと思う。あの程度の類似がダメなら創作なんてできない。

でも、この明確な著作権違反は致命的だ。エンブレムそのものの辞退も当然だと思う。